ジジ……ジ……ザザ……
MSのコックピットの中に、そんな音が聞こえてくる。
ミノフスキー粒子の影響か?
そうも思ったが、いきなりこんな風に通信に雑音が入るのはちょっと疑問だ。
あるいはジオン軍残党がミノフスキー粒子を大量に撒いたのかとも思ったが、もしそうならホバートラックにいるマオがそれを察知して連絡をしてくる筈。
しかし、そのような様子はない。
ホバートラックはMSからそう離れていない以上、この雑音があってもそう簡単に通信が切れる事はない筈だ。
それはつまり、これはミノフスキー粒子の影響ではないと考えるべきなのだろう。
『このノイズは、オデッサの時と同じ……』
『トゲ付きか!?』
シェリーとヒューの声がそれぞれ雑音が入る中で聞こえてくる。
その情報は、俺にとって決して悪いものではない。
何しろヒューがトゲ付きと呼んでいるのは、イフリートだ。
それもオデッサでジオン軍残党が奪った。
元々イフリートはその性能とは裏腹にコストであったり、グフ以上に使いこなすのが難しいという事、そして恐らくは政治的な問題とかもあって製造された数は非常に少ない。
R2型のザクに比べれば多いらしいが。
そんな訳で、俺も一応確保はしているものの、コレクション的な意味でも出来ればこのイフリートは入手したい。
俺がファントムスイープ隊と行動を共にしているのは、水天の涙と呼ばれる兵器……かもしれない存在を入手する為。
ただし、その水天の涙というのはハワイにあるアプサラス奪取計画ではないかという疑いも出て来たので、俺が欲するような新兵器ではない可能性も出て来たのだが。
そしてもう1つが、このイフリートだった。
「イフリートか。なら、俺が……」
『アクセル、頼む。ここは俺に……俺も奴とは因縁がある。その為に、奴に対抗する為にジーラインを手に入れたんだ。だから、頼む!』
雑音の中、ユーグが必死にそう言ってくる。
これは……うーん、どうするべきか。
ユーグにしてみれば、絶対に自分が倒したいと思ってジーラインを手にしたのだろう。
そういう意味では、あるいは譲ってもいいのかもしれないが……
『アクセル代表、お願いします!』
イフリートの距離が既に間近になったところで、マオがそう口を挟む。
仕方がない、か。
「分かった。ただし、ユーグが倒してもそのイフリートの所有権が俺にあると認めればだ」
『分かりました!』
即座にそう反応するマオ。
ユーグの執着に対処する為にそのように言ったのか、それとも何か別の理由があるのか。
それは俺には分からなかったが……そこまでしてイフリートを倒したいのなら、俺から何かを言うつもりはない。
それに……別の獲物がいるしな。
イフリートが現れたのとは別の方向から、3機のザクが姿を現してこっちに向かって突っ込んできたのだ。
ホバートラックに乗っているマオがまだ気が付かないのは、ユーグの件が影響してるのか、あるいはイフリートのジャミング機能が影響してるのか。
「なら、こっちは任せる。俺は向こうのお客さんを相手にしてくる」
『え? あ……MS3機接近中!』
俺の言葉に即座にマオが反応する。
そうしてすぐにMSが接近しているのを報告したという事は、どうやらジャミング機能ではなくユーグの件が理由だったらしい。
「そっちのザク3機は俺が受け持つ、ヒューはユーグの援護、シェリーはさっきと同じように離れた場所で援護!」
『あ……』
マオが何かを言うよりも前に、俺は3機のザクに向かってジーラインを進める。
マオにしてみれば、自分がファントムスイープ隊の指揮官であるという認識があるのだろう。
そんな中で俺が勝手に指示を出したのが気にくわなかったのかもしれない。
とはいえ、ユーグの件で何も言えなくなっていたのを思えば、それも仕方がないと思うんだが。
そんな風に考えている間にもジーラインは3機のザクとの間合いを詰める。
3機のザクはジーラインが接近してきたのを確認すると、2機がヒートホークを手に前に、そして1機がザクマシンガンの銃口をこちらに向けてくる。
ヒートホークは使い捨てになったりする事も多いが、それだけ多数作られている。
ザクマシンガンも俺がハワイでドワッジに乗った時使ったみたいに、他の機種でも使えるので多数生産されていた。……まぁ、俺がハワイで使ったのはザク改の使う奴で、これから戦うザクが手にしているザクマシンガンとは違うのだが。
ともあれ、ザクマシンガンもヒートホークも大量に作られた。
そもそもザクそのものが数千機単位で製造されたらしいし。
それだけに、ジオン軍残党にしてみれば潤沢に使える武器という事で主武器として使っているのだろう。
……ただし。
「まずはお前だ」
ジーラインのスラスターを全開にし、ライトアーマーの有用性を十分に活かしながら距離を詰めつつビームライフルを撃つ。
狙撃用の威力の高いビームライフルは、ザクマシンガンを持っていたザクのコックピットをあっさりと貫く。
全速力で移動しながら狙った場所に命中させるというのは、それなりに高等技術だ。
実際、ザクもザクマシンガンを撃とうとした時に動きを止めていたし。
しかし、俺にしてみればその程度の速度で命中させる程度の事はそう難しくはない。
PPによる能力値の底上げと、経験。
この2つが合わされば、大体どういう事も出来たりする。
地上を走りながら射撃をして命中させるのは、そこまで難易度が高い技術でもないし。
ヒートホークを持った2機のザクは、いきなり仲間を撃破された事で動揺したのだろう。
数秒だが、動きが乱れる。
それはお互いの連携が失敗したという事でもあり……
「食らえ」
短く呟き、片方にビームサーベルで斬りかかる。
動揺から立て直せなかったのか、それでもスラスターを全開にして回避しようとするものの、次の瞬間にはコックピットを避ける形でザクが袈裟懸けに切断される。
残りの1機が仲間をやられた事に苛立ち、ヒートホークを振り下ろしてくるが、それをビームサーベルで受け止めながら、ステータスを確認する。
ちっ、やっぱり撃墜数が増えてないか。
コックピットを外した以上当然だろうが、ヒートホークを持ったザクのパイロットはまだ生きているらしい。
運がいい。いや、ジオン軍残党として活動している執念からか?
そんな風に思いつつ、足とスラスターを使ってその場から退避すると同時に、一瞬前までジーラインのいた場所を残り1機のザクが振るったヒートホークが通りすぎる。
あのザクのパイロットにしてみれば、もう俺を殺すという事だけを考えているのだろう。
仲間が2機あっさりとやられた――うち1機のパイロットは生きているが――という事で、俺をこのままにしてはおけないと思ったのか、それとも絶対にここで殺す必要があると判断したのか。
その辺りは生憎と俺にも分からなかったが、あのパイロットが俺を殺そうとしているのだけは間違いない事実だった。
だからといって、こっちもそのままやられる訳にはいかないが。
ヒートホークの一撃が回避された事により、ザクは隙だらけとなる。
そのザクに向けて、ライトアーマーを後方に跳躍させながらビームライフルを撃つ。
ライトアーマーのビームライフルは狙撃仕様でスタンダードアーマーのビームライフルと比べると、決して取り回しはよくない。
だが、取り回しの悪さは操縦技術である程度補えるのも事実。
そんな俺の理論が正しかったのは、ヒートホークを持った手を破壊され、それでもビームの威力が止まることなく、コックピットをも貫いた事で証明された。
これで2機。
もっとも、まだパイロットが生きているザクも機体そのものはもう使い物にならなくなっているので、脅威度という点では全く問題ない。
「さて、取りあえずこっちは問題なしだな。後は……ん? 煙幕?」
ザクを倒したので、問題の方……ユーグ達の方がどうなったか。
具体的にはイフリートを捕らえるなり、倒すなり出来たのか。
そう思って戦場となってる方に視線を向けたのだが、そこには煙幕があった。
それ自体は特に問題ない。
だが、どちらの陣営が煙幕を使ったのかで話は変わってくる。
……ただ、恐らくだがあの煙幕はジオン軍残党によるものだろうなと、そう思ってしまう。
ジーラインやジム・コマンドであっても、煙幕を使おうと思えば使えるだろう。
だが、この状況でわざわざ煙幕を使う必要があるかと言われれば、それは否だ。
つまり、これは恐らくジオン軍の残党が逃げ出す為に煙幕を使ったと見るべきだろう。
問題なのは、具体的に何があったか。
ザクはそのままにしておくか?
回収してる時間はないし、その方がいいか。
今は一刻も早くあの煙幕で何があったのかを確認する必要がある。
出来れば俺にとって悪くないことであればいいんだが、恐らくそれはないだろう。
そう思いながら煙幕の方に行くと……
「やっぱりか」
煙幕のあった場所に行くと、そこにはザクの残骸はあったが、イフリートの残骸はない。
勿論、イフリートを捕らえたといった様子でもない。
残っているのはファントムスイープ隊、ザクの残骸だけ。
それはつまり、イフリートを逃がしたという事を意味している。
「マオ、何があったのか聞かせて貰えるな?」
『アクセル代表……はい』
マオも自分達がこの場を任された……それも俺がイフリートと戦うつもりだったのに、それをユーグが頼み込んで自分がイフリートの相手をしたのに、結局倒したのはザクが1機だけで、イフリートには逃げられたという事に思うところはあるのだろう。
だからこそ、素直に事情を説明するつもりになったといったところか。
マオから事情を聞かされる。
最初はユーグはイフリートと互角に戦っていたものの、相手の方が戦いという点では一枚上手だったらしい。
普段のユーグなら相手の行動に疑問を持ったとマオがフォローをしていたが……実際、ユーグは個人としての技量よりも、部下を指揮する能力に長けている。
そんな訳で部下の指揮をマオ任せにしたまま攻撃をした結果、イフリートのパイロットに上手い具合に引っ掛けられたらしい。
イフリートのパイロットはザクが狙っている場所にユーグを誘き寄せ、自分に集中しているユーグの隙を突いて撃破する……つもりだったらしい。
そのピンチを救ったのが、シェリー。
ビームライフルでそのザクを倒したところ、仲間を殺されたイフリートのパイロットは激高してシェリーを殺そうした。
だが、何故かそのイフリートを迎撃しようとしないシェリー。
それも不可解だったが、イフリートのパイロットもシェリーを殺せる筈が何故か攻撃を中止、スモークで煙幕を発生させ、逃げていったらしい。
「何でそこでシェリーに対する攻撃を中止する必要がある?」
それが素直に疑問だった。
仲間を殺され、激高したイフリートのパイロット。
だが、そのような状況で仲間を殺したシェリーを相手に、何故攻撃を躊躇したのか。
勿論、俺もシェリーが死んで欲しかったとは思っていない。
シェリーが無事でよかったとは思うが、それでも一体何故そのような事になったのか、それが素直に疑問だった。
『分かりません。何かあったと考えるのが普通でしょうが……』
「何か、か」
例えば、この森に攻撃をしているのは俺達だけではなく、俺達が一時的に拠点としている基地のMS部隊や、あるいは他の基地からもやってきたMS部隊もいたりするのかもしれない。
そうなると、そちらの方で何かがあった可能性は十分にあった。
問題なのはそれが具体的に何なのかが分からない事だろう。
また、それを抜きにしても殺す寸前まで言ったのなら、それこそヒートソードで攻撃するのに数秒と掛からない。
わざわざその数秒を大事にする為に……しかも仲間が死んだというのに、その仇討ちをしないでこの場から逃げる?
一体何があってそうなったのか。
『ええ、何かです』
そう言うマオの表情には、疑問と確信……まさに半信半疑といった表情がある。
恐らくマオだけが知っている何らかの情報とか、そういうのがあるのだろう。
それが具体的に何なのかは、生憎と俺にも分からなかったが。
「ともあれ、ここでの戦いは終わった。これからどうするんだ?」
『他の部隊と合流します』
その言葉には俺も頷き、そうしてファントムスイープ隊は移動を開始する。
シェリーのジーラインは何故か動きが鈍い。
いや、何故かではないか。
イフリートとの一件が理由なのは明らかだろう。
だが同時に、何故そこまでザクを撃破した事を気にしているのかが疑問だ。
シェリーは別にこれが初めて人を殺したという訳ではない。
俺が合流する前にもファントムスイープ隊として行動していた以上、その経験はあって当然だろう。
そうなると、殺されそうになったから……いや、イフリートに攻撃された時にはもう動けなかったのだ。
結局その辺の理由が分からないまま、俺達は他の部隊と合流するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2325
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1826