放たれたファントムは、そのビームソードを突き立てんとして俺がT-LINKシステムで思うままに動くが……
がん、と。
伊邪那美大神の下半身に複数ある手が、ファントムの一撃を回避し、殴りつける、
アメノサギリの時は、巨大でしかも回避能力とか迎撃能力とかについては、弱かった。
分かりやすく言えば、UC世界……いや、UC世界に限らず、MA的な性質を持っていたと表現すれば分かりやすいか。
ビグ・ザムとかアプサラスとかに顕著な特徴だが、遠距離攻撃はメガ粒子砲を使って圧倒的な戦力を発揮するものの、MSに接近されると対処のしようがないといった具合に。
アメノサギリはまさにそんな感じだったし、だからこそファントムによって巨大な眼球を貫かれるといったことをされた。
しかし、伊邪那美大神は違う。
複数の手があるだけに、それで近接防御をする事が可能だ。
とはいえ、ファントムの速度は決して遅い訳ではない以上、言うは易く行うは難しの典型だろう。
「けどなぁっ!」
ファントムを叩き落とした伊邪那美大神だったが、その一撃でファントムを破壊するといったことは出来ない。
それどころか、ファントムの速度によるタイミングの問題もあったのだろうが、伊邪那美大神の一撃はファントムを吹き飛ばしはしたが、特にダメージらしいダメージは与えていない。
そして吹き飛ばされても、ファントムは別にT-LINKシステムを使った俺のコントロール下から抜け出した訳ではない。
吹き飛ばされたファントムは回転しながらもスラスターをタイミングを合わせて使う事により、態勢を立て直し……次の瞬間、再びビームソードを展開しながら伊邪那美大神に向かう。
当然ながら他のファントムも俺の意思に従い、伊邪那美大神に向かって進む。
同時に鳴上を始めとしたペルソナ使いや他の面々もまた、俺の援護としてそれぞれに攻撃を行う。
ある意味、アメノサギリの戦いの時の再現だったが、伊邪那美大神はアメノサギリとは違う。
アメノサギリを作った創造主、あるいは上位存在とでも呼ぶべき者だ。
ましてや、伊邪那美大神は俺達とアメノサギリの戦いを見ていた。
そうである以上、同じような展開になる筈もない。
伊邪那美大神はその複数ある手のうちの数本を大きく振るう。
同時に、ブフダインとガルダインとアギダインの3つの極大魔法が同時に放たれる。
氷、竜巻、炎。
それぞれが、ニーズヘッグ……ではなく、地上にいる他の面々に向かって放たれたのだが、
しかし、そこに放たれたのは、この戦場から離れるように言っておいた筈のグリのカマイタチブレス。
それと同時に刈り取る者のメギドラオンが放たれ、伊邪那美大神の放った3つの魔法はその2人の攻撃によって打ち消される。
それを見た伊邪那美大神は、一瞬……本当に一瞬だったが、その動きを止める。
瞬間、俺はT-LINKシステムを使ってニーズヘッグで伊邪那美大神との間合いを急速に詰める。
それは、至近距離……どころか、超至近距離、それこそゼロ距離と表現が相応しい、そんな間合い。
伊邪那美大神が見ていたアメノサギリとの戦いにおいて使ったのは、ファントムのビームソード以外は全て射撃武器。
しかし、このTVの中の稲羽市に入った瞬間から、俺はその憎悪と殺意に満ちた視線を察知していた。
だからこそ、俺は相手の意表を突けるこの絶好の機会を逃す筈もない。
「グレイプニルの糸!」
伊邪那美大神の間近まで迫ったところで、ヒュドラの先端部分からグレイプニルの糸を射出し、伊邪那美大神の身体全体を搦め捕る。
それだけではなく、ニーズヘッグの尻尾を伸ばしてグレイプニルの糸と同時使用で巻き付け、ヒートロッドを最大出力で展開する。
「がぁっ!」
身体が焼かれる痛みで、数秒だけ動きを止める伊邪那美大神。
だが、その数秒は実戦において非常に大きな意味を持つ。
動きが止まったところで、続けて攻撃を放つ。
ファントムによるビームソードやビーム砲、そして至近距離でヒュドラの先端に展開したビームサーベルによる一撃、近距離からの腹部拡散ビーム砲……ヒートロッド……それもただのヒートロッドではなく、魔力属性を持ったヒートロッドだ。
それ以外にもスレイプニルの糸で動きを拘束しているが、T-LINKシステムを使ってスレイプニルの糸を拘束から斬撃に向けて硬度や鋭さを調整する。
身体四方八方から、ビームソードを先端に展開したファントムによって貫かれ……
「これが最後だ。愛」
精神コマンドの愛を使い、伊邪那美大神の身体をヒートロッドで締め付ける尻尾の効果を変える。
「弾けろ、伊邪那美大神ぃっ!」
その言葉と共に、ニーズヘッグの尻尾は伊邪那美大神の身体を焼き切っていたヒートロッドから、輻射波動へと機能を変えた。
一ヶ所触れているだけであっても、輻射波動は凶悪な威力を発揮する。
そんな輻射波動が、伊邪那美大神の身体に巻き付いている尻尾全体から放たれたのだ。
ましてや、精神コマンドの愛を使った状態で。
ボコボコと、伊邪那美大神の身体が次々と内部から泡だっていき……次の瞬間、スレイプニルの糸を完全に斬撃向きのものに属性を変え、それを強く引いて伊邪那美大神の身体を切断すると同時に輻射波動の効果によってその身体は弾け飛ぶのだった。
「これは……うん。ちょっとやりすぎたかもしれないな」
ニーズヘッグのコックピットから降りて、周囲を見ながらそう呟く。
地上に広がっているのは、まさに血の海と呼ぶべき光景。
そしてところどころには肉片が浮かんでいる。
……ただ、ニーズヘッグの尻尾が触れてなかった場所、そしてスレイプニルの糸が巻き付いていなかった、伊邪那美大神の人型の上半身部分の骸骨の部分はそのままだった。
「アクセル!」
そう言い、真っ先に近付いて来たのは狛治。
そして少し遅れてグリが……俺が気が付かない間に伊邪那美大神との戦いでそれなりに傷を負っていたのか、身体中から血を流しつつ姿を現す。
「悪いな、グリ。助かった。……お前はもう帰ってくれ」
そう言い、グリの召喚を解除し、同時に刈り取る者も俺の影に沈み込む。
「俺も帰るぞ」
他の召喚獣が帰ったのを見た狛治が、自分も帰ると言う。
狛治にしてみれば、伊邪那美大神との戦いが終わったのだから、もうここにいる必要はないと判断したのだろう。
あるいは冒険者としても活動しているという話だったし、そっち関係で打ち合わせとかそういうのがあるのかもしれないな。
「分かった。じゃあ、戻ってくれ。助かった」
「あまり役に立ったとは思えなかったけどな」
狛治が不満そうだったのは、アメノサギリにしろ、伊邪那美大神にしろ、双方共に大きな存在で、狛治の力でもあまりダメージを与えられなかったからだろう。
基本的に近接攻撃を得意としている狛治だけに、迂闊に攻撃する為に敵に近付けば、ニーズヘッグの攻撃に巻き込まれていた可能性は高い。
「ダンジョンにいたシャドウを倒してくれただけでも感謝してるよ。じゃあな」
そう言い、狛治も消える。
そんな光景に、何人かが何か言いたそうにこっちを見ていたが、今はそれよりもこれからどうするかだ。
その言葉に、一番何かを言いたそうにしていた堂島も黙る。
……まぁ、無理もないか。
召喚獣というのなら、まだ魔法の一種として向こうも理解出来るだろう。
だが、ニーズヘッグは明らかに人型機動兵器だ。
魔法ではなく、科学側の存在なのだ。
そうである以上、堂島がニーズヘッグの存在を疑問に思ってもおかしくはない。
おかしくはないのだが、それでもやはり説明出来ることではなかった。
何しろ堂島に説明すれば、それはなし崩し的に警視庁に……最終的には日本政府にシャドウミラーの存在が伝わることになるのだから。
とはいえ、ニーズヘッグを見せた以上はどうにかしないといけないのも事実。
どうするか。
そう思っていると……
『アクセルさん、後ろ!』
りせの叫び……半ば悲鳴が聞こえるのと同時に、俺の念動力が危険を察知して反射的に地面を蹴って移動する……が、地面から伸びてきた無数の黒い手が俺と、そしてニーズヘッグを掴む。
「ちぃっ!」
咄嗟に白炎を使って俺の身体に触れた黒い手を焼き払うが、黒い手は次から次に伸びてくる。
飛んで火に入る夏の虫という言葉を思い出すが、この場合の夏の虫は次から次に白炎に飛び込み、自分の残骸で白炎を押さえ……そして再び俺の身体を掴む。
「くそがっ!」
黒い手を引き千切りつつ、俺が向かったのはニーズヘッグ。
魔力属性のお陰か、黒い手に掴まっても何らかの被害があるようには思えない。
俺がコックピットに入っていれば、各種バリアで黒い手を弾けるかもしれない。
あるいはそれが無理でも、空間倉庫に収納してしまえばニーズヘッグが黒い手から逃れられる。
そう思っての行動だったが……
「そう……来ると思っていました。……母の仇を取ることは出来ませんでしたが、それでも、それでも……せめて私の死の間際の魔力と命の全てを使い、貴様を、お前を、君を、てめえを……この世界から放逐する! 我が呪いを受け取るがいい!」
聞こえてきたその声と共に、俺とニーズヘッグは黒い空間に飲み込まれるのだった。
「ここは……」
気が付けば、俺はニーズヘッグと共にどことも知れぬ空間の中にいた。
宇宙……ではないな。
さっきの伊邪那美大神の言葉を思い浮かべると、多分……本当に多分だが、現在何が起きてるのかは分かる。
ともあれ、ニーズヘッグが一緒だと何かあった時に身動きが取れないし、収納しておくか。
一瞬、ニーズヘッグに乗っていた方がいいのでは? とも思ったが、どこに行くのかは分からないが、それでも人のいる場所にいきなり出た時にニーズヘッグがいるのは不味い。
そんな訳でニーズヘッグを空間倉庫に入れ、現在の状況の何らかの助けになるのではと期待してステータスを表示したのだが……
「あ、レベルが1上がってる」
これは俺にもちょっと予想外だった。
とはいえ、伊邪那美大神という、仮にも神を殺したと考えれば不思議でも何でもないのかもしれないが。
ただ、問題なのはやっぱりこの空間か。
伊邪那美大神の死に際の言葉を考えると、ペルソナ世界から放逐するとか言っていた。
となると、この空間に俺を封印する訳ではなく……たとえば、どこか別の世界に行ってるのか?
伊邪那美大神は俺の事を何も知らないから仕方がないが、俺にとって他の世界に行くというのはいつもの事でしかないんだよな。
『ジャコバ・アオン! アクセルが! マーベル、急いで下さい!』
と、不意に聞こえてきた声は……シーラの声?
『見つけた……ようやく見つけた……アクセル、もう少し待っていて下さい。ジャコバ・アオン、早く! 私のオーラ力でもアクセルを把握出来る時間は……』
その言葉と共に、俺のいた空間には白い光が満ちるのだった。
「ここは……マーベル、シーラ?」
先程聞こえてきた声は、間違いなくシーラの声だった。
そしてマーベルを呼んでもいたという事を考えると、俺はまたダンバイン世界に呼び込まれたのか?
そう思って周囲を見回すが……そこはオーラバトルシップとか、バイストン・ウェルにあるような建物ではなく、科学技術が使われた通路のように思える。
そして通路には、俺以外に見覚えのある……ありすぎる2人の姿がある。
ただし、気絶しているのか床に倒れているが。
「おい、マーベル? シーラ? しっかりしろ。本当にお前達か?」
「んん……」
「あ……ん……」
慌てて2人に呼び掛けると、すぐに倒れている2人……ただし、俺がダンバイン世界で最後に見た時から少し大人びた様子の2人の口から声が漏れる。
ふぅ、どうやらただ気絶しているだけらしい。
それにしても、マーベルはともかくシーラは以前は美女というよりも美少女といった感じだったが、今は美女と呼ぶのが相応しいな。
その身体付きも、非常に女らしくなっている。
マーベルも、その美人度がより増しているのが、こうして気絶しているのを見ても明らかだ。
間違いなくダンバイン世界で俺と別れてから数年が経っているだろう。
問題なのは、具体的に何年経ったか……そして何より、ここがどこかというところだが……
「幸い、その辺について教えてくれる奴が来てくれたみたいだな」
俺の視線が向けられたのは、通路の先。
俺達がいるのは通路の中でも行き止まり……いや、扉がある事を考えると、左右に部屋があるのか。
ともあれ、こちらに近付いてくる誰か……いや、気配は複数だな。
その複数の者達が教えてくれるだろう。
友好的に接する事が……
「あ、無理だな」
通路を曲がって姿を現した者達……その中でもリーダー格であろう男を見て、そう判断する。
筋骨隆々のその男の顔にあるのは、嗜虐的な色。
明らかに俺達と友好的に接するといった事は考えていない。
……まぁ、向こうにしてみれば、俺達は侵入者だ。
そういう風になるのもおかしくはないのかもしれないが。
「ああん? お前達、誰よ? ったく、このくそ宇宙ネズミどもが! こんな侵入者の存在を見逃すとか、宇宙に放り出して殺すよ!?」
男は俺を見てそう叫ぶと、近くにいた男……というか、子供を殴る。
そして改めて俺を見て、獰猛――と自分では思っているのだろう――笑みを浮かべる。
「このブルワーズの旗艦に忍び込むなんざ、大したもんだね。けど……ここでおしまいよ!」
そう言い、男は俺に向かって前に1歩踏み出すのだった。
アクセル・アルマー
LV:45
PP:2520
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:2003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1864