転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3813話

 狛治と刈り取る者がいなくなったところで、俺は改めてマーベルとシーラに視線を向ける。

 

「さて、久しぶり……本当に久しぶりに会ったけど、ようやくゆっくりとした時間が取れるな」

「そうね。ジャコバ・アオンに頼んではいたけど、まさかこんな事になるとは思わなかったわ。シーラは予想出来ていた?」

「いいえ。私にとってもこれは完全に予想外でした。とはいえ、マーベルも私と同じ気持ちでしょうが、どのように快適な場所であってもアクセルと会える事が出来るというのは大きな意味を持ちます。私やマーベルにとって、アクセルと共にいるというのは自然な事なのですから」

 

 真剣な表情でそう言われると、俺もまた何と返していいのか分からない。

 マーベルやシーラと会えたのは、非常に嬉しいのは間違いなかったが。

 それにしても、別の世界に到着した時に生き別れになっていた恋人と再会する、か。

 何となくW世界での時の事を思い出すな。

 あの時も俺がW世界に行った時に凛と綾子がやってきたんだよな。

 ただし、ジャコバ・アオンという今回のマーベル達のように力を貸してくれる相手はいなかったので、凛の魔術……いや、魔法か。魔法を使ってだったが。

 W世界もガンダム系の世界であると考えれば、今回のオルフェンズ世界もガンダムの世界だし……もしかしたら、ガンダムの世界ってのは何かそういうのが関係しているのかもしれないな。

 

「それで……一応聞くけど、俺と別れてから何年経っている?」

「3年程ね。思ったよりも早くアクセルと合流出来て助かったわ」

 

 3年か。

 確か俺がダンバイン世界にいた時は、マーベルが18歳、シーラが17歳だった。

 だとすれば、今のマーベルが21歳、シーラが20歳か。

 大人っぽくなったのも納得の理由だな。

 

「バイストン・ウェルの方はどうなった?」

「ナの国は私の親戚に女王の座を任せましたから、心配はいりません」

 

 そう言うシーラに、俺は驚く。

 それはシーラが国を譲ったという話ではなく、シーラの親戚がいたという話にだ。

 とはいえ、よく考えてみればそれはおかしな話ではないだろう。

 シーラも人なのだから、両親や親戚がいてもおかしくはないのだから。

 もっとも、俺がシーラに接触した時は既にシーラの両親はいなかったが。

 それに親戚にも会う機会はなかった。

 とはいえ、シーラが俺と再会するとなると、ナの国から女王がいなくなる。

 それは国として不味いと考えれば、シーラが親戚に女王の座を譲るのはおかしな話ではない。

 

「マーベルは?」

「私は基本的にシーラと一緒に行動していたわ。生き残った聖戦士は基本的に地球に残ったから、そういう意味では私はバイストン・ウェルに存在する唯一の聖戦士という扱いになって、そういう意味でも面倒が多かったから」

「だろうな」

 

 その言葉にも納得は出来る。

 元々、マーベルは最強の聖戦士として名高い存在だった。

 純粋なオーラ力では、ショウとかに劣っていたのだが……それでも、マーベルの存在は大きかったのだ。

 また、マーベルの性格も聖戦士として称えられるのに大きかっただろう。

 

「ナの国はそれでいいとして、他の国はどうなった?」

 

 バイストン・ウェルにおいては、ナの国はそれ以外の国と海を挟んで大きく隔てられている。

 日本地図で分かりやすく言うと、三重県と愛知県のような形状に近い。

 それだけに、アの国を始めとしたドレイクの野望に巻き込まれた国々とナの国というのは、ある程度の距離がある。

 そういう意味では、ナの国が落ち着いたのはそうおかしな話ではない。

 だが、アの国を始めとした他の国々はとなると……

 

「そちらはラウの国が大体の国を纏めました。具体的には、ミ、ク、ア、リ、ケム、ハワといった国々を連合国とし、ラウの国がその連合国の盟主という形です」

「それはまた……」

 

 シーラの言葉に、ナの国の件を聞いた時以上に驚く。

 俺が知ってる限りの情報だと、ナの国はかなりの大国だったが、新たに連合国とした国の広さはナの国を上回っている。

 

「ラウの国が纏めたとなると……エレか?」

「はい」

 

 あっさりと頷くシーラ。

 エレ……エレ・ハンム。

 ラウの国のフォイゾン王を祖父に持つが、その娘パットフットは小国のミの国のピネガン王と駆け落ちをした為に、パットフットはフォイゾンから勘当されたという……色々な意味で複雑な生い立ちの人物だ。

 俺がバイストン・ウェルにいた時は13歳だった筈だから、今は16歳。

 ぶっちゃけ、俺と初めて会った時のシーラよりも年下か。

 それでラウの国を盟主にした連合国を纏めているというのは、素直に凄いと思う。

 

「けど、大丈夫なのか? エレだけでそんな大国を運営出来るとは思えないけど」

 

 これが地上の国なら、あるいはどうにかなったかもしれない。

 もっとも、地上では16歳で国を運営する……それこそ大統領や首相といった地位に就くのは、それこそ中世とかでなければ無理だが。

 しかしバイストン・ウェルは地上とは違ってガロウ・ランがいたり、恐獣がいたりする。

 そんな国をエレが無事に治められるのか。

 

「大丈夫でしょう。彼女も1人ではないのですから」

「そうね。頼りになる仲間が一緒にいてくれるから。それに……こう言ってはなんだけど、色々と問題のある面々は地上で死んだというのも大きいわ」

「あー……うん。だろうな」

 

 マーベルの言うように、バイストン・ウェルから地上に転移した事によって、ドレイクを始めとした野望に満ちた連中は死んでいる。

 もっとも全員が死んだわけではなく、生き残った者もいるだろうが……そういう連中がどうなったのか気になるところではあるが、マーベルとシーラの様子を見る限りでは特に問題ないのだろう。

 あるいはそういう連中はバイストン・ウェルに戻さず、地上に残したのかもしれないな。

 その辺についても、聞かない方がいいだろう。

 今更の話だし。

 

「バイストン・ウェルの国については分かった。それでシーラが国を譲った後で、2人はジャコバ・アオンの場所にいたのか。……というか、よく無事に到着出来たな。しかも滞在を許されて」

「その辺は、アクセルの功績があっての事です」

「……俺の?」

 

 ぶっちゃけ、俺はジャコバ・アオンに恨まれてはいても、感謝されるような事はしていないと思う。

 ジャコバ・アオンが地上にオーラマシンやそれに関係する面々を送った時も、俺は魔力を使って逆らったりしたり。

 それだけではなく、ジャコバ・アオンが嫌ったオーラマシンの存在や、それによる戦いについても俺は大きく関係しているし。

 そんな状況で俺を相手にジャコバ・アオンが感謝するというのは、ちょっと考えにくい。

 

「ええ。アクセルが地上で多くの悪しきオーラ力の持ち主を倒したのを評価したようです」

「そう言われると……なるほど」

 

 ジャコバ・アオンにしてみれば、ドレイクを始めとする悪しきオーラ力の持ち主達と俺が地上で戦ったのを評価したらしい。

 そう言われると、俺もそれなりに納得出来るところがある。

 

「そのお陰で、私とマーベルは暫くの間ジャコバ・アオンの下にいる事が出来たの」

「……そうか」

 

 マーベルの言葉に、何も言えなくなる。

 今回はそこまで時間が掛からなかったが、それは偶然でしかない。

 伊邪那美大神が俺を憎んでいたから。

 そして戦いに負けて、自分ではどうしても俺を倒せないと判断したから。

 それによって、伊邪那美大神は俺をペルソナ世界から他の世界に飛ばした。

 ジャコバ・アオンはその力でそんな俺の存在を察知し、それによってマーベル達は俺と合流出来たのだ。

 本当に偶然に偶然が重なった結果の再会なのは間違いない。

 

「とにかく、話は分かった。……出来れば俺がいない3年の間に発展したオーラマシンとかも持ってきて欲しかったけど」

「残念ですが、現在のバイストン・ウェルにおいてアクセルが期待するようなオーラマシンは殆どありません。オーラマシンが増えすぎると、再びジャコバ・アオンがその力を振るうかもしれないのですから」

「そうね。あるのは移動用とかに使うピグシーの類とかだけね。ショット・ウェポンとかがいれば、また違ったんでしょうけど」

「そうなのか。それなら仕方がないな」

 

 そうなると、恐獣の素材を持ってきて欲しかったというのも、この場合は言わない方がいいだろう。

 一応恐獣の素材は俺が大量に持ち帰ったし、試験的にではあるが培養にも成功している。

 ただ、何かあった時の為にそういう素材は多ければ多い方がいいのも事実。

 

「色々と言いたい事はある。あるけど……それでも、2人が俺に会いに来てくれたのは嬉しいよ」

「アクセル……」

「そう言って貰えると、来た甲斐があります。……まさか、このような世界にくるとは思っていませんでしたが」

 

 シーラの言葉に、俺もだろうなと納得するしかない。

 実際、今のところこのオルフェンズ世界についてはまだ殆ど分かっていないのが実情だ。

 クーデターによって大人達を皆殺しにしないのは、ブルワーズを乗っ取った後で子供達だけでは組織の運営が難しいからというのもあるが、大人達の中にはこの世界についての詳しい状況について知っている者もいるのではないかと思った為だ。

 ヒューマンデブリの子供達は教育もろくに受けていないだろうが、大人の中にはその辺の教育とかをしっかりと受けている者もいるだろう。

 あるいはコンピュータにその辺の情報がある可能性もある。

 そんな訳で、大人は必須となるだろう。

 そんな風に考えていると、やがて狛治と刈り取る者が戻ってくる。

 慌てた様子ではないので、何か面倒が起こったという訳ではないらしいが。

 

「アクセル、先程の子供達が戻ってきたようだぞ」

「ん? ああ、もうそれなりに時間が経ったか。どのくらいの子供達がこっちの味方になってくれるのか、楽しみなような、心配なような」

「私はあまり良い気分はしないけどね」

 

 マーベルが微かに不満そうな様子を見せる。

 マーベルにしてみれば、ヒューマンデブリの子供達を戦いに使うのが面白くないのだろう。

 ……まぁ、実際のところ俺と狛治、刈り取る者の3人がいればこの強襲装甲艦を占領するのは難しくはない。

 このオルフェンズ世界はガンダム系の世界で、MSを使った戦闘とかはあるが、ネギま世界やペルソナ世界のように生身での戦いは常人の域を出ない。

 そして船内での戦いとなれば、当然ながらMSではなく生身での戦いになる。

 いやまぁ、相手は海賊だ。

 場合によっては船内であっても格納庫からMSの武器を使うくらいの事はしかねないが。

 

「マーベルには悪いが、昌弘達にもしっかりと働いて貰う必要がある。でないと、ヒューマンデブリの子供達は何もやる事がない。それは色々と問題だろう?」

 

 人によっては、ヒューマンデブリは子供達なのだから仕事をしなくてもいいと言う者もいるかもしれない。

 だが、この世界においてそういうのは普通ではない。

 もっとも、オルフェンズ世界において今のところ知ってるのはブルワーズだけなので、もしかしたら他の場所なら子供は働かなくてもいいとか、そういう風に出来てるのかもしれないが。

 とはいえ、ヒューマンデブリという存在が普通に存在する世界だと考えると、そんな世界とは到底思えないが。

 

「アクセルさん!」

 

 そう言い、昌弘が姿を現す。

 その後ろには先程一緒にいた他の4人の姿があり、そして他にも10人以上の子供達の姿がある。

 その10人以上の面々は、精神的に異常をきたしたクダルに驚きの視線を向けていた。

 恐らく前もって話は聞いていたのだろうが、信じられなかったのだろう。

 

「この艦に乗ってるヒューマンデブリは、これが全員か?」

「はい。全員こっちに味方をしてくれる事になりました」

 

 ん? 昌弘の言葉遣いが違うな。

 

「どうした? さっきまでと言葉遣いが違うけど」

「アクセルさんは俺達の恩人です。そんな相手にさっきみたいな言葉遣いは不味いって言われて」

 

 そう言い、昌弘は最初にいた他の四人に視線を向ける。

 それが具体的に誰に向けられた視線だったのかは分からないが。

 まぁ、いいか。

 恭しい態度を取られるのは苦手なんだが、昌弘の言葉遣いはそこまでのものではなく、普通に上司や上官に向けられるようなものだ。

 それなら人前でも特に問題にならない……いや、シャドウミラーが傭兵として活動するのか、あるいはもっと他の業種になるのかは分からないが、とにかく何らかの組織として活動する以上、昌弘達も表に出る必要がある。

 だとすれば、その時に上司であったり取引先であったりにああいう言葉遣いをするのは不味い。

 そういう意味では、ここで矯正出来るのならしておいた方がいいだろう。

 

「分かった。お前が……それともお前達か? とにかくそっちがそれでいいのなら、俺は構わない。それで、全員がこっちに来たらしいが、武器は全員分……はないか」

 

 というか、武器らしい武器を持ってる奴はいない。

 何人かはどこから持ってきたのか鉄パイプとかを持っているが。

 いや、考えてみれば当然か。

 ブルワーズにとってヒューマンデブリというのは使い捨ての消耗品だ。

 逆らわないように教育しているが、それでも銃火器の類を持っていれば、万が一がある。

 MSは……多分クダルが抑止力となっていたんだろうな。

 そう思いつつ、俺は空間倉庫から銃火器を取り出すのだった。

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