転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3811話

 俺の提案した、ブルワーズの乗っ取り。

 それには当然ながら戦力が必要だ。

 勿論、俺がいれば炎獣とかで数を増やすことは出来るが、宇宙での戦い……それもガンダム系の世界であるというのは分かっているが、それでも詳細についてはまだ何も分かっていない状態では、出来ればあまり炎獣を使いたくはない。

 そうなると、それ以外の戦力を用意する必要があるが……マーベルもシーラも、戦う者としては普通の一般人でしかない。

 一応マーベルは聖戦士として高い能力を持ってはいるが、それはあくまでもオーラ力……オーラバトラーに乗っての事だ。

 ここがホワイトスターなら、俺が持ち帰ったオーラバトラーを用意出来るのだが、ここはホワイトスターではない。

 つまり、マーベルはそれなりに鍛えてはいるが、それだけだ。

 ……俺が教えた魔法を習得していれば、多少は戦力として考えられるが。

 シーラにいたっては、それこそ前線で戦うものではなく、指揮官として活動するべきだ。

 とはいえ、それはあくまでもダンバイン世界での話で、この世界についてどういう戦闘になるのかは分かっていないが。

 そんな訳で、昌弘達の協力があれば助かる。

 ヒューマンデブリとしての待遇から抜け出す意味でも、悪くないだろう。

 そう思って誘ったのだが、少し相談をするから待って欲しいと言われ、現在は向こうの返事待ちだ。

 ……なお、今までにも何度かクダルが起きていたので、その度に殴って気絶させるのも面倒になり、現在は手足を縛って猿轡を嵌めている。

 今はまだ気絶しているが、目覚めたら後は適当に放っておくつもりだ。

 それにしても世界……世界か。この世界についてはどういう名称を付けるべきか。

 そう思った時、離れた場所で話している雅弘達が目に入る。

 ヒューマンデブリというのは、この世界特有の文化……いや、文化という表現はちょっと違うな。

 とにかく、この世界特有だ。

 勿論、悪い意味での話だが。

 それを使うのなら、ヒューマンデブリ世界とか? いや、それだとちょっと長い。だとすれば、デブリ世界? それもそれでちょっとな。

 それにシャドウミラーやホワイトスターの存在を知った時、ヒューマンデブリの名を冠した世界というのは、決して良い気分ではない。

 だとすれば、もっと別の……そうだな。聞いた話によると、ヒューマンデブリになった者達は基本的に孤児だという事だ。

 孤児……孤児か。

 オーフェン世界? いや、孤児は1人じゃないし……オーフェンズ世界……違うな。オルフェンズ世界。うん、これか。

 よし、取りあえずこの世界はオルフェンズ世界としよう。

 勿論、後で問題があるのなら変えるが。

 

「アクセル、少しいいですか?」

 

 この世界の名称が決まったところで、不意に声を掛けられる。

 声のした方に視線を向けると、そこにはシーラの姿が。

 しかし、数年ぶりの再会を喜ぶといったような様子ではなく、その表情には心配そうな、そして不安そうな色がある。

 

「どうした?」

「……私達と離れてから、一体何があったのですか?」

「は?」

 

 いきなりの言葉に意表を突かれる。

 あるいはこれは、シーラ達と別れてからどのくらい新しい恋人を作ったとか、そういう感じか?

 もっとも、そういう意味ではUC世界のシーマ、モニク、クスコ、クリスと4人も恋人が増えているが。

 また、場合によってはペルソナ世界で雪子が恋人になったかもしれないが……あれは結局俺がフラれたような、そんな感じになってそういう関係にはなっていない。

 

「えっと、何がどうした?」

「最初に見た時……いえ、ジャコバ・アオンの力によって察知した時から分かっていたのですが、アクセルの身体には悪しきオーラ力があります」

「それは、俺が悪しきオーラ力を発揮してるという事か?」

「いえ」

 

 その問いにはシーラも即座に首を横に振る。

 そんなシーラに安堵する。

 もし俺から悪しきオーラ力が発していたら、どうすればいいのか分からなかったしな。

 

「何者かの悪しきオーラ力……いえ、正確にはオーラ力ではないようですから、悪しき力と称しますが、その悪しき力がアクセルに纏わり付いています。幸いにして周囲に影響はないようですが、アクセルが無事なのが疑問なくらいの悪しき力がアクセルに纏わり付いています」

「悪しき力……?」

 

 その言葉に疑問を持つが、すぐにその言葉の意味を理解する。

 

「伊邪那美大神だな」

「伊邪那美大神?」

 

 シーラではなく、マーベルはそんな風に聞いてくる。

 日本文化に興味を持つマーベルだけに、伊邪那美大神についてもある程度は知っているのかもしれない。

 

「ああ。ペルソナ世界……まぁ、俺がシーラに助けられた空間に入る前にいた世界で戦っていた相手だ。正確にはちょっと違うんだが、その母親が以前俺と戦った事で眠りというか、封印されたというか、そんな感じになった事を恨んでいて、それで俺に戦いを仕掛けてきたんだが、それにも俺は勝った。けど、最後の最後、死ぬ寸前に俺に呪いを掛けた。多分シーラが感じている悪しき力というのはそれだと思うけど……それがどんな効果かは分からないか?」

 

 そう言い、俺は昌弘達には見えないようにしながら、指を白炎に変えてみたが……俺の指は特に何の問題もなく白炎となる。

 うん、呪いという事だったが、特に俺の力が使えないとか、そういう感じではなさそうだな。

 となると、もっと別の何かか。

 取りあえず魔法が使えるなら……いや、待てよ?

 俺の能力の中でも非常に大きな効果を持っているのが、空間倉庫だ。

 何しろホワイトスターに戻るのに必要なゲートとか、俺の愛機のニーズヘッグ、それ以外にも様々な物が入っているのだから。

 もし空間倉庫が使えなくなっていたら、その被害はとんでもない事になる。

 そんな不安から試してみたが……

 

「問題はないな」

 

 空間倉庫から取り出したペットボトル入りのスポーツ飲料に安堵し、シーラとマーベルにそれぞれ渡す。

 

「ありがと」

「ありがとうございます」

 

 そう言い、2人はペットボトルを開けてスポーツ飲料を飲む。

 俺もまた、スポーツ飲料を飲み……ふと気が付くと、子供達のうちの1人が俺に……正確には俺が持っているスポーツ飲料をじっと見ている事に気が付く。

 ヒューマンデブリとして扱われていたんだから、スポーツ飲料……といか、甘い食べ物や飲み物とかは食べたり飲んだりした事がないのかもしれないな。

 そして今の俺としてはヒューマンデブリ達との関係を良好に保つ必要がある。

 ましてや、空間倉庫に中にあるスポーツドリンクはかなりの量だ。

 ここで昌弘達に渡しても、特に問題はない……どころか、好感度稼ぎにはこれ以上ない選択肢だろう。

 

「ほら、ついでに他の連中にもやるから、これでも飲んで食べながら相談しろ」

 

 そう言い、俺は昌弘達に向かってスポーツ飲料の入ったペットボトルとあんパンやクリームパンを渡す。

 ちなみに強襲装甲艦の中ではあるが、ここでは重力が働いているので無重力状態の時のように軽く放り投げるような事は出来ない。

 この辺の技術も重力関係だけに興味深いところではあるな。

 

「美味っ!」

「何だこれ、何だこれ、何なんだよ、これ!」

「うがああああああ!」

 

 スポーツ飲料とあんパン、クリームパンを食べた昌弘達の口からそんな声が上がる。

 最後の1人は何故か吠えていたが、多分それだけ美味かったのだろう。

 この様子を見る限り、やはりろくなものを食べさせては貰っていなかったらしい。

 とはいえ、痩せ細ってるとかそういう感じじゃないのを考えると、食事を食べさせられていなかった訳ではないんだろうけど。

 そんな風に思いながら昌弘達を見ていると……

 

「ふぐぅ!」

 

 不意に聞こえてきた、そんな声。

 声のした方に視線を向けると、そこではクダルが何か騒いでいた。

 どうやら今の一連の動き……より正確には子供が叫んだ声で目が覚めたのだろう。

 とはいえ、手足を縛られて猿轡をされている状況ではどうしようもないが。

 

「目が覚めましたか」

 

 シーラが冷たい視線を騒いでいるクダルに向ける。

 その隣では、マーベルも同様に冷たい視線を向けている。

 シーラやマーベルにとって、子供を奴隷同然に扱っているクダルは許せない相手なのだろう。

 実際、こういう状況になった為か、昌弘達がクダルに向ける視線も先程と比べて憎悪と諦めの割合が若干変わってきている感じがするな。

 

「俺の計画に乗れば、そういうパンとかも毎日……かどうかは微妙だが、今までよりいい食事が出来ると思うぞ。それと、このクダルのような類は全て処分する」

「んんんんっ!」

 

 俺の言葉に、クダルが騒ぐ。

 ふざけるなと叫んでいるのか、そんな事が出来る筈がないだろうと叫んでいるのか、それとも自分を解放しろと叫んでいるのか。

 その理由は分からないが……

 

「悪いが、お前の処遇は昌弘達がこっちに味方した場合は連中に任せる。お前がこれまで連中に優しくしてやっていれば、もしかしたら生き残れるかもな。ちなみに昌弘達が味方しなかった場合は……うん。まぁ、色々とご愁傷様といった感じだな」

「んんん!」

 

 叫ぶクダル。

 とはいえ、その結果としてクダルがどういう風になっても俺には関係のない事だ。

 ……ただ、もし昌弘達に渡された場合、自分がどうなるのかはクダルにも分かっているのだろう。

 何とか現状から脱出しようと、暴れ続けているが……

 

「黙ってろ」

 

 暴れているクダルの腹を踏みつける。

 クダルの身体は、見て分かる程に鍛えられていたが、それでも俺が足を置いただけでもうどうにもならない。

 結局鍛えているとはいえ、それは普通の人間でしかないのだから。

 

「んんんん、んんんん!」

 

 叫ぶクダルだが、その身体は既にピクリとも動かない。

 

「お、おい。あれ……」

「嘘だろ。クダルだぞ?」

「でも、あの状況でクダルが演技をしたりとかすると思うか?」

「……ない、だろうな」

 

 そんな言葉が聞こえてくる。

 ああ、なるほど。向こうにしてみれば俺に味方をしても勝てるかどうか分からない。

 そしてもし負けた場合、ヒューマンデブリの自分達がどうなるか分からない。

 だからこそ、素直にこっちの誘い……クーデターを決意出来なかったのか。

 なら、そうだな。

 

「どうせなら戦力を増やすか」

「え?」

 

 昌弘は俺の言葉にそんな疑問の声を上げる。

 この状況で戦力を増やすといったことが理解出来なかったのだろう。

 とはいえ、俺の場合は召喚魔法がある。

 ……呪いのせいで、魔法が使えないという事はないよな?

 白炎と空間倉庫は問題なかったのだから、恐らく……本当に恐らくだが大丈夫だとは思う。

 そんな風に考えつつ、俺は召喚魔法を唱え……

 

「アクセル? また呼び出すとは何かあったのか?」

 

 狛治が姿を現す。

 同時に、床を軽く蹴ると……

 

「んん……んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!」

 

 クダルの口から叫び……いや、絶叫と呼ぶに相応しい声が上がる。

 うん。いつもは俺の影から姿を現す刈り取る者だったが、クダルを踏みつけていた関係上、俺の影はクダルの身体の上にあった。

 そうなると、当然のように刈り取る者はクダルの影から出てくる訳だ。

 実際には俺の影からであって、クダルの身体から出て来る訳ではない。

 だが、身動きが出来ないクダルはそれが分からない。

 自分の身体から刈り取る者が出てくると思ってもおかしくはなく、それによって半ば狂乱状態になったのだろう。

 刈り取る者が完全に姿を現したその瞬間、クダルは意識を失った。

 

「グリは……無理だな。それに怪我をしていたし」

 

 グリの大きさから、艦内での戦いは無理だろう。

 それに伊邪那美大神との戦いで怪我をしていたので、それもあって呼ぶのは止めておく。

 下手にグリを呼び出して、この強襲装甲艦を破壊するとかそういう事になったら洒落にならないし。

 実際にどうなるのかまでははっきりとは分からないが……それでも、危険があるのなら止めておいた方がいい。

 昌弘達……どころか、マーベルやシーラまでもが、狛治と刈り取る者を見て何も言えなくなっているが、取りあえずそれは気にせずに口を開く。

 

「悪いな。続けて。……続けてでいいんだよな? というか、今更だけど刈り取る者は俺と一緒に来てたのか。……まぁ、その件はともかく。狛治としてはペルソナ世界に召喚されてからどのくらいの認識だ?」

「何? そう言えばここはペルソナ世界だったか? あそことは違うな。……俺の認識としては1時間くらいといったところか」

 

 どうやら大体は同じ感じか。

 時差があってもそう違いはないと考えてもいいのか。

 

「伊邪那美大神によってこの世界に飛ばされてな。そんな訳で、今はこの船……海賊の船を占拠して拠点なり戦力なりの手札を手に入れようとしているところだ。そんな訳で協力してくれ」

「いいだろう。幸い、向こうで約束の時間まではまだ少しある」

 

 あっさりと頷く狛治。

 そんな狛治から、昌弘達に視線を向ける。

 

「それで、どうする? 協力してくれるか?」

 

 そんな俺の問いに、昌弘達は揃って頷くのだった。

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