転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3823話

「これはお宝ですね」

 

 メカニック達が俺の持ってきたMS……より正確にはMSの残骸を見て、そんな風に言う。

 無理もない。

 この世界のMSというのは、フレームが高硬度レアアロイによって出来ており、それは厄祭戦の時の物が今でも使えるのだから。

 俺が乗っているガンダム・グシオンも、ガンダム・フレームを見つけてそれをベースにして装甲とかを取り付けて今の形になったのだ。

 それこそギャラルホルンやテイワズといった巨大な組織しかMSを作れない今、それ以外の組織が自分達でMSを作るのなら、フレームやエイハブ・リアクターを見つけるなり買うなりして、それでMSを作るといった形になる。

 マン・ロディなんかは見事にそんな感じのMSだ。

 そういう意味では、こうしてMSのフレームとエイハブ・リアクターの両方を同時に入手出来たというのは、メカニックが言う通りお宝なのだろう。

 

「これはエイハブ・リアクターの状態も悪くないですし、フレームも……フレームも……うん?」

「どうした?」

 

 メカニックが俺の持ち帰ったMSの残骸を見て、不思議そうに呟くのを疑問に感じ、そう尋ねる。

 最初は不思議そうな様子で俺が持ってきたフレームを見ていたメカニックの男だったが、少しずつ戸惑った様子を見せ始めた。

 

「えっと、いえ。このフレーム……俺が知らないフレームなんですが……」

「何?」

「えっと、ちょっと待って下さい」

 

 そう言うと、メカニックの男は改めてフレームを確認していく。

 

「ガンダム・フレームじゃない。ロディ・フレームでもないし、グレイズ・フレームでもない。ゲイレール・フレームも違う。ヘキサ・フレームでもない。……これ、一体何のフレームだ? テイワズのMSのフレーム? いや、損傷した状態から考えて、恐らくこれは厄祭戦の頃、少なくてもここ数年程度の様子じゃない。となると……分からない。ただ……見た感じ、どことなくグレイズ・フレームと近い影響があるように思えるが」

 

 メカニックの男は悩みながらフレームを見る。

 男にしてみれば、まったく状況が理解出来ないのだろう。

 

「アクセルさん、少し待って下さい。このフレーム……もしかしたらとんでもないレア物かもしれません」

「なら、見つけた甲斐があるってものだ。取りあえず任せる。好きなようにしてくれ。どのみち昌弘達が戻ってきて、エイハブ・リアクターを確保するまでは暫く動けないんだし」

「ありがとうございます! おい、皆。集まってくれ! アクセルさんが初めて見るフレームを拾ってきた。装甲の状態から、恐らく厄祭戦当時のフレームだと思われる! 誰か、このフレームについて知らないか!?」

 

 叫ぶメカニックの男の声に、多くの者が集まってくる。

 皆、実はこのフレームに興味津々だったらしい。

 まぁ、メカニックとしては当然の反応か。

 それに嫌々メカニックをやってるのではなく、こうしてしっかりと自分から興味を抱いて行動してくれるのは、俺にとっても悪い話ではない。

 寧ろこの場合、助かると言ってもいいだろう。

 そんな様子を見つつ、俺はこれ以上ここにいても仕方がないのでブリッジに向かう……前に、俺が拾ってきたMSの残骸に集まっている者達に声を掛ける。

 

「そのフレームについて調べるのもいいけど、ガンダム・グシオンの補給も忘れないようにしてくれ。それと機体のチェックも頼む」

 

 ガンダム・グシオンには今日初めて乗った以上、機体がどれだけ損耗しているのか分からない。

 機体特性上、あまり関節部分とかに被害が出ないように操縦したんだが、それでも具体的にどのくらい被害を受けているのかは調べてみないと分からない。

 ましてや、推進剤はあのMSの残骸を見つけた時点で既にかなり少なくなっていた。

 そうである以上、ここで推進剤をきちんと補給しておかないと、いざMSで出撃する時に推進剤不足で出撃して即座に動けなくなるとか、普通にありそうだし。

 とはいえ、最悪そうなっても俺の場合は物理攻撃の効かない混沌精霊なので、俺が死ぬという事はないんだが。

 

「分かりました!」

 

 俺と話をしていたメカニックがそう叫ぶのを聞きながら、俺はブリッジに向かう。

 途中で何人かと会うが、相手が俺だと知ると即座に壁に寄って道を空ける。

 うーん、これはちょっと……

 魔法とかを見せた結果、こういう風になってしまったんだが。

 ただ、ここまで俺を怖がるというか恐れるというか、畏怖してるというか、とにかくそんな感じだけに、俺の命令……具体的にはヒューマンデブリを差別するなというのは素直に聞いているらしい。

 勿論、それはあくまでも俺がそう命令したからであって、内心でどのように思っているのかは生憎と俺にも分からなかったが。

 ただし、今はそれでいい。

 この先、同じような態度を続けていれば、それによっていつかヒューマンデブリと今のように接するのが普通と思うようになるんだろうし。

 それに今は違うとはいえ、元ブルワーズ……元海賊であるのは間違いない。

 そうである以上、中には規律を守るというのが普通以上に苦痛な者もいるだろう。

 そんな連中の規律を守らせるのに、俺という存在は大きな意味を持つ。

 シャドウミラーに所属する事になったこの連中が馬鹿な事をしないようにしていると思えば、俺が敬われ、恐れ……いや、畏れを抱かれるようになるのは、仕方のない事なのだろう。

 何人かと遭遇しつつ、ブリッジに入る。

 するとそこでは、マーベルとシーラ、そして俺の副官的な役割をする事になった男の姿があった。

 いや、3人だけではなく他にも数人いるのだが。

 

「お帰りなさい、アクセル。最後の最後で大きなお宝を見つけたわね」

 

 マーベルの言葉に頷きを返す。

 

「ああ。俺もまさかMSを見つけられるとは思わなかった。しかもフレームやエイハブ・リアクターに損傷がないかのような状態で。ただ……」

「アクセル? どうかしたのですか?」

 

 俺が言葉を濁したのを見たシーラが、不思議そうに聞いてくる。

 それはマーベルや副官の男、そして他のブリッジクルーの面々も同様だった。

 中には不安そうな表情の者もいる。

 そんな面々に見せつけるように、首を横に振る。

 

「MSの残骸のフレームだが、メカニック達の中にもあれがどんなフレームなのか分からなかったらしい。今、格納庫でフレームについて何か情報がないか調べているところだ」

「それは……テイワズのフレームとかではないのですか?」

 

 副官にしてみれば、一番怪しいのはテイワズといったところか。

 ただ、この言葉に対しても俺は首を横に振る。

 

「メカニック達もそれを考えたが、そもそも俺が見つけてきたMSは10年、20年といったくらいのものではなく、もっと古いらしい。そうなると、最近MSの開発が出来るようになったテイワズのフレームではないらしい」

「それは……少し驚きですね」

「そうなる。もしかしたら、ギャラルホルンですら所有していないような、未知のフレームという可能性があるしな」

 

 ギャラルホルンは、厄祭戦においてMAと戦った者達の子孫だ。

 そう考えると、普通ならギャラルホルンが知らないMSのフレームなどないだろう。

 だが、厄祭戦から300年。

 その間に情報がなくなったりといった事があってもおかしくはないだろうし、もしくは厄祭戦の時に少数だけ作らされたフレームで、それはギャラルホルンの上層部にも知らされないで作られたフレームという可能性も否定は出来ない。

 そうなると、あるいは……本当にあるいはの話だが、もしかしたら何らかの理由でギャラルホルンと取引をする時にそれを使うといった事が出来るかもしれないな。

 とはいえ、そういう希少なフレームなら出来る限りこちらで確保して、MSとして修復したいが。

 

「取りあえず、具体的にどういうフレームなのかというのは、メカニック達に調べて貰うしか出来ない。あるいは……エイハブ・リアクターを上手い具合に買い取って貰えたら、当然そこにはMSの製造技術とかもあるだろうし、そこであのフレームについて聞いてみてもいいかもしれないな」

「分かりました。もし分からない場合はそうします。……ただ、フレームの由来が分からなくてもフレームがあって、エイハブ・リアクターがあってとなると、MSとして修復する事は可能だと思いますが、どうします?」

「出来るのか?」

「その……重装甲型の機体のノウハウならありますから、そちらなら。ただ、かなり大雑把な感じになるのは間違いないかと」

「それはちょっと遠慮したいな」

 

 折角の謎のフレームなのだ。

 どうせそれを使ってMSを作るのなら、万全の状態にしたい。

 

「では、フレームについてはそのままに?」

「そうしてくれ。ただ、調べられる事は調べておくようにして欲しい。今は何の情報もないが、調べれば何らかの情報は入手出来るかもしれないし」

「分かりました、では、調べられる範囲で調べさせます。それで、ガンダム・グシオンはどうでしたか?」

「悪くない機体ではあるな。俺の好みではないけど」

 

 俺の好みは、基本的に防御力よりも運動性を重視した機体だ。

 もっとも、このオルフェンズ世界においてはビーム兵器は使い物にならないらしいので、そういう意味では今まで俺が乗っていたMSとは違う感じで乗らないといけないのだろうが。

 郷に入っては郷に従え。

 その言葉通り、このオルフェンズ世界においては、そういう武器を使うしかないのだろう。

 勿論サラマンダーの重力波砲はナノラミネートアーマーであっても意味はないだろうが。

 ただ、ナノラミネートアーマーを相手にしても効果を発揮する射撃武器があると知られると、間違いなく大きな騒動となる。

 場合に寄っては……いや、間違いなくギャラルホルンも乗り出してくるだろう。

 今のシャドウミラーの戦力では、ギャラルホルンと敵対するのは難しい。

 ゲートを設置してホワイトスターと行き来が可能になれば、ホワイトスターにいる実働班の戦力を使えるので、ギャラルホルンを相手にしても対処出来るのだが。

 

「そうですか。では、改修しますか?」

「いや、そういう時間はないだろう。俺が希望する性能を持つように改修するとなると、ちょっとした改修ではなく大改修といった感じになる。この艦にある格納庫じゃなくて、専門の設備が必要になるくらいには大規模な改修になる筈だ」

「そうですか。そうなると、アクセル様は現状のガンダム・グシオンのままで?」

「ああ。それにあの未知のフレームの事もあるし、まずはどうにかしてMSについて詳しい連中……恐らくテイワズになるんだろうが、そこと接触しないとな」

「その為には、手土産になるエイハブ・リアクターが必要、と」

「手土産じゃなくて、商品だけどな。……昌弘達の様子はどうだ? エイハブ・リアクターは見つからないか?」

 

 その問いに、男は難しい表情を浮かべる。

 

「微妙なところですね。複数のエイハブ・リアクターがあるのは間違いないですが、エイハブ・リアクター同士がエイハブ・ウェーブを出して影響し合っています。……まぁ、そんなに見つかりやすいのなら、とっくにエイハブ・リアクターを見つけようとしている者もいるでしょうが」

「そうなるか」

 

 それはそれで厄介だな。

 とはいえ、それでも今の状況を思えばエイハブ・リアクターは見つけておきたい。

 ただ、これは当初の予定を変える必要があるか?

 5基程度と思っていたが、3基程度にしても……いや、でも数が少ないとテイワズに足下を見られる可能性がある。

 何しろ向こうは、圏外圏の中でも木星周辺で非常に大きな力を持つ……いわば、巨大企業だ。

 そんなテイワズに、エイハブ・リアクター3基程度持ち込んでも……いや、それでも買うだろう。

 ギャラルホルンでしか作れないエイハブ・リアクターの価値は、それだけ高い。

 特にテイワズは俺が知ってる限り……というか、この艦にあった情報によると、ギャラルホルン以外で唯一MSのフレームを作れる技術を持つ。

 ただし、テイワズに作れるのはあくまでもフレームだけで、エイハブ・リアクターは作れない。

 そうである以上、他の組織に持ち込むよりもエイハブ・リアクターの価値は高いだろう。

 それでも3基では……いや、それは5基でも変わらないか?

 多少は態度が変わるかもしれないが、言ってみればそれだけだ。

 そうなると、それこそどこぞの海賊を襲ってMSを奪うとかした方がいいのか?

 MSを奪えば、それをそのままこっちで使ってもいいし、あるいは分解してエイハブ・リアクターを売りに出してもいいし。

 迷いどころだ。

 今はとにかく、昌弘達が何とかしてエイハブ・リアクターを見つけてくれるのを期待するだけだが……

 

「MS隊から通信です!」

 

 ブリッジクルーの1人の言葉に、もしかしてと思ったが……

 

「推進剤の残りが少ないらしいので、一時帰還するとの事です」

 

 その言葉に、うわぁ……と思うのだった。

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