転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3799話

 堂島の車が停まると、そこから堂島と美鶴、五飛、ムラタの4人が降りてくる。

 天城屋旅館にいた者達の中でも、最高戦力と呼ぶべき面々。

 いやまぁ、鳴上達が天城屋旅館にいるかもしれないのを考えると、本当に最高戦力と評していいのかどうかは微妙なところだが。

 それでも今の状況を考えると、りせから話を聞いた上でこれだけの戦力が来る必要があると判断したのだろう。

 もっとも、今の今まで全く手掛かりを見せなかった足立の手掛かりだ。

 その相手を見つけたという報告に、堂島達が動かない筈もない。

 

「アクセル! 足立は!」

「残念ながら足立本人じゃない。ただ、足立の協力者なのは間違いないみたいだ」

「何だと?」

 

 堂島は俺の言葉に、驚けばいいのか、怒ればいいのか、あるいは喜べばいいのか……どのような表情を浮かべればいいのか分からないような、そんな表情を浮かべていた。

 

「あそこにいるから、まずは捕らえてくればいい。炎獣を出し続けておくのも、何かあったら問題だしな」

「……分かった」

 

 そう言い、堂島は男の方に向かう。

 そして堂島が男の身体を掴んだところで、俺は炎獣を消す。

 

「五飛とムラタは周囲の警戒をしてくれ。大丈夫だとは思うが、それでも万が一を考えると何が起きてもおかしくないからな」

「分かったが……アクセルがいる以上、警戒は必要なのか?」

 

 五飛の言葉にムラタも頷く。

 この2人にしてみれば、俺の能力があれば周囲の警戒は必要ないと思ってもおかしくはないが……

 

「それでも念の為だ。足立の事だから、何か俺達の予想外の方法を取らないとも……」

「生田目太郎だと!?」

 

 俺が最後まで言うよりも前に、堂島の声が周囲に響く。

 生田目太郎?

 どこか聞き覚えのある名前に少し考え、すぐに思い出す。

 そう、それは俺が最初に稲羽市に来た時にニュースで流れていた名前だ。

 それも、足立が殺した――正確にはTVの中の世界に入れた――山野真由美と不倫関係にあった男。

 だが……今の堂島の言葉が本当なら、それはそれで疑問が残る。

 何故生田目は、自分の不倫相手……いや、もう離婚したんだし、恋人、あるいは元恋人か? とにかく自分と親しい関係にあった山野真由美を殺した足立の協力者になっている?

 ……まぁ、その辺は生田目から話を聞けば分かるか。

 そう判断すると、俺は改めて五飛に話す。

 

「相手は足立だ。TVがここにこうしてある以上、恐らく何も出来ないとは思う。思うが、ずっとTVの中の世界にいた事を考えると、俺達には分からない何らかの裏技を知ってる可能性がある。それこそ、TVの中の世界のシャドウを現実世界に出す事が出来たりな。そういう万が一を警戒してだ」

 

 そう言うと、五飛とムラタも納得したのか素早く周囲の警戒に映る。

 特にムラタは、強力なシャドウが襲ってくるかもしれないと、やる気を見せていた。

 

「そして美鶴は俺と一緒に荷台のチェックだ」

「任せて貰おう」

 

 美鶴は素直に俺の言葉に頷く。

 実際、あの大きなTVの他に何か怪しい物があったとして、それがTVの中の世界やシャドウ、ペルソナに関係する何かであった場合、俺よりも美鶴の方が分かりやすいだろうし。

 そうして俺と美鶴はトラックの荷台に上がって調べ始める。

 

「しかし、まさかこのような手段でTVを持ち運んでいたとは、他の面々はともかく、久慈川が鮫川の土手の側で連れ去られたのが疑問だったが、このような手段だったか」

 

 美鶴の言葉に、だろうなと思う。

 ちなみに当然ながらりせをTVの中の世界で助けた後で、一体どのような状況でTVの中に入れられたのかというのは聞いている。

 だが、その辺の事は綺麗さっぱりと覚えていなかった。

 これはりせだけではなく、雪子や巽も同様だった。

 いつから生田目が足立と手を組んでいたのかは、俺には分からない。

 だがそれでも、足立か生田目が何か特殊な能力でどうにかしたのだろうとは予想出来る。

 もしくは……TVの中に入る能力を持つ者が一緒にTVの中に入らなかった場合、TVの中に入った者は記憶が一部曖昧になるとか?

 その辺については生憎と俺にもはっきりとした事は分からない。

 だが、そうでもなければ何故そのような事になったのかが分からないのも事実。

 

「こちらには何もないな。アクセル、そちらはどうだ?」

 

 美鶴がそう言って聞いてくる。

 このトラックは軽トラ程度の大きさで、荷台もそこまで広くはない。

 いや、普通に軽自動車とかと比べれば間違いなく広いのだろうが、それでも2人もいれば調べるのにそこまで時間は掛からない。

 ……警察の鑑識とかのように、もっとしっかりと調べるのなら時間も必要なのだろうが。

 これからこのトラックを調べる……かもしれない警察の鑑識にしてみれば、俺と美鶴がやってるのは捜査の妨害でしかないのかもしれない。

 だが、問題なのは警察の鑑識がシャドウやペルソナ関係の物を認識出来るのかというのがある。

 そういう意味では、俺達が何かないかと探すのは、別におかしな話ではないのだろうが……

 

「いや、何もない。やっぱり白鐘はTVの中の世界に入れられたと見て間違いないだろうな」

「つまり、白鐘を助ける為にはあのTVから、その中に入る必要があるのか」

「そうなるな。ただ同時に……」

 

 俺は美鶴の言葉に、生田目の方を見る。

 まだ混乱しているらしいが、堂島とある程度しっかりと話をしているようには見えた。

 

「生田目が足立の協力者だとすると、足立に繋がる手掛かりがあるかもしれない。この荷台にあったTVが足立のいる場所と繋がってるのか、それ以外に足立のいる場所と繋がっているTVがあるのかは分からないが。もしそれが別々のTVだった場合、戦力を分ける必要が出てくるだろうな」

 

 TVの中の世界と現実世界を繋ぐのは、あくまでもTVだ。

 そのTVが動いたからといって、TVの中の世界と現実が繋がらない訳ではない。

 そう考えると、生田目がTVをこうして持ち歩いているのは、白鐘のように狙った対象をすぐにでもTVの中の世界に入れる為だろう。

 

「色々と……本当に色々と聞く必要がありそうだな」

 

 美鶴は堂島によって何か声を掛けられている生田目に、じっと視線を向けるのだった。

 

 

 

 

 

「さて、集まって貰ったのは他でもない。緊急の要件がある為だ。本来なら忙しい時間だろうに、申し訳ないとは思う」

 

 そう告げる美鶴の声が大広間に響く。

 現在の時刻は午後5時を回ったところだ。

 美鶴が言うように、本来なら全員が忙しい時間となっているだろう。

 だが、それを理解した上でも、現在ここには多くの者を集める必要があった。

 そして前もって大枠については聞かされてる為に、集まった者達もこんな時間に集めるなんてといった不機嫌そうな様子の者はいない。

 集まっているのは、シャドウワーカーの面々と俺、五飛、ムラタというシャドウミラーからの派遣組、そして鳴上を始めとするこの事件に関わった……というか、原作だと主人公達。後は堂島。

 この辺については、いつも通りの面々と言えるだろう。

 だが、いつもと違うのは、それ以外に不機嫌そうな様子の荒垣と真田の2人がいる事だ。

 この2人がこちらの援軍としてやって来たのは、ちょうど先程……本当につい30分かそこら前といったところだ。

 本来なら、この2人は有里達の方に戦力として行っていたのだが、このタイミングで向こうもシャドウの一件を片付ける目処が立ったらしい。

 それでも完全には安心が出来ないという事だったが、それと比べるとこっちはまだその目処が立っていない。

 生田目の一件があるまでは、それは正しかっただろう。

 だが、その報告を向こうにした時には、既に荒垣と真田はこっちに向かっていた。

 ちなみにこの2人をこちらに寄越した理由は色々とあるが、その中でも大きいのは荒垣がシャドウミラーのペルソナ研究に参加しているからだろう。

 治療の件もあって、荒垣は半ばシャドウミラーのメンバーといった感じだし。

 実際、鬼滅世界においても荒垣は戦いに参加していたのを思えば、シャドウミラーのメンバーとしては十分戦力として数えられるだろう。

 生身での戦い専門だが。

 真田は……元々戦いを好むというのもあるが、親友の荒垣だけが稲羽市に行くのは危険だと判断し、一緒に来たらしい。

 シャドウミラーの訓練をした荒垣程ではないにしろ、真田も月光館学園を卒業後は修行を重ね、強くなっている。

 取りあえず足手纏いになる事はない。

 そして他には、稲羽署からお偉いさんが数人。

 ただし、署長や副署長といった者達ではなく、部長とかそういう感じのお偉いさん……分かりやすく言えば中間管理職か。

 署長や副署長が来ないのは、他の仕事で忙しいからという事らしいが、実際にはどうだろうな。

 ここは言ってみれば、マヨナカテレビの一件の最前線とでも呼ぶべき場所だ。

 足立によって、シャドウをここに投入されるといった事になったら洒落にならないと思っているんだろう。

 実際問題、署長や副署長は足立の一件があってからTVとかを見る時も出来るだけ小さなTVしか見ていないらしいし。

 大きなTVから足立が現れたり、あるいはシャドウを使ってくるといった事に怯えているらしい。

 シャドウを倒す手段としては、一応拳銃とかもあるだろうが……署長とか副署長になれば、身体を動かす事はあまりなさそうだし、拳銃とかを使っても命中させるのは難しいだろう。

 

「知ってる者も多いだろうが、まずは情報共有という事で説明しておく。少し前、この天城屋旅館に続く道を白鐘直斗が見張っていたのだが、その白鐘直斗を生田目太郎が捕らえてTVの中の世界に入れた。……生田目太郎は、少し前にニュースになっていたから知ってる者もいるだろう。そのような者が何故足立の共犯者となったのかについては、まだ詳細は分かっていない。本人が混乱しているからな」

 

 そこで言葉を止めた美鶴は、俺に視線を向けてくる。

 その視線の意味が、生田目を怖がらせすぎたのが原因で事情聴取に手間が掛かっていると言ってるように思え、俺はそっと視線を逸らす。

 今にして思えば、ちょっとやりすぎだったかとは思うのだ。

 とはいえ、TVの中の世界に入ったり、ペルソナを使えたり、シャドウという存在について知っていれば、俺の行動はそこまで気にするような事ではないような気もするんだが。

 

「とにかく、現在分かっている事として、トラックの荷台にあったTVを使えば、白鐘直斗のいる場所まで行けるだろうという事。……ただ、こっちはこれまでの例を考えると、TVの中に入った後で白鐘のいる場所を改めて探す必要があるかもしれない」

 

 ああ、そう言えばそうなるのか。

 雪子、巽、りせ……久保はちょっと違うのか?

 とにかく今までTVの中の世界に入れられたのが、もし全て生田目の仕業だったりしたら、どうなるか。

 同じTVから入れられたのに、TVの中の世界ではそれぞれ違う場所にダンジョンがあった。

 本人がTVの中に入る前からマヨナカテレビが映っていたのを考えると、その辺も関係しているのかもしれない。

 だとすれば、トラックの荷台にあったTVに入っても、すぐそこに白鐘がいる可能性は決して高くはないだろう。

 つまり、今までのようにどこに白鐘とそのシャドウがいるダンジョンがあるのか、自分達で探さないといけない訳だ。

 

「探索に必要な能力ということで、久慈川とくま……それと八十神高校組と、そっちの援軍2人は白鐘の救助に向かって貰う」

 

 援軍2人というのは、言うまでもなく荒垣と真田の事だろう。

 この2人にしてみれば、稲羽市に来た直後にいきなりシャドウとの戦いなんだが……荒垣は面倒臭いといった様子なのは予想通りなものの、真田はやる気満々といった様子だった。

 というか、荒垣はやっぱりあのコート姿なんだな。

 今が9月末だったのは、そういう意味では幸運か。

 これで7月とか8月の真夏にああいうコートを着ていれば、どうしても目立つし。

 

「幸いなことに、白鐘がTVの中に入れられてからまだそんなに時間が掛かっていない。上手くいけば……本当に上手くいけばの話だが、白鐘が自分のシャドウと何かあるよりも前に助け出す事が可能かもしれない」

 

 美鶴の言う流れになれば、白鐘はペルソナ使いとして覚醒しないという事になるんだが……その辺はどうなんだろうな。

 とはいえ、原作ではどうだったのかは分からないが、上手くいけば……本当に上手くいけばの話だが、生田目との繋がりから足立を捕らえる事が出来るかもしれない。

 そうなればマヨナカテレビの一件も解決するので、TVの中の世界でしか召喚出来ないペルソナ能力に覚醒しても、すぐに使えないという事になるんだよな。

 

「そして……アクセル、五飛、ムラタ、堂島は生田目の家にあるTVが足立のいる場所に繋がっているという話だったので、そちらに向かって貰う。本来なら私も行きたかったのだが、この場でも何が起きるのか分からない以上、ここに残らなければならない」

 

 そう言う美鶴に、俺は気にするなと告げるのだった。

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