転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3832話

 俺達の拠点となる場所を大雑把にだが見て回ると、次に俺達はCGSに向かう。

 ノブリスが何を考えて、俺達の拠点をCGSの近くにしたのかは分からない。

 ノブリスには恐らく何か考えがあっての事だろうが。

 普通に考えれば、武装組織が近くに別の武装組織があるのを面白いとは思わないだろう。

 相性とかもあるが、場合によってはその2つの武装組織がぶつかる可能性だってあるのだから。

 あるいはノブリスの狙いはそれなのかもしれないな。

 CGSというのがどういう組織かは分からないが、何らかの理由でノブリスの怒りを買ったとか。

 とはいえ、そこまで手を回す必要があるのか?

 俺が知っているノブリスの影響力を考えると、警備会社の1つや2つ程度潰すのはそう難しい話じゃないと思うんだが。

 今の状況でわざわざ俺達をCGSにぶつけようとするのなら、それこそ仕事を回さないように圧力を掛けるとかした方が手っ取り早いだろうに。

 

 そんな事を考えていると、子供組の誰かが口を開く。

 

「あ、見えてきた。あれじゃないですか、CGSって!」

 

 その言葉に窓から外を見ると、確かにバスの向かう方向に建物が見える。

 荒野にポツンと建っているのは、俺達がノブリスから貰った建物と同じだろう。

 ただ、俺達の建物よりは大きいか?

 

「人が集まってるな」

「ノブリスというのは、火星でも大物なのでしょう? そこから人が行くと連絡があれば、その客人を丁重に扱わないといけないと考えるのはおかしな話じゃないんじゃない?」

 

 マーベルのその言葉に、そういうものかと納得する。

 

「この辺にもお互いの力の差が表れている感じか」

 

 そうして言葉を交わしている間にもバスは進み続け、やがてCGSの敷地内に入り、待っている者達の側で停まる。

 

「降りてくれ。こちらで話はついているから、特に問題はない筈だ」

「ん? お前はどうするんだ?」

 

 バスの運転手をしていた男の言葉にそう尋ねると、男は当然といった様子で口を開く。

 

「勿論俺も降りる。一応これでもノブリス様の代理だしな」

 

 どうやらそういう事らしい。

 てっきり俺達の案内役なのかと思っていたのだが、ノブリスの代理人が出来るくらいの地位ではある、と。

 俺達に対する監視とかその辺についての役割も持ってるんだろうが。

 

「なら、いい。俺達だけだと侮られるかもしれないしな」

 

 こちらのメンバーは、俺はともかくシーラとマーベルはその外見から俺の恋人……もしくは愛人? とかそんな風に思われそうだし、子供組の5人は子供であるという時点で侮られてもおかしくはない。唯一侮られないのが、護衛としてついてきた2人の男だ。

 そういう意味では、副官の男の考えは間違っていなかったのだろう。

 

「かもしれないな。とはいえ、アクセル達はノブリス様が認めた相手だ。向こうもそれを分かっている以上、妙なちょっかいは出してこないだろう」

 

 男の言葉に、だといいんだがなとだけ呟いておく。

 普通に考えれば、男の言葉は正しい。

 正しいのだが、世の中には常識が通用しない奴とかもいる。

 特にこの火星は地球の植民地という立場である以上、孤児とかもかなり多く、自然な流れとして一般教育を受けていない者達が多い。

 そんな子供達が育って大人になれば、当然ながら一般常識? 何それ? 美味しいの? といったような大人になってもおかしくはない。

 もっとも、そういう連中だからこそ力の差を理解している相手に逆らったりはしないのだが。

 そういう意味では、ノブリスの後ろ盾というのは大きな意味を持つだろう。

 ……とはいえ、そのノブリスは信用も信頼も出来ない相手なのだが。

 出来るだけ早くシャドウミラーを企業として運営出来るようにしていって、ノブリスの手の中から抜け出さないとな。

 もっとも、ゲートさえ設置出来てしまえばその辺はどうとでもなるので、心配はいらないのだが。

 そんな風に考えつつ、バスから降りる。

 するとすぐにバスの前にいた者達の中で一番偉そうな……というか、偉いのだろう男が笑みを浮かべながらこちらにやってきた。

 

「初めまして。私はCGSの代表を務めているマルバ・アーケイといいます」

 

 肥満体のその男は笑みを浮かべているが、その目の中にはこちらを侮っている色がある。

 この辺、小物だなと思ってしまう。

 例えばこれがノブリスなら、心の中でどのように思っていてもそれを表情に出す事はない。

 だが、マルバと名乗った男は自分の中にある感情を隠す事も出来ないらしい。

 しかも、マルバの近くにいる短髪の黒髪の男にいたっては、マーベルとシーラに好色な目を向けていた。

 ……うん、駄目だなこれは。

 ノブリスが何を考えて俺達の拠点をこのCGSの近くにしたのかは分からないが、この様子だと上手くやっていくのは無理だろう。

 ただ……ちょっと意外だったのは、子供組が降りてきた時に特に驚いたりしなかった事だ。

 いやまぁ、子供組の存在を見て余計にこちらに侮る視線を向けてくる者は増えたが。

 けど、普通なら傭兵やPMCをやるにも関わらず、こうして子供組がいるのを疑問に思ってもおかしくはない筈だ。

 となると、もしかしてCGSでも子供を……ヒューマンデブリを使っているのか?

 ただ、こうして見るとヒューマンデブリの姿はない。

 考えられる可能性としては、俺達がノブリスの後ろ盾を持っている以上、ヒューマンデブリを表に出したくはなかったのか。

 何しろヒューマンデブリは教育らしい教育を受けていない。

 それはつまり、俺達……というか背後にノブリスのいる俺達を相手に何かやらかすかもしれないと思ってもおかしくはない。

 

「どうやら問題はないらしいな」

 

 俺達の様子を見て、最後にバスから降りてきた男……ノブリスの部下が、そう言い頷く。

 その男を見て、マルバもそれが誰なのかを理解したのだろう。

 すぐに俺の前から男の前に移動し、満面の笑みで言葉を交わす。

 俺を前にした時も満面の笑みを浮かべていたマルバだったが、男に向ける笑みは俺に向けた笑みとは明らかに違う。

 マルバにしてみれば、俺達はノブリスの後ろ盾があるが、言ってみればそれだけの存在。

 しかし、あの男はノブリスの直接の部下なのだ。

 どちらを重要視するのか、マルバとしては明らかなのだろう。

 ……とはいえ、男の方がそんなマルバの心情を理解するかどうかは別の話だが。

 

「アクセル達はシャドウミラーという組織を運営する。MWだけが戦力のCGSとは違い、MSを多数所有する組織だ。何かあったら協力して行動して欲しいとノブリス様からの御言葉だ」

「……な……」

 

 男の言葉に、マルバだけではなく他の面々も驚愕の視線をこちらに向けてくる。

 オルフェンズ世界において、MSとMWでは戦力に圧倒的な差がある。

 SEED世界のメビウスとジンの関係に近い……いや、ナノラミネートアーマーの強度とMWの武装を考えると、それよりもっと大きいか。

 そのような戦力比を持つMSとMWだというのに、MWしか持たないCGSと宇宙用とはいえ多数のMSを持つシャドウミラー。

 向こうにしてみれば、俺達に向けられる視線から完全に侮っていたのが分かったのだが、その侮りの色に今度は嫉妬の色が混ざる。

 ……そう来るか。

 こちらの力を理解し、態度を改めるのかと思いきや……まさか、嫉妬とは。

 それだけMSは戦力的な価値があるからこそだというのは分かるが、それでもこれはちょっとな。

 正直なところ、とてもではないが上手くやっていけるとは思えない。

 ノブリスの部下もそんなマルバ達の様子を見て、呆れたように息を吐く。

 

「その……見たところ、シャドウミラーでもヒューマンデブリを使っているようですが、実は我が社もヒューマンデブリを使っていましてな。他にもスラム街で生きていけない者達を雇って、食わせてるのですよ」

 

 自慢げに言うマルバだったが、この言葉はどこまで信じていいものやら。

 いや、けど丁度いいか。

 CGSでヒューマンデブリがどういう風に扱われているのか、見てみるのもいいな。

 

「ほう、それは興味深い。なら丁度いい。どうせならCGSの子供組……いや、ヒューマンデブリがどういう連中なのかちょっと見せてくれないか?」

「え? いや、しかし……ノブリスさんの部下に見せるような者達じゃ……教育が行き届いていないので、失礼があるかもしれませんし」

 

 俺の要望に、マルバはノブリスの部下に視線を向け、困った様子で言う。

 マルバにしてみれば、まさかヒューマンデブリ達……いや、その言葉を信じるなら、ヒューマンデブリ以外にもスラム街の子供達とかがいるのか。

 とにかくそういう連中を出来るだけ俺達とは会わせたくないらしい。

 そう思っていると、ノブリスの部下が俺に視線を向けてくる。

 どうする? といった視線。

 マルバはノブリスの部下の男が意思決定権を持っていると思っているようだし、実際にこの場でそうなのは間違いない。

 だが、その男の仕事は俺の案内とCGSとの交渉とかだ。

 それだけに、俺がどうしてもヒューマンデブリやそれ以外の子供達と会いたいのかどうかと視線で尋ねてきたのだろう。

 どうしたものかと考えたのは一瞬。

 今のところ、俺が知っているヒューマンデブリの扱いはブルワーズで見たものだけだ。

 このCGSにおいてヒューマンデブリ達がどのように使われているのか。

 それは見ておいた方がいい。

 ……にしても、ミスったな。

 今の俺は20代の姿だが、どうせなら10代半ばの姿でくればよかった。

 そうなれば、俺もヒューマンデブリの1人とか、そういう風に誤魔化せたかもしれないのに。

 もっとも、シャドウミラーの面々は俺が魔法を使えるというのは知っているが、外見年齢をある程度自由に変えられるというのは知らない。

 うーん、俺の能力をある程度知らせておいた方がいいのか?

 とはいえ、ブルワーズで海賊をしていた者達だ。

 何人かは絶対に口の軽い奴がいるだろうし、酔っ払ったりしたら何を言ってもおかしくはない。

 ましてや、これからはあの拠点で少なくない数の者達が活動するのだ。

 ノブリスが情報収集しようとしたり、CGSがこっちの情報を何でもいいから入手しようとした場合、あっさりと知られかねない。

 いやまぁ、魔法であったり生身で宇宙に出られるというのを知られている時点で今更かもしれないが。

 ともあれ、今は少しでもヒューマンデブリの扱いとかについての情報が欲しい。

 ブルワーズでのヒューマンデブリの扱いがこのオルフェンズ世界において標準なのか、それとも格別に酷かったのか……あるいは、まずないとは思うが、実はブルワーズの扱いはまだマシな方だったのか。

 その辺については是非とも知っておきたい。

 

「それでもいいから見せて欲しい。……別に見せられないような扱いをしている訳ではないんだろう?」

「それは勿論」

 

 疑うような男の言葉に、マルバは即時にそう返す。

 

「なら、見せても問題はない筈だ」

「……分かりました。では、案内をします」

 

 不承不承といった様子だったが、マルバは男の言葉に頷く。

 もし頼んだのがノブリスの部下の男でなければ……それこそ俺とかなら、マルバは絶対にこちらの言葉を受け入れたりはしなかっただろう。

 そう思わせる態度で、俺達を案内するマルバ。

 

「ふん」

 

 そんな中、何故か先程からマーベルとシーラを舐めるように見ていた短髪の男は、俺を見て鼻を鳴らす。

 何だ? ……とは言わない。

 先程からあの男が熱心に見ていたマーベルとシーラは、何も知らない者が見れば俺の女という風に見える。

 いやまぁ、見えるというか実際にそれで間違ってはいないのだが。

 他にいるのはノブリスの部下の男に子供組、そして護衛としてついてきた男が2人だけなのだから。

 そうである以上、マーベルとシーラが俺の女であると認識するのはおかしな話ではない。

 とはいえ、俺達の後ろ盾にノブリスがいるというのは今までの話から分かっている筈だ。

 なのに、まだノブリスの部下がいるこの状況でこっちに喧嘩を売るような真似をするのは何でだ?

 事情を理解していないとか?

 あるいは自分が何をしても問題ないと思っているのか。

 その辺は生憎と分からないが、状況を理解していないのは間違いない。

 立ち位置とかそういうのから、恐らくあの男はマルバの部下の中でもかなり地位が高いのだろう。

 だが……だからといって、それでもマルバの態度を見た上で、ああいう態度を取る意味が分からない。

 やっぱり単純に無能?

 いや、けど無能な奴がそこまで大規模ではないとはいえ、警備会社の中でも高い地位にいられるか?

 まぁ、その辺については取りあえず考えないでおくとしよう。

 CGSとどうなるのかは分からないし。

 もし敵対する事になるのなら、敵に無能がいるのは大歓迎だし。

 そんな風に思っていると、やがて周囲に子供達が多数いる場所に到着する。

 

「集まれ、ガキ共!」

 

 マルバが叫ぶと、次々に子供達が集まってくる。

 結構な人数がいるな。

 そんな風に思っていると……

 

「兄貴!?」

 

 不意に昌弘がそう叫ぶのだった。

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