崖のある場所を通り抜けた俺達は、そのままアデン基地に向かって進む。
ただ、アデン基地は荒野の中に存在しており……それはつまり、見晴らしのいい荒野が広がっているという事になる。
勿論、荒野だからといって何もない訳ではない。
それなりに大きな岩があったり、丘があったりはする。
するのだが、それはあくまでも人が姿を隠せるような場所が大半で、MSを隠せるような場所はかなり少数である以上、ギャン・クリーガーのようなMSが姿を隠したまま見つからずに移動するというのはまず無理だ。
出来れば俺達が通った崖がもっと遠くまで続いていれば……いや、もしそうならジオン軍残党は崖を爆破して道を塞ぐといった事をしていただろう。
あるいは地雷を仕掛けるとか。
……ああ、でもジオン軍残党はこのアデン基地に集まったばかり。
しかも多くの部隊がこうして集まったのを見ると、連携も上手く取れるかどうかは微妙なところだろう。
『アクセル代表、どうします? 狙っているイフリートの姿はありませんが』
ヴィッシュの問いに少しだけどうするべきか迷うも、すぐに決断する。
「HLVのある場所に向かうぞ。恐らくだが、イフリートはそこにいる」
イフリートを有するインビジブル・ナイツは、水天の涙を失敗した。
宇宙ではフィフス・ルナのマスドライバーを占拠出来ず、地球ではオーガスタ基地のレーダーや対空施設を完全に潰すことが出来ず。
……いやまぁ、マスドライバーでデブリを放つのなら、レーダーや対空施設が多数残っていても何とかなったかもしれないが。
やはり肝心要のマスドライバーを確保出来なかったのは致命的だった。
その為かどうかは分からないが……いや、ほぼ間違いなくそうなのだろうが、とにかくHLVで宇宙に脱出する者達の中心はインビジブル・ナイツだ。
他のジオン軍残党は、オーガスタ基地の襲撃を一緒にやった仲間であったり、もしくは地球でジオン軍残党になったものの、宇宙に戻りたいと希望している者だったりするのだろう。
そのような中で中心的な存在……そして何より、イフリートのような高性能なMSを持つインビジブル・ナイツであれば、HLVとその発射施設を守る為に行動していると考えて間違いない。
なら、俺達が向かうのはそこだ。
それは間違いないのだが……
『アクセル代表、この状況で見つからないように進むのは難しいのでは?』
「だろうな」
ガトーの言葉にそう返す。
コックピットにある映像モニタには、荒野の色々な場所で連邦軍とジオン軍残党が戦っているのが見て取れる。
戦いそのものは、連邦軍が有利だ。
MSの数もそうだし、何より後方から61式戦車による援護射撃であったり、上空を飛ぶ戦闘機による援護といったものが大きい。
勿論ジオン軍残党も一方的にやられている訳ではない。
ザクマシンガンで空を飛ぶ戦闘機を撃破している者もいるし、戦闘を行っている場所を回り込むようにして61式戦車に側面から攻撃を仕掛けようともしている。
「まるでオデッサ作戦だな。規模は圧倒的に小規模だけど」
1年戦争の時のオデッサ作戦は、こういった連邦軍とジオン軍の正面からの戦いが行われていた。
とはいえ、規模以外にもオデッサ作戦と違うところはある。
具体的には、連邦軍のMSの数だろう。
一応オデッサ作戦でも連邦軍側からもそれなりにMSが出撃していた。
それこそ大々的にMSを使った初の作戦がオデッサ作戦だったのだから。
とはいえ、当時はまだMSの量産途中で使われていたMSの数は決して多くはない。
それこそアデン基地攻略戦の今回の連邦軍が使っているMSよりも、数としては少なかったのではないかと思えてしまう。
『どうします?』
「取りあえず突っ切る」
ヴィッシュの問いに端的に答える。
普通に移動するだけでは、当然ながらジオン軍残党も俺達をそのまま通したりはしないだろう。
そもそもジオン軍残党の目的は、俺達をHLVとその発射施設のあるアデン基地まで行かせない事だ。
……いや、正確には違うか。
ここに集まってきた者達も宇宙に脱出しようと思っているのは間違いない。
とはいえ、だからといって全員がHLVに乗っていては、当然ながら防衛戦力が足りない。
だとすれば、多分……いや、間違いなく宇宙には行かず、ここで最後までHLVを守ろうとしている者もいるだろう。
あるいはここで戦っている全員がそうなのかもしれないな。
「こうして見たところ、連邦軍と戦っているジオン軍残党は何とか互角に近い状況……いや、それでも物量の分だけ連邦軍の方が有利なのは間違いない。なら、その間をすり抜けて移動したら、敵はこっちに攻撃出来ないんじゃないか? 俺達がHLVに向かうから通してはいけないと理解しつつも、こっちに攻撃をすればそれを連邦軍が見逃す筈もない」
『ですがジオン軍残党となれば、自分の命よりも任務の方を優先する者もいます』
ガトーの言葉は、自分がそうだからこその言葉だろう。
ガトーは良い意味でも悪い意味でも実直だ。
ルナ・ジオン軍の中には、ガトーを侍や武人と呼ぶ者もいる。
そんなガトーだからこそ、ここでジオン軍残党が自分に任された仕事を完遂する為に、自分の命を投げ出してでも俺達の行動を阻止する者がいると考えてもおかしくはない。
これは別にガトーがジオン軍残党に対して同情してるとかそういう訳ではなく、純粋にそのように思ったからこその言葉だろう。
「その場合は、こっちも攻撃するしかないだろうな。ただ、足を止めて攻撃するような事はしない。あくまでも移動を最優先にする。……少し厳しいかもしれないが、ソロモンの悪夢と荒野の迅雷がいるんだ。その程度の事は問題なく出来るだろう?」
『月の大魔王もいますしね』
ヴィッシュの少しからかうような言葉。
「そうだな。もっとも、今の俺は月の大魔王じゃなくてエンデュミオンの鷹だが。……話はこのくらいにして、行くぞ」
その言葉と共にギャン・クリーガーを走らせる。
先程まではガトーが先頭だったものの、今度は俺が先頭になる。
ここからは敵が一体どういう攻撃をしてくるか分からない。
その為、何かあった時は即座に反応出来る俺が先頭を走る。
こういう時、グフ・フライトタイプのように空を飛べるMSなら楽なんだが。
あるいはそこまでいかなくても、ドムのようにホバー移動出来るMSとか。
そんな風に思いつつ、戦力の少ない場所をギャン・クリーガーで走るが……
「ちっ!」
遠くで光った何かを見た瞬間にギャン・クリーガーの右足に力を入れ、スラスターも使って左に跳ぶ。
そして次の瞬間、ギャン・クリーガーのいた場所から10m程離れた場所が爆発する。
ザクキャノンか、それに類した砲撃用のMSだろう。
もっとも、狙いはそこまで正確ではないようだったが。
いや、この距離で10mの誤差ということは、普通のパイロットにしてみればそれなりに悪くない精度なのか?
「キャノン系のMSだ! 当たるなよ!」
見れば分かる事ではあるものの、それでも一応通信で知らせておく。
そうしながらも、前に進む足を止める事はない。
ギャン・クリーガーの移動速度そのものは、そこまで速くはない。
加速力や瞬発力という点では、流体パルスアクセラレーターによって高い性能を発揮するものの、それはあくまでも一種のブーストに近いもので、ずっと使い続けられるような類のシステムではない。
もっとも、それでもギャン・クリーガーは最新鋭機の1つだ。
そこまで速くはないとはいえ、それでもザクとかに比べれば移動速度は勝っている。
素早く移動をするギャン・クリーガーに、恐らくはザクキャノンと思しき敵も狙いをつけられないのだろう。
次々に砲弾が着弾するものの、その一撃は決して3機のギャン・クリーガーに命中する事はない。
ザクキャノンを操縦しているパイロットは、腕は悪くないものの、それでもそこそこといったところなのだろう。
とはいえ、ザクキャノンの遠距離からの砲撃を回避している以上、当然ながらギャン・クリーガーの動きも何もない時に比べれば遅くなるのは間違いなく……
『アクセル代表、敵が!』
ガトーが叫ぶが、それを聞かなくて映像モニタにはしっかりと映っていた。
ザクキャノンの攻撃を回避しつつ移動し、僅かでも……いや、明確にギャン・クリーガーの動きが遅くなっている以上、ジオン軍残党の前衛を務めている者達にとっては見逃すような事が出来なかったのだろう。
3機のザクがそれぞれギャン・クリーガーの進行方向に立ち塞がり、ザクマシンガンの銃口を向けてくる。
普通に考えれば、ザクマシンガンを撃つにしてもわざわざこちらの進行方向に立ち塞がる必要はない。
そのような場所で立ち塞がれば、それこそ自分達も撃破される可能性が高くなる為だ。
だが……それでも、ジオン軍残党にしてみれば、自分達が被害を受けるよりも俺達を通さない方を優先したのろう。
その判断は決して間違ってはいない。
向こうにしてみれば、とにかくHLVを発射させて仲間を宇宙に脱出させるのが最優先なのだろうから。
……多分、ここで死ぬつもりでこうして俺達の前に立ち塞がっているのだろう。
少し、本当に少しだけ先程ガトーが口にした言葉が思い浮かぶも、それを無視して前に出る。
そのままではなく、ビームランスを展開してだ。
ギャン・クリーガーの装備するビームランスは、馬上槍のような形をしている。
柄の部分はビームサーベルと同じ感じだが、そこから伸びている馬上槍の全てがビームで構成されている。
その大きさは間違いなく普通のビームサーベルよりも大きい。
……いや、馬上槍型なので先端部分は細くなってるんだが。
つまり、その馬上槍のビームの部分……それも根元になればなる程に大きくなり、それはつまり盾代わりに使うのも不可能ではないということを意味していた。
俺だけで行動しているのなら、ザクマシンガンの攻撃を回避していただろう。
だが、俺のギャン・クリーガーの後ろにはガトーとヴィッシュのギャン・クリーガーがいる。
2人共異名持ちである以上、俺が回避しても同じく回避したり、盾で防いだりするかもしれない。
そうは思ったが、それでもHLVの打ち上げ施設のある場所に到着するまで、無駄な被害を与えたくはない。
そんな訳で可能な限り敵の攻撃は俺が防ぐ必要があった。
放たれるザクマシンガンの弾丸は、その全て……ギャン・クリーガーに命中するものだけをビームランスによって防ぐ。
ザクマシンガンはマシンガンという名称だが、実際には戦車の主砲くらいの威力を持つ。
しかしそんな威力であっても、ビームランスを構成するビームを突き抜けることは出来ない。
命中した瞬間に弾頭は消滅する。
そして……ジオン軍残党にしてみれば、そんな風にこちらが攻撃を防ぐというのは、完全に予想外だったのだろう。
動揺し、それがザクマシンガンの狙いにも露骨に影響し、その弾丸はあらぬ方に向かって飛んでいく。
当然ながら、そんな隙を見逃す筈もない。
ギャン・クリーガーに搭載されている流体パルスアクセラレーターは、長距離の移動には決して向いていないが、瞬発力や加速力という点では非常に優れている。
さすがに瞬動程……とまではいかないが、それでもかなりの速度でザクとの間合いを詰め……
「まず1機!」
その勢いを殺さずに放たれたビームランスは、あっさりとザクのコックピットを貫き……
「2機!」
ビームランスを持っていない左手に装備されたシールドから放たれたビーム砲が、こちらも同じくザクのコックピットを貫き……
「最後、3機!」
1機目のコックピットを貫いたビームランスを、そのまま横薙ぎにして振るう。
馬上槍の形をしているビームランスだが、それはあくまでも形状の話で、実際にはビームサーベルと同じような構造となっている。
そうである以上、ランスの名前通り槍として使う以外にも、先程ザクマシンガンを防いだようにシールド代わりにも使えるし、当然ながらビームサーベルのようにも使える。
そんな訳で、ビームサーベルを使うように横薙ぎにされた一閃が……へぇ。
最後の1機が咄嗟にザクマシンガンを手放し、ヒートホークを構えたのを見て少しだけ驚きつつも、ギャン・クリーガーの手首を軽く動かし、同時に一瞬だけギャン・クリーガーの足を操作して低く構える事により、横薙ぎに振るわれたビームランスはザクの構えたヒートホークをすり抜けるようにしてコックピットを切断する。
「これで本当に3機、と」
数秒の出来事だったが、それで3機のザクが撃破されたのは間違いない。
詳細な説明は分からないが、ヒート系の武装はビームサーベルのような武器と打ち合う事が出来る。……つまり、鍔迫り合いって奴だな。
だが、それはあくまでもヒートホークとビームランスがぶつかればの話だ。
今のように軌道を変え、そもそも接触すら出来なければ、意味はなかった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2450
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1851