戦場は、ようやく静寂を取り戻した。
少し前まで、この戦場では激しい戦いが繰り広げられていたのだが。
何しろ、最初はドレイク軍がフラオンの援軍を得てギブン家を討伐しようとしたのに……気が付けば、前方にはギブン家の軍、後方にはドレイクを裏切ったフラオンの軍と、前後から挟み撃ちになったのだ。
まぁ、フラオンにしてみれば俺とマーベルがドレイクに味方しているのが気にくわなかったのだろうが。
また、ギブン家とフラオンのどちらが動いたのかは俺にも分からなかったが、アの国の真上にある小国のミの国までもがギブン家に協力して襲ってきた。
ミの国が使っていたのがダーナ・オシーだというのを考えるとミの国を説得して味方にしたのはギブン家なのか?
ともあれ、そんな戦いではあったが……結果として、ドレイクの軍は聖戦士2人を擁し、質の面でもダーナ・オシーよりも高性能なドラムロを使い、ナムワン級も何隻か用意されていた事もあって、ギブン家、フラオン、ミの国といった3つの勢力を同時に撃退する事に成功した。
個人的には撃退ではなく撃破の方がよかったのだが、撤退していく相手を前にガラリアから追撃をしないように言われてしまう。
「そう言えば、フラオンはどうしたんだ?」
「自軍が負けたと判断したら……いえ、負けるよりも前に不利になったと思った瞬間、逃げ出したそうよ。当然だけど、追撃はしなかったらしいわ」
「だろうな」
マーベルのその言葉に、俺は納得する。
ドレイクにしてみれば、この戦場でフラオンを討つのと、逃がすの。どちらの方が自分達に利益があるのかと考えれば、普通は後者だ。
仮にも王ではあるフラオンだが、無能な働き者といった表現がこれ程似合う相手もそうはいない。
味方にいると扱いに困るが、敵にいると非常に助かる相手。それがフラオンという相手だ。
無能さを本人だけが理解していない。
いや、周囲の者もそんなフラオンと同じなのか?
ともあれ、フラオンが無能なのは問題ないが、アの国の国王という立場である以上、ギブン家でも蔑ろには出来ない。
ギブン家どころか、小国のミの国も形式上はフラオンよりも下になってしまう。
何だかんだと、アの国の国力は高いのだから。
そうでもなければ、ハワ、ケム、リ、ク、ミといったような5つの国に周辺を囲まれている状況で現状を維持出来ないだろうし。
とはいえ、フラオンが王になった時点で周辺から侵略されるのは時間の問題だったと思うが。
「それで、これからどうするのかってのは聞いたか?」
「ううん。ドレイクにとっても、今回の件は予想外だったらしいわね」
「だろうな。それは俺も同意だ」
まさか、長年ドレイクから貢ぎ物……言い方を変えれば賄賂を貰っていたフラオンが、ドレイクを裏切ってギブン家に味方するとは、思ってもいなかった。
いやまぁ、それは俺とマーベルがフラオンから逃げたのが原因なので、ドレイクだけを責める訳には……いや、リムルやショウから俺とマーベルの情報が伝わったと考えれば、悪いのはやっぱりリムルの育て方を間違えたドレイクか。
「ともあれ、恐らく最初はギブン家かフラオンのどちらか……いや、フラオンは出来るだけ最後に残した方が、向こうで混乱するだろから、やっぱり最初に攻撃するのはギブン家か?」
「ミの国はどうするの? 相手は小国とはいえ、国なのよ?」
マーベルが心配そうに言うのは、今回の戦いでミの国が派遣してきたダーナ・オシーの数がかなり多かったからだろう。
もっとも、その大半は俺のサーバインによって撃破されてしまったのだが。
「それこそ、相手は小国でも国なんだ。まずはアの国の問題を片付けてから、ミの国に対処するべきだろうな」
アの国の問題を片付ける。
それは当然ながら、ドレイクがフラオンを討つという意味だ。
言ってみれば、下剋上だな。
あるいは革命とかクーデターとか。
表現は色々とあるが、結局のところ問題なのはドレイクがフラオンの代わりにアの国を治めるという事だろう。
ぶっちゃけ、アの国の国民にしてみれば、フラオンよりもドレイクが国王になってくれた方が、絶対に利益は大きいと思うが。
フラオンは愚王という表現が相応しいのに対し、ドレイクは間違いなく有能だし。
とはいえ、ドレイクが有能なのはあくまでもルフト領の領主としての話だ。
領主と国王というのでは、当然のように色々と違ってくるだろう。
問題なのは、ドレイクが国王としても有能さを示せるかどうか。
……まぁ、もしドレイクが期待している程に有能性を示せなくても、それでもフラオンよりはマシだというのを見せれば問題ないだろうが。
そう考えると、国王としての最低ラインってもの凄く簡単なんだよな。
それこそ、その辺にいるような奴であっても普通に国王としてやっていけそうだ。
「そうなると、出来るだけ早くギブン領に攻め込んだ方がいいんじゃない? でないと、向こうも戦力を回復するわよ? ギブン領に機械の館がどれだけあるのかは分からないけど」
「だろうな。人の方も……ファンタジー世界だと、何気に補充するのは簡単そうだし」
もしこれがファンタジー世界ではなく地上での出来事だったりした場合、徴兵するというのは法がどうとかなるだろうし、あるいは無理矢理徴兵してもそんな相手がすぐに戦闘機や戦車といった兵器は勿論、銃火器の類も満足に使えるとは思えない。
だが、このファンタジー世界においては、法とかはある程度無視することが出来るだろうし、武器も長剣や槍、弓といったようなのが大半だ。
ましてや、オーラバトラーに適性のある者なら、最低限の操縦でイメージが出来れば、戦力として使える。
何しろオーラバトラーは人間に比べると圧倒的に巨大だ。
つまり、ある程度操縦が出来るのならオーラバトラーとの戦闘に回せばいいし、それが出来ないようなら歩兵への対処として使えばいいのだから。
「そうね」
俺の言葉に納得は出来ても、マーベルにしてみれば敵であっても一般人が戦闘に巻き込まれるのは気持ちのいいものではないだろう。
この辺は優しさと考えるか、甘さと考えるか微妙なところだ。
取りあえず、今はそれが戦闘の足を引っ張っている訳ではないので、優しさと考えておこう。
「アクセル王! お館様がお呼びです!」
と、俺とマーベルが話していると、ドレイクの部下の兵士がやって来てそう声を掛けてくる。
どうやら、話は纏まったらしい。
俺とマーベルがこのような場所にいた間、ドレイク達が何をしていたのか。
それは、今後の方針を決める為の話し合いだった。
正直なところ、俺とマーベルがそこに参加しても構わなかったのだが、それでも今の状況を思えば、俺達の考えではなくドレイク達でしっかりとどうするか決めて欲しいという思いがあった。
ドレイクもそれに理解を示し、俺達はこうしてここにいた訳だが……
さて、どういう風に変わったんだろうな。
「マーベルはどうする? 顔を出すか?」
「ええ。どうなるのか、ちょっと気になるわ。ドレイクが何を考えているのか、知りたいもの。……普通に考えれば、ギブン領を攻撃するんでしょうけど」
マーベルのその言葉には、俺も納得出来るところはある。
とはいえ、今の状況を考えると色々と難しい状況なのは事実だ。
フラオンもミの国も、放っておいていい相手ではないのだから。
そうして、俺とマーベルは兵士に案内されてドレイクのいる場所に向かうのだった。
ドレイクやその側近、更にはトッドやトカマクもいる場所に、俺とマーベルは姿を現す。
多くの者が深刻そうな表情を浮かべているのは、やはりフラオンやミの国といった新しい敵が姿を現したからだろう。
特にフラオンは、評判は悪くて無能だというのは知っていても、それでもアの国の国王……ドレイクが忠誠を誓っていた存在なのだ。
ドレイクにしてみれば、フラオンが自分を裏切った……もしくは切り捨てたとしても、そこまで気にはしないだろう。
だが、それはあくまでもドレイクだから。
それ以外の者にしてみれば、やはり色々と思うところはあるのだろう。
「で? 結局どうする事になった?」
そんな落ち込んでいる面々を全く気にした様子もなく、俺はドレイクに尋ねる。
周囲の者達は俺の様子に色々と思うところがあるのか、様々な感情の籠もった視線を向けてくる。
一番多いのは、やはり恨みといった視線か。
まぁ、俺とマーベルの存在が原因でフラオンはドレイクを切り捨てたのだから、そのように思う者が多いのは仕方がないのかもしれないが。
「一応聞いておくが、この状況で防御に回るというのはお勧めしないぞ」
「で、あろうな」
ドレイクは俺の言葉を聞くと素直に頷く。
ドレイクにしてみれば、今のこの状況で防御に回るというのは自殺行為でしかないと、そう理解しているのだろう。
実際、もしそのような真似をした場合は、フラオンとギブン家、ミの国が攻撃してくるだろう。
どの勢力も結構なダメージを受けたものの、フラオンはあれでもアの国の王だ。
エルフ城まで戻れば、まだある程度の戦力は残っているだろう。
あるいは他の領主に声を掛けて戦力を集めるといったような真似をしてもおかしくはない。
ミの国も、今回の戦いに参加したダーナ・オシーはかなりの数を撃破したが、曲がりなりにも一国だ。
小国であろうと、国王の慕われ具合という意味ではフラオンとは比べものにならない。
少し時間があれば、またピネガンは戦力を揃える事が出来るだろう。
そういう意味では、一番与しやすい相手はギブン家なのは間違いないだろう。
他の2つの勢力が国であるのに対して、ギブン家はあくまでも領主だ。
それも今回の戦いで、ギブン家が有するダーナ・オシーはかなりの数が撃破されており、当然ながらパイロットも死んでいるだろう。
基本的に、オーラバトラーはMSとかよりも小さい。
それだけに、脱出装置の類は装備されていない。
勿論、運によっては撃破されても生き残る事も出来るだろう。
だが、それでも生死の可能性を考えれば、どうしても死ぬ可能性の方が圧倒的に高いのは間違いなかった。
「なら、攻めるか?」
「うむ。そこで、アクセル王に仕事を依頼したい」
「俺にか? さっきの件もあるし、随分と貸しが溜まる事になるぞ?」
「それでも構わん。今の状況を思えば、少しでも戦力は必要だからな」
そう言い切る辺り、さすがと言ってもいいだろう。
さて、そうなるとドレイクは俺にどんな依頼をしてくるのか。
普通に考えれば、ギブン家を俺達に抑えて貰った上でドレイク軍はエルフ城の攻略といったところだろう。
ギブン家の戦力は大分削ったとはいえ、まだショウの操縦するダンバインがいる。
それ以外にも、ゼラーナには被害を与えたが撃墜した訳ではないし、ニーの操縦するダーナ・オシーもいる。
そう考えれば、ギブン家を俺とマーベルによって抑えて貰うというのはドレイクにとってそう悪い選択ではないのだろう。
戦力という意味では、フラオンを俺に任せた方がいいのだろうが、ドレイクの立場としてはフラオンを倒すのはやはり自分がという思いがあるのだろう。
「なら、俺達はギブン家か?」
「いや、ミの国だ」
予想外の言葉に驚く。
てっきりギブン家の相手を俺達にして貰うつもりだったと、そう思っていた為だ。
それが、まさかのミの国。
もっとも、ミの国が厄介な相手だというのは俺も理解している。
そういう意味では、ドレイクの判断は間違っていないだろう。
だが、ドレイクの性格を考えれば、まずはアの国を確保してからミの国に打って出るとばかり思っていた。
それだけに、今回俺達に要望してきたミの国への対処というのは……
「なら、ギブン家とエルフ城の方は、どっちもドレイクの手勢だけでやるのか?」
一応といったように尋ねて見ると、その言葉には当然だといったように頷かれる。
「そのつもりだ。幸いにして、フラオンもギブン家も、今日の戦いで大きな被害を受けている」
「ドレイクの方だって、無傷って訳じゃないだろうに」
トカマクは本人が負傷こそしていないものの、ダンバインがそれなりにダメージを受けている。……ぶっちゃけ、もうそろそろダンバインの予備部品がなくなってきてるって話だったんだが、その辺どうなるのやら。
トッドは幸い機体の損傷は殆どないし、本人も問題はない。
バーンやガラリアといった面々も、特に被害らしい被害は受けていないものの、それは一定の技量があるからこそだ。
ドロはそれなりに撃墜されているし、ドラムロも多少なりとも撃破されている。
生身の兵士に関しては、それこそもっと被害が多いだろう。
今回の戦いでドレイクはギブン家を完全に叩き潰すつもりだったので、ルフト領の戦力の多くをこの戦いに参加させた。
それだけに、今回の戦いで受けたダメージが大きかったのも事実だ。
にも関わらず、そのようなことを考えるとなると、ドレイクにとって今回の一件はそれだけ本気だということを意味しているのだろう。
いやまぁ、現在の状況を考えると、それは当然かもしれなかったが。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1480
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1664