転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3735話

 シェリーやクリストとの会話……というか、説得は取りあえず終わった。

 これ以上は余計な口出しをしない方がいいと思い、あの2人には部屋に戻って貰う。

 一応扱いとしては捕虜になるんだろうが、独房とかそういう場所に行く訳ではなく、基地にある普通の部屋だ。

 いや、士官用の個室なので、待遇としては寧ろいいだろう。

 兄妹であっても男女である以上、同じ部屋にするのは止めておいた方がいいだろうと思っての措置だ。

 ちなみに基地の中なら特定の場所……格納庫や銃火器が収納されている部屋や、ギニアスが使っている執務室のような場所には入れないが、それ以外の場所は自由に出入り出来る。

 そこまで自由な行動が許されているのは、インビジブル・ナイツをこちらに引き込みたいという思いがあるのもそうだが、やっぱりシェリーとクリストにそれぞれコバッタがついているのが大きい。

 もし本当に入ってはいけない場所に行こうとしたらコバッタが止めるし、クリストはともかくシェリーなら心配はないと思うが、止められても無理に進もうとしたり、あるいは破壊工作をしようとしたり、情報を盗み出そうとしたり……そんな事をしようとした場合は、コバッタがそれを止めるだろう。

 それこそ、場合によっては力ずくで。

 コバッタはその名の通り小さいが、それでもそれなりの戦闘力は持っているし、機械だけに力も強い。

 ……まぁ、そういう風になるとは思っていないので、その辺の心配はいらないと思うが。

 ともあれそんな訳で、クリストとシェリーの件は問題ないとして……

 

「それで、イフリートの様子は?」

「損傷は小破といったところですね。修理は可能です」

 

 ギニアスが俺の問いにそう返事をしてくる。

 この様子を見ると、本当に問題はないらしいと知り、安堵する。

 

「そうか。一応戦った時はそれなりに気を遣ったんだが、その甲斐はあったな」

「ただ……インビジブル・ナイツがこの機体をオデッサで奪取してから、そう時間は経っていない筈ですよね?」

「そう聞いているが?」

「なるほど。……インビジブル・ナイツとしては高性能な機体が欲しかったのでしょうが、軍としてではなくその残党としてとなると、色々と厳しかったのでしょう」

「具体的には?」

「アクセル代表も知ってると思いますが、イフリートはジオン軍でも少数しか製造されなかったMSです。コストや操縦性、それ以外にも色々と理由はありますが、大きくはこの2つですね」

「まぁ……うん。それは分かる」

 

 実際、俺もイフリートに乗った事はある。

 その時は特に操縦に問題らしい問題は感じなかったが、それはあくまでも俺が高い操縦技術を持っていたからだろう。

 普通のパイロットにしてみれば、イフリートの性能を活かすように使いこなすのは、そう簡単な事ではない。

 そういう意味では、イフリートはグフ系に似た感じのMSなのだろう。

 グフもまた、使える者が使えばもの凄い戦力を発揮するものの、実際にそのレベルまで使いこなすのはかなり難しい。

 イフリートはグフとドムの中間に位置する機体と呼ばれている以上、そういう操縦感覚もグフに近いのかもしれないな。

 

「それで、このイフリートが普通のイフリートと違う場所は? 改修機なんだろう?」

 

 そう聞いてから、それこそこのイフリートを使ったクリストに聞けば手っ取り早かったのではとも思ったが、クリストは結局のところMSパイロットだ。

 あるいは足が使えない以上はメカニックの手伝いとかもしていたかもしれないが、それでもやはりこのイフリートが改修されてどのような機体になっているのかは、専門家に聞いた方が手っ取り早いだろうと思い直す。

 

「この機体……イフリート・ナハトという名称らしいですが、普通のイフリートと違うのは、特殊なジャミング装置を搭載している事でしょうか」

「……ああ、あれか」

 

 特殊なジャミング装置と聞いて思い浮かべたのは、通信にも影響してきたあの一件だ。

 アデン基地での戦いではその必要もなかったのか、使ってはいなかった。

 ……今にして思えば、あの時にジャミング装置を使っていれば俺とユーグの通信にも干渉して、ユーグをHLVのある場所に向かわせなくてもすんだのではと思わないでもないが。

 その辺は、クリストが初めてイフリート・ナハトに乗って戦闘をしたと思えば、仕方がない事なのかもしれないが。

 それに仲間を守る為という大義名分があったとはいえ、初めて乗ったMS……それも操縦が難しいイフリート・ナハトで、あそこまでユーグと戦っていたのを見れば、クリストもMSパイロットとしては相応の技量を持ってるのは間違いないのだろう。

 

「他にも機体カラーが紫なのは、夜間迷彩を意識しての事のようです。そして熱源センサー対策として、胸部とバックパックの排気口は塞がれ、股間部のスラスターも塞がれています。代わりにバックパックのスラスターは可動蓋があり、極力相手に見つからないようにしています」

「それはまた、随分とステルスに特化してるな」

 

 SEED世界のブリッツがそんな感じだったな。

 もっとも、ブリッツの場合は機体色はPS装甲で黒だったが、それ以上にミラージュコロイドが大きな意味を持っていたが。

 

「他にも武器はコールドブレードやコールドクナイのように熱を持たない武器がメインです。もっとも、3連装ガトリング砲やザクマシンガンのような銃火器も使うようですが」

「そうなると、基本的にはザクの武器も使える訳か。例えばザクバズーカとかそういうのも?」

「恐らく問題ないかと。とはいえ、機体の趣旨がステルス製重視の近接戦使用なので、射撃武器はあくまでも牽制がメインのようですが」

「……ピクシーをもっと極端な形にしたような感じか? いや、ピクシーは近接戦闘を重視してるのは同じだが、ステルスは基本的に考えていないから、その辺は違うかもしれないが」

 

 ピクシーはそれこそグフやイフリートと同じく、そこそこの腕のパイロットが乗っても意味はない。

 高い操縦技術を持つ者が乗ってこそ、その真価を発揮する機体だ。

 そんな尖った性能だからこそ、連邦軍も数機しか製造しなかったのだろう。

 個人的にはそういう尖ったMSは嫌いではないが、連邦軍にしてみれば尖りすぎていて使い道が少ないMSだったのだろう。

 なら、何故最初からそんなMSを開発したのかという疑問があったが。

 まぁ、1年戦争時の連邦軍のMS開発は混乱に混乱を重ねたような感じだったと思えば、納得出来ないでもないか?

 

「総合的に見た感じでは、普通のイフリートとそう違いはないというのが結論です」

「EXAMを搭載していたイフリート改と比べると、やっぱり劣るか」

 

 イフリート改は色々な意味で特殊すぎたしな。

 とはいえ、だからといってEXAMシステム搭載機を作りたいとは思わないが。

 そもそもゼロシステムのように暴走の危険性が高いシステムだ。

 ……いや、寧ろ正確にはゼロシステムは精神的に強ければシステムを暴走させず、使いこなす事が出来るのに対して、EXAMシステムは暴走する可能性がかなり高いような気がする。

 そうなると、やっぱりゼロシステムの方がいいよな。

 

「それに関しては何とも。……ただ、上から下りてきた情報によると、連邦軍の中にはEXAMシステムのプロトタイプを手に入れ、それを研究している部署もあるとか」

「……本気か?」

 

 EXAMシステムは諸刃の剣……いや、諸刃の剣よりも自分にダメージが来る可能性の方が高い気がする。

 まぁ、プロトタイプを研究してるという話だから、EXAMシステムをそのまま使うという訳ではなく、もっとパイロットの安全に気を配ったシステムを開発しようとしてるのかもしれないが。

 

「まだ確定情報ではなく、そのような噂があるというだけです。事実なのかどうかは、生憎と分かりません」

「そうか。……少し諜報に力を入れた方がいいのかもしれないな」

 

 強硬派の事を考えると、それこそ一体何を企んでいるのかがかなり気になる。

 それこそ場合によっては、ルナ・ジオンから人を誘拐して人体実験をするとか、普通にやりそうなんだよな。

 ルナ・ジオンの住人は連邦の人間ではないから何をしてもいいとか、そんな理屈で。

 もっとも、量産型Wやコバッタがいる中で誘拐が可能かどうかというのはまた別の話だが。

 

「取りあえず、このイフリート・ナハトの修理と整備は頼めるか?」

「出来ますが、修理となると時間が掛かります。クレイドルのディアナに持ち込んだ方が早いと思います。……いえ、アクセル代表なら、ホワイトスターに持っていった方が早いかもしれませんね。それにイフリート・ナハトが搭載しているジャミング装置は、ミノフスキー粒子散布下でも相応の効果を発揮します。詳細に調査をすれば、その技術を手に入れられるかと」

「となると、ディアナだな」

「……いいのですか?」

 

 ギニアスは恐らくホワイトスターで技術班に調べさせると思っていたのだろう。

 だが、実際にはこうしてあっさりとディアナで調べさせる事にしたのが気になったらしい。

 

「構わない。ディアナで開発したり発見したりした技術はシャドウミラーに提供されるようになってるし」

 

 ルナ・ジオンとシャドウミラーの関係を考えれば、それは提供というか献上とかそんな感じなんだろう。

 まぁ、どのみちそのジャミングの技術をシャドウミラーが得られるのは間違いない。

 それに……こう言っては何だが、その程度の技術だと技術班のやる気が出ないと思うんだよ。

 ミノフスキー粒子下の中で通信が可能な距離であってもジャミングするというのは、それなりに大きい。大きいが、シャドウミラーの場合ならNジャマーⅡとか普通にあるし。

 勿論、技術の多様性という意味で確保しておいた方がいいのは分かるが。

 また、解析と修理が終わればイフリート・ナハトはそのままシャドウミラーの技術班に渡される事になるので、そこまで心配はしていない。

 

「分かりました。アクセル代表がそう仰るのなら」

 

 ギニアスとしては完全に納得した様子がなかったものの、俺がそれでいいと判断したこともあってか、それ以上は何も言わない。

 ……これでイフリート・ナハトがもっと革新的なシステムを搭載していたりすれば話は別だったのだろうが、イフリート・ナハトの特徴は特殊なジャミング装置であったり、ヒート系でもビーム系でもない近接戦闘用の装備くらいだな。

 にしても、今更……本当に今更の話だが、ステルス性能が高くてクナイを持ってるとか、忍者かと突っ込みたくなるな。

 イフリートを改修してイフリート・ナハトにした者は一体何を考えてこういう感じにしたのやら。

 そう考えると、俺が水天の涙に関わってきた意味は……いやまぁ、それでも一応イフリート・ナハトも未知のMSだというのは変わらないし、何よりシェリーやクリストの説得が上手く行けばインビジブル・ナイツという精鋭を手に入れられるのだ。

 そう思えば、ファントムスイープ隊と行動を共にしてきた意味はない訳ではない……そう思いたいところだな。

 とはいえ、その辺はあくまでも説得が上手くいけばだが。

 ただ、上手くいく可能性はそう低くはないと思っている。

 問題なのは、どうやって宇宙に行ったインビジブル・ナイツを確保するかだが……まぁ、フィフス・ルナだろうな。

 宇宙に行った以上、インビジブル・ナイツがもし動くとすれば、やはりフィフス・ルナだろう。

 マスドライバーの確保に失敗して、オーガスタ基地に対する水天の涙作戦は失敗したのだ。

 だとすれば、他のマスドライバーを狙う?

 まぁ、他にもマスドライバー施設はあるが……その代表が月だ。

 そして月にあるマスドライバーを確保するのは、まず不可能だろう。

 それこそマスドライバーを占拠するどころか、怪しげな動きをしているのが確認されれば、即座に量産型Wやコバッタ、メギロート、バッタ……そして場合によってはシャドウすら出てくる可能性がある。

 ジオン軍残党どころか、連邦軍やジオン軍といった軍隊規模でマスドライバーを確保しようとしても、それは不可能に近い。

 そして他にマスドライバーのある場所は……どうだろうな。

 フィフス・ルナ以外にもマスドライバーを有している施設とかはあるのかどうかちょっと分からないが、自由に地球を狙える場所でマスドライバーとなると、他にちょっとそれらしい場所はない。

 そうなると、やはり再度フィフス・ルナを狙うという可能性があり……そうだな。ゼロ・ジ・アールの運用試験として考えれば、ある意味ちょうどいいのかもしれない。

 そろそろ宇宙に上がって、アクシズから献上されたというゼロ・ジ・アールの調整とかもする必要があるし。

 それにイフリート・ナハトの調査や修理も月のディアナに任せるという事になったし。

 そう考えると、いつまでもハワイにいる訳にはいかないんだよな。

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