転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3723話

 オーガスタ基地の応接室でゆっくりする事、30分程。

 俺の空間倉庫に入っていた軽食を食べつつ、世間話をしていたのだが……

 

「ん?」

「アクセル代表? どうしました?」

「誰か来たな」

 

 ガトーにそう言うと、その言葉にガトーは持っていたサンドイッチをテーブルの上に置き、ヴィッシュはおにぎりをテーブルの上に置く。

 どちらもペルソナ世界のジュネスで購入した奴だが、2人共かなり美味いと言って食っていた。

 ジュネスは全国規模のデパートだけに、料理とかも手を抜いていないのだろう。

 もっとも、日本は食に関してはもの凄い執念を燃やすというのを証明した形になったのかもしれないが。

 ちなみにヴィッシュはおにぎりを食べても特に普通だったのは少し意外だった。

 あ、いや。でも元か現かは分からないが、恋人のマヤ・コイズミはその名前からして、明らかに日系だ。

 なら、米についてもそれなりに慣れていたのかもしれないな。

 そんな風に思っていると、部屋の扉がノックされる。

 中に入るように言うと……

 

「アクセル、久しぶりだな」

 

 見覚えのある顔……ユーグがそう言い、挨拶をしてくる。

 

「ユーグ? お前……大丈夫なのか?」

 

 思わずそう声を掛けたのは、その顔には見るからに疲労の色があった為だ。

 マオもかなり疲れていたように見えたが、ユーグはそんなマオを上回るくらいに疲れている。

 いや、考えてみれば当然か。

 マオは基本的に行動から大まかな指揮を執ったり、情報の分析を行ったりするのに対し、ユーグは最前線で戦いつつ、マオからの命令に従って詳細な指揮をしなければならないのだから。

 そんなユーグだけに、これだけ疲労しているのも当然だった。

 そこまで疲労してるのなら、別にユーグがわざわざこの部屋に来る必要もないと思うんだが。

 

「ああ、問題ない。……他の連中はもう少し休ませてやりたいんでね」

「だからって、指揮官のユーグが来るのは間違ってると思うが。……まぁ、いい。それで用件は?」

「マオ少佐から、倉庫と居住する部屋の用意が出来たから、案内して欲しいと言われてな。本来ならマオ少佐が来る予定だったが、手の放せない仕事が入ったらしい」

「……連邦軍、本当に大丈夫なのか?」

 

 UC世界における連邦軍の特徴として、その巨大さが上げられる。

 組織が巨大なだけに、人材も多い筈だ。

 勿論、1年戦争で多くが死んだ以上、その中には有能な人材も揃っていただろう。

 具体的には、レビルとか。

 だが……それでも所属している者が多いだけに、有能な人材は他にもいる筈だ。

 そしてこのオーガスタ基地は、連邦軍が所有する基地の中でもかなりの規模で、所属している人数も多い。

 であれば、マオだけが……いやユーグを見れば分かるように、ファントムスイープ隊だけがここまで疲れるというのは、ちょっと疑問だ。

 それこそ何らかの理由でファントムスイープ隊が潰れて欲しいと思っている者がいると考えた方が可能性としては十分にあるのではないかと思えるくらいに。

 

「俺達は色々と特殊で優遇もされている部隊だ。それでいて訳ありの奴が多いからな」

 

 その言葉に、そう言えばそうかと思い直す。

 北米の英雄のユーグに、上官を殴って左遷という形で流されてきたヒュー。他にも金目当てのハイメとか。

 勿論シェリーのように特に何も問題を起こしていないパイロットもいるから、全員が全員問題ありという訳ではない。

 ないのだが、それでもファントムスイープ隊を見るとその高い給料も含めてやっかまれてもおかしくはなかった

 もっとも、その高い給料は危険手当も含めての話だ。

 マオやユーグの現在の状況を考えれば、その給料を貰う為にどれだけの行動をしているのか、非常に分かりやすい。

 それも含めて高い給料を欲するのなら、それこそファントムスイープ隊の所属を希望すればいいだけだ。

 それをしないで、高い給料を貰ってるからという理由で不満を言うのは非常にみっともない。

 

「その辺は、あまり気にする必要はないと思うぞ。お前達は十分に成果を挙げてるんだから」

 

 そう言うと、ユーグは疲れた様子で嬉しそうな表情を浮かべる。

 

「なら、あまり有名人を連れてこないでくれると助かったけどな。ソロモンの悪夢に荒野の迅雷……どっちも、現在の士官学校では教科書に載ってる凄腕だぞ? アクセルだけなら、事情を知らない兵士に伝言を頼むとか出来ただろうけど」

 

 そう言われると、俺も迂闊には言い返せなくなる。

 実際、ガトーとヴィッシュが有名人なのは事実なのだから。

 ……そう思ってガトーとヴィッシュの方を見ると、あー……ヴィッシュはともかく、ガトーは表情こそ変えていないが、少し不機嫌そうだな。

 ガトーにしてみれば、ルナ・ジオンの上位組織のシャドウミラーを率いる俺と気安く会話をしているユーグが不満なのか?

 とはいえ、俺としては公の場でもない限り気楽に接して貰った方が楽でいい。

 出来たらガトーやヴィッシュにもそんな風に接して欲しいとは思うが、この辺は本人の性格以上に付き合いの深さが関係している。

 ユーグにとって、俺は1年戦争の時にちょっと一緒に行動して、ファントムスイープ隊でもちょっと一緒に行動した程度だ。

 勿論同じ戦場に立っている以上、戦友である事に違いはないが。

 しかしガトーやヴィッシュにしてみれば、俺はまさに恩人……それもただの恩人と呼ぶのすら難しい相手だ。

 ガトーの場合は、寧ろ主君といったような思いを抱いているようにも思える。

 ヴィッシュの場合はオーストラリアからの脱出の件もあって、自分と仲間……そして恋人の命の恩人といったところか。

 もっとも恋人云々については、本人がそれを認めるかどうかは微妙なところだが。

 そんな訳で、少し気まずい雰囲気のある中で俺はそれを誤魔化す意味も込めて口を開く。

 

「じゃあ、まずは格納庫に連れて行って貰うか。……そっちに俺達の機体は運び込んだのか?」

「いや、まだだ。ファット・アンクルは無人機が守ってるんだろう? 必要以上に近付かないようにしてるから、連絡も出来ていないらしい」

「それくらいなら構わないんだけどな。……まぁ、いい。余計な騒動がなかったのは、俺にとっても悪い話じゃないし。じゃあ、まずはファット・アンクルを倉庫まで運ぶか。行くぞ」

 

 最後の言葉をガトーとヴィッシュに言うと、2人はそれぞれ敬礼して頷くのだった。

 

 

 

 

 

 ファット・アンクルのある場所まで来ると、予想通り……いや、予想していた以上に人が集まっているのが分かる。

 ファット・アンクルを中心にしてコバッタが護衛の為に周囲に散らばり、その更に外側にはマオが用意したのだろう兵士達が護衛をしている。

 その周囲には、見物客が多数集まっているのだ。

 マオとの会話で出たように、連邦においてコバッタというのは非常に珍しい存在だ。

 また、連邦軍のミデアではなく、ジオン軍で採用されたファット・アンクルがここにあるというのが珍しいという思いもそこにはあるのだろう。

 集まっている者達の中に不愉快そうな表情を浮かべている者がそれなりにいる。

 それは、このオーガスタ基地が近いうちにジオン軍残党に攻撃される可能性が高いのに、そこにジオン軍で開発されたファット・アンクルがあるからというのが理由だろう。

 面と向かって裏切り者扱いをしてこないのは、マオの根回しの結果か。

 

「行くぞ」

 

 ガトーとヴィッシュにそう言い、人の集まっていない場所からファットアンクルに向かう。

 ユーグは特に表情を変えず……いや、表情に出さないように注意してるのか? とにかく俺達と一緒に移動する。

 

「待て! ……あ、いや。すいません。どうぞお通り下さい」

 

 ファット・アンクルを護衛していたい兵士の一人が、無造作に近付いて来た俺を見て制止しようとするものの、すぐに俺が誰なのかを理解したのか敬礼して黙って通す。

 あるいは俺じゃなくてガトーとヴィッシュを知っていたのかもしれないが。

 どのみち普通に通ることが出来た以上、こちらとしては問題ない。

 そのままコバッタのいる場所も通る。

 ユーグも俺達と一緒にいたからだろう。コバッタがユーグを止めるようなこともなかった。

 そうしてファット・アンクルの中に入ると、すぐにコバッタを回収してユーグの指示する格納庫に向かう。

 

「まぁ、こんなものか」

 

 その格納庫を見て、そう呟く。

 ボロい格納庫といった訳でもなく、かといって真新しい格納庫という訳でもない。

 本当に一般的な格納庫がそこにはあった。

 マオが用意したのを思えば当然かもしれないが、連邦軍の中には俺達の事が気に食わず、あるいは強硬派として憎んでいる者すらいるかもしれない。

 もしそんな連中が俺達に格納庫を用意したら、それこそいつ取り壊されてもおかしくはないようなボロい格納庫を用意した上で、監視カメラとか盗聴器とか、そういうのを設置していてもおかしくはない。

 いや、監視カメラや盗聴器はまだ設置されていないとは限らないのか。

 マオにそのつもりがなくても、他の奴がそういう事をしないとも限らないのだから。

 何しろギャン・クリーガーという、ルナ・ジオン軍の中でもエースや指揮官が乗る上位機種があるのだ。

 少しでも情報が欲しいと思ってもおかしくはない。

 情報そのものは、ジオン軍残党との戦いで分かると思うのだが……少しでも多くの情報をという事なのだろう。

 その辺はコバッタに探させれば問題ないし、いざとなったらスライムを使って調べる事も出来る。

 マオにしてみれば、オーガスタ基地が狙われている以上、戦力は少しでも多い方がいいだろう。

 そういう意味でも俺達を不愉快にするような事はしないと思うし、そういう相手が何かをしようと思えば止めるし、自分で止められないようなら上司のゴドウィンに頼んだりしてでも止めるだろう。

 それでも無理なら、ゴップやコーウェン辺りに頼るか。

 ともあれ、この格納庫は暫く俺達で使わせて貰う事になるので、こちらでもある程度の対策はしておいた方がいいだろう。

 そんな風に思っている間に、ファット・アンクルは格納庫に入る。

 すぐにシャッターを閉め……そこでようやくファット・アンクルに乗っていたメカニックとかが降りてきて、ギャン・クリーガーをファット・アンクルから下ろし始める。

 ちなみにメカニックはそれなりにいるが、3機のギャン・クリーガーを完全に整備出来る程かと言われれば、それは難しいところだ。

 とはいえ、メカニックで足りない分はコバッタがフォローするので、総合的に見れば十分整備とかが出来る数が揃っているのだが。

 ぶっちゃけ、整備とかはメカニックがいなくてもコバッタがいればそれで十分だったりする。

 コバッタは無人機であるが故に、疲れも何もなく働き続けられるのだから。

 また、整備の技量という点でも決して人間のメカニックに負けてはいない。

 そんな中でもメカニックが来たのは、連邦がコバッタをどういう風に認識するか分からないというのもあるし、何よりメカニック達が少しでも自分の能力を伸ばしたいと思っているからだろう。

 特にギャン・クリーガーはハワイに配備されていたものの、地上では模擬戦くらいしかしていない筈だ。

 俺がハワイに下りて来た時も、ジオン軍の残党は水陸両用MSがメインで上陸前に倒したし。

 そうなると、やっぱりハワイでギャン・クリーガーが戦うという機会はない……訳ではないが、かなり少ない。

 そんな時に、オーガスタ基地の件が飛び込んできたのだ。

 ハワイのような島ではなく、オーガスタ基地があるのは北米だ。

 そうなると当然ながら戦うのは地上でとなり、ギャン・クリーガーの本領を発揮出来る。

 また、それ以外にもオーガスタ基地にいる連邦軍の軍人にギャン・クリーガーの性能を見せつけるという意味でも、ギャン・クリーガーを派遣した理由はあった。

 ギャン・クリーガーの性能は非常に高い。

 それこそルナ・ジオン軍のエースや指揮官、異名持ちといった者達が乗るのだから当然だろうが。

 その性能を見せつけ、ルナ・ジオン軍に手を出せば大火傷……いや、それ以上の被害に遭うと思えば、ルナ・ジオンにちょっかいを出す者も減るだろう。

 とはいえ、それは逆にMSの高性能さにルナ・ジオンに対する警戒心が強くなる可能性もあるのだが。

 そうなったらそうなったで、また別の方法を考えればいい。

 

「アクセル代表、ギャン・クリーガーの運び出しを終わりました。すぐに整備に入ります」

「ああ、頼む」

 

 メカニックにそう言うと、嬉しそうに笑みを浮かべてギャン・クリーガーに向かう。

 これは別に、俺に声を掛けて貰ったのが嬉しかったとかじゃなくて、早くギャン・クリーガーの整備をしたいといったところだろう。

 とはいえ、出発前にもハワイで整備はしている以上、そこまで頑張って整備をする必要もない。

 ああ、でもハワイと北米では少なからず環境が違う以上、調整とかは必要なのかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、俺はユーグに部屋に案内するように頼むのだった。

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