結局、俺はドレイクからの依頼を受けた。
その最大の理由としては、報酬が非常によかった為だ。
何しろ、ナムワンよりも巨大なオーラシップ……それこそオーラシップを超えたオーラシップたる、オーラバトルシップというのを俺の為に特別に作ってくれるというのだから、それを受けないという理由はないだろう。
それに俺とマーベルが頼まれたのは、あくまでもミの国がアの国の内乱にちょっかいを出してこないようにするという事だ。
つまり、別に俺とマーベルでミの国を占領するといったような真似をする必要もなければ、ミの国の国王たるピネガンを殺すといったような真似をする必要もない。
そういう意味では、今回の一件は決して悪い話ではない。
あくまでもミの国を牽制すればいいという訳で……影のゲートを持つ俺にしてみれば、そういう奇襲は非常に得意なのは間違いなかった。
「奇襲をして、それが終わったら即座にルフト領まで戻ることが出来るというのは……何だか凄いわね」
夜、戦いが終わってラース・ワウに戻ってきて、俺とマーベルは家で食事をしながらそんな風に会話を交わす。
「そうだな。今まで俺は色々な世界に行ったけど、影のゲートはどの世界でもとんでもない効果をもたらしたな」
実際、俺が今まで接してきた世界は科学技術が主流の世界が多い。
そのような世界では、当然だが魔法などという存在は信じられていない。
せいぜいが伝承とか昔話とか物語とか……そんな感じでしかない。
だからこそ、俺が使える転移魔法は大きな意味を持つ。
まぁ、システムXNやフォールドといったように科学技術でも似たような事は出来るが、転移魔法のいいところは、ゲートやフォールド発生装置といったような類は必要とせず、俺がいればそれだけで使える事だろう。
勿論、転移魔法にも不便なところはある。
具体的には、俺が使っている影の転移魔法はあくまで影が繋がっている場所にしか転移出来ないという事だ。
具体的には、例えばナムワンが空を飛んでいる場合、地上から転移魔法でナムワンに転移するといったような真似は出来ない。
そのナムワンが地上に着地しているのなら、問題なく転移出来るのだが。
「ここはバイストン・ウェルで、科学技術の世界じゃないんだけど」
「けど、人間が魔法を使えたりはしないだろ? いやまぁ、マーベルとガラリアはそう遠くないうちに魔法を使えるようになるかもしれないが」
とはいえ、それが具体的にいつになるのかはまだ不明だ。
何しろガラリアは騎士として相応の地位についており、毎日魔法の練習をするといった訳にはいかないのだから。
特に今日は戦いの後始末や、明日以降の戦いについても色々とやるべき事があり、俺の家で魔法の訓練をするような余裕はない。
それ以外にも、ゼットとの時間もあるだろうし。
そんな訳で、今の状況においては色々と忙しいのは間違いなく、だからこそ魔法の訓練は後回しにする必要があった。
「いつになるのかしらね。……魔法の件はともかく、ミの国を牽制するって話だったけど、どうするの?」
「方法は幾らでもある。けどまぁ、取りあえず村や街を襲って一般人に被害を出すといったような真似はしないから安心しろ」
その言葉に、マーベルは安堵した様子を見せる。
元々マーベルは軍人でも何でもなく、地上ではただの大学生だった。
だからこそ最初は恐獣と戦うのも躊躇ったし、その後は人が乗っているオーラバトラーと戦うのも躊躇った。
それでも今はオーラバトラーとも普通に戦えるようになっているが、それはあくまでも相手が兵士や騎士、オーラバトラーのパイロットとして戦場に出ているからだ。
そんなマーベルにしてみれば、戦場に出ている訳でもないただの一般人を殺すような真似は、到底許容出来ないだろう。
それこそ、もしここで俺が一般人の暮らしている村や街を問答無用で襲撃するといったような事を口にした場合、マーベルはそれに絶対頷かないだろうし、俺の下から去ってしまうだろう。
それに何より、俺としても戦場に出て来ている敵ならともかく、ただ暮らしているだけの一般人を殺すといったような真似はしたくない。
この場合、そんな真似は出来ないというマーベルと、やろうと思えば出来るが、やらない俺ではマーベルの方が正しい感性なんだろう。
「そう、よかったわ。……じゃあ、どこを襲撃するの?」
「機械の館を襲えれば、一番いいんだけどな。問題は、その機械の館がどうなってるのかの情報がないって事だろう」
何しろ、まさかミの国が戦いに参加してくるなどというのは、実際に戦いに参加してくるまでは全く考えていなかったのだ。
ドレイクにしてみれば、完全に不意を突かれたといったところだろう。
これがギブン領にある機械の館なら、ある程度どこにあるのかは把握しているだろうが。
それが出来ないミの国となると、当然ながら俺達が調べるしかない。
「見つけられるの?」
マーベルも俺と同じ疑問を抱いたのか、心配そうに尋ねてくる。
「その辺は、実はあまり心配してないんだよな」
「……何で?」
「ギブン領は、あくまでも領であって国じゃない。また、ルフト領と隣接しているからこそ、いざという時の為に機械の館は隠しておく必要があった。だが、ミの国はあくまでも国だ。そうである以上、見栄や外聞がある。特にピネガンは、その辺を大きく気にするだろうし」
ピネガンの妻はラウの国の元王女だ。
そのラウの国は伝統を重要視する武人の国としても有名だ。
ピネガンとしては、そんなラウの国の国王たる義父に対して、みっともない真似は見せられないだろう。
だからこそ、機械の館は隠すようにではなく、堂々と建てていると思う。
また、そうなれば完成したオーラバトラーを運んだり、部品や素材を運び込んだりするのも楽だし。
勿論機械の館の全てが完全に表に出されているといった事にはならず、いくらかはいざという時の事を考えて隠されているだろう。
それでも、大半の機械の館は堂々と居を構えている筈だった。
本来ならミの国が開発するだろう独自のオーラバトラーに興味はあるんだが、見たところではダーナ・オシーの量産機しかないようだしな。
とはいえ、クの国とミの国を一緒にするのは難しいか。
クの国はドレイクから多数のオーラマシンを購入して、その上で技術者を招いてもいた。
それによって、オーラマシン関係の技術を多く得ている。
また、国王のビショットからして、オーラマシンの技術者といった一面もある。
そんなクの国と比べて、ミの国はダーナ・オシーをあれだけ用意出来たという点で驚きだ。
技術に関しても、それを得たのはギブン家を通してだろう。
元々ギブン家もダーナ・オシーを開発出来るだけの技術力は持っていたが、それでもルフト領やクの国と比べると、どうしても劣ってしまう。
そんなミの国だけに、アルダムを開発したクの国のように独自のオーラバトラーを開発するというのは、非常に難しい筈だ。
あるいは、もっと時間があればミの国でも独自のオーラバトラーを開発したり、もしくはダーナ・オシーの後継機を開発したりといったような真似は出来たかもしれない。
だが、今はその時間がないのだ。
「ともあれ、明日にはミの国の機械の館……もしくは、城や砦を攻撃して、アの国の内乱に手を出せないようにするから、そのつもりでいてくれ」
「分かったわ。でも、ドレイクはこれからどうする気かしら? フラオンを倒すという事は、言ってみればアの国を奪うのよね?」
「だろうな。とはいえ、アの国の国民のことを考えると、絶対にそっちの方がいいと思うけど」
ドレイクとフラオン、どちらが有能なのかと聞かれて、本心からフラオンと答える者は一体どれだけいるんだろうな。
「エルフ城での暮らしを思えば、アクセルの言ってる事は間違ってないと思うわ」
エルフ城では、かなりの税が取られていたという住人の話を聞いている。
徴収した税金が、例えば村や街を新しく作る為の資金にするとか、土木工事の為の資金にしたりとか、そういう事ならまだ税金を取られた住人達も納得出来ただろう。
だが、残念ながらその税金は、フラオンが贅沢をする為だけに使われていた。
まぁ、フラオンの愚王ぶりを考えると、途中で税金を幾らか抜いて着服しているような奴がいても、おかしくはないが。
「そしてドレイクがアの国を治めれば、次はミの国だろうな」
「……ミの国と戦争をしないという道はない?」
「あるかないかと言われれば、あるだろうな。ただ、ミの国がその選択をするのは難しいと思う」
最低限、ギブン家の者達を捕らえて差し出し、フラオンに協力してドレイク軍に攻撃を仕掛けた一件の謝罪をする必要がある。
勿論、ただ言葉だけで謝罪をするのではなく、賠償金といった感じの資金を支払ったりする必要があるし、そこまでやってもミの国はアの国の風下に立つ事になるのは間違いない。
国を維持するという意味でなら、それもありなんだが……問題は、それが出来るかどうかだろう。
今日の戦いで、ピネガンは下の者にかなり慕われているのが分かった。
そうである以上、ピネガンがドレイクの下につくというのは許容出来ないという者もいるだろう。
そうなると、最終的にはピネガンも部下を庇うといったような真似をする可能性が高く、アの国とミの国が戦いになるのは明らかだ。
その辺りについて説明すると、マーベルも納得した様子で頷く。
「そう。だとすれば、やっぱり戦うという手段しかないのね」
「ピネガンがプライドも何も捨てて、ドレイクに降伏するといったような事にならない限りはな」
そんな俺の言葉に、マーベルは憂鬱そうな溜息を吐くのだった。
翌日、戦いの準備を整えた俺とマーベルは、機械の館にいた。
「アクセル、マーベル、これからミの国に行くのか?」
既にドレイクから俺とマーベルがどのように行動するのかは聞いていたのだろう。
ショットが何人かの部下を率いて、俺のいる方に向かってくる。
「ああ。ドレイクから頼まれた依頼だしな。……オーラバトルシップという報酬も約束して貰ったし。ちなみに、そのオーラバトルシップというのはどういうものなのか、聞いてもいいか?」
「ふむ、言ってみれば空を飛ぶ要塞だな。ドレイク殿が建造中なのは、その言葉が相応しい。だが……」
と、ショットは微妙に言葉を濁す。
何だ? もしかして約束はしたものの、報酬の用意は出来ないとか、そんな事はないよな?
「どうしたんだ?」
「ふむ、率直に言えば、アクセルの為に新たなオーラバトルシップを建造するのは間違いないが、その性能はどうしてもドレイク殿が開発している物には劣る。ルフト領は豊かな領地だが、それでも資金や物資、人材は有限なのだ」
「あー……なるほど」
特に今は、国を相手に下剋上する為に行動するのだ。
その辺を考えると、ショットの言葉にも一理ある。
「なら、そうだな。総合性能はともかく、防御力を重視してくれ。オーラバトルシップだからって、別に攻撃力に特化する必要はないだろ?」
ぶっちゃけ、このバイストン・ウェルにおいて俺の手勢と呼ぶべき存在はマーベルしかいない。
そのマーベルも、聖戦士である以上はオーラバトラーに乗って前線で戦うのが主な仕事となる。
そうなればオーラバトルシップが前線に出るといったような真似をした場合、指揮を執れる人物はいない。
なら、防御力を重視して移動要塞的な存在として使った方がいい。
勿論、本当の意味で攻撃方法が何もないというのは困るので、オーラバトルシップの名前に相応しい火力は用意して貰うが。
「ふむ、なるほど。防御力を重視か。……ならば……」
俺の言葉を聞いたショットは、何かを思いついたらしい。
「なら、少し変わった事をやってみないか?」
「変わった事? ショットが言う変わった事となると、何だが微妙に怖い気がしないでもないな」
何しろ、オーラバトラーを始めとしたオーラマシンを開発したショットだ。
そんなショットが変わった事と言うのであれば、それは一体どのような事なのか……それに疑問を抱くなという方が無理だろう。
そんな俺の言葉に、ショットは少しだけ不満そうな様子を見せる。
「アクセルにそのように言われるのは、少し思うところがあるな。……まぁ、いい。これは私が以前からオーラバトルシップに関する事で考えていた内容なのだが、ドレイク殿のオーラバトルシップでは採用されなかったのでな。この機会にと思って提案してみた」
ドレイクが採用しなかったという点で、色々と危険そうな感じがするが……ともあれ、どんな機能をオーラバトルシップに持たせようというのか、聞いてみる事にする。
「で? 具体的にはどんな艦にするつもりだ?」
「うむ。機械の館をそのままオーラバトルシップの中に持ってこようと思う」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1480
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1664