転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3740話

 ゼロ・ジ・アールが月の上を飛ぶ。

 そのコックピットには、当然俺の姿があった。

 結構な推力があるゼロ・ジ・アールは、月の重力下でも空を飛ぶ事が出来る。

 ただし、地球で空を飛ぶのは難しいだろうな。

 ……あ、でもゼロ・ジ・アール程の大きさなら、ミノフスキークラフトを搭載出来たりしないか?

 アプサラスよりも巨大……いや、アプサラスの場合は全高はともかく、全長と全幅がかなりのものだ。

 それでミノフスキークラフトを搭載しているとなると、ゼロ・ジ・アールにそのままミノフスキークラフトを搭載するのは難しいか。

 とはいえ、改修すればギニアスなら何とか出来そうな気がしないでもないが。

 そんな風に考えつつ、まずは普通に月の上空を飛ぶ。

 一応何かあった時の為の事を考えて、クレイドルから離れた場所での試験となっている。

 クリスが言っていたように、確かにこのゼロ・ジ・アールは自動操縦がメインになっている。

 現在も取りあえず自動操縦を使って機体を動かしているものの……うん。

 違和感があるというか、反応速度が遅いというか、俺には向いてないのは間違いない。

 とはいえ、全く使えないかと言えばそうでもない。

 混沌精霊として、文字通りの意味で人外染みた身体能力を持つ俺だからこそ、自動操縦に鈍いという違和感があるんだろうが、普通のパイロット……それこそニュータイプでも何でもないパイロットが操縦をするのなら、自動操縦はそんなに悪いものではないと思う。

 この複雑な操縦系統の全てを理解するというのは普通のパイロットには難しい。

 出来ない訳ではないだろうが、それを習得するまでの時間は相応に必要となる。

 それに比べると、機体の操縦を完全に自動操縦に任せて、防御に関してもIフィールドに任せ、パイロットは火器管制だけをやっていればいいのなら、操縦に関する労力は大分減る。

 ……とはいえ、敵がビームではなくバズーカのような実弾兵器を使ってきたらどうするのかといった問題もあるが。

 ゼロ・ジ・アールに搭載されているメガ粒子砲は、その全てが集束型だ。

 拡散メガ粒子砲とかがあれば、敵がバズーカとかを使ってきても迎撃しやすいのだが。

 もっと確実に実弾に対処するのなら、頭部バルカン……いや、ゼロ・ジ・アールの大きさを考えると頭部だけだと足りないか。

 アレックスが装備していたガトリング砲を幾つか追加で装備出来ればいいんだが。

 幸いな事に、このゼロ・ジ・アールはビグ・ザムよりも巨大だ。

 内蔵可能な弾丸はかなりの数になるだろう。

 これも改修案の1つだな。

 そんな風に思いつつ、クリスや他にもディアナの面々が乗っているカトンボを映像モニタに表示する。

 アクシズで作られたという事もあってか、ゼロ・ジ・アールのコックピットも旧型なんだよな。

 全天周囲モニタやリニアシートが搭載されていないのは……俺なら問題ないが、もし普通の人間がパイロットとして乗る場合、一定以上の耐G能力は必要になるだろう。

 このゼロ・ジ・アールは加速性能もかなり高いみたいだし。

 ……いや、MAとして考えれば当然かもしれないが。

 ビグロとかを見れば、MAは高い加速性を持つのが基本となる。

 アッザムとかは移動速度が遅いが。

 とはいえ、このゼロ・ジ・アールは機体が大きい分だけスラスターも多数装備している。

 それを全開にするとなると……ビグロよりも明らかに加速能力は上だ。

 そうした諸々をある程度使ってみたところで……

 

「クリス、これから自動操縦を切って、全て手動……マニュアルで操縦する。外から見て、何かおかしいところがないかチェックしてくれ。それとゼロ・ジ・アールにおかしな負荷が掛からないよう、各種数値の方もしっかりと確認を頼む」

『了解。その辺は任せておいて。……アクセルなら何があっても問題はないでしょうから、その辺はあまり心配してないけど』

「俺が無事でも、ゼロ・ジ・アールが壊れたりしたら面倒だろ。……標的の準備もいいか?」

『ええ、スクラップ寸前のMSだけど、結構な数を用意してるから問題ないわ』

 

 標的として用意されたMSは、俺が地球で確保したジオン軍残党のMSだ。

 中にはクリスが言うようにスクラップ寸前どころか、完全に使い物にならないMSもある。

 ただ、一応修理すれば使えるMSはディアナに置いてきたので、修理して何かに使うだろう。

 

「分かった。……じゃあ、取りあえず機体制御の方を手動でやる」

 

 そう言い、ゼロ・ジ・アールの操縦に集中する為に通信を切る。

 コックピットを操作し、自動操縦を解除して全てを手動にする。

 そうしてゼロ・ジ・アールを動かし始めたが……

 

「こんなものか?」

 

 それが正直な俺の感想だった。

 自動操縦に比べると、操縦する手間はかなり掛かっている。

 だが同時に、これだけかという思いがあるのも事実。

 これは……多分俺がニーズヘッグの操縦に慣れているからというのが大きいのだろう。

 T-LINKシステムによって、操縦しなくても俺の意思で機体を動かすことが出来るニーズヘッグだが、それでも何かあった時の為に普通に手動で操縦出来るようにはしている。

 そしてニーズヘッグはシャドウミラーのフラッグシップとして、様々な……本当に様々な新技術が使われている。

 複合兵装の尻尾、エナジーウィング、アギュイエウス、ヒュドラ、バリオン創出ヘイロウ……それ以外にも、数え切れないくらい多数の技術が。

 T-LINKシステムを使わずにニーズヘッグを操縦する場合、それらを全て手動で動かす必要がある。

 ……うん、普通に考えればとてもではないが出来そうにないよな。

 俺もニーズヘッグの前にグロウセイヴァーという、かなり操縦が複雑な機体を使っていたのがいい練習になったのだろう。

 グロウセイヴァーは、アシュセイヴァーを改良し、追加統合兵装クロノスを装備した機体だ。

 こちらにもT-LINKシステムは搭載されていたが、それでも操縦はかなり複雑だった。

 また、それ以外にも多数の……それこそ普通ならとてもではないが人生を何度も繰り返さないと経験出来ない程の戦場を経験してきたり、ステータスとレベルがあり、レベルアップやPPでステータスの強化が出来るというのも、この場合は大きいだろう。

 混沌精霊になったというのも、大きく影響してると思うが。

 勿論、ニーズヘッグはレモンが俺の為に……俺の為だけに作った機体だ。

 それこそ俺が座った時にリラックス出来るようにコックピットは……なんだったか。人間工学? それを大多数ではなく俺専用に合わせて操縦出来るようにしてあるのも大きい。

 それ以外にも諸々とあるらしいが、ともあれ俺専用にニーズヘッグが作られたので、T-LINKシステムなしでも俺は普通に操縦出来る。

 そんな風にニーズヘッグを操縦出来る俺にしてみれば、ゼロ・ジ・アールを手動で操縦するのは……ぶっちゃけ、ニーズヘッグを操縦する際の2割も能力を使っていない。

 つまりゼロ・ジ・アールの操縦は、手動で全く何の問題もなかった。

 とはいえ、ニーズヘッグとゼロ・ジ・アールではそもそもPTとMAという違いがある。

 それに……恐らくだが、このゼロ・ジ・アールというのはこれで完成という訳ではないだろう。

 いや、勿論ゼロ・ジ・アールはゼロ・ジ・アールできちんと完成しているのだが、技術的にまだ洗練されていないような気がする。

 ビグロとかに比べると洗練されている外見をしているものの、それでも技術的にまだ洗練されていないと表現すべきか。

 現時点ではゼロ・ジ・アールを作るので精一杯だったのだろうが、この先もMAの研究を進めれば後継機が出来るかもしれないな。

 あるいは、アクシズでゼロ・ジ・アールの後継機を作るのが難しいようなら、設計データとかを貰ってこっちで開発するという手段もある。

 

『アクセル、大丈夫……よね?』

「ああ、何の問題もない。この程度なら、まだ余裕だ」

『アクシズの方で、手動で全てを操縦するのが難しいからという事で、自動操縦にしたんだけど』

 

 呆れたように言ってくるクリス。

 

「普通のパイロットが乗るのならそうかもしれないが、エース級が乗るのなら手動でも問題ないと思うぞ」

 

 もっとも、これだけのMAだ。

 当然ながら生産するのはかなりのコストが必要で、そう考えると気安く量産は出来ず、少数だけ量産しても乗るのは当然ながらその性能を活かせる者……エース級になる筈だ。

 その辺の状況を考えると、自然とエースが乗る事になる流れだと思う。

 とはいえ、エースにも色々とある。

 ゼロ・ジ・アールを完全に手動で動かすとなると、エースの中でも上澄みに位置する者だろう。

 ……ハワイにあるルナ・ジオンの象徴はアプサラスだが、そのパイロットをしているアイナでも、ゼロ・ジ・アールを完全に手動で操縦するのは不可能だと思う。

 ケリィは……こっちはどうだろうな。

 エース級の実力は持っているし、MAの適性も高い。

 そう考えると、多分ゼロ・ジ・アールを手動で操縦出来るとは思うんだが。

 

『そう。……じゃあ、そろそろ標的のMSを出すけど、構わない?』

「頼む」

 

 短い言葉を交わすと、通信が切れる。

 クリスの乗っているカトンボからMS……大破や撃破されたMSが出撃準備しているが、それが具体的にいつ発進するのかは分からない。

 その辺について前もって説明してあれば、ゼロ・ジ・アールの兵装のテストに相応しくないだろうし。

 念の為にゼロ・ジ・アールの火器管制をチェックしていく、

 砲塔型のメガ粒子砲は砲塔を自由に動かすことが出来るのが大きな特徴だ。

 内蔵メガ粒子砲は、基本的に射角は殆ど取れない。

 つまりゼロ・ジ・アールを動かす事によって相手に命中させる必要がある。

 そして頭部のメガ粒子砲は、顔を動かせるので射角はかなり広い。

 ……頭部バルカンとかあったら便利とか思っていたが、もしかしてゼロ・ジ・アールを開発した面々にしてみれば、頭部メガ粒子砲が頭部バルカンの代わりだったりするのか?

 そうも思ったが、すぐにそれを却下する。

 理由としては、この頭部メガ粒子砲はゼロ・ジ・アールが装備しているメガ粒子砲の中で一番強力なメガ粒子砲だから。

 それをまさか頭部バルカンの代わりに使おうとは、さすがに思わない。

 ともあれ、頭部メガ粒子砲も問題なく動くのを確認し……そうしているうちに、カトンボから発進したMSが纏めてこっちに向かってくる。

 とはいえ、そのMSにはパイロットは乗っておらず。いつ破壊されてもいいからとにかく速度を出してゼロ・ジ・アールに向かってくるという風にコントロールされている。

 大破したMSとかは、外部に無理矢理推進装置をくっつけて、射出している筈だ。

 そんな訳で、こっちに攻撃をしてきたりはしないものの、純粋に機動力だけを見れば結構なものだ。

 しかし……

 ゼロ・ジ・アールのコックピットで、こちらに向かって飛んでくるMSを次々にロックオンしていく。

 本来ならこの辺も自動操縦である程度自動的にロックオンされるのかもしれないが、ゼロ・ジ・アールが移動する時の自動操縦の様子を思えば、恐らくそんなに精度は高くないだろう。

 そんな訳で、俺がロックオンする方が素早く……

 1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ……といった具合に、次々とロックオンしていき、次の瞬間にはトリガーを引く。

 5つの砲台型メガ粒子砲は、その特徴を活かして自由に射角をとり、17の内蔵メガ粒子砲は狙える場所にある標的に狙いを付け、そして頭部メガ粒子砲でも飛んできたMSに狙いを付け……トリガーが引かれたと同時に放たれたメガ粒子砲が一斉に敵を撃破……いや、消滅させる。

 なるほど。自動操縦とかはちょっとどうかと思うが、純粋なメガ粒子砲の威力という点ではかなりのものだな。

 勿論、そういう意味ではメガ粒子砲に特化しているアプサラスに勝るかと言われればそうではない。

 だが、アプサラスに勝る機動力と、何よりIフィールドを装備しているのは大きい。

 また、現在のアプサラスのうち最新鋭機のⅢは地上用で宇宙では使えないが、ゼロ・ジ・アールは宇宙用MAというのも大きな特徴だろう。

 色々と操縦してみた結果、このゼロ・ジ・アールは使えるMAなのは間違いない。

 ただ、使いこなすには相応……どころか、エース級の技量が必須となる。

 ルナ・ジオン軍で現在の主力量産MSはガルバルディβとギャン・クリーガーの2機種だ。

 実際にはヅダを始めとして、それ以外の機種もあるが……それでもメインがその2機種なのは間違いない。

 それは普通のパイロットがガルバルディβに乗って、エース級や指揮官はギャン・クリーガーに乗るという事だ。

 また、MA隊のビグロとヴァル・ヴァロも似たようなものだろう。

 そんな諸々について考えた場合、ゼロ・ジ・アールも突出した能力を持つパイロットが乗ると考えれば悪くない。

 ただし、その巨体から機動性や運動性はあまり期待出来ず、そういうのを好む者にとってはいまいちかもしれないが。

 

『アクセル、次は回避性能を確認するけど、準備はいい?』

「ああ、頼む」

 

 クリスの言葉に頷くと、メギロートがカトンボから出撃するのだった。

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