転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3859話

「どうだね?」

 

 ノブリスが自慢げに言う。

 まぁ、そういう風に言うのはそうおかしな話ではない。

 何しろ、俺の目の前には20機のMWがあるのだから。

 しかもそのうちの半分は、ノブリスの伝手を使って阿頼耶識対応のコックピットに変わっている。

 ましてや、このMWはギャラルホルンの1つ前の主力MWだ。

 性能という点では、ギャラルホルンが現在使っているMWに比べて劣るが、CGSが使っているMWと比べると明らかに性能は上だった。

 

「ああ、約束通りの出来だ。弾薬の方も?」

「うむ。そちらも問題はない。ただ、今回はこちらで用意したが、次からはシャドウミラーの方で購入して欲しい」

「分かった。そうするよ」

 

 このオルフェンズにおいては、ビーム兵器は存在しない。

 ……ぶっちゃけ、MWはナノラミネートアーマーを使っていない以上、ビーム兵器が普通に効くのだが。

 厄祭戦によって、ビーム兵器を作る技術そのものがなくなっているのかもしれないな。

 そう考えると……もしかしたらエイハブ・リアクターと同じく、ギャラルホルンで技術を独占してるのかもしれないな。

 ともあれ、MSもMWも実弾兵器が主力である以上、当然ながらそれを使えば補給する必要がある。

 これらは自分達で用意するという事が出来ない以上、どこかときちんと契約を結ぶ必要があった。

 

「その武器や弾薬を用意する相手だが、ノブリスの方でお勧めがあったら教えてくれ」

 

 この辺については、火星に来たばかりの俺達はそこまで詳しくはない。

 だからこそ、武器商人として有名なノブリスからどこの店ならいいのかというのを聞いておく必要があった。

 

「構わんよ。幾つか紹介しておこう。こちらから連絡をしておくから、後でシャドウミラーの拠点に行くように言っておく」

 

 そう言うノブリスの言葉に、頼むと言うのだった。

 

 

 

 

 

「なるほど、操縦そのものはかなり簡単だな」

 

 ノブリスから受け取ったMWや各種弾薬。

 それらを運搬用のトレーラーで拠点まで運ぶと、俺は早速MWの操縦を試す。

 勿論、MWの操縦を試しているのは俺だけではない。

 昌弘を始めとした子供組もそうだし、大人達……そしてマーベルもだ。

 幸いな事に、拠点のすぐ側は荒れ地だ。

 MWを操縦するのに困るといったことは全くない。

 そんな訳で、現在シャドウミラーの面々はMWの操縦を試している。

 ただし、MWの数はそこまで多くはない。

 いやまぁ、普通に考えれば十分に大戦力なのだが、それでもシャドウミラーに所属する者達の数を考えると、どうしても足りないのだ。

 別にシャドウミラーに所属する全員が戦闘要員という訳ではない。

 メカニックのように。

 だが、それでもMWの操縦は出来るだけ多くの者が出来るようになっておいた方がいいのは明らかなのだ。

 そんな風に思いつつ、俺は映像モニタで他の者達の様子を見る。

 MWそのものは、別にこれが初めてという訳ではない。

 ブルワーズ時代にはMS以外にMWも使っていたのだから。

 だが、その時に使っていたMWと比べて、俺達が現在使っているのは1世代前とはいえ、ギャラルホルンのMWだ。

 当然ながら、その性能はブルワーズ時代に使っていたMWよりも上だ。

 これから地上ではこのMWを使うのだから、それを動かせるように慣れておく必要がある。

 とはいえ……MWはエイハブ・リアクターを使ってる訳じゃないから、最悪どこかから盗んできてもいいんだよな。

 MSの場合はエイハブ・リアクターによって個体識別されるものの、MWはないし。

 どこかのテロ組織とかから奪ってきたいところだが。

 それはそれで難しそうな気もするんだよな。

 その辺については、後でちょっと考えて見るか。

 ともあれ、こうして見る感じではMWを乗りこなせない者は今のところいない。

 これならMWを使う仕事を引き受けてもいいな。

 ……どこからそういう依頼を受けるのかというのが、この場合は問題なんだが。

 実際、今の状況でMWを使う依頼となると、ノブリスから回ってくるような依頼くらいしか思いつかない。

 そう思いつつ、俺はMWの操縦を続けるのだった。

 

 

 

 

 

「何だ、それ。随分とこっちに都合が良すぎないか?」

『そう言われても困る。こちらとしては、そういう話があるというのを聞いたから、そっちに話をしてみただけだ。別に絶対に出なければならない訳でないのも事実だし、気に入らないのなら参加しなければいいだけだろう?』

 

 映像モニタに表示されたマルバの言葉に、それはそうかと頷く。

 MWが配備されてから数日……そのタイミングで、警備会社やPMC、それ以外にもMWを使っている会社を集めて、競技会……というか、トーナメントをやろうという事だった。

 あるいはこれもノブリスが裏で手を回したのか?

 そうも思ったが、もしそうならノブリスからこっちに前もって連絡があるだろう。

 それこそ俺達の為にそういう事をしたと、恩に着せるような言い方で話していてもおかしくはなかった。

 そうなると、やっぱりこれは偶然か。

 

「いや、参加はする。CGSもそうだが、他のMWを使っている会社がどのくらいの技量なのかが気になるし。それで、具体的にどういうルールなんだ? 個人戦なのか団体戦なのかって事だが」

『今回は団体戦によるトーナメント形式だ。ただし、ちょっと変わっているのは途中で撃破扱いになった場合、そのMWは勝ち上がっても次の試合に参加出来ないという事だ』

「それはまた……」

 

 面倒ではあるが、同時に納得も出来る。

 戦いの中で負ければ、普通は死ぬ。

 そして死ねば、次の戦いには挑めない。

 そう考えれば、団体戦のトーナメントにおいて途中で脱落した者が次の試合に参加出来ないのは、そうおかしな話ではなかった。

 いや、寧ろ実戦を意識していると言われれば、そういうものかと納得すらしてしまう。

 

「話は分かった。それで団体戦という事だったが、何機で1チームになる?」

『10機だ』

 

 その10機というのは、何か意味があっての10機なのか、切りのいい数字という事で10機なのか。……何となく後者のような気がするな。

 

「分かった。じゃあ、シャドウミラーからは2チームになるのか」

『いや、1つの会社につき、出場出来るチームは1つだけだ』

「……そうなのか?」

 

 それはちょっと予想外だった。

 どうせなら、本命のチームと経験を積ませるチームの2つで出場して……と思っていたんだが

 

『そうだ。1つの会社で複数のチームを出場させるとなると、規模の大きな会社の方が有利だろう。それこそもう1つのチームを勝たせる為の捨て駒になったりしてもおかしくはない』

 

 そう言われると、そういう風にする奴もいるのか?

 

「一応聞くけど、そこまでして勝利する事に何か意味はあるのか?」

『ある。まず第一に、この大会はアーブラウだけではなく、SAU、アフリカユニオン、オセアニア連邦の支配している地域からも参加する』

「それはまた……」

 

 てっきり身内プラスアルファくらいの者達でやるのだとばかり思っていたが、どうやら予想していたよりもかなり大きな大会らしい。

 

『この大会で優勝すれば、この業界で一気に名前が広がるだろう』

「だろうな」

 

 この業界……警備やPMC、傭兵といった荒事を行う者達が揃って参加する大会で優勝するのだ。

 火星全土に、その名前は知られる事になるだろう。

 これから火星でPMCとして活動していく上で、名前が広まるのは悪い事ではない。

 ゲートでホワイトスターと繋がっていたのなら、その辺はあまり気にしなくてもいいが……解呪がいつになるのか分からない以上、しっかりと企業として活動出来るようにしておいた方がいい。

 

『他にも、優勝した会社にはMSが2機……ユーゴーが賞品として与えられるらしい』

「マジか」

 

 その一言で俺は大会に参加する事を決めたし、本気で優勝する事を狙う。

 ユーゴーについては、MSの情報を集めた時に見た事がある。

 このオルフェンズ世界において、最も多く製造されたのがロディ・フレームだ。

 そのロディ・フレームについで製造されたのが、ヘキサ・フレーム。

 そしてユーゴーというのは、そのヘキサ・フレームを使ったMSだった。

 警備会社であったり海賊とかで多く使われているMSで、個としての運用よりも集団としての運用に向いているMSだ。

 ただ、高機動型という事で俺向きのMSでもある。

 ともあれ、現在地上用MSを所持していないシャドウミラーにとっては、2機とはいえ地上で使えるMSを確保出来るというのは大きい。

 

『普通、MSが賞品になるなんて事は、滅多にないんだがな。それだけ今回の大会が注目されているという事だろう』

「一体何でそこまで注目されてるんだ?」

『決まっている。現在、火星独立の機運が高まっているからだ』

「……ノアキスの7月会議か」

 

 俺がクーデリアの護衛をした、ノアキスの7月会議。

 あれによって、火星独立……より正確には、現在はアーブラウ独立だが、そういう機運が高まっているのは間違いない。

 そうなった理由は、当然ながらクーデリアだ。

 今では革命の乙女とすら呼ばれている。

 ……何だか自然にそうなったというよりは、そういう風な流れを誰かが作ってるような気がするが。

 ただ、成立の過程はどうであれ、アーブラウにおいてそういう感じになっているのは間違いない。

 そしてアーブラウを中心として、他の勢力の植民地にもそれが広がっているのは間違いなかった。

 そして独立となれば、当然ながら戦いが起きる可能性が高い。

 もっとも、そうして戦いとなった場合、戦うのはギャラルホルンになるのだが。

 当然ながら、ギャラルホルンは強い。

 何より、MSを大量に持っているのが大きい。

 シャドウミラーやCGSは持っていないが、話を聞く限りではMSを持っている会社もあるのだろう。

 実際、賞品としてMSが2機となるくらいだし。

 

『そうなるな。後でそっちに申込書を持たせた奴を向かわせるから、参加する気なら提出しろ』

「勿論参加する。……ちなみにだが、CGSでは誰を出すんだ?」

『壱番組に決まってるだろう』

 

 その言葉に呆れる。

 いやまぁ、マルバの性格を考えれば、それも当然なのかもしれないが。

 あるいはハエダの進言からの対応か。

 もしこれが、もっと泥臭い……日の目を見ないような仕事なら、恐らく参番組に任せただろう。

 だが、今回の大会は多くの者が注目している。

 そんな大会に、参番組……ヒューマンデブリとスラム街出身の子供達を出すのは、CGSのプライド的な問題で却下されたのだろう。

 ただ、実力という点では参番組が最強なのは間違いない。

 壱番組や弐番組がMWを動かしているのは見た事がないが、恐らく1回戦で負けるだろう。

 勿論、絶対にそうなるとは限らない。

 CGSと同じく、普段はヒューマンデブリやスラム街出身の子供達を使っているのに、日の当たる場所という事でそれらを出さないという者達がいないとも限らないのだから。

 それでも、壱番組で優勝は無理だというのは断言出来る。

 

「そうか。まぁ、頑張ってくれ。……ちなみに、使用するMWに制限とかそういうのはあるか?」

『持っていく紙を見れば分かるが、制限は特にない。自分達の会社でどういうMWを揃えられるのかというのも、その会社の実力だからな』

 

 となると、俺達はかなり有利だな。

 何しろ俺達が使うMWは、1世代前とはいえギャラルホルンで使っていた奴だ。

 当然ながら、性能は高い。

 その上、阿頼耶識もある。

 とはいえ……俺とマーベル以外、全員子供組だけというのもちょっとな。

 経験を積ませるという意味で大人組からも何人か参加さえた方がいいかもしれないな。

 そんな風に思いつつ、俺はマルバとの通信を切るのだった。

 

 

 

 

 

「これです、アクセルさん」

 

 そう言ったのは、昭弘。

 マルバに命じられて、大会の参加用紙を持ってきたのだ。

 単純に昭弘がマルバに命令されたのか、それとも弟と会いたいが為に昭弘が自分から立候補したのか……後者だろうな。

 正確には、参番組にこの応募用紙を届けるように言い、参番組を纏めるオルガに昭弘が頼んだ……そんなところか。

 とはいえ、誰が持ってきても応募用紙は応募用紙だ。

 

「悪いな。CGSからここまでちょっと疲れただろう。少し休んでいけ。昌弘は食堂にいると思うから」

「ありがとうございます」

 

 そう言うと頭を下げて、昭弘が食堂に行く。

 それを見送ってから、俺は書類を見る。

 とはいえ、そこに書いてあるのは基本的にマルバから聞いた情報とそう違わない。

 

「アクセル、この書類だけど……どうしたの?」

 

 シーラが部屋に入ってきたところで、俺の見ている応募用紙に気が付き、尋ねてくる。

 

「これだよ、俺達にとってはチャンスだ」

 

 この世界の原作が具体的にいつ始まるのかは分からない。

 だが、恐らくはまだ原作は始まっていないだろうとは思う。

 なら、原作が始まるまでにシャドウミラーの認知度を高めておき、精鋭であると周囲に知らせておく必要がある。

 そんな風に思いながら、俺はシーラにこの大会に出ると説明するのだった。

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