「じゃあ、皆で写真を撮ろう! ほら、マオ少佐も入って」
ヒューの言葉が格納庫に響く。
これからニューヤークを占領したジオン軍残党を倒す為に出撃するのだが、その前に全員で写真を撮ろうと提案してきたのだ。
俺としては、アクセルとして知られている20代の姿ではなく、10代半ばの今の姿であっても写真に残したくはなかったのだが……ヒューの様子を見ていると、それに反対するのもどうかと思い、一緒に写真を撮る。
とはいえ、この写真のメインはあくまでもマオやユーグを中心としたファントムスイープ隊の面々だ。
メカニック達も含めると結構な人数になるので、俺は端の方に移動しておく。
「いいですか、撮りますよ!」
この基地のメカニックが、ヒューに渡されたカメラを手にそう叫ぶ。
そして写真が撮られる。
こういうのが思い出の写真として残るんだろうな。
とはいえ、俺が言うのも何だがこの写真の価値はかなり高いと思う。
何しろシャドウミラーを率いる俺が連邦軍の遊撃特務部隊と一緒に写っているのだから。
とはいえ、今の俺は多くの者が知っている20代の姿ではなく10代の姿だが。
俺の能力について知らなければ、この写真を見ても俺だとは気が付かないだろう。
せいぜいが、アクセル・アルマーの弟か親戚かといったように思うくらいか。
「あー……これ、目を瞑ってるよ。どうせならもう一回……」
「いい加減にしろ」
不満を言うヒューに対し、マオが突っ込むのだった。
『なぁ、アクセル。本当に大丈夫なのか?』
ニューヤークに到着し、これから別行動を取るという時、ヒューが心配そうに通信で言ってくる。
無理もないか。
ヒューは色々と問題行動を取ったりするが、実際には仲間思いな面がある。
つまりヒューにとって、俺は仲間という事なのだろう。
まだ付き合いそのものは短いが、ヒューは俺にとっても付き合いやすいタイプだしな。
「問題ない。俺はこう見えても異名持ちなんだぞ?」
ヒューが心配そうな表情を浮かべているのは、ニューヤークでの作戦でマオと話したように俺が1人で占拠されている場所を襲撃し、ユーグ達は6機でもう1ヶ所の占拠された場所を攻略するからだ。
ニューヤーク近郊の基地に到着して行われたブリーフィングでマオがこの件について話した時、当然ながらユーグ達は反対した。
とはいえ、作戦の指揮を執るマオが決めた作戦で、何よりこの作戦を行う俺もそれを受け入れている。……というか、そもそもマオにこの作戦について提案したのは俺だし。
そんな訳で、この作戦は俺が提案してマオが受け入れたと説明する事によって、ようやく騒動は収まったのだ。
ユーグ達は信じられないといった様子で俺を見ていたが。
その辺については、異名持ちだから大丈夫という、ヒューに話したとの同じ理由で押し通した。
ユーグ達も完全に納得はしていないようだったが。
そんな訳で、こうしてヒューは心配そうに聞いてきたのだろう。
『異名持ちでも、出来る事と出来ない事があると思うんだがな。……まぁ、アクセルがそこまで言うんだから、多分大丈夫だとは思うけど』
「ああ、大丈夫だから安心しろ。……それより、こっちは俺1人なのに対してそっちは6人だ。なのにこっちの方が早く終わるような事になったりしないよな?」
そう挑発すると、ヒューは笑みを浮かべる。
『よし、なら賭けようか。もし俺達が先に占領している連中を倒したら、1杯奢って貰うぜ』
「なら、俺が勝ったら高級レストランで食事でも奢って貰うか」
俺がアルコールを飲むと色々と不味いので、そういう事にしておく。
そもそもの話、今の俺は10代半ばの外見である以上、店でアルコールは売ってくれないだろうし。
いやまぁ、世の中には子供にでもアルコールを売る店は幾らでもあるから、絶対とは言わないが。
『話は決まった! じゃあ、そういう事でいいな? 後から実は駄目だったとか言っても、聞かないからな』
「任せろ。その代わり、そっちが有利な以上、こっちが勝ったら結構な高級店で奢って貰うからな」
俺の言葉にヒューが笑う。
自分達が勝つと思っているから笑ったのか、それとも1人で行動する俺にやる気を出させたと思ったのか。
その辺は俺にもちょっと分からないが、とにかくそして話は決まって俺とヒューは賭けをする事になるのだった。
……指揮官のマオは頭が痛い……いや、頭痛が痛いといった様子だったが。
目的の場所にジーラインで向かっていると、ビルとビルの隙間からマゼラ・アタックが砲塔をこちらに向けているのを確認し、反射的にその場からジーラインを跳び退かせる。
次の瞬間、ジーラインのいた場所を砲弾が通りすぎる。
なるほど、今の攻撃は上手くニューヤークの地形を利用しているな。
そんな風に思いつつ、ビルを回り込むように移動する。
この辺はまだ再開発されていない場所だが、それでもビルを破壊した場合はこの周辺にも大きな被害がある。
ニューヤークの住人や、再建を請け負っている相手から恨まれるのは面白くない。
そんな訳でビルを回り込むように移動する。
俺のジーラインはライトアーマーなので、機動力は高い。
……とはいえ、この街中でジーラインの推進力を最大にして移動した場合、下手をすると建物にぶつかり、その建物だけではなくMSにも被害がある可能性は十分にあった。
だからこそ、街中で高機動型MSが最大の速度を発揮するには相応の技量が必要とされる。
とはいえ、この技術そのものはそこまで高度な技術という訳ではない。
MSに乗ったばかりの者には無理でも、ベテランくらいならそう難しくはないだろう。
SFSやグフ・カスタムのように空を飛ぶとなると、また話は別だが。
そんな訳でビルを回り込むと、そこには丁度マゼラ・アタックが砲口をこちらに向けているところだった。
なるほど、さすがジオン軍残党のベテラン。
最初の一撃で撃墜出来ない場合でも、どこから仕留め損なった敵が来るのかを予想……というか、コントロールしていたらしい。
轟音と共に放たれる砲弾。
だが、その砲弾はスラスターを全開にして高く跳躍したジーラインの姿が一瞬前にあった場所を通りすぎていく。
そしてマゼラ・アタックの欠点の1つ……というか大半の戦車の欠点として、砲身が真上に向けられないというのがある。
その為、マゼラ・アタックがMSのコックピット等を攻撃する場合はある程度の距離を置くか、もしくはマゼラ・アタック最大の特徴である砲塔部分にして、戦闘機ともなるマゼラ・トップを分離して攻撃するしかない訳だが……
「判断が遅い」
マゼラ・トップが分離しようとしているのを確認し、ビームライフルを撃つ。
真上から放たれた一撃を回避することが出来ず、マゼラ・トップは戦車部分のマゼラ・ベースと共に撃破される。
「1機か」
微妙に納得が出来ない思いを抱きながら、ステータス画面を見る。
マゼラ・アタックというのは、マゼラ・トップとマゼラ・ベースにそれぞれパイロットが乗っている筈だった。
それでも撃破したのなら、軍艦とかそういうのを撃破した時のように1機扱いでも納得出来ない訳ではないのだが……今は分離した状態で撃破した。
つまり、マゼラ・アタックとマゼラ・ベースの2機を撃破したのだ。
であれば、撃破数も2機になってもいいのだが、実際にステータスで確認したところ、撃破数は1機しか上がっていない。
システムがそういう風に把握したのなら、俺からは特に何も言う事はないが。
それに……こう言ってはなんだが、PPが多少増えてもスキルを習得出来ないので、ステータスを上げる事しか出来ない。
であれば、撃墜数とかPPとかはそこまで気にする必要もないのだろう。
今の状況で上げる価値のあるステータスと考えると、それこそSP……魔力くらいしか思いつかないし。
レベルが上がれば……レベルが6上がってレベル50になれば、スキル欄が1つ増えるんだが、そうなってもぶっちゃけた話、もうPPで入手出来るスキルで有望なのはないんだよな。
それにスキルに関しては、PPで入手出来るスキルよりもスライムで相手を吸収して入手出来るスキルの方が強力で使い勝手もいいし。
PPで入手出来るスキルが勝ってる点は、それこそPPを使ってレベルアップ出来るという事くらいだろう。
スライムで吸収したスキルの場合、そのレベルを上げるにはその能力を持った相手を追加で吸収する必要がある。
念動力なんかは、その最たる例だろう。
そして俺が行く世界は基本的にランダムである以上、どのようなスキルがあるか分からない。
有望なスキルを入手出来る可能性が十分にある以上、PPで入手出来るスキルは習得するつもりがなかった。
それこそもっととんでもないスキルとかがあれば、また話は別だったが。
ともあれ、どのみち俺のレベルはかなり上がりにくい。
元々上がりにくかったのに加えて、レベルが40を超えた辺りから更に上がりにくくなっている。
これは単純に、俺のレベルが高レベルになったからというのが大きいだろう。
ネギま世界やペルソナ世界のように学生生活をしていた時、ゲームもそれなりにやった。
RPGとかでは、レベルが上がれば次のレベルまでに必要な経験値が多くなるというのが普通だった。
それを思えば、俺のレベルも高レベルという扱いになっているのだろう。
「今はまず、占領している連中の殲滅だな」
ファントムスイープ隊と協力する上で、俺が倒した敵の所有権は俺にあるという事になっている。
つまりマゼラ・アタックの所有権も俺にあるのだが……これは貰っても意味がないしな。
マゼラ・アタックは1年戦争時代にそれなりに入手しているし、そもそも欠陥品に近い。
同じ戦車なら、シャドウミラーで運用しているフュルギアや、SEED世界のリニアガン・タンクの方が使いやすいし性能は上だ。
……まぁ、マゼラ・トップを武器として使えるとか、興味深い点はない訳ではないのだが。
ただ、コレクション的にある程度あればいいだけなので、ここで俺が撃破したマゼラ・アタックの残骸を回収しても、それはキブツに入れる材料にしかならない。
そしてキブツに入れるだけなら、別にこういう残骸に拘る必要もない。
何しろ月では、デブリとかそういうのを集めてきてシャドウミラーに売っているのだから。
マゼラ・アタックの残骸とスペースデブリ。このどちらがキブツに入れるのに有用なのかは、考えるまでもないだろう。
そんな訳で、俺はマゼラ・アタックの残骸はそのままにしてニューヤークの街並みを進む。
ずしん、ずしん、とジーラインの歩く音が周囲に響く。
この辺りの建物は……復興したのとしてないのが半々くらいといったところか?
幸いなのは、人がいないという事だろう。
ジオン軍残党が強制的に避難させたのか、それともこの辺りに住んでいた者達が自主的に避難したのか。
その辺は分からないが、この戦いにおいて一般人に被害が出ないというのはありがたい。
特にここはニューヤークで、ガルマと縁の深い地だ。
もしここで一般人を戦闘に巻き込む事になったら、ガルマとの関係が悪化する可能性がある。
ジオン共和国は、ルナ・ジオンにとっても友好国だ。
……というか、現在の地球には連邦、ルナ・ジオン、ジオン共和国の3つしか国はない。
そしてジオン共和国は一応国として独立しているものの、実際には連邦の従属国と呼ぶべき存在でもある。
それでもルナ・ジオンがジオン共和国と友好関係にあるのは、連邦が色々と不安定だからというのが大きい。
特に強硬派とか。
それなら、実質的には従属国だが、それでもジオン共和国と友好関係を築いておいた方がいい。
まぁ、地球の周辺に限らなければ他にも国と呼んでもいいのかどうかは分からないが、一定の集団はいる。
アクシズ、火星、木星といった具合に。
アクシズは小惑星基地で、ジオン軍の残党がそれなりに集まっているのだが、派閥が非常に混沌としている。
中には何故かガルマ派の者もジオン共和国ではなくアクシズにいたりするらしい。
とはいえ、現在の指導者マハラジャ・カーンはダイクン派で、アクシズはルナ・ジオンの実質的な従属国……というか、寧ろ一部か? そんな感じになっている。
火星は現在キシリアの本拠地と思われている場所だ。
その割にはギレン派も少数ながらいるらしいが。
そんな訳で、火星に関しては基本的に敵と考えてもいい。
ただ、複雑なのはアクシズの中に火星と繋がっている者達がいるという事だろう。
それによって、アクシズも色々と複雑な事情になっているらしい。
最後の木星だが、ここに関してはルナ・ジオンの友好国と考えてもいい。
転移によって即座に木星に行けるので、そこで提供された生活物資によって木星のコロニーは大分楽になったらしいし。
そんな訳で、今の時点で明確に敵なのは火星だけになる。
そのような状況だが、ジオン共和国との関係は決して疎かには出来ないと思いつつ、俺は目的地に向けてジーラインを進めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2330
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1827