転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3856話

 高密度デブリ帯に行っていた者達が戻ってきてから数日後……俺はシーラと黒服の男を引き連れて、火星の宇宙港にやってきていた。

 ちなみにシーラは現在のシャドウミラーの事務の中ではトップの存在なので、今回の取引にも参加する事になる。

 そして黒服は、ノブリスから派遣された見届け人だ。

 ノブリスにしてみれば、今回の取引は俺からの要請があったとはいえ、自分がお膳立てをしたのだ。

 そうである以上、問題なく取引が終わるかどうか、それをしっかりと確認したいと思うのはおかしな話ではない。

 ましてや、相手は圏外圏において大きな力を持つテイワズ、それもNo.2なのだから。

 正確にはNo.2の部下なのだが。

 とにかくそんな訳で、ノブリスとしては今回の取引をそれなりに重要視しているのは間違いない。

 こっちとしても、今回の取引は上手くいって欲しいとは思うんだが。

 

「アクセル様、今日はよろしくお願いします」

 

 宇宙港にある強襲装甲艦、その入り口では、副官の男が俺を待っていた。

 丁寧に一礼するその様子は、とてもではないが元ブルワーズとは思えない。

 本当に、この男は一体どういう過去を持ってるのやら。

 とはいえ、海賊をやっていた以上は、色々と訳ありであってもおかしくはない。

 そうである以上、ここで何があったのかといったように詳しく聞き出すのは、それはそれで問題だろう。

 というか、それを聞いてこの男がいなくなるという事を考えると、そんな事は出来ない。

 現在のシャドウミラーにおいて、この副官は俺がいない時に宇宙組を纏められる人材なのだから。

 これでゲートが繋がったら、ホワイトスターから誰か呼べばいいし、最悪量産型Wに任せるといった手段もある。

 しかし、今この状況でそのような事が出来ない以上、この男にいなくなられると困る。

 なら、余計な事は聞かずにいた方がいいのも事実。

 

「ああ、よろしく頼む。俺達が乗り込んだら、すぐに出発するぞ」

「はい、準備は出来ています」

 

 テイワズとの取引を、まさかギャラルホルンの目の前で行う訳にもいかない。

 まぁ、火星のギャラルホルンにはノブリスがたっぷりと鼻薬を嗅がせているので、実際には大丈夫なんだろうけど。

 それでもここで更に追加でノブリスに借りを作る訳にいかないのも事実。

 ……テイワズに渡りを付けて貰った時点で、十分に借りを作ってるのは間違いないが。

 ただ、この取引の件についてはノブリスも仲介料としてそれなりに儲けている。

 その上で、ノブリスがやったのは取引の場所を整えただけという、お手軽さだ。

 いやまぁ、それを言うのならテイワズを相手にこの状況を作るのが難しいのも事実だが。

 ともあれ、そのような理由から火星から少し離れた場所まで俺達は移動する事になる。

 船に乗り込むとブリッジに向かう。

 幸いな事に、俺達の乗船以外は全て準備が整っていたらしい。

 宇宙港とのやり取りも終わっている。

 なので、俺達がブリッジに入ると、すぐに出発する事になった。

 

「大丈夫だと思うけど、一応何があってもいいようにMS隊はすぐに出られるようにしておけよ。取引相手がテイワズと知らない海賊達が襲ってくる可能性もあるからな」

「そうなると、マーベルも連れてきた方がよかったのでは?」

「シーラの言いたい事も分かるけど、事務仕事の件を考えるとマーベルもこっちに連れてくる訳にはいかないだろう」

 

 マーベルは俺と初めて会った時……バイストン・ウェルに召喚された時、既に大学生だった。

 そうである以上、事務仕事も相応に出来る。

 実際、シャドウミラーで事務仕事をしているシーラを助けたりしているのは知っていたし。

 詳しく話を聞いたところによると、ダンバイン世界で俺と別れてからシーラと共に色々と勉強したらしい。

 考えてみれば当然の話なのだが、シーラは女王だったとはいえ、それはあくまでもバイストン・ウェル……言ってみれば中世のような世界での事だ。

 そんなシーラがシャドウミラーの事務仕事をすぐに出来るようになったのは、マーベルと共に色々と勉強していた成果だろう。

 ……ジャコバ・アオンの所にいたのに、一体どうやって勉強したのかがちょっと気になるが。

 とにかくそんな訳で、シーラもマーベルも事務仕事は普通に出来る。

 それ以外にも、ブルワーズには大人がそれなりにいて、その中には普通に字を読める者もいる。

 マーベル達はシャドウミラーが出来たばかりで仕事がまだ殆どなかった時、そういう連中に事務仕事について教えたらしい。

 そのお陰で、現在のシャドウミラーの事務の戦力は問題ない。

 それでもマーベルを置いてきたのは、やっぱり何かあった時に対処出来る人物が必要だからというのがあるのだろうが。

 

「まぁ、昌弘達も向こうに置いてきたんだし、いざという時は俺が出るよ」

 

 ガンダム・グシオンがあれば、その辺の普通のMSを相手にするのは難しくはない。

 寧ろそうして襲ってきた相手のMSを鹵獲したり、あるいは破壊してエイハブ・リアクターを確保したりといった事は出来るのだから、収入的には襲ってきてくれた方がありがたかったりする。

 

「大丈夫なのか?」

 

 俺の言葉に、そう訪ねてきたのはノブリスの部下だ。

 初めて会う顔だけに、俺についての情報はあまり知らないのだろう。

 あるいは、CGSとの模擬戦についてとかなら知ってるかもしれないが……あの時の模擬戦は生身だったが、俺が話していたのはMS戦についてだ。

 生身とMSでは、どうしても戦い方が違うと判断するのはおかしな事ではない。

 いや、寧ろ当然か。

 とはいえ、ノブリスの部下なら俺がガンダム・グシオンを使えるという情報くらいは知らされていてもおかしくないと思うのだが。

 

「問題ない。ギャラルホルンが出てくれば色々と面倒な事になるだろうが、その時もその場を切り抜ける事は出来る」

 

 もっとも、その時はガンダム・グシオンではなく、サラマンダー辺りを出すような事になりかねないが。

 それにその場は何とかなっても、その後の事を考えると面倒な事になるのは間違いなかったが。

 とはいえ、この取引にはノブリスも関係してる以上、多分大丈夫だとは思うのだが。

 

「そうか。……信頼するぞ。俺はノブリス様に良い報告をしたいんだからな」

 

 そう言う男だったが、ノブリスがそこまで忠誠を尽くすような男か?

 ノブリスについて、そこまで詳しい事は知らない。

 だが、シーラが悪しきオーラ力の持ち主として認識してるのだ。

 それだけで、俺にとっては信用も信頼も出来ない相手と認識してもおかしくはなかった。

 とはいえ、今はそんなノブリスでも利用する必要があるので、大人しく従っているが。

 それに今のところ、俺達を裏切ったりしていないのも、この場合は大きい。

 うーん……やっぱり出来るだけ早く呪いを何とかして、ゲートを設置する必要があるな。

 ある程度暇な時間があれば、魔力を使って呪いに干渉しているんだが、まだ呪いが解呪される様子はない。

 気長にやるしかないんだろうが、だからといって気長にやりすぎるといつ解呪が終わるか分かったものではないし。

 

「俺達はともかく、テイワズに喧嘩を売るような奴がいるとは思えないけどな。ともあれ、まずは目的の宙域に移動だ」

 

 そう言う俺の言葉に従い、強襲装甲艦は進むのだった。

 ちなみに取引なので、テイワズを警戒させないようにこっちは強襲装甲艦1隻での行動だ。

 強襲装甲艦が2隻に輸送艦1隻の全戦力で移動すれば、相手を警戒させかねないし。

 もしくは、喧嘩を売ってると思われるかもしれないな。

 何しろテイワズというのは、巨大な会社ではあるが同時に裏社会の一面もある。

 マフィアとかギャングとかそういう系統の。

 それだけに、面倒は少ない方がいい。

 そんな風に思いながら、俺達はブリッジで他の面々と話すのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル様、到着しました。テイワズは……どうやらまだ来ていないようですね」

「約束の時間よりはまだちょっと早いしな」

 

 時計を確認してみれば、約束の時間まではまだ30分程ある。

 どうやら思ったよりも早く到着したらしい。

 こっちが早く到着したのは、悪くない結果だろう。

 

「一応、周囲に何か異常がないか確認しろ。多分大丈夫だとは思うけど、それでも何があるか分からないしな」

 

 偶然海賊がここを見つけてやって来る……そんな可能性も、否定は出来ない。

 さすがにテイワズが企んでいるとは思わないが。

 ただ、それでも何かが起きる可能性は否定しきれない。

 そう思っていると……

 

「レーダーに反応!」

 

 ブリッジにいた面々の気配が変わる。

 唯一、普段は宇宙に出る事がないのだろうノブリスの部下の男だけが、一体何があったのかといった様子を見せていたが……まぁ、みっともなく騒がないだけ、マシなのだろう。

 ただ、ブリッジの中に走った緊張も、次の瞬間には消える。

 

「船を確認……テイワズから連絡のあった船、取引相手の船で間違いありません!」

 

 その言葉に、多くの者が安堵した様子を見せる。

 

「よし、通信を送れ」

「分かりました。……繋がりました」

 

 その言葉と共に、ブリッジにある映像モニタが起動する。

 

『うん? 繋がったか。こちらはテイワズ所属のJPTトラストだ。そっちはシャドウミラーで間違いないな?』

「ああ、シャドウミラーのアクセル・アルマーだ。今回のエイハブ・リアクターの取引には感謝している」

 

 そう言うと、映像モニタに表示された男は不愉快そうに眉を顰める。

 何だ?

 疑問に思ったが、俺が口を開くよりも前に向こうが口を開く。

 

『じゃあ、取引の話をするから、こっち来い』

「分かった。すぐに行く」

『ふん』

 

 何が気にくわなかったのかは分からないが、俺の言葉に不愉快そうに鼻を鳴らすと通信が切れる。

 

「何なんだろうな、一体」

「アクセル様、向こうはテイワズの所属です。それもJPTトラストというのは、テイワズの中でもかなり大きな組織です」

「らしいな」

「そしてこちらは、元ブルワーズとはいえ、シャドウミラーになってまだ特に目立った活躍のない弱小のPMC。そうである以上、向こうにしてみればあのような態度は面白くないと思うのは当然かと」

「そういうものか?」

「ええ。これが……そうですね。テイワズの組織の中でも、もっと末端の組織であれば話は違ったのでしょうが」

「そうなると、俺は行かない方がいいかもしれないな。今更態度を変えるような事は出来ないし」

 

 シャドウミラーの代表として、それこそ相手が格上の存在であっても下手に出る訳にはいかない。

 俺の性格的にもそうだろうし、何よりそういう事をしたとホワイトスターで繋がった時に知られたら……間違いなく面倒な事になる。

 

「そうなると、俺は取引の現場に行かない方がいいのか?」

「いえ。もう向こうもアクセル様について知ってるでしょうし」

「となると……そうだな。面倒な事になった場合、こっちで対処をする」

「え? それはその、本当に大丈夫でしょうか?」

 

 副官にしてみれば、まさかここで俺がそのように言うとは思わなかったらしい。

 あるいは、具体的に俺がどういう風に対処をするのかを気にしたのか。

 とはいえ、俺が考えた方法というのはそんなに難しいものではない。

 いや、寧ろ単純だとすら言えるだろう。

 このオルフェンズ世界においては、気配や殺気の類については知られていない。

 聞いた事はあるだろうが、それはフィクションの中だけの出来事だと考えているだろう。

 だが……俺は普通に殺気や気配、この場合重要なのは殺気だが、それについて察知する事も出来るし、それを発して意図的に相手に向けたりも出来る。

 そしてオルフェンズ世界の人間は殺気を感じたりは出来ないが、その殺気の影響を受けるのは間違いない。

 つまり、相手に気が付かせないまま一種の攻撃が出来る訳だ。

 それを使えば、相手を黙らせる事も難しくはない。

 最悪、気絶させたりとかも出来るだろう。

 

「大丈夫だ。問題ない」

「アクセル様の言葉だけに、信じたいのですが……いえ、今の状況を考えれば、アクセル様を信じるしかないのも事実ですね。分かりました。では、お願いします」

 

 副官の男は、俺が魔法を使えるのを知っている。

 具体的には白炎とか影のゲートとか、召喚魔法は……どうか分からないが。

 とにかく、俺が普通の存在ではないと知っている以上、俺がJPTトラストの船に行っても問題はないと思っているのだろう。

 

「出来るだけ問題は起こさないようにするから、その辺は安心しろ」

 

 そう言うものの、ブリッジにいる面々は俺の言葉を信じたようには見えない。

 まぁ、仕方がないか。

 今回の取引が失敗するのなら、それこそノブリスの伝手を使ってギャラルホルンにエイハブ・リアクターを売ったりしてもいいかもしれないな。

 まぁ、その場合は今回よりも面倒な事になりそうなのだが。

 そんな風に思いつつ、俺はシーラとノブリスの部下を連れて向こうの船に向かう準備をするのだった。  

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