転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3745話

「えっと、その……よろしくお願いします」

 

 バーニィが俺を見て頭を下げてくる。

 サイクロプス隊というのは特殊部隊……それもかなりの精鋭部隊の筈だけど、バーニィだけは微妙に場違いだよな。

 他の面々は、いかにも特殊部隊といった様子で一癖も二癖もありそうな様子だ。

 俺に対しては丁寧に接するシュタイナーも、それはあくまでも俺がルナ・ジオンの後ろ盾となっているシャドウミラーを率いる立場だからこそ、そういう態度なだけで、部下達に指示を出してるのを見れば特殊部隊の隊長という事で納得出来る。

 だが、バーニィは見るからに新人っぽい感じがする。

 あるいはザク特化型としてサイクロプス隊に配備されたのかもしれないな。

 

「ああ、よろしくな。アクト・ザクの性能を楽しみにしてる」

「アクト・ザクはいい機体です。それを証明してみせます!」

「あー……うん。頑張ってくれ」

 

 バーニィの勢いに負けるようにそう言ったが、ぶっちゃけもしバーニィがアクト・ザクを使いこなして大きな戦果を挙げても、ルナ・ジオン軍の主力量産MSとして採用される事はない

 どんなに頑張っても、精々が少数量産といったところだろう。

 何しろ普通に性能を比べたらガルバルディβの方が上なのだから。

 バーニィのように、ザクの性能を数値以上に引き出せるといった特殊な能力でもない限り、アクト・ザクを使う必要はないだろう。

 もしくは、ルナ・ジオン軍の中にもザクに強い愛着を持つ奴はいるらしいので、そういう連中なら乗るかもしれないが。

 

「とにかく……」

 

 俺が言葉を続けようとした時、ルナ・ジオン軍の人間がこちらに向かって走ってくるのが見えた。

 

「ペズンに所属する者です」

 

 シュタイナーが俺に向かって端的に言う。

 シュタイナーが言うのなら、人違いということはないだろう。

 とはいえ、その軍人の男の顔には真剣な様子だ。

 それはつまり、何かがあったという事を意味していた。

 ……具体的に何があったのかは分からないが。

 とはいえ、この状況で起きた何かとなると予想するのはそう難しくはない。

 それを証明するかのように、駆け寄っていた軍人は俺に向かって敬礼すると口を開く。

 

「アクセル代表、フィフス・ルナのマスドライバーが占拠されました!」

「そうか」

 

 その報告に、俺はやっぱりなと思いつつそう返す。

 インビジブル・ナイツがフィフス・ルナのマスドライバーを狙うのは、元々予想出来ていた。

 そのような状況である以上、その報告を聞いたからといって特に驚くような事はない。

 

「それで……その……」

「すぐカトンボの出撃用意をしてくれ。それとサイクロプス隊が一緒に出るから、それも忘れないように頼む」

「サイクロプス隊もですか……?」

 

 軍人の男は、俺の側にいるシュタイナーを始めとしたサイクロプス隊の面々に視線を向ける。

 だが、そのような視線を向けられたシュタイナーは頷いて口を開く。

 

「そうだ。アクセル代表を1人で行かせる訳にはいかないだろう。分かったら、すぐに準備をしろ」

「は! 了解しました!」

 

 シュタイナーの言葉に、兵士は素早く敬礼すると走り去る。

 

「では、アクセル代表。私達も出撃の準備をしますので、この辺で」

「分かった。戦いに参加するのを止めるつもりはないが、こんな戦いで死んだりするなよ」

 

 俺にとってはそれなりに重要な戦いだが、極論すればインビジブル・ナイツとサイクロプス隊のどちらを選ぶかという事にもなりかねない。

 そういう事になった場合は、俺は躊躇なくサイクロプス隊を選ぶだろう。

 既にルナ・ジオンに所属しているサイクロプス隊と、シェリーに頼まれたとはいえ、こっちの味方になるかどうか分からないインビジブル・ナイツ。

 そのどちらを選ぶのかは、考えるまでもない。

 クリストやシェリーにしてみれば、自分達との約束はどうしたと言いたくなるかもしれないが、それはそれだろう。

 そうなった時、クリストとシェリーがどうするのかは分からないが。

 もっとも、俺にとって最善なのはサイクロプス隊が無事なままで、インビジブル・ナイツを確保する事だ。

 やるのが難しいのは間違いないが、ゼロ・ジ・アールならそれも出来るだろう。

 ……いや、ゼロ・ジ・アールの性能を考えれば、寧ろ威力過剰ではあるのだが。

 もし撃破するだけなら、それこそ何とでも出来る。

 だが、ゼロ・ジ・アールの装備する武器の威力は高く、それこそ命中させればMSを撃破してしまうだろう。

 そうならないようにする為には、それこそSEED世界でキラがやっていた不殺のように、手足や頭部を破壊するといった感じで攻撃し、小破や中破したところをサイクロプス隊に確保して貰うのが一番いい。

 

「は! サイクロプス隊の実力をご覧にいれましょう!」

 

 笑みを浮かべ、シュタイナーはそう告げるのだった。

 

 

 

 

 

「まぁ、こうなるのは自然な流れだったけどな」

 

 俺はゼロ・ジ・アールのコックピットでそう呟く。

 ペズンに行く時もそうだったが、70m程もあるゼロ・ジ・アールの巨体からすると、カトンボの格納庫に搭載したりは出来ない。

 そんな訳で、ゼロ・ジ・アールは前回と同じようにカトンボに牽引される形でフィフス・ルナに向かっていた。

 なお、サイクロプス隊のMSは当然ながらカトンボに収納されている。

 ちなみにサイクロプス隊はバーニィがアクト・ザクを使っているが、他の面々は全員がギャン・クリーガーだ。

 ギャン・クリーガーは高性能MSだが、それだけに使いこなすのは難しい。

 ましてや、シェキナーという強力だが扱いにくい長物の武器を装備していれば尚更だろう。

 だが、サイクロプス隊はバーニィ以外の全員がエース級の実力を持つ。

 ……実際にはエース級と一口に言っても、そのエース級の中でも実力の上下はあり、隊長のシュタイナーとエースのミーシャ以外はエース級ではあっても下の方が……もしくは準エース級と呼ぶのが正解な実力だろうが、それでもギャン・クリーガーを操縦するには十分な実力を持っていた。

 また、それ以外にメギロートやバッタがそれなりに搭載してるので、ゼロ・ジ・アールを抜かしてもカトンボの戦力だけで小惑星基地の1つや2つは占拠出来るんじゃないかと思える。

 実際にそんな事をするかと言われれば、正直微妙なところだが。

 ルナ・ジオン軍の戦力は十分にある以上、別にサイクロプス隊だけでわざわざ出撃させる理由はないのだから。

 

『アクセル代表、情報が入りました。ファントムスイープ隊もフィフス・ルナに向かっているとの事です』

 

 カトンボのブリッジからそんな通信が入る。

 ちなみに月からペズンに向かう時は、基本的にディアナの技術者達がブリッジにいたが、今回はペズンから軍人を借りている。

 ペズンに移動するだけなのと、明確に戦闘になるフィフス・ルナに向かう違いを考えれば当然だろう。

 もっとも、量産型Wが艦長をしているのでそこまで大きな問題はないのだろうが。

 ただ、こうして連絡をしてくる時に軍人ならそれなりに慣れているので助かる。

 ……ちなみに、こうして軍人が乗っているのは間違いないが、だからといってディアナの技術者が乗っていない訳ではない。

 何しろゼロ・ジ・アールはまだ色々と未知数のMAだ。

 場合によっては、普通では入手出来ないデータを測定可能かもしれないのだから。

 そんな風に思いつつ、映像モニタに向かって口を開く。

 

「分かった。ファントムスイープ隊が出て来たという事は、間違いなくフィフス・ルナで大きな戦闘となるだろう。問題なのは、俺達とどっちが早く到着するかだが」

『カトンボの速度を考えると、恐らくこちらが先になるでしょう』

 

 自信ありげな様子の軍人だったが、ファントムスイープ隊が母艦としているのはホワイトベース級だ。

 連邦軍の所有する軍艦の中では最高峰の性能を持つ。

 ……もっとも、連邦軍再編計画において新型の軍艦が開発されるらしいので、ペガサス級以上の性能を持つ軍艦が開発される可能性は十分にあったが。

 とはいえ、連邦軍再編計画で開発される軍艦はあくまでもMSの運用を考えていない、旧世代の軍艦だ。

 ただ、個人的には連邦軍再編計画で開発される軍艦が気になっているのは間違いない。

 ルナ・ジオンはMSやMAについては優れた技術者がいるので、心配はいらない。

 ガルバルディβやギャン・クリーガーを見れば明らかだし、ペズンでも次期主力MSの開発計画が行われている。

 MAについても、MIP社がいるし、地上のギニアスもいる。

 だが……それが軍艦となると、話は別だ。

 一応1年戦争の時にジオン公国と取引をして、グワジン級やドロス級を入手してはいる。

 その2隻を調査して、基本的な技術の蓄積を行ってもいる。

 だが、それでも現状においてルナ・ジオン軍が新型の軍艦……特に戦艦の類が開発されていたりはしなかった。

 ドロス級やグワジン級を量産するという意見もある。

 1年戦争時代の軍艦だけに、性能が低いのではという反対意見で実行されたりはしていないが。

 それ以外にも、カトンボやヤンマといったナデシコ世界の軍艦がかなり使いやすいのというのも、軍艦の開発が遅延している理由だろう。

 そういう意味で、連邦軍再編計画の軍艦は興味深い一面があるのも事実。

 MS運用艦ではないという時点でどうかと思うが、その辺は改修すればいいし。

 とはいえ、連邦系とジオン系ではMSも戦艦も意匠というか、その外見が違う。

 連邦系はMSや戦艦も含めて角張った感じのものが多いのに対し、ジオン系はMSも戦艦も曲線を重視した作りとなっている。

 この辺はあくまでも個人の価値観とか好みとかそういう問題なのだが、個人的にはジオン系の曲線を多用したMSや戦艦の方がいいと思う。

 実際、グワジン級の性能はかなり高く、ホワイトベース級よりも上だし。

 とはいえ、欠点もある。

 具体的には、あくまでも宇宙での運用を前提としている宇宙戦艦であって、地球上では使えない事か。

 ホワイトベース級は基本的にミノフスキークラフトを装備しているので、地球でも使えるんだよな。

 そういう意味では、ホワイトベース級の方が使いやすいのは間違いない。

 

『アクセル代表、それでどうしましょうか? 少し急がせますか? それとも遅らせて漁夫の利を狙うという選択肢もありますが』

「急がせてくれ」

『了解しました』

 

 俺の言葉に頷き、通信が切れる。

 単純にインビジブル・ナイツを殲滅するだけなら、軍人が言ったように漁夫の利を狙ってもいいかもしれない。

 だが、こっちが行うのは、あくまでも敵を全員……それが無理なら可能な限り生け捕りにする事だ。

 そういう意味では少しでも早くフィフス・ルナに到着したい。

 ……にしても、今更、本当に今更の話だが、何でファントムスイープ隊はフィフス・ルナじゃなくてルナツーに向かったんだろうな。

 こっちにしてみれば先に到着出来そうなので助かってるが、元々フィフス・ルナのマスドライバーが狙われたというのを考えると、疑問だ。

 連邦軍という巨大な組織の事だと考えれば、何かもっと別の狙いとかがあるのかもしれないが。

 その辺については別に俺が考える必要はないか。

 ルナ・ジオンやシャドウミラーにとって問題がないのなら、追及する必要もないし。

 そうして考えている間に、カトンボはフィフス・ルナまで大分近付く。

 フィフス・ルナから、戦闘光の類は見えない。

 やはり俺達の方がファントムスイープ隊よりも先に到着したのだろう。

 フィフス・ルナには連邦軍の部隊がいた筈だが、そっちについては既に占領されているという情報が入っている以上、もう撃破されたのだろう。

 とはいえ、フィフス・ルナに所属していた全てのMS隊が撃破されたのかと言われれば、ちょっと疑問だ。

 普通に考えて、インビジブル・ナイツという特殊部隊だが、それでも1部隊でしかない……しかも軍隊のバックアップもない残党で、フィフス・ルナという小惑星基地にいるMS部隊を全て倒したというのは、ちょっと……いや、かなり疑問だ。

 だとすれば、考えられるのはマスドライバーを巡っての戦闘では負けたが、現在フィフス・ルナの戦力を集めており、マスドライバーを占拠しているインビジブル・ナイツを倒す作戦を考えているといったといころか?

 あくまでも、これは俺がそうかもしれないと思っているだけで、実際にどうなのかは分からない。

 分からないが、それでも可能性は高いと思う。

 だとすると……ちょっと急いだ方がいいな。

 そう判断すると、カトンボの格納庫でMSに乗って待機しているサイクロプス隊……正確にはそれを率いるシュタイナーに通信を入れる。

 

「シュタイナー、少し急いでフィフス・ルナに行った方がいい。その為、俺はゼロ・ジ・アールで先行するが、お前はどうする?」

『それは……ですが、私達のMSではここからフィフス・ルナまで向かうとなると……』

「もし一緒に行くのなら、ゼロ・ジ・アールで牽引してやる」

 

 グラブロは水陸両用MSを牽引する事によって、半ばSFS的な使い方も出来るのは知っている。

 なら、ゼロ・ジ・アールでも同じような事が出来るだろうと判断しての言葉だったが……シュタイナーは俺の言葉に少し戸惑いつつも、頷くのだった。

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