転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3707話

 結局ゴップとコーウェンは俺との取引を受けた。

 いやまぁ、ジム・コマンドの件を含めても、これまでの貸しがあったというのもあるし、ここで下手に断った場合、俺が独自に行動するのを止められないと思っていたのだろう。

 実際、それは間違いない。

 もしどうしてもゴップやコーウェンに断られていたら、恐らく俺はその予想通りに独自に行動していただろう。

 ジオン軍残党が口にした水天の涙というのは、それだけ俺にとって魅力的な言葉だったのだから。

 まぁ、その魅力というのは、あくまでも水天の涙というのがジオン軍残党の秘密兵器のMSやMAという前提条件での話だが。

 ともあれ、ゴップ達にしてみれば俺を独自に行動させるような事は仕方がなかったというのもあるし、実際にジオン軍残党が組織だって行動しているのに対処する為、ファントムスイープ隊の戦力を強化したいというのもあったのだろう。

 ……ただし、俺がファントムスイープ隊に参加する上でこちらの要望を幾つか聞いて貰った。

 具体的には、まずファントムスイープ隊と合流はするが、必ずしも指揮官であるマオの命令に従う義務はない事。

 勿論、それが必要だと判断すればマオの命令に従うが、マオが連邦軍の軍人であるのに対して、俺はあくまでも水天の涙という何かを入手するのが目的だ。

 そうなると大まかなところではファントムスイープ隊の面々と協調しても、細かい場所では判断が違うという事になってもおかしくはない。

 そんな訳で、一応臨時に特務少佐という階級を貰った。

 マオが少佐なので、同じ階級にある以上は命令を聞かなくてもいいという事らしい。

 ただ、実際にはマオの上官……具体的にはファントムスイープ隊を作った人物がいる。

 ゴドウィン・ダレル准将。

 コーウェンと同階級で、関係も悪くないらしい。

 一応レビル派にも所属しているらしいが。

 そっちについては、ゴップの方から話を回して貰う事になっている。

 他の特権としては、俺がファントムスイープ隊と行動を共にしている時、俺が撃破したジオン軍のMSやMAの所有権は俺にあるというのもあるな。

 水天の涙とやらMSやMAなら、それを確保する必要がある。

 それに……こっちはあくまでもおまけだが、ファントムスイープ隊が以前戦った中にイフリートに乗っていた敵がいたらしい。

 正確には、オデッサにあったイフリートの改修機をジオン軍残党に奪われたらしいんだが。

 イフリートは1年戦争時代に俺も乗ったが、悪くない機体だった。

 その改修機となれば、それなりに欲しい。

 そんな訳で、こっちはあくまでもおまけだが、確保出来たらするといった感じになる。

 ちなみに、ファントムスイープ隊に同行するという事で、ペルソナ世界についても心配だったんだが、そっちに関しては今のところ雪子がマヨナカテレビに入った影響でまだ完全に復活していないらしい。

 特に事件らしい事件もないので、今のところは特に気にする必要もない訳だ。

 そんな訳で……

 

「ムウ・ラ・フラガ特務少佐だ。これから暫くファントムスイープ隊と行動を共にする事になるから、よろしく頼む」

「いや、その……」

 

 ユーグの部下の男……ヒュー・カーターだったか? 中尉が戸惑った様子を見せる。

 

「どうした? ヒュー中尉だったな。何か俺にあるのか?」

「いや、何かって……アクセル代表ですよね? 機体も隊長と模擬戦をしたジーラインですし」

「俺のどこがアクセルに見える?」

「顔とか……」

「俺が20代に見えるのか?」

「アクセル代表、そのくらいにしてやって下さい」

 

 困るヒューや、それを見て戸惑っているユーグや女のシェリー中尉を見かねたのか、マオがそう言ってくる。

 ちなみに当然の話だが、マオにはゴップやコーウェンから俺について知らされていたらしい。

 

「そうだな」

 

 マオの言葉のパチンと指を鳴らすと、次の瞬間俺の身体は白炎に包まれ、その外見は10代半ばから20代に変わる。

 ヒューを始めとした他の面々は、唖然とした表情で俺を見る。

 

「ちなみに聞かれる前に言っておくが、これは魔法だ」

 

 その言葉に、ユーグ達がざわめく。

 ルナ・ジオンの後ろ盾となっているシャドウミラーには魔法使いが多くいるという噂くらいは知っているのかもしれないが、それでも実際に自分の目で魔法使いを見られるとは思っていなかったのだろう。

 実際にはクレイドルとかにはネギま世界から来た魔法使いがいたりするんだが。

 ハワイは……どうだろうな。

 UC世界に来てわざわざハワイに行くよりは、宇宙空間や月での生活を楽しむ方がいいだろうし。

 そして連邦軍の軍人がクレイドルに行くのは……無理ではないが、連邦軍にしてみればあまり面白くないし、何より最近では強硬派の影響力も強まってきている事もあり、目を付けられたくないと思えば、躊躇するだろう。

 それでも関係ないとクレイドルに来る連邦軍の軍人もいるのだが。

 何しろクレイドルの郊外にある自然の中は、異世界の動物や植物、鳥、虫といった存在がいる。

 学者が主に見に来るが、素人でも生物に興味のある者、あるいはバードウォッチングのような趣味を持ってる者にしてみれば、かなり興味深い場所だろう。

 とはいえ、こうして見た感じではファントムスイープ隊にはそういう趣味を持ってるような者はいないようだ。

 そんな訳で、ファントムスイープ隊の者にしてみればこうして間近で魔法を見るのは初めてなのだろう。

 ……実際にはこれは混沌精霊としての能力で、魔法ではないんだが。

 ただ、年齢詐称薬やエヴァが使う幻影のような魔法もあるので、必ずしも嘘ではない。

 

「魔法……」

 

 シェリーが恐る恐るといった様子で呟く。

 

「そうだ。他にも色々とあるが……まぁ、それは置いておくとして。今の俺はあくまでもアクセル・アルマーじゃなくて、ムウ・ラ・フラガだという事だ。表向きはな」

 

 そう言い、再び指を鳴らして全身を白炎に変えると、俺の姿は10代半ばのものになる。

 それを見て、再びざわめく面々。

 やがて数分が経過すると、多少は落ち着いたらしい。

 ユーグが俺を見て口を開く。

 

「アクセル代表は一体何を目的にこのような事を?」

「ムウだって言ってるだろうに。……まぁ、いい。俺について知ってる面子だけの時なら、アクセルと呼んでも構わない。ただ、俺の事を知らない部外者がいる時はムウと呼べ。もしそれが出来ないようなら、普段からムウと呼んでおけ」

 

 もし俺の正体がアクセルだというのが大々的に知られるような事になったら、それはファントムスイープ隊の問題となる。

 ゴップからその辺を注意された上で、それでもアクセルと呼ぶのなら、いざという時には責任を取る必要があるだろう。

 とはいえ、そうそうそんな事になるとは思えないが。

 

「分かりました。注意しましょう。それで、アクセル代表は何故この隊に?」

 

 結局アクセルと呼んだままのユーグがそう聞いてくる。

 本人がそれで問題ないと思っているのなら、俺も別にこれ以上は何も言わないが。

 

「ベルファスト基地の戦闘で戦ったジオン軍残党が『水天の涙』といった言葉を口にしてな」

 

 そう言った瞬間、何人かが反応する。

 水天の涙という単語を知っていたのか、それともジオン軍残党がこうまで組織的に動いている理由が明らかになると思ったのか。

 その辺は生憎と俺には分からなかったが、取りあえず俺が何故ファントムスイープ隊と一緒に行動するのかという理由には納得したらいい。

 しかし、そんなユーリに代わってマオが口を開く。

 

「アクセル代表が何を求めているのかは分かりましたが、だかといってわざわざファントムスイープ隊に同行するのは何故ですか? ジオン軍残党が気になるのなら、わざわざ私達と一緒に行動しなくてもアクセル代表が……いえ、ルナ・ジオンとして行動すればいいのでは?」

 

 その言葉に、何と反応すればいいか迷う。

 本当の理由としては、ユーグが恐らくこの水天の涙に関係する原作の主人公だからというのが理由だ。

 だが、まさかそんな事を口に出来る筈がない。

 そうなると、何らかのカバーストーリーが必要になる訳で……

 

「ファントムスイープ隊が以前遭遇したというイフリートに興味があってな。水天の涙というのがジオン軍残党の奥の手なら、それと一緒にイフリートも入手したいと思っての行動だ」

 

 取りあえずそう誤魔化しておく。

 とはいえ、これは全くの嘘という訳でもない。

 改修されたイフリートは可能なら入手したいと思っていたし。

 ……とはいえ、それはあくまでも可能ならだ。

 本命が水天の涙なのに違いはない。

 

「あのイフリートを……?」

 

 俺の言葉に真っ先に反応したのは、ユーグだ。

 聞いた話によると、ジオン軍残党に奪われたイフリートと戦ったのはユーグらしい。

 それだけに、ユーグにイフリートに対して思うところがあるのだろう。

 そんなイフリートを、俺が狙っていると口にしたのだ。

 ユーグにしてみれば、自分の獲物を横から掻っ攫われそうなものだと思ってもおかしくはなかった。

 

「ああ、ユーグがイフリートと因縁があるのは知っている。だが、俺がファントムスイープ隊と合流する上で俺が撃破したMSやMAの所有権が俺の物になるというのは、さっき言ったな? イフリートを狙っている以上、手を抜くつもりはないからそのつもりでいてくれ」

「分かりました。ですが、自分もあのイフリートを諦めるつもりはありませんので」

 

 そう言い、挑戦的な視線を俺に向けてくる。

 ユーグが言うように、実際その件について譲るつもりは一切ないのだろう。

 

「そうか。じゃあ、お互いに頑張るとしよう」

 

 取りあえずそう言っておく。

 勿論、俺はイフリートをユーグに譲るつもりはないが。

 

「そんな訳で、自己紹介は終わったな。これからどこに向かうんだ?」

「インドシナ半島です」

 

 その言葉に、俺は頷くのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル代表、私が護衛として一緒に行動した方がいいと思うのですが」

 

 ミデアにジーラインを運び込むのを見ていると、俺に近付いて来たノリスがそう言う。

 俺がファントムスイープ隊に合流するのに際して、ノリスはハワイに戻る事になっている。

 俺の護衛というのは、あくまでもジーラインを受け取るまでの話なので、その任務は既に終了しているのだが。

 ジーラインを受け取るまでなので、そういう意味ではベルファストを襲撃してきた時には既に護衛は終わっており、ノリスがわざわざ出撃する必要もなかったんだよな。

 ただ、その辺は義理堅いノリスだ。

 ジオン軍残党の襲撃にも出撃したし、こうして俺がファントムスイープ隊に合流するのを知った後でも心配していた。

 

「ファントムスイープ隊は、ジオン軍残党を倒す為の部隊だ。そこにグフ・カスタムを操縦する元ジオン軍のノリスがいれば、それこそ問題になる可能性が高い」

 

 ファントムスイープ隊の面々を見た感じ、ユーグとシェリーはともかく、ヒューはかなりジオン軍を嫌っているように思えた。

 隊長のマオは……こっちはどうだろうな。立場上厳しくするが、個人としてはそこまで元ジオン軍に対して何か思ってる様子はないように思えたが。

 ただし、それはあくまでもノリスに対しての話だ。

 ファントムスイープ隊が戦ってきたジオン軍残党については話は別だろうが。

 

「それは……」

 

 ノリスも俺の言いたい事が分かったのか、言葉を失う。

 だが、すぐに目に決意を込めて口を開こうとし……

 

「そこまでだ。ノリスが何を言いたいのかは何となく分かるが、今回は別にそれは必要じゃない」

 

 多分、グフ・カスタムをここに置いていくなり、俺の空間倉庫に収納するなりして、自分も連邦軍のMSに乗って俺を護衛すると、そう言おうと思ったのだろう。

 連邦系とジオン系のMSは基本的には同じ操縦システムだ。

 細かい違いは色々とあるが、それでもノリス程の腕利きならそこまで問題にはならないだろう。

 ただ、ノリスの所属はあくまでもハワイだ。

 あるいはハワイが平和なら、ノリスを借り続けてもよかったかもしれない。

 しかし、俺が経験したようにハワイでもジオン軍残党の襲撃があった。

 今更な話だが、恐らくあの襲撃も水天の涙に何らかの関係があったのかもしれないな。

 ともあれ、そうしてハワイも襲撃されたばかりである以上、一時的ならまだしも、ずっとノリスを借り続ける訳にいかないのも事実。

 水天の涙の件が具体的にどのくらいかかるのかは、生憎と俺にも分からないが。

 ペルソナ世界でのマヨナカテレビの件もあるので、あまりに時間が掛かりすぎる場合は一度戻った方がいいかもしれないな。

 ともあれ、水天の涙の件がいつ終わるか分からない。

 ノリスの役目はもう十分に終わったのだから、今回の件についてはもう完全に任務が完了したとして、ハワイに戻って貰う方がいい。

 そう言うと、ノリスもギニアスやアイナの事が心配なのか、不承不承頷く。

 ガトーやヴィッシュ、闇夜のフェンリル隊といった腕利きがいるとはいえ、それでもやはり長年仕えてきたサハリン家は、ノリスにとって別格なのだろう。

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