転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3719話

「お疲れ様でした」

 

 ハワイに戻った俺を迎えたのは、ギニアス。

 その他にもアイナ、ノリス、ガトー、ヴィッシュや闇夜のフェンリル隊といった面々がいた。

 

「少し予想外の事があってな。悪いがもう暫くハワイにいさせて貰う」

「問題ありません。ホテルの方は手配しておきましたので、そちらでお休み下さい」

 

 そうして会話を交わしつつ、俺はギニアスに基地の中に案内される。

 他の面々とも軽くだが会話をしながら、基地にある応接室に入る。

 部屋の中にいるのは、俺、ギニアス、ノリス、ガトー、ヴィッシュの5人だけだ。

 アイナや闇夜のフェンリル隊の面々は、それぞれ手を離せない仕事があるという事で、そっちに向かった。

 ソファに座った俺の前にメイドが紅茶を置き、他の面々の前にも同様に紅茶を置くと部屋から出ていく。

 それを待ってから口を開く。

 

「さて、まずはこれを聞いておくか。俺がいる時にハワイがジオン軍残党に襲われたが、その後でまた襲撃はあったか? 見た感じ、被害らしい被害があるようには思えなかったが」

「特に襲撃らしい襲撃はありませんでした。ただ、ハワイの領海の外で潜水艦が動いていたという報告があります」

 

 ギニアスの言葉からすると、ハワイに2度目の襲撃はなかったらしい。

 とはいえ、領海の外で潜水艦が活動していたとなると……

 

「その潜水艦はユーコン級か? それとも連邦軍の潜水艦か?」

 

 ユーコン級というのは、ジオン軍が北米のキャリフォルニア基地を占領した時、そこにあった連邦軍の潜水艦……攻撃型潜水艦を改修してMSの運用能力を付加した潜水艦だ。

 ジオン軍が1年戦争中に地球の大部分を占める海で大きな影響力があったのは、水陸両用MSの存在もそうだが、その水陸両用MSを運用出来るユーコン級やマッドアングラー級の影響が大きい。

 当然ながら、地球で活動しているジオン軍残党の中にもユーコン級を使っている者達はいる。

 以前俺がハワイにいる時に襲撃していたジオン軍残党も、ユーコン級を使っていたし。

 

「恐らくはユーコン級かと」

「そうなると、やっぱりジオン軍残党か……もしくは鹵獲したユーコン級を運用する連邦軍か」

 

 後者の場合は強硬派の可能性が高い。

 だが、連邦軍の中でルナ・ジオンを一番敵対視してるのは強硬派だが、だからといって強硬派が全てではないし、強硬派の中にも多数の派閥がある。

 そんな訳で、そのユーコン級が具体的にどこの所属なのかというのは分からないらしい。

 分からないらしいが、今の状況だと心配な事もある。

 

「連邦軍のファントムスイープ隊と行動を共にしている中で、水天の涙という言葉を聞いた」

 

 そう言い、事情を説明する。

 とはいえ、ベルファストでノリスに大体の話についてはしてあったので、そこまで驚かれるような事はなかったが。

 ただ……

 

「アプサラスの奪取ですか。……ノリス、警備の方は?」

「通常の人員の他に、量産型Wやコバッタも警備を行っています」

 

 それはつまり、実質的には鉄壁の警備という事だ。

 アプサラスの重要性を思えば、それも当然だろう。

 何しろアプサラスはⅡの段階で弾道軌道からジャブローに突入し、メガ粒子砲でジャブローを破壊……もしくは大きな被害を与えられるだけの性能を持っているのだから。

 機体を奪取されるという事を考えれば、警備を厳重にするのは当然だろう。

 それにアプサラスはハワイを守る戦力の中でも最重要の機体の1つだ。

 それこそマッドアグラー級やユーコン級のような潜水艦を相手にしても、アプサラスⅡやⅢのメガ粒子砲なら海中にいる敵を撃破出来てもおかしくはない。

 

「そうなると、ジオン軍残党がアプサラスを奪取しようとしても、まず無理と考えていいか」

「そうなるかと」

「ですが、何事にも絶対はありません。アクセル代表ですら考えつかないような奇策でアプサラスを奪取しようと考える者がいる可能性は否定出来ないかと」

 

 ノリスの言葉にガトーがそう口を挟む。

 ノリスもそんなガトーの言葉に反論はないのか、素直に頷いている。

 

「そうだな。だが、やはり可能性として一番考えられるのは、水天の涙というのはアプサラスを奪取する計画ではないという事かと」

 

 そう言うノリスに、俺も頷く。

 実際、ルナ・ジオン軍の兵士だけで警備をしているなら、警備は多少心配だ。

 これはルナ・ジオン軍の兵士の実力を侮っているという訳ではなく、単純に量産型Wやコバッタの性能が高い為だ。

 特に量産型Wは、魔力や気による身体強化も出来るし、ガンドだけだが魔術も使える。

 もし侵入者に銃撃されても、回避したりも出来るだろう。

 それこそ量産型Wを生身でどうにかするのなら、ネギま世界かペルソナ世界の住人を連れてくる必要がある。

 ……あ、そう言えばペルソナ世界の方はどうなったんだろうな。

 雪子もとっくに元気になって復活しただろうし。

 後でちょっと連絡をしてみてもいいかもしれないな。

 美鶴が天城屋旅館にいるので、通信機を使えばすぐに連絡出来るし。

 

「そうなると、水天の涙というのは何だと思う?」

 

 尋ねるが、ギニアス、ノリス、ガトーの3人は揃って首を横に振る。

 ジオン軍残党と戦っていた俺が情報を入手出来なかったのだ。

 それを思えば、ハワイにいたギニアス達が水天の涙についての情報を入手出来ないのはそうおかしな話ではないだろう。

 

 

「分かりません。ただ、地球各地でジオン軍残党が蜂起したのを思えば、それが関係ないとは思えません」

 

 ギニアスの言葉に、そうだろうなと納得しつつ……

 

「そう言えば、宇宙では特に何も起きてないのか?」

 

 地球にいるジオン軍残党がこれだけ大規模に動いてる以上、宇宙にいるジオン軍残党が動きを見せてもおかしくはない。

 その場合、ジオン軍残党もわざわざルナ・ジオンに攻撃を仕掛けてきたりとかはしないと思うが。

 何しろルナ・ジオンの強さについては、それこそ1年戦争で直接戦ったのだから、これ以上ない程に理解している筈だし。

 

「はい。今のところそのような情報は入ってません。アクセル代表は宇宙でも何か動きがあると思いますか?」

「どうだろうな。ただ、地球でこうして派手に動いているのが、実は宇宙にいるジオン軍残党が何らかの作戦を行う為の陽動だとしたら……」

「一応月には報告しておきます」

 

 ギニアスの言葉に頷いておく。

 月の方で特になにか問題がなければいいが、どうだろうな。

 とはいえ、月は複数の機動要塞とかコロニーレーザーとか、そういうのに守られているし、内部では量産型Wやコバッタがいるので、騒動を起こしても即座に鎮圧される。

 そうなると危ないのは、ペズンか?

 勿論ペズンにもサイクロプス隊のような腕利きがいるし、メギロートやバッタが多数配備されている。

 そう簡単にどうにか出来るとは思えない。

 もしそのような事をしようとしても、それこそすぐに鎮圧されるだろう。

 そう考えると、やっぱり宇宙で心配なのは連邦の領土か? それと……

 

「この件は一応ジオン共和国の方に連絡しておいた方がいい。ジオン軍残党にしてみれば、ガルマが代表をしているとはいえ、ジオン共和国という国そのものを認めてないだろうし」

 

 元々ガルマ派やドズル派、デギン派は1年戦争が終了した時にジオン共和国に戻っている。

 現在のジオン軍残党は、ギレン派とキシリア派が大半だ。

 そんなジオン軍残党にしてみれば、ジオン共和国の存在は到底受け入れられないだろう。

 それこそ、水天の涙という何かにジオン共和国が必要なら、容赦なく巻き込むような事をしてもおかしくなかった。

 

「そうします」

 

 そうして水天の涙に関する話は一段落し……

 

「そう言えば、アクセル代表。連邦軍の新型MSはどうでしたか?」

 

 ガトーがそう尋ねてくる。

 いつも沈着冷静なガトーにしては珍しく、その目には強い好奇心の色がある。

 

「そうだな。悪くないと思う」

 

 これはお世辞でも何でもなく、正直なところだ。

 アムロの乗ったガンダムの性能を目指して開発されたという事もあり、ジム系統に比べると全体的に高性能な点で纏まっている。

 それでいながら換装システムを使い、標準装備のスタンダードアーマー、高機動型のライトアーマー、近接戦闘用のアサルトアーマーといった具合に換装によって機体の性能をある程度コントロール出来る。

 俺が使ったのは基本的に高機動型のライトアーマーだったが、多分このライトアーマーはジオン系のMSの操縦に慣れている者は最初あまり慣れないと思う。

 ジオン系MSにも高機動型というのはあるが、同じ高機動型でもジオン系と連邦系ではその方向性が違う。

 具体的には、ジオン系MSの高機動型というのはスラスターを増設して高い機動力を得るというのに対して、連邦系MSの高機動型は装甲を薄くしたり、余分な装備を排除する事によって軽量化し、結果として普通のMSよりも高機動となる。

 これは別にどっちが間違っていて、どっちが正解という訳ではない。

 あくまでも高機動型のMSに対する方向性が違うという感じだ。

 勿論これはあくまでも極端な例で、ジオン系の高機動型MSでも装甲を削っていたり、連邦軍系の高機動型MSでもスラスターを追加したりといった事はやっているだろうが。

 

「特にビームライフルは、連邦軍の方が技術的に上だっただけに、ライトアーマーで使う狙撃用のビームライフルはかなりの威力を持つ」

「ほう、それは興味深いですね」

 

 真っ先にそう反応したのは、ガトーやノリスではなくギニアス。

 とはいえ、これはそうおかしな話ではない。

 ギニアスの開発しているアプサラスは、ミノフスキークラフトの技術試験用のⅠを除き、ⅡもⅢも強力な……それこそ地形すら容易に破壊出来る威力のメガ粒子砲を持っているのが特徴だ。

 また、Ⅲにおいては拡散メガ粒子砲によって多数の敵を一気に撃破するといった事も可能だ。

 そういう意味では、ギニアスはメガ粒子砲においてルナ・ジオンで最高峰の技術を持ってる1人だったりする。

 とはいえ、動力炉直結型のメガ粒子砲と、CAP技術によってエネルギーの充電が必要なビームライフルでは、同じビーム兵器でも細かい場所は色々と違うが。

 ただ、それでもメガ粒子砲について自信を持つギニアスにしてみれば、連邦軍の最新鋭MSが使っているビームライフルというのは気になるのだろう。

 

「機体は取りあえず格納庫に置いてあるから、気になるなら後で調べてみたらいい。換装用の装備とかも一通りは貰ってきてるし」

「あ、それで思い出しましたが、ゴップ大将からジム・コマンドが届いています」

 

 ギニアスが俺の言葉で思い出したようにそう言ってくる。

 ジム・コマンド? と一瞬疑問に思ったが、すぐに納得する。

 

「アムロの回避データが入力されたジム・コマンドだな。そう言えば届けると言っていた」

 

 ジオン軍残党や水天の涙の件で、その辺についてはすっかり忘れていた。

 だが、ゴップとしてはまだまだ俺に大きな借りがあるのが、このジム・コマンドによって帳消しになるという事で、絶対に渡す必要があると思ったのだろう。

 

「ジム・コマンドというのは、アクセル代表は1年戦争時代に入手してましたよね? そのアムロという人物の回避データというのがこの機体の肝なのですか?」

 

 ジム・コマンドの件で不思議な表情を浮かべていたガトー達だったが、そう聞いてくるガトーの言葉に頷く。

 

「この前ハワイに来た時にもちょっと話したと思うが、そのジム・コマンドに入力されている回避データの基礎となったアムロというのは、連邦軍最強のニュータイプだ」

 

 当然ながらアムロの名前については知っているので、その表現には素直に頷くだけだ。

 

「その回避データがあれば、敵の攻撃をある程度自動的に回避してくれるらしい」

 

 そう言うと、ギニアスは少し興味深そうな様子だったものの、ノリスとガトーはあまり面白そうな様子ではない。

 この辺は研究者のギニアスと、MSパイロットのノリスとガトーという違いからくるものだろう。

 こういうデータを入力してMSを動かすという技術がもっと発展すれば、W世界のMDとかになるのだろう。

 ただ、今回のアムロの回避データが入ったジム・コマンドもそうだし、MDなんかもそうだが、一定のラインより下の相手に対しては大きな実力を発揮出来るだろうが、一定以上の強さを持つ敵に対しては無力……とまではいかないが、あまり効果を発揮しないような気がする。

 

「そちらも調べても構いませんか?」

 

 ギニアスが興味深く尋ねてくる。

 ギニアスにしてみれば、もし連邦軍最強のニュータイプの回避データをコピー出来たら……ああ、もしかしたらアプサラスⅣに導入するつもりか?

 アムロ並の回避能力を持つMA。

 ただし、MAの大きさを考えるとMSと同様の回避能力を発揮するのは無理だと思うが。

 

「構わないけど、ゴップの方でもプロテクトとかで何らかの対策はしてると思う。その辺は気を付けてくれよ」

 

 そう言う俺の言葉に、ギニアスは自信ありげな笑みを浮かべて頷くのだった。

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