転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3753話

 エリクとクリスト、タチアナの3人が抱き合ってから10分程が経過したところで、取りあえず落ち着く。

 

「あー……悪いな。エリクはこういうところがあるんだよ」

 

 何も言わないエリクに代わり、クリストがそう言う。

 エリクの兄貴分といった感じだな。

 実際、そんな感じらしいし。

 

「そろそろ落ち着いたでしょう?」

「……ああ」

 

 タチアナの言葉に、エリクは顔を上げてそう言う。

 そして俺を見ると、頭を下げてくる。

 

「アクセル、私をまたこの2人に会わせてくれて、感謝する」

「気にするな。何度か言ったが、俺にも色々と考えがあっての事だ。……ともあれ、折角の再会なんだ。今日は1日、全員でゆっくりとするといい。何なら、市街地の方に場所を用意してもいいが?」

 

 そう尋ねるも、タチアナは首を横に振る。

 

「いえ、折角なのでここで皆と話したいと思います」

 

 タチアナが見ているのは、兄妹で暮らしている建物だ。

 ただし、その建物はそこまで大きなものではない。

 インビジブル・ナイツの面々全員が入れるかと言われれば入れるだろうが、全員がゆっくり出来るかと言われれば微妙なところだろう。

 ましてや、周囲の建物に住んでいるのは農作業をさせられている囚人だ。

 そんな者達のいる場所でゆっくり出来るとは思えない。

 思えないのだが……

 

「本当にいいのか?」

 

 念の為に尋ねるが、タチアナは俺の言葉に頷く。

 クリストの方はと見ると、首を横に振られる。

 

「タチアナがこう言う以上、反対は出来ない。それにエリク達の事を考えれば、今は周囲に誰も人がいない方がいいだろう」

 

 タチアナに続いてクリストまでがこう言うのなら、俺としても無理に連れて行こうとは思わない。

 インビジブル・ナイツについては、特殊部隊としてそこまで有名ではない以上、街中に連れて行っても特に問題はないと思うんだけどな。

 これが例えば、黒い三連星とかのように大々的に知られているのならともかく。

 もっとも、黒い三連星はルナ・ジオンを代表する異名持ちなのは間違いないものの、3人全員が強面だし、粗暴な性格をしている。

 実際には話してみればそこまでではないんだが、その辺について何も知らないと、実際に声を掛けるまでが大変だろう。

 ともあれ、そんな黒い三連星と違ってインビジブル・ナイツの面々はそこまで目立つ様子ではない。

 いやまぁ、エリクやタチアナを始めとして、男女共にそれなりに顔立ちが整っている面々がいるので、実際に声を掛けられるような事があってもおかしくはないと思うが。

 ともあれ、この農場でゆっくりしたいと言われればこれ以上は何も言えないか。

 

 

「分かった。なら……そうだな。これでも食べてゆっくりしてくれ」

 

 そう言い、俺は空間倉庫の中から色々と料理を取り出す。

 一応タチアナ達は客人という扱いだ。

 その為、農作業をしている囚人達とは違い、食事もマブラヴ世界から輸入した合成食ではなく、きちんと食べて美味い料理が出されている。

 この農場にも誰か視察に来た時とかの為に、合成食以外の食事もある程度は保存されているし。

 とはいえ、それでも種類とかは多くないので、こうして皆が集まってゆっくりと食べる時は困る。

 そんな訳で、俺の空間倉庫にストックしてある料理の数々を出した訳だ。

 その光景に驚きで目を奪われる者も多かったが、取りあえずエリク達の邪魔をしてはいけないので、何か困った事があったらコバッタに言うように指示すると、俺は影のゲートでその場から転移するのだった。

 

 

 

 

 

「なるほど、分かりました。インビジブル・ナイツについてはそれでいいでしょう」

 

 セイラが飲んでいた紅茶をテーブルに置きながら、そう言う。

 転移して街中に戻ってきたところで、一応報告をする為にセイラに会いに来たんだよな。

 幸い、今日はそこまで忙しくはなかったらしく、仕事は一度置いておき、こうして俺とお茶の時間を楽しんでいる。

 

「悪いな」

「アクセルが謝る事ではないでしょう? 実際、インビジブル・ナイツというのがアクセルの言う通りの実力があるのなら、これは私達にとっても大きな利益でしょうし」

 

 そう言いつつも、セイラの視線が微妙に俺を責めているように思えるのは……多分、気のせいとかそういう訳じゃないんだろうな。

 とはいえ、インビジブル・ナイツの一件は殆ど成り行きでの話だし。

 そんな俺の様子を見ていたセイラだったが、もうこれでいいと判断したのか、話題を変える。

 

「それにしても、今回の件でジオン軍残党の件は大きな問題になりそうね」

「だろうな。正直なところ、ジオン軍残党があれだけの戦力を残しているとは思わなかった」

 

 地球ではグラブロ、宇宙ではビグロ。

 MAというのは、基本的に決まった場所でしか使えないものの、その領域では非常に大きな力を発揮する。

 そんなMAをジオン軍残党は所有していたのだ。

 それだけでも、ジオン軍残党を危険視するのはおかしくない。

 今までもジオン軍残党はそれなりに活動していた。

 ルナ・ジオンに対してちょっかいを出すことは基本的になかったものの、それだけに連邦は相応の被害を受けていた。

 だが……そのような被害を受けていた連邦にしても、まさかここまでジオン軍残党が戦力を有しているとは思ってもいなかっただろう。

 今回の一件で連邦軍もそれについて知った以上、これからジオン軍残党の対策についてはもっと重要視されるだろう。

 

「もしルナ・ジオンがなければ、どうなっていたのかしらね」

「それは……どうなっていたんだろうな」

 

 セイラの言葉に、もしそうなったらどうなっていたのかを考える。

 ルナ・ジオンは、青い巨星、黒い三連星、ソロモンの悪夢、荒野の迅雷といった異名持ちが多数いる。

 また、それらと違ってルナ・ジオン建国後に宇宙の蜉蝣の異名を持つようになったシーマもいる。

 また、闇夜のフェンリル隊やノリスのように、異名持ちではなくてもそれに匹敵する精鋭もいる。

 そして一般の兵士も数多くルナ・ジオンにやって来た。

 それ以外だと、ガルマの率いるジオン共和国にはガルマ派、ドズル派、デギン派といった者達がいる。

 ジオン公国軍がそこまで分裂したにも関わらず、今回のような騒動になっているのだ。

 それを考えれば、ルナ・ジオンの建国や俺を含めてシャドウミラーの介入がなかった原作の場合、一体どれだけの戦力がジオン軍残党として活動していたのか。

 

「あくまでも感覚的なものだが、下手をしたら1年戦争時代……ジオン公国軍よりもジオン軍残党の方が戦力が豊富な気がするな」

「それは……局地的なものだからでしょう? 1年戦争の時は、地球全土、そして宇宙でもかなりの部分にジオン軍は戦力を配備する必要があった。けど、ジオン軍残党はそのような事はなく、ただ自分達の為だけに行動すればいいのだから、そのように見えるのではなくて?」

「客観的に見ればそうなんだろうけどな。ただ、実際に戦いの場にいた身としては、やっぱり戦力が豊富だと思えた」

「そうなると、連邦軍もこれから厳しいでしょうね」

「だろうな。その為の連邦軍再編計画とかガンダム開発計画とかなんだろうけど……それが実を結ぶまでは、ジオン軍残党の処理にかなり手こずる事になりそうだな」

 

 MSを使って襲撃してくる以上、戦車のような通常兵器で対処するのは難しい。

 かといって、MSを運用するには何だかんだと結構な資金が必要となる。

 そして戦後復興期の今、連邦軍は潤沢に資金がある訳でもない。

 いっそメギロートとかを連邦軍が採用していれば、人件費とかの問題は気にしなくてもいいんだが。

 ただ、当然ながら連邦軍がそれを受け入れる訳がない。

 それこそ俺達に友好的なゴップやコーウェンであっても、メギロートを受け入れるといった事はしないだろう。

 あるいは、データをシャドウミラーに渡さない、完全な独立型……スタンドアローンのメギロートとかなら話は違うかもしれないが。

 そういうのがない以上、どうしようもないのは間違いない。

 

「私達にとっては、その方がいいでしょう? 強硬派が妙な動きをしないという意味でも」

「それは否定しないが、強硬派の場合はその辺の状況を無視してでもこっちを攻撃してきたりしてもおかしくないと思うが?」

 

 1年戦争から結構な割合で強硬派には悩まされてきた。

 ……ジーラインとかジム・コマンドの件も考えると、強硬派には悩まされているものの、こっちにとって全く利益がない訳でもないのだが。

 

「それでも連邦軍が万全な状態で強硬派が何かをするよりは今の方がいいでしょう?」

「それはそうだな。まぁ、幸か不幸かインビジブル・ナイツの件で強硬派も結構な被害は受けただろうけど。ただ、そうなるともしインビジブル・ナイツがルナ・ジオンにいると知られれば、強硬派はそれを理由にちょっかいを出してくる可能性もあるけど、大丈夫か?」

 

 インビジブル・ナイツがフィフス・ルナでの戦いで俺達に確保されているのは、恐らくジャマイカンから報告が上がるだろう。

 そうなると、連邦軍からインビジブル・ナイツを引き渡すようにと要請が来てもおかしくはなかった。

 とはいえ、折角手に入れた人材をセイラが引き渡すとは思わなかったが。

 

「その時は受けて立つ必要があるでしょう。偽りではなく、本心からルナ・ジオンに所属をしたいと思ったのなら、私も全力で守るわ」

 

 本心からとかなると、多分だけどルナ・ジオンに所属したいという気持ちを偽ってやって来た者がいるんだろうな。

 そういう連中は、それこそセイラにしてみれば庇う価値のない相手と認識されてもおかしくはない。

 

「分かった。セイラがそう言うのなら、インビジブル・ナイツについては任せてもいいんだろうな。じゃあ、この後のインビジブル・ナイツについてはセイラに……というか、ルナ・ジオンに任せるけど、それでいいな?」

「それは構わないけど、もしかしてもう帰る気? インビジブル・ナイツの人達も、何も言わずにアクセルがいなくなったのでは寂しがるのではなくて?」

「どうだろうな。そこまで気にしないとは思うが。……ああ、でもそうだな。クリストやタチアナはその辺を気にしてもおかしくはないか」

 

 クリストは義理堅い性格をしているし、タチアナは何だかんだと俺と結構長い時間一緒にいた。

 その辺から、あの兄妹なら何も言わずに俺がペルソナ世界に戻れば不満に思ってもおかしくはない。

 とはいえ、クリストは足の治療で近いうちにホワイトスターに来るのだから、もしかしたらその時に俺と会うかもしれない。

 あるいはクリストだけではなく、タチアナや……場合によってはエリク、もしくはいっそインビジブル・ナイツの全員がホワイトスターに来る可能性もある。

 インビジブル・ナイツならエリクがしっかりと纏めているので、ホワイトスターに来ても変な真似はしないと思うので、それは別に構わない。

 あくまでもセイラがその辺を認めればの話だが。

 

「それでももう少しはこっちにいてもいいのではなくて?」

「時間に余裕があれば、俺もそうしたいとは思う。けど、現在ペルソナ世界の方で色々と事件が起きていてな。俺が久しぶりにこっちに来て、水天の涙に関わった結果として、それなりに事態が進んでる」

「……アクセルがいなくてもその事件が問題なく進んでいるのなら、別に無理をしてアクセルが行く必要もないと思うのだけれど」

 

 そう言い、セイラが俺に視線を向けてくる。

 何だか俺をUC世界に留めようとしているように思うが、一体何でだ?

 別に俺がペルソナ世界に行ったところで、特に何も問題はないと思うんだが。

 

「そうかもしれないが、向こうでは実際にマヨナカテレビに関する事件が起きてるんだ。そうである以上、こっちにいつまでもいる訳にいかないのは分かるだろう?」

「……そうね。ちょっと無理を言ったかもしれないわ。気にしないでちょうだい」

「まぁ、またそう遠くないうちにこっちには来るつもりだから。そうしたらここにも顔を出すよ」

 

 何しろこのUC世界ではまだまだ原作がありそうな感じだし。

 とはいえ、それが具体的にいつになるのかは分からないが。

 今回俺が来たのは、強硬派の件でゴップからMSを貰う為だった。

 それが偶然、インビジブル・ナイツの水天の涙に被った形だ。

 そう考えると、俺が知らない場所では既に何らかの原作があった可能性は否定出来ないか。

 もっとも、その辺はセイラとかに聞いてもちょっと分からないと思うが。

 水天の涙程に大きな出来事でも起きていれば、それが原作だと分かるかもしれないが。

 とはいえ、ジオン軍残党の戦力を考えればそう簡単に大きな騒動を起こせるとは限らない。

 もしくは、水天の涙のように大きな騒動ではなく、もっと小さいな出来事……それこそMSとかは関係なく、人間関係のドラマとかそういうので何らかの原作があってもいいんだが……それを察知するのは、それはそれで難しそうな気がする。

 そんな風に思いながら、俺はセイラとのお茶を楽しむのだった。

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