転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3744話

「ようこそ、アクセル代表。……何だか、いつも同じような事を言ってる気がしますな」

 

 ペズンに到着した俺を出迎えたのは、これまでと同じようにサイクロプス隊のシュタイナーだった。

 

「そうだな。とはいえ、このペズンが地球に対して近い場所にあるし、今回の件を考えるとフィフス・ルナに近い場所にあるから、拠点として使うのにちょうどいいんだよな。……他にどこか同じように使える拠点があったら便利そうではあるが」

「ソロモンやア・バオア・クーのようにですか?」

「そんな感じだ」

 

 ちなみにソロモンは連邦軍においてはコンペイ島と呼ばれるようになっているものの、ルナ・ジオンにおいてはソロモンのままだ。

 これは別にドズルが最後まで守った場所だからとかそういう訳ではなく、単純に今までソロモンだったのをコンペイ島と呼ぶのに慣れていない為だ。

 一応連邦からはその辺について不満を言われているのだが、それでもルナ・ジオンとの関係を良好な状態にしておきたい連邦にとっては、そこまで強く言う様子もない。

 あるいはゴップ辺りが手を回しているのかもしれないが。

 それ以外にも、連邦の学者……特に生物学者とかは、異世界の動物が存在するクレイドルに強く興味を抱いている。

 そんな者の中に連邦政府や連邦軍に対して強い影響力を持っている者もいて、そちらから手を回しているのかもしれない。

 他には、ソロモンはコンペイ島に名前を改変したのに、ア・バオア・クーはそのままというのも影響してるのだろう。

 ともあれ、ペズンがルナ・ジオンにとって大きな意味を持つ小惑星基地なのは間違いない。

 この先、ペズン以外にどこか小惑星基地なりなんなりを手に入れる事が出来れば、それはペズンに続く第2の基地として使い物になるかもしれないが。

 ……あるいは、いっそ火星辺りにある小惑星帯から小惑星を持ってきて、それを基地にしてもいいのかもしれないな。

 普通なら資源用にしろ、基地にする為にしろ、小惑星を持ってくるというのはかなりの難易度だ。

 何しろ核パルスとかをつけて、自力で移動させる必要があるのだから。

 だが、シャドウミラーの力を借りているルナ・ジオンの場合、システムXNを使えばそれでどうにでもなる。

 一瞬にして移動させることが出来るのだから、小惑星を用意するのはそう難しい話ではない。

 もっとも、当然ながら基地に使えるような大きさの小惑星がいきなり姿を現せば、明らかにおかしいだろう。

 システムXNについては今のところ秘密なのだから、堂々と小惑星を持ってくる事は出来ない。

 もっとも、システムXNを使って結構な頻度で木星まで行ってるのも事実。

 現在木星に到着した木星船団の者達が、木星のコロニーからその辺の話を聞く可能性は高い。

 とはいえ、木星の面々は地球圏……というか、連邦に対してかなり複雑な感情を抱いている。

 有り体に言えば、憎んでいる者すらいる。

 それでも地球からの物資とかがなければ木星での暮らしはかなり厳しいものだった為、憎みながらも受け入れているといった感じらしい。

 しかし、木星のコロニーに住んでいる者達であっても、木星船団公社から派遣される木星船団の者達と個人的に仲良くなる者もいるだろう。

 あるいは単純に木星船団に木星のコロニーの住人と交流して何らかの情報を入手するようにと命令されているのかもしれないが。

 そうなると、木星のコロニー達の住人の口から、システムXNについて知らされるという可能性は十分にあった。

 木星のコロニーの上層部から月やシステムXNについて言わないようにと指示があっても、ここだけの話というのを我慢出来ない者は絶対に出てくる。

 これがコロニーでの生活がもっと厳しければ、木星船団の人員を相手に余計な話をするような余裕はないかもしれないが、良くも悪くも木星のコロニーは月がシステムXNで頻繁に来る事によって、生活に余裕が出来ている。

 それによって、口が軽くなる者が多くなってもおかしくはなかった

 

「取りあえず、ゼロ・ジ・アール……あのMAの調査や整備で少し暇になりそうだ。ペズンの方で何か異常はないか? ……この前来たばかりでそう言うのもなんだけど」

「あの大きさでは、整備にも時間が掛かるでしょうね。……取りあえず今のところ特に何も問題はありません。ジオン軍残党も連邦軍の強硬派もこちらにちょっかいを出してくる様子はないかと」

「ならいいんだけどな。ただ、さっき俺達が戦ったジオン軍残党はビグロも使っていた。MAが敵にあるのは、かなり厄介だ。もし万が一があった場合は、すぐ月に連絡を入れた方がいい」

「それは、また……」

 

 シュタイナーの顔が顰められる。

 MAというのは、種類にもよるが高い攻撃力と機動力を持つ。

 例えばアプサラスなら、それこそ単機で戦局を逆転させる事も難しくはない。

 ビグロのメガ粒子砲はアプサラスには及ばない。

 だが、機動力という点ではアプサラスを上回るだろう。

 実際、ファントムスイープ隊との戦いにおいてもビグロはユーグのジーラインを相手に高い機動力と火力を活かして優位に戦っていた。

 途中で仲間が次々とゼロ・ジ・アールに撃破された事により、こっちに攻撃をしてきたが。

 もしゼロ・ジ・アールが戦いに関与していなかった場合、ファントムスイープ隊は大きな被害を受けていた可能性もある。

 北米の英雄と呼ばれるユーグだけに、一方的にやられたとは限らない。

 何らかの手段で撃破なり撃退なりした可能性もあるだろう。

 しかし、MAというのは使う者によってそれだけの威力を発揮するのだ。

 もしペズンにビグロが攻めてきた場合、被害が皆無とはいかないだろう。

 レーダーでビグロの存在を察知しても、MS隊が……あるいはメギロートやバッタであっても、出撃するまでにはどうしても相応の時間が必要となる。

 そうなると高い機動力を持つビグロが急速に接近し、メガ粒子砲を撃ってそのまま一撃離脱していくという可能性も否定は出来ない。

 もっとも、そういう事をしてもペズンに一時的な被害は与えるだろうが、その後……ルナ・ジオン軍の海賊狩りやジオン軍残党狩りが激しくなるのを考えると、そう簡単にはやらないと思う。

 思うのだが、ジオン軍残党はそういうのを考えずに動いたりするしな。

 ハワイにジオン軍残党がちょっかいを出してきたのは、その典型例だろう。

 とはいえ、宇宙とは違って地球ではルナ・ジオン軍が自由に動ける訳ではない。

 俺1人とかならまだしも、ルナ・ジオン軍として動くには連邦軍や連邦政府に話を通す必要がある。

 そうなると、強硬派が出張ってくる可能性もあり、そう簡単に地球でジオン軍残党狩りをしたりは出来ないだろう。

 ハワイであったり、せめてハワイのすぐ近くならどうにか出来るかもしれないが。

 その辺はジオン軍残党も分かっているだろうし、そもそも島国のハワイ周辺にはジオン軍残党が拠点とするのは難しい。

 逆に言えば、連邦軍も無許可でハワイの領海内に入ってくる事は出来ないので、ジオン軍残党としてはルナ・ジオンと話をつけられれば安心なのだが……量産型Wやコバッタがいる中で、自分の利益を重視してそのような裏取引を行うのは難しいだろう。

 

「とにかく、後でメカニック達からゼロ・ジ・アールの戦闘の映像データを渡すように言っておくから、見ておいてくれ」

「分かりました。……それにしても、1年戦争が終わってからまだそんなに経っていないというのに、色々と動き出しましたな」

「そうだな。その始まりはインビジブル・ナイツなんだろうが」

 

 そして俺はそのインビジブル・ナイツの面々を、可能な限り殺さずに捕虜にするように求められている。

 とはいえ、それは決して俺にとって悪い事だけではないのだが。

 もし捕虜にすれば、上手くいけば……シェリーの説得が本当に上手くいけばの話だが、インビジブル・ナイツをルナ・ジオンで確保出来る。

 1年戦争が終わり、ジオン公国が消滅、ジオン軍残党となりながらも、他のジオン軍残党と協力し、最後の最後で失敗したとはいえ、水天の涙という作戦を実行しようとしたのだ。

 今更の話だが、もしかしたらこのUC世界の原作においては、ルナ・ジオンやシャドウミラーの存在がなく、そうなるとフィフス・ルナではなく月のマスドライバーを占拠して水天の涙を成功させていたという可能性もあるのか?

 まぁ、俺達が1年戦争に介入した以上、今更そんな事を考えても意味はないんだろうが。

 

「そうなると、1年戦争が終わってからまだそんなに経っていないからこそ、ジオン軍残党も元気なのかもしれませんね」

 

 しみじみと呟くシュタイナー。

 ちなみにシュタイナーの率いていたサイクロプス隊も、所属としてはキシリアの突撃宇宙軍だった。

 だとすれば、もしかしたらインビジブル・ナイツについても知ってるのか?

 そう思って聞いてみたのだが……

 

「いえ、生憎と知りませんな。サイクロプス隊を率いた私が言うのもなんですが、突撃機動軍にはかなりの数の特殊部隊がありました。お互いに顔も知らないというのも珍しい話ではありません」

「そうか」

 

 一応という事で聞いてみた感じなので、この件で知らないのならそれ以上は突っ込んだりするつもりはない。

 

「ともあれ、フィフス・ルナに襲撃があったらすぐに出撃する予定になってるから、その時は優先的に行動出来るようにしてくれると助かる」

「分かりました。こちらも戦力は整えておきます」

「ん? いや、別にわざわざサイクロプス隊が出る必要はないぞ?」

 

 ファントムスイープ隊の救援に向かった時のように、俺は1人で……というか、ゼロ・ジ・アールだけで出るつもりだった。

 だが、シュタイナーの様子を見る限りだと、それこそ自分も……いや、サイクロプス隊も出るというように思える。

 

「そう言われましても、私達の立場からすると、アクセル代表だけを出撃させる訳にはいきません。それに……敵は多いのですから、手があった方がいいでしょう」

 

 手は多い方がいいか。

 それは間違いでもない。

 今回の件に関与するのがファントムスイープ隊だけなら、気心の知れている相手だけに、ある程度の融通は利かせられるだろう。

 インビジブル・ナイツを全てこちらで確保するとなると、多少は面倒な事になるかもしれないが。

 ……とはいえ、あのホワイトベース級の艦長の性格を思えば、面倒な事になりそうだが。

 そういう時は、事故にでも遭って貰う必要があるかもしれないな。

 ともあれ、ファントムスイープ隊だけなら、最悪の場合でも艦長の事故死くらいでどうにかなる。

 だが、フィフス・ルナは連邦軍の小惑星基地として整備されている以上、相応の戦力があるのは間違いない。

 インビジブル・ナイツの襲撃は撃退したが、それによって警備が厳しくなるのは確実だろう。

 その上で、ルナツーからの援軍も来る可能性があった。

 ヤザンとかが来たら、インビジブル・ナイツに死人が出てもおかしくはない。

 ヤザンはオールドタイプだが、異名持ちと同じくらいの力は持っているのだから。

 

「そうだな。何かあった時の為の手は多い方がいいか。分かった。じゃあ、サイクロプス隊にも頼む。……とはいえ、あまり無理はしないようにしてくれ。それこそメギロートやバッタでも構わないんだから」

「いえいえ、こういう時はやはりサイクロプス隊として出撃させて貰います」

 

 獰猛な笑みを浮かべるシュタイナー。

 その表情は、俺の案内役としてではなくサイクロプス隊を率いる者としての笑みだ。

 今でこそこうして俺の案内役をやってるシュタイナーだが、やはりその本質は軍人や戦士といったものなのだろう。

 

「そうか。……けど、今回の戦いは出来る限りインビジブル・ナイツの面々を生け捕りにする事だ。そういう意味では、お前が期待しているような戦いにはならないかもしれないぞ?」

「それでもペズンで訓練だけをしてるよりはマシですよ。……ああ、けどそうですね。バーニィの奴はアクト・ザクに乗せて出したいと思ってるのですが、問題ないですか?」

「アクト・ザク? ……そっちが問題ないのなら、こっちもそれで構わないけど」

「ええ、それで構いません」

 

 アクト・ザクは1年戦争中にペズンで行われていたMS開発計画で開発されたMSだ。

 ジオン系MSなのに連邦のフィールドモーターを採用し、マグネットコーティングも施されているとか。

 純粋な性能では、それこそゲルググに匹敵する能力を持ってるらしい。

 とはいえ、今更ただのゲルググ? と思わないでもないが。

 ジオン軍残党の中では、ゲルググは最高性能のMSなのは間違いない。

 だが、ルナ・ジオンにしてみれば、一般のパイロットが使うガルバルディβですら、ゲルググよりも高性能だ。

 というか、ゲルググとギャンの良い場所を融合させたのが、ガルバルディβのベースとなった、ガルバルディαだって話だし。

 とはいえ、バーニィはザクを操縦させるとその性能を最大限に……場合によってはそれ以上に発揮するって話だったし……

 

「分かった。なら、アクト・ザクの使用を許可する」

 

 そう、告げるのだった。

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