転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3754話

「あら、これはそれなりに凄いわね」

 

 ホワイトスターにある魔法区画にある魔法球の中……技術班の本拠地とも言うべき場所で、レモンは俺が空間倉庫から取り出したゼロ・ジ・アールを見て感心したように言う。

 外見だけしか見ていないのだが、それでも大体理解出来てしまうのは、レモンの天才性故だろう。

 

「凄いと言っても、MAなら他にも色々とあっただろ?」

「そうだけど、UC世界で開発されたMAでこういう……そうね、縦方向に大きいのはビグ・ザムくらいでしょう? とはいえ、こうして見た感じではまだ発展途上のMAといったところかしら?」

「俺は手動で操縦したけど、基本的には自動操縦がメインだとか、そんな感じを考えればそれは正しいかもしれないな」

「他にも、あのメガ粒子砲があるでしょう?」

 

 そう言い、レモンが指さした方向にあったのは、砲塔型のメガ粒子砲だった。

 

「砲塔型のメガ粒子砲か? あれがどうした?」

「多分だけど、あれは恐らくムサイ級……いえ、他の軍艦かしら。とにかくそれからの流用でしょう? そういう意味では砲塔型は便利かもしれないけど、そのまま流用してるというのはちょっとどうかと思うわ」

「けど、射角をある程度自由に出来るという意味で、大きいぞ?」

 

 砲塔型の利点は、まさにそれだ。

 ある程度射角を自由に出来るという事で、ゼロ・ジ・アールを使った戦いにおいては一番使われている武器となる。

 

「そうかもしれないけど、それでも本格的に使うのなら、もっと洗練された形にしてもいい筈よ。それに……手とかもね」

「あー……それは……」

 

 砲塔型のメガ粒子砲はともかく、ゼロ・ジ・アールの手については何とも言えない。

 いや、一応エルクのゲルググを捕らえたし、AMBAC肢としても使い道はあるのだが。

 とはいえ、言ってみればそれくらいしか使い道がないのも事実。

 本来なら、手持ち武器の類があってもおかしくはない、そんな巨大な手だ。

 レモンにしてみれば、そんな手があるのに手持ち式の武器がないのは疑問なのだろう。

 

「でしょう? だから、多分ゼロ・ジ・アールは……そうね。ザクで言えば旧ザクみたいなものよ。これからザクⅡはそうだし、そこからF型やS型、J型……それ以外にも様々な後継機がでてくるんじゃないかしら」

 

 その言葉に、アクシズならあるか? と考えてしまう。

 実際問題、アクシズがゼロ・ジ・アールを開発したのを思えば、そういう風になってもおかしくはないのだから。

 

「となると、このゼロ・ジ・アールの価値はどのくらいだと思う?」

「え? うーん……そうね。歴史的な意味でも、戦力的な意味もそれなりに高いと思うわよ? ただ、アクセルはあまりこういう機体は好みじゃないでしょ?」

「今更だな」

 

 元々混沌精霊となった俺の反応速度に対応した機体は、ニーズヘッグしか存在しない。

 ジーラインを始めとしたMSであっても、こう……例えるのなら何重にもした手袋で箸を使い、豆を摘まむようなものだ。

 ジーラインの代わりにゼロ・ジ・アールを操縦しても、それは手袋をもう1枚か2枚増やした程度のものでしかない。

 勿論これはいわゆる比喩で、普通ならそんなに多数の手袋を使うことが出来ないのは理解しているが。

 とにかく、俺にとってはジーラインもゼロ・ジ・アールも操縦する上での負担はそう違わないのは事実。

 

「ふふっ、そうね。アクセルがニーズヘッグを評価してくれるのは嬉しいわ。とはいえ、技術班としてはそれを喜んでだけはいられないのよ。T-LINKシステムならアクセルの反応速度についてこられるけと、ET-LINKシステムの方だと無理だし」

 

 ET-LINKシステムというのは、Easy T-LINKシステムだ。

 分かりやすく言えば、T-LINKシステムの簡易版的な感じと思えば分かりやすいと思う。

 とはいえ、それでも普通のパイロットなら十分に成果を発揮するのだが……俺の場合、それでも難しい。

 とはいえ、個人的にはその辺に不満を持っていたりとかはしないので、特に問題はなかったりするのだが。

 

「とにかく、このゼロ・ジ・アールは技術的に幾つか見るところはあるけど、そこまでではないというのが結論ね。ただ、さっきも言ったけど後継機には期待出来るから、その系統の始祖の機体と考えれば、歴史的な価値は十分にあるわ」

「分かった。なら、これは保存だな。ジーラインも同じように保存するとして……ジム・コマンドはどうする?」

 

 ゼロ・ジ・アールを含め、今回貰ってきたMSやMAは既にルナ・ジオンでそれなりに詳細に調べられている。

 勿論、ディアナの方で何か必要な事が出てきたりもするので、そういう時は要望があればこちらからその情報を引き渡したりするものの、基本的には魔法球の中にある専用の倉庫に他の技術的資料の機体と共に並べられておく事になる。

 ジーラインも同様の扱いになるが、ここで扱いに困るのはジム・コマンドだ。

 アムロの回避データが入力されているのを考えると、ジム・コマンド改と評してもいいのかもしれないが。

 ともあれ、既に所有しているジム・コマンドと比べて、違うのはアムロの回避データが入っているだけという機体だ。

 であれば、わざわざその機体を保存しておく必要があるのか。

 そんな俺の疑問に、レモンは特に考える事もなく頷く。

 

「そうね。取りあえず保存しておくわ。アムロはアクセルの目から見ても凄腕なんでしょう?」

「ああ、それは否定しない」

 

 アムロは連邦軍最高のニュータイプだ。

 1年戦争時点では、UC世界最高のニュータイプのパイロットですらある。

 もっとも純粋に最高のニュータイプとなればセイラがいるし、ニュータイプのパイロットという点でも俺に抱かれた影響で急激に能力が伸びたクスコはアムロに並ぶだろうが。

 ともあれ、そんな諸々を考えてもアムロがUC世界において最高峰のパイロットなのは間違いのない事実だ。

 

「なら、そのニュータイプの回避データはそれなりに参考になると思うわ。それをどう使うのかは、正直なところまだ分からないけど。それでもデータはないよりもあった方がいいでしょう?」

「レモンがそう言うのなら、俺は特に反論しない。実際にあって困るって物でもないだろうし」

 

 そんな訳で、ジム・コマンドについてもきちんと保存される事になる。

 場合によっては、そのままキブツに突っ込まれる事になるかもしれないと思っていたので、そういう意味では幸運だった……のか?

 

「それにしても、UC世界の技術の発展は早いわね」

「戦争中だったからな。その戦争も終わったし、MSの発展はあるにしても、そこまで急速にという事はないと思う」

「戦争が文明の進化を促す……どこかで聞いたような言葉ね」

「そうだな」

 

 俺とレモンはお互いに笑みを浮かべ、共通の友人の顔を思い浮かべる。

 もしヴィンデルがここにいたら、一体何て言っていただろうな。

 そのことが少し気になったものの、もしヴィンデルがいたら、恐らくシャドウミラーは今とは全く違う形の国になっていただろう。

 それはそれでどういう国になったのか興味深いものがあったが、今のシャドウミラーのように色々な世界から優秀な人材を集めるといったことは難しかったように思う。

 もしくはもっと苛烈な感じになったとか、そんな感じで。

 とにかく、それだけに絶対とは言えないものの、多分今の方が暮らしやすいと思う。

 その辺は人によって違うから、現在のシャドウミラーの中にはヴィンデルがいた時の方が居心地が良かったということになっているかもしれないが。

 それから暫く、ヴィンデルを知ってる者同士で俺とレモンはシャドウミラー……国ではなく、特殊部隊だった時の思い出話を行うのだった。

 

 

 

 

 

「さて、じゃあ……俺は行くけど、大丈夫か?」

「……そこまで言うのなら、もう少し手加減をしてもいいのではないか?」

 

 コーネリアが、責めるような視線をこちらに向けてくる。

 昨日、ホワイトスターに戻ってきたが、すぐにペルソナ世界に戻るのではなく、家で一泊した。

 そうなれば当然だが夜の行為も行われる訳で……久しぶりだっただけに、いつも以上に燃え上がったのは事実。

 実際、最終的には不満を言っているコーネリアも含めて俺以外の全員が気絶するという事態になったのを思えば、コーネリアが不満そうにしても無理はない。

 ちなみに意外なことに、最後まで意識があったのは円だったりする。

 それは別に円が夜の行為に強いとかそういう事を意味してる訳ではない。

 偶然……行為の流れから、ある程度円に余裕があるような形になったというのも大きいのだろう。

 

「久しぶりだから、全員を思う存分愛したんだけどな」

「ぬぅ……」

 

 俺の言葉に、コーネリアの頬が薄らと赤くなる。

 今まで何度となく……それこそ数え切れない程に身体を重ねてきたし、俺の身体もコーネリアの身体も、お互いの指や唇が触れていない場所はないと断言出来る。

 そんなコーネリアだが、それでもこういう言葉で薄らと頬を赤くするのは……うん。もうペルソナ世界に戻る訳じゃなければ、それこそ今からでもコーネリアを寝室に連れ込みたいと思ってしまう。

 とはいえ、まさかそんな事が出来る訳でもないのだが。

 

「ペルソナ世界の一件が終わったら、また熱い夜を楽しむとしよう」

 

 そう言い、俺は影のゲートを使って転移区画に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「うーん、久しぶりに戻ってきた気がするな」

 

 稲羽市を歩きながら、そんな風に呟く。

 ホワイトスターの転移区画からペルソナ世界へ。

 そしてペルソナ世界のゲートが設置してある東京から稲葉まで影のゲートを使い、それこそ数分も経たずに稲羽市までやって来る事が出来た。

 普通に考えれば、この移動速度は明らかに異常なんだろうな。

 もっとも俺にしてみれば、これは普通なのだが。

 まぁ、別に誰に知られる事でもないし、その辺はあまり気にしなくてもいいか。

 それより問題は、これからどこに行くかだな。

 やっぱりジュネスか?

 屋上にあった高級ホットドッグ、そろそろ食べたいと思っていたし。

 ……純粋にホットドッグを食べるだけなら、実は空間倉庫にそれなりにある。

 この前、インビジブル・ナイツの面々を農場に残してきた時もこのホットドッグをそれなりに渡してきたが、それでもまだ余裕はあった。

 ちなみにインビジブル・ナイツがルナ・ジオンに正式に所属するようになったのは、このホットドッグのお陰……というのはちょっと大袈裟か。

 タチアナが保護された件や、クリストの足の治療の件を考えると、エリクの性格からしてルナ・ジオンに所属しないという選択肢はないだろう。

 最悪でも、受けた恩を返すまではいる筈だ。

 そうなると、何だかんだとルナ・ジオンに残ってしまうような気がする。

 そんな風に思いつつ、俺はジュネスに向かう。

 時間としてはまだ午前中……昼までもう少しといった時間なので、あまり通行人の姿は多くない。

 これが放課後になれば、高校帰りの生徒とかが結構いるんだが。

 稲羽市の学生にとって、ジュネスというのは絶好の遊び場だ。

 あるいはバイトをする場所か。

 実際、放課後の時間帯にジュネスを歩いていると、バイトをしている高校生の姿を見る事も多いし。

 ……つい数日前までUC世界でMSやMAを使った戦闘をしていただけに、こうしてペルソナ世界を歩いているとちょっと違和感があるな。

 もっとも、俺にしてみればMSに限らず人型機動兵器で戦いつつ、そういうのと全く関係ない生身で戦う世界を行き来するのは、そう珍しい話ではない。

 そんな訳で、天城屋旅館で数日泊まってTVの中の世界で行動していれば、こっちのやり方に戻るだろう。

 というか、TVの中の世界に逃げ込んだ足立ってどうなったんだろうな。

 堂島辺りに話を聞いてみれば、その辺ももう少しははっきりしそうだけど……どうなんだろうな。

 

「あれ?」

 

 ジュネスの屋上にあるフードコート。

 そろそろ昼という事もあり、それなりの賑わいを見せている。

 それはいいんだが、目的だったホットドッグの屋台がない?

 ホットドッグの屋台のあった場所には、ハンバーガーを売ってる屋台がある。

 とはいえ、メニューの写真を見た限りだとハンバーガーとはいえ、ファーストフード店で売ってるようなハンバーガーではなく、1個1000円くらいする本格的なハンバーガーだ。

 このハンバーガーも美味そうではあるが、ホットドッグを食べるつもりになっていただけに、ちょっとこれは予想外だった。

 とはいえ、折角ここまで来たんだからハンバーガーを買っていくとしよう。

 天城屋旅館にいるシャドウワーカーの面々に差し入れとして買ってもいいだろうし。

 それにホットドッグの屋台がどうなったのか聞いてもいい。

 そう思いながら、屋台に近付いていく。

 

「いらっしゃいませ」

 

 ちょっと意外だったのは、店主がまだ若い女だったという事か。

 それなりに顔立ちが整っており、この店主を目当てに客が来てもおかしくはない。

 そんな風に思いつつ、俺はハンバーガーを20個程注文するのだった。

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