転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3872話

 取りあえず俺とシーラが今日はCGSに泊まるということを連絡し、俺はベッドに寝転がりながら格納庫での一件を思い出す。

 クーデリアは、ヒューマンデブリやスラム街出身の少年兵達を救いたいと思っていた。

 それは間違いない。

 だが、三日月にしてみれば、それは自分達を下に見ているのだと、そのように思えたのだろう。

 とにかく若干のトラブルはあったものの、三日月も別にそこまでクーデリアを責めるような事はしなかった。

 下に見ているというのは、あくまでも三日月がそのように感じたのをそのまま口にしただけだったらしい。

 その後で空気が悪くなったのは間違いなかったが。

 ともあれ、その後も色々とあって現在はこうして夜になり、寝室にいる訳だ。

 ちなみにだが、当然ながらシーラと俺は別々の部屋となる。

 シーラとクーデリアとフミタンが一緒の部屋である以上、俺とシーラが一緒の部屋という訳にいかないのは当然だろう。

 さすがに俺も、CGSの拠点でシーラとそういう行為をしたいとは思わないし。

 そんな訳でシーラ達と俺は別々の部屋になった訳だ。

 

「さて、そうなると取りあえず寝る事になるけど……どうしたもんだろうな」

 

 呟きつつ、ベッドの上に寝転がる。

 ベッドは安物……という訳ではないが、それでもシャドウミラーにある俺の部屋のベッドと比べると安物なのは間違いない。

 そんなベッドに寝転がり、空間倉庫から取り出した雑誌を読む。

 雑誌の内容は、エビ料理特集。

 世界中の様々なエビ料理が紹介されているという……エビ好きの俺にとってはかなり興味深い雑誌だ。

 シンプルに塩ゆでをしたエビであったり、細かくミンチにしてエビカツにしたり、他にも珍しいのは車エビの刺身とかもあった。

 ただ……一番美味そうだと思ったのは、エビのプリプリ感をシンプルに楽しめる、エビフライだな。

 後はエビの塩ゆでにマヨネーズでというのも悪くない。

 個人的には、エビで一番好きなのは、やっぱりあのプリプリとした弾力のある食感なんだよな。

 それをダイレクトに味わうのは、やっぱりある程度熱を通してシンプルに食べた方がいい。

 あー……こういうのを見ていると、やっぱりエビ料理を食べたくなるな。

 とはいえ、火星だと魚介類ってあまりないんだよな。

 上流階級なら、養殖をしていたり、場合によっては地球から運んできた奴を食べる機会はあるが、スラム街の者達は勿論、一般市民も本物の魚介類は見た事がない者が大半なんじゃないだろうか。

 ちなみにエビフライとかエビの天ぷらとかは、騙すような料理にも使いやすかったりするので注意が必要だ。

 具体的にはスーパーでエビ天丼を買って食べてみたら、そのエビは甘エビかと思うくらいに小さく、衣だけが巨大だとか、そんな感じで。

 あるいはフライであっても、揚げる前に衣とパン粉を二度付け、三度付け、四度付けといったように何度も繰り返して、こちらも衣だけを大きくするとか。

 そうして雑誌を見ていると……

 

「何?」

 

 どん、と。建物が揺れる。

 地震かとも思ったが、違う。これは爆発だ。

 ハエダが何かやらかしたか?

 一瞬そう思ったのは、ハエダを知っている者にしてみればそうおかしな話ではないだろう。

 だが、爆発が何度も続いているのは明らかだ。

 これは……攻撃?

 ちょっと待て。もしかしてギャラルホルンの攻撃か!?

 一瞬にしてそのような結論になったのは、現在の俺達の……というか、クーデリアの状況を理解しているからだろう。

 ギャラルホルンがクーデリアの存在を疎ましく思っているのは、当然ながら俺も理解していた。

 何しろクーデリアのお陰で、最近はクリュセとかでも……いや、それどころか他の国が支配している地域でも独立運動が活発化しているのだから。

 その上でアーブラウのトップがクーデリアとハーフメタルの件で交渉をするとなれば、ギャラルホルンとしても面白くはない。

 その為、クーデリアが地球に行くまでの間、いつかはギャラルホルンに狙われるだろうというのは容易に予想出来ていた。

 だからこそ、こうしていきなりの襲撃でも恐らくはギャラルホルンの仕業だと判断出来た訳だ。

 勿論、ギャラルホルンではなくギャラルホルンに雇われた連中という可能性もある。

 ……こっちはともかく、シャドウミラーの方は大丈夫だろうな?

 もしこの攻撃がギャラルホルンの仕業だとすれば、CGSだけではなくシャドウミラーが狙われている可能性も十分にある。

 少しだけ心配になり、影のゲートを使って一度拠点に戻るが……そこでは静かなままだった。

 いや、微かにCGSを攻撃している音が聞こえてきており、それを察知した者達が周囲を警戒しているのが分かる。

 それを褒めようとしたものの、まずはCGSの方をどうにかするべきだろう。

 そんな訳で、俺はそのままCGSまで影のゲートで戻る。

 同時に、俺の部屋の扉が激しく叩かれた。

 CGSを攻撃している音に扉を叩く音が掻き消されなかったのは、単純に幸運だったのだろう。

 俺はすぐに扉を開ける。

 するとそこには、予想通りシーラ、クーデリア、フミタンの3人の姿がある。

 

「アクセル、敵襲です」

「どうやらそうみたいだな」

 

 シーラがそう断言するのは、バイストン・ウェルでの経験からだろう。

 もしくは、オルフェンズ世界に来てからの経験によるものか。

 とにかく襲撃されているのは間違いない。

 

「どうしますか? アクセルなら脱出して私達の拠点に行く事も可能でしょう。いえ、ここが襲われている以上、向こうも襲われている可能性がありますが」

「いや、その心配はない」

「え? ……ああ、なるほど」

 

 シーラは一瞬戸惑ったものの、すぐに納得した様子を見せる。

 俺が影のゲートで拠点を見てきたのだと理解したのだろう。

 だが、それは俺が影のゲートを使えると知っているシーラだからだ。

 クーデリアやフミタンは、俺の魔法について知らないので、疑問の視線を向けてくる。

 

「アクセル、何でそれが分かるのですか?」

 

 どん、と。

 クーデリアの言葉を妨げるように、再び爆発が爆発音が聞こえてくる。

 

「色々と教えてやりたいところだが、残念ながら今はそういう話をしている余裕はないみたいだ」

「……そうですね。それで、どうするのですか?」

「取りあえず、このままここにいても何がどうなるか分からない。外の状況を確認しよう」

 

 このままここにいて、いきなりミサイルが降ってきたりしたら困る。

 いや、俺だけならどうとでもなるんだが、クーデリアとフミタンには俺が魔法とかを使うのをあまり見せたくないし。

 ……あるいは、いっそ魔法について話してしまった方がいいのかもしれないが。

 そんな風に思いつつ、俺はクーデリアやフミタンを急かす。

 シーラは俺の言葉に即座に従っていた。

 そうして建物の中を進み、やがて外に出る。

 

「これは……」

 

 そこで広がっている光景に、クーデリアの口からそんな言葉が漏れた。

 視線の先では、MW同士の戦闘が行われている。

 しかも、CGS側がかなり押されている状況だ。

 それも当然だろう。俺はCGSのMWと戦っているMWに見覚えがあった。

 それは……

 

「ギャラルホルンのMW」

 

 そう、MWと一口に言っても複数の種類がある。

 そんな中で、性能の高いMWはやはりギャラルホルンのMWだ。

 CGS側が使っているMWと比べても明らかに大きく、それでいながら運動性や機動性は決して負けてはいない。

 そのMWがギャラルホルンのだと分かったのは、シャドウミラーの使っているMWがギャラルホルンの1世代前の奴だからだろう。

 シャドウミラーのMWとデザイン的に関係があるのは明らかだ。

 とはいえ、それはつまり……襲ってきたのはギャラルホルンだという事を示していた。

 ギャラルホルンのMWは、グレイズのようなMS程ではないにしろかなり厳格に取り扱われているので、それが市場に流れる事は滅多にない。

 とはいえ、絶対という訳ではないが。

 何しろ火星のギャラルホルンはノブリスと繋がっている……賄賂を受け取っているのを思えば、それなりに癒着はあってもおかしくはない。

 そういう者達が、ギャラルホルンの現役のMWを横流しして金儲けをするという可能性は決して否定出来ない事実なのだ。

 実際にシャドウミラーが購入したMWもギャラルホルンの1世代前の奴で、その出所がどこなのかは考えるまでもないし。

 

「ギャラルホルンが、CGSに直接……?」

「そうなるな。一応連絡をした限りではシャドウミラーは襲われていないという話だし。そうなると、考えられるのはクーデリアが今日ここにいるというのを、ギャラルホルンが知っていたからという事になる」

 

 どうやってギャラルホルンがその情報を入手したのかは、俺にも分からない。

 考えられる可能性は幾らでもあるし。

 手っ取り早いのは、CGSの中にギャラルホルンに情報を流した奴がいるというのがあるか。

 クーデリアの情報を手土産に、ギャラルホルンに雇って貰う。あるいは結構な報酬を約束されたとか。

 ただ、クーデリアを邪魔に思っているギャラルホルンにその情報を知らせれば、当然ながらCGSが攻められる事になり、そういう意味ではもうCGSからその者は消えているかもしれないな。

 他には、クーデリアの近くにいる人物で、今日CGSに来るというのを知っている奴か。

 

「アクセル、あの2機……腕が立ちますね」

 

 MW同士の戦いを見ていると、不意にシーラがそんな風に言ってくる。

 シーラの視線を追うと、そこでは確かにCGSのMW2機がギャラルホルンを相手に優勢に立ち回っている。

 というか、全体的に不利なCGS側だが、あの2機の力で何とか持ち堪えているといった感じだ。

 壱番組や弐番組がこれに合流すれば、勝利出来るだろう。

 壱番組や弐番組は決して腕が立つ訳ではない。

 そもそも阿頼耶識を標準装備している参番組と比べると、どうしても生身で操縦する壱番組と弐番組は戦力的に劣るのだから。

 そんな参番組の中でも、2機のMWは突出した活躍を見せている。

 既にギャラルホルンのMWを数機撃破しているのを見れば、その活躍度合いは明らかだ。

 あの2機のMWのパイロットは誰だ?

 考えられるとすれば……オルガと三日月か? もしくは昭弘という可能性もあるな。

 さすがにシノは……どうだろうな。

 そんな疑問を抱いていると……

 

「ん?」

 

 そんな中、不意に信号弾が上がる。

 それも、この戦場ではなくかなり外側の方だ。

 一体何故あんな場所で信号弾が?

 そんな疑問を抱くが、その信号弾が上がった瞬間、ギャラルホルンのMW隊はそちらに向かって一斉に進み始めた。

 

「あれは……なるほど。そういう事か」

「アクセル? どうしたのですか?」

 

 クーデリアの疑問に、俺はそのクーデリアをじっと見る。

 その視線を向けられたクーデリアは、少し困った様子で改めて口を開く。

 

「ギャラルホルンの狙いがお前なのは分かるな?」

「え? ええ。前からそう言われてましたから」

「そうなると、ギャラルホルンにしてみれば、CGSから脱出する相手をそのままには出来ない。この状況で真っ先に脱出するのは、本来ならクーデリアだしな」

 

 そこまで言うと、クーデリアも俺の言いたい事を理解したのだろう。

 信号弾の上がった方向に視線を向ける。

 

「じゃあ、誰かが陽動で?」

「恐らくな。ああやって信号弾を上げれば、実際に誰かが逃げていなくても確認する必要がある。……もっと本格的にやるのなら、誰かが囮として車を走らせるなりなんなりしてもおかしくはないと思う。もっとも、そこまでやるかどうかは分からない。誰かが信号弾を上げて、そのままこっちに戻ってきているという可能性もあるしな」

 

 取りあえず、マルバやハエダ達にこういう陽動を考えられるとは思えない。

 だとすれば、多分参番組……それを率いるオルガの考えか?

 参番組の作戦だとすれば、必要以上に囮を使って犠牲を出すとは思えない。

 だとすれば、信号弾を上げた後はとっととこっちに戻ってきている筈だ。

 そう思ったところで、ふと気が付く。

 

「壱番組と弐番組はどうした? まだ出て来ないのか?」

 

 てっきり、ギャラルホルンを囮に惹き付けたら、壱番組と弐番組も出撃してきてギャラルホルンの後方から一気に攻撃するのだとばかり思っていたのだが、壱番組も弐番組も未だに出て来ない。

 それどころか、参番組も後ろを見せるギャラルホルンに対して追撃を行っている様子はない。

 それはまるで、攻撃をする事で相手が反転して自分達に攻撃をしてくるのを避けているかのような……待て。だとすればさっきの信号弾はどうなる?

 もしかして、俺は何か妙な勘違いでもしているのか?

 

「一体何がどうなっている?」

 

 そんな疑問を抱くも、事態は進む。

 MWだけではどうしようもないと判断したのだろう。

 MSが……それもギャラルホルンの最新鋭主力MSのグレイズが戦場に姿を現したのだった。

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