転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3773話

 翌日の日中。

 まだこの事件の原作の主人公である鳴上達が学校に行ってる時間、俺と五飛とムラタと堂島の4人はTVの中の世界にいた。

 俺が以前使っていた通信機の映像スクリーンを使って入った場所なので、そこはいつも通りの公園だ。

 

「それで、アクセル。どうやってその久慈川りせという女を見つけるんだ?」

 

 ムラタの言葉には、喜びがある。

 ちなみにその喜びは、当然ながら久慈川りせというアイドルに会えるとか、そういう理由ではなく、シャドウと……それも以前戦ったよりも強いシャドウと戦えるからというものだろう。

 巽の一件の時もそれなりに強いシャドウと戦えたらしいし、また新しい相手との……まだ見ぬ相手との戦いを期待してのものだろう。

 

「どうやってと言われてもな。このTVの中の世界ではスライムを使えない以上、適当に歩いてだな。……仮面があるから、霧を気にする必要もないし」

 

 レモンが作ったこの仮面は、くまの持っている眼鏡と同じ、周囲に漂っている霧を無効化するという効果を持つ。

 もっとも、レモンにしてみればくまの眼鏡と違って仮面という事で、小型化や軽量化という意味で負けていると悔しがっていたが。

 もっとも目の周辺を覆うだけとはいえ、それでも仮面なのは間違いない。

 眼鏡と違い、防御力があるという意味では仮面の方が優秀なのだが。

 

「……くまに会いに行った方がいいんじゃないか? 巽の時は、くまが巽のいる場所に連れて行ってくれたが」

 

 五飛の言葉には、なるほどと思うところもある。

 そうした方が手っ取り早いような気がしないでもない。

 ただ……久慈川の件は出来るだけ早く見つけた方がいい。

 そうなると、俺達だけではなく鳴上達には鳴上達で久慈川を捜して貰った方がいい。

 そして鳴上達の方がくまと一緒に行動した方が、向こうの戦力とか探知能力……いや、戦力という意味ではくまは使えないか? それでもくまはこのTVの中の世界で行動している以上、この世界の件については詳しい。

 霧を無効化出来る眼鏡のように、レモンですら驚くような道具……マジックアイテムと呼んでもいいのかどうかはちょっと分からないが、とにかくそんな道具を用意出来るのは大きい。

 それ以外にも、くまは俺を大センセーと呼んではいるが、そこには微かな畏怖? 恐怖? とにかくそんなのがある。

 効率や感情、その他諸々を考えれば、俺はくまと別行動をした方がいいのは間違いない。

 もっとも、本当に効率を求めるのなら、鳴上達が学校を終わるまで、くまは俺達と一緒に行動し、学校が終わったら鳴上達と行動を共にするという方がいいが。

 ……いや、それだとくまの体力が保たないか。

 そんな風に事情を説明すると、話を聞いた五飛……それと堂島は納得する。

 ムラタはどっちでも構わないといった様子だったので、その件については特に何も言わない。

 

「分かった。では、俺達だけで行くとしよう。……出来れば、俺達だけでその女を助け出せればいいのだがな」

 

 五飛の言葉に頷き、TVの中の世界を進む。

 こうして歩いている最中、偶然にでもいいから足立と遭遇出来ればいいんだけどな。

 そうなれば、マヨナカテレビの騒動はすぐに終わるんだが。

 とはいえ、そんなにこっちに都合良く話が進む訳がない。

 足立にとっても、自分が見つからないように最大限注意しているだろうし。

 ……もっとも、俺が提案したように複数の集団でTVの中の世界を探索すれば、それだけ見つけられる可能性は高くなるのだが。

 何より大きいのは、やはり単純にこっちの人手が倍になるという事だろう。

 いや、いっその事、俺だけは別行動で3倍、あるいはムラタや五飛も別行動で4倍、5倍という方法も……止めておいた方がいいか。

 

「とにかく、今回の探索の最優先は久慈川を見つける事。次点が足立の確保だ。……そんな訳で、行くぞ」

 

 その言葉に、五飛、ムラタ、堂島がそれぞれ頷くのだった。

 

 

 

 

 

「やっぱりそう簡単には見つからないな」

 

 公園を出発して、既に1時間程。

 だが、その程度は当然のように久慈川がいる場所を見つける事は出来ない。

 一応途中で稲羽署……堂島のシャドウと戦った場所にも到着したが、そこに久慈川がいる筈もない。

 最初の方で入った場所という事で敵のシャドウも弱かったので、ムラタは不満そうだった。

 それ以外の場所も色々と移動しているのだが、やはり久慈川のいるだろう場所に到着はしない。

 うーん、やっぱりくまを連れて来るべきだったか?

 今更だが、改めてそんな風に思ってしまう。

 とはいえ、自分で決めた事である以上、今更それを言っても仕方がないか。

 それにくまがいないからこそ、適当に歩き回る事で普段とは違う場所に到着出来たりしてもおかしくはない。

 ……実際、堂島のシャドウと遭遇した稲羽署についても最初に見つけた時はくまとかはおらず、こっちで適当に歩き回っていた結果見つけたようなものだし。

 そう考えれば、やはり今回こうして適当に歩き回る事で別の場所を見つけられる可能性は十分にあった。

 もっとも、俺達が最優先に見つけるべきなのは久慈川のいる場所だ。

 具体的にどういう場所なのか。

 考えられる可能性としては、ストリップとか久慈川が言っていたので、そういう場所……いわゆるストリップ劇場とかだろう。

 とはいえ、俺はストリップ劇場がどういう場所なのか分からないしな。

 五飛やムラタにそういうのを聞いても分かる訳がないだろうし。

 堂島は、その生真面目さからそっち方面に興味があるとは思えない。

 いやまぁ、菜々子がいるのだから全く女に興味がない訳でもないんだろうが。

 それでも堂島がストリップ劇場について知ってるかは……いや、堂島が個人的に興味がなくても、警察の捜査とかでそういうのを……駄目か。

 稲羽市には、俺が知ってる限りそういうのはない。

 繁華街というか、居酒屋のように酒を飲める場所はあるが、風俗関係の施設はなかった。

 つまり、そういう関係の事件とかは起きていない。

 あるいは稲羽市では無理でも近隣の別の場所でそういう取り締まりがあり、堂島が応援で向かったという可能性は……あるか?

 

「どうした?」

 

 堂島が訝しげな様子で俺に聞いてくる。

 俺が黙って堂島の方を見ていた事が気になったのだろう。

 

「いや、堂島はプライベートでも、あるいは警察の仕事としてもストリップ劇場とかに行った事があるのかと思ってな」

「ぶっ!」

 

 その問いに堂島が吹き出す。

 

「どうした?」

「……いや、まさか真面目な様子でそんな事を聞かれるとは思っていなかったのでな」

「久慈川はストリップをすると言っていた。そうなると、これまでの様子から考えて久慈川がいるのはストリップ劇場とかそんな感じの場所になってもおかしくはない」

 

 雪子のいた場所は、どこかホストクラブを思わせるような場所だった。

 巽のいた場所は……話に聞いただけだが、そっち系の者達が集まるような場所だったらしい。

 つまり久慈川のいる場所はストリップ劇場とかそういうのの可能性が高いだろう。

 だが問題なのは、俺や五飛、ムラタはストリップ劇場とかに行った事がないというものだった。

 

「そんな訳で、残りの希望は堂島な訳だが、どうだ?」

 

 事情を説明して尋ねるが、堂島は俺の言葉に首を横に振る。

 

「話は分かった。だが、生憎と俺はそういう場所に行った事はないな。勿論捜査でもだ」

「そうか。堂島なら行ってると思ったんだが」

「……待て。何でそう思った? そもそもそういう意味では俺よりもアクセルの方がそういう場所に行っているように思えるが?」

「俺が? ストリップ劇場に?」

「そうだ。俺にはあまり理解出来んが、アクセルは恋人が複数いる。桐条美鶴にシェリル、後は……女子大生の誰だったか。最初にアクセルが一緒に来たもう1人もそうなんだろう?」

「ゆかりか」

「そう、その女だ。そんな風に多数の恋人がいるアクセルなら、そっち方面について詳しいと思ってもおかしくはないだろう?」

「……なるほど、堂島の言いたい事は分かった。一般的に考えれば、そんなに間違ってるようには思えない。だが……それでも、敢えて言おう。間違っていると」

 

 そう言うと、堂島は視線で先を促してくる。

 五飛とムラタは、俺達の会話を馬鹿らしいといった様子で聞き流し、周囲の様子を確認していた。

 それこそ、いつシャドウが襲ってきても対処出来るように……というか、早くシャドウが襲ってこいとすら思っているような雰囲気で。

 

「美鶴、ゆかり、シェリル。……この3人と付き合ってる俺が言うのもなんだが、3人は全員が全員最高の女だ」

「まぁ……それは否定しない」

 

 堂島が女にそこまで興味がなくても、堂島の知っている3人が最高の女だというのは納得出来たらしい。

 とはいえ、美鶴とシェリルはともかく、ゆかりと堂島の接点は微妙なところだが。

 

「そんな複数の女と付き合ってる俺が、こう言ってはなんだがわざわざストリップ劇場とかに行く必要があると思うか?」

「それは……」

 

 その言葉には堂島も反論出来なかったらしく、黙り込む。

 実際、堂島の目から見ても美鶴達は最高の女という認識なのだろう。

 

「分かって貰えたか? そうである以上、俺がストリップ劇場とかに行く事は……基本的にはない」

「おい」

 

 何故か俺の言葉に呆れの視線を向ける堂島。

 

「どうした?」

「そこはストリップ劇場に行く事はないと断言するところだろう。何故そこで基本的にといったように予防線を張る必要がある?」

「世の中には、何事も絶対というものはないからな。今は行くつもりはないが、何らかの理由でストリップ劇場に行く事があるかもしれないし」

 

 そんな俺の様子に、堂島は首を横に振る。

 

「ともあれ、誰もストリップ劇場に行った事がないとなると……それっぽい建物を見つけるまで歩き続けるしかないか」

 

 あまりストリップには詳しくないものの、どこか怪しげな建物でも見つければいいのだろう。

 問題なのは、その怪しげな建物というのが本当に分かりやすいかどうかだった。

 あるいはストリップ劇場という事で、意図的に怪しくないように……それこそ傍から見れば、何らかの事務所のような様子になっている可能性は十分にある。

 そのような事になっていた場合、見つけるのは難しいだろう。

 ……もっとも、マヨナカテレビの久慈川の様子を見る限りだと、ストリップをやるのにかなり積極的だ。

 その積極的な様子から、久慈川のいる建物も一目でストリップ劇場と分かるようなものになっている可能性はある。

 

「そう言えば、ストリップって事は……足立に性的な意味ではまだ襲われていないと考えてもいいのか?」

 

 もし足立によって久慈川が性的な意味で襲われていた場合、マヨナカテレビに映し出された久慈川も多少の影響が出る筈だ。

 そんな様子がなく、ストリップをするというのを考えれば……やはりここは、足立に連れ去られはしたものの、手は出されていないと考えるべきか。

 

「だといいんだがな。前に同じような事をしようとしただけに、完全に信用は出来んが」

 

 堂島の言う同じような事というのは、山野真由美と早紀の件だろう。

 どっちも未遂……早紀は間違いなく未遂だが、山野真由美はどうなんだろうな。

 まぁ、そういう行為がされていれば体液とかそういうので分かる筈だ。

 山野真由美の死体が見つかった時は、2階建ての家のTVのアンテナにぶら下げるという、明らかに異常な状況だった。

 警察側でも、そんな死体だけに何か異常がないか、少しでも変な場所はないかと、山野真由美の死体は徹底的に調べた筈だ。

 だが結局、山野真由美の死体からそういう……つまり、足立の体液が見つかるような事はなかったのだ。

 つまり、山野真由美に手を出そうとしたが、実際には未遂だったといった感じなのだろう。

 

「ともあれ、まずは少しでも早く久慈川を見つけるだけだ。……スライムが使えないのが痛いな」

「もしスライムが使えれば、それこそすぐにでも強敵と戦えるものを」

 

 不満そうな様子のムラタ。

 ムラタにしてみれば、少しでも早く強敵と戦いたいと思っているのだろう。

 

「もし強力な敵と戦いたいのなら、それこそムラタが敵のいる場所を見つけたりしてもいいんだけどな」

「……ふん、そう簡単に見つけられたり出来たら、こっちも楽なんだがな」

 

 神鳴流を使いこなすムラタだったが、シャドウを見つけるといった事は不得手らしい。

 元々神鳴流は、人間が妖怪……それも強力であったり巨大であったりする妖怪と戦う為に作られた流派だ。

 そういう意味では、シャドウと戦うというのは神鳴流としてそんなに間違ってはいないんだよな。

 あるいは、鬼滅世界での鬼とかもそうだが。

 

「なら、俺が今の状況で見つけられない事に対しても、そこまで責めるなよ。ともあれ、今はとにかく久慈川のいる場所を見つけるのが優先なんだし」

 

 改めて、くまに任せるか……もしくはやはり山岸が来るのを待つ方がいいのかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、俺達はTVの中の世界を移動するのだった。

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