転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3877話

「さて……それで? 何から聞きたい?」

 

 そう俺がクーデリアとフミタンに言ったのは、格納庫ではなくシャドウミラーに用意された客室だった。

 何を話すにしろ、格納庫で話す訳にはいかないと判断した為だ。

 ちなみに、この部屋には俺とクーデリア、フミタン以外にも、マーベルとシーラの姿もある。

 俺の……もしくは俺達の真実について説明するのなら、マーベルとシーラはいた方がいいと思ったからだ。

 実際にはマーベルもシーラも、ダンバイン世界からこのオルフェンズ世界に転移してきた以上、ホワイトスターやシャドウミラーについてはまだ殆ど知らない。

 ダンバイン世界で話した事はあるので、全く何も知らないという事はないのだが。

 

「勿論、CGSからここまで戻ってきた方法についてです。……地面に沈むような感触があったかと思ったら、既にシャドウミラーの格納庫にいました。あれは一体何なのですか?」

「まぁ……だろうな」

 

 クーデリアにしてみれば、真っ先に聞きたいのがそれなのはそうおかしな話ではない。

 さて、そうなると……どう説明したものだろうな。

 状況的に仕方がなかったとはいえ、魔法を見せてしまったのは事実。

 今更の話だけど、クーデリアとフミタンを気絶させた後で影のゲートを使えば……本当に今更の話か。

 それに、そうなったらそうなったで、何故か2人揃って気絶したという事で、それを疑問に思って突っ込まれかねないし。

 そう考えると、結果は変わらなかった……と思う。

 

「それで、アクセル。話を聞かせてくれるのでしょう?」

「そうだな。……簡単に言えば、俺は魔法使いだ」

「……え?」

 

 俺の言葉に、一体何を言ってるのか分からないといった様子のクーデリア。

 無理もないか。

 この世界はあくまでも科学技術の世界だ。

 それはつまり、魔法とかは存在しないとう事を意味している。

 いや、映画とかそういう架空の存在としてはあるのだろうが。

 

「ほら」

 

 そう言い、俺は指を白炎にすると犬の炎獣を生み出す。

 

『っ!?』

 

 クーデリアだけではなく、フミタンまでもが驚きに息を呑む。

 この世界の常識で考えれば、そういう風になっても仕方がないか。

 

「触ってみろ」

「……その、大丈夫なのですか?」

 

 白炎でその身体を形作られているからだろう。

 クーデリアが恐る恐るといった様子で尋ねてくる。

 その言葉に頷くと、クーデリアは炎獣に手を伸ばそうとし……だが、フミタンがその手を止める。

 

「お嬢様、私が……」

 

 なるほど。フミタンにしてみれば、クーデリアは仕えるべき存在だ。

 そうである以上、幾ら俺が安心だと口にしても、そのまま素直に炎獣に触れさせるつもりはないという事か。

 そしてフミタンは、自分の行動にクーデリアが何かを言うよりも前に手を伸ばし、炎獣に触れる。

 

「……暖かいですが、熱くはありません。怪我もないです」

「フミタン……」

 

 フミタンの行動に色々と言いたい事がありそうなクーデリアだったが、それでも結局は何も言わず、自分も炎獣に手を伸ばす。

 恐る恐ると……だが、実際に炎獣に触れると、クーデリアの表情には安堵の色がある。

 

「さて、そこに炎獣が存在するのは2人共確認出来たな? これで俺が魔法使いというのは理解出来た筈だ。そして、CGSからシャドウミラーまでの移動も、影のゲートという転移魔法だ。ちなみにだが、この件については秘密にしておいてくれると助かる」

「それは……そうでしょうね。架空の存在だとばかり思っていた魔法なんてものが実在してるのですもの。もしこれを知ったら、多くの人がその力を見たがり、そして自分も使いたいと思うでしょう」

「その辺の理由があるのも事実だな。俺にしてみれば、可能な限りそういう面倒なのは避けたいし」

 

 その言葉に、クーデリアは納得したように頷く。

 クーデリアも革命の乙女として有名になっているのを考えると、俺の気持ちが多少なりとも理解出来るのだろう。

 フミタンも頷くが……うん? 何だか様子が変だな。

 いやまぁ、突然炎獣なんてものを見せられれば、そういう感じになってもおかしくはないが。

 

「それで、アクセル。シャドウミラーの皆はアクセルの魔法について知ってるのですか?」

「ああ。実際に自分の目で見てるのも多いし」

 

 とはいえ、実際には俺が生身で宇宙空間に出た光景を見て、俺が魔法使い……あるいは何らかの特殊な能力の持ち主だと認識してもおかしくはない。

 

「そうなのですか。……それにしても、魔法などというものが本当にあるとは。一体どのようにして魔法を使えるようになったのですか?」

 

 興味津々といった様子のクーデリア。

 それを聞くより、もっと色々と聞くべき事があると思うんだが。

 そう思うも、クーデリアの性格を考えればこうなるのは自然な流れだったのかもしれないな。

 

「その辺は、生憎と秘密だ」

「そうですか。魔法ですし、仕方がないですね。……あ、その……もしかしてシーラさんやマーベルさん達も魔法を?」

 

 シーラとマーベルに視線を向け、尋ねるクーデリア。

 俺が魔法を使えるのを見たので、もしかしたら……と、思ったのだろう。

 だが、俺は首を横に振る。

 

「いや、魔法を使えるのは俺だけだ」

 

 実際には、バイストン・ウェルにいる時にガラリアと一緒にマーベルにも魔法の使い方を教えた事はある。

 だが、結局ガラリアもマーベルもしっかりとした魔法は使えていない。

 実際には、ガラリアが地上に出てバイストン・ウェルに戻ってくる時にそれらしいのを使ったらしいが、結局それだけだったしな。

 

「そうですか。……ちなみに、魔法というのは誰でも使えるのでしょうか?」

「いや、特定の人だけだな」

 

 そう言う俺の言葉に、マーベルが少し反応する。

 実際、魔法は基本的に誰でも使えるからだ。

 練習しなければ使う事は出来ないし、一定以上の高難易度の魔法……具体的には、それこそ影のゲートを始めとする転移魔法とかを使うには相応の才能が必要なのは間違いない。

 だが、初歩の魔法……それこそ火よ灯れを始めとした魔法であれば、基本的に全員が使える。

 基本的にとしたのは、ネギま世界にいた高畑のように体質から魔法を使えない者がいる為だ。

 もっとも、高畑は魔法を使えないものの、非常に高い戦闘力を持っているが。

 ネギま世界において魔法というのは大きな要素の1つだが、同時に魔法以外の戦闘方法とかもあるのだ。

 その一番分かりやすい例は、神鳴流だろう。

 魔法ではなく気を使う戦闘方法だが、その威力は絶大だ。

 実際、鬼滅世界においてはネギま世界の神鳴流から派遣された者達が大きな力となったのだから。

 

「そう、ですか。少し残念ですね。出来れば私も魔法を使ってみたかったのですが」

 

 残念そうに言うクーデリア。

 こういう風に言うと思ったから、誰でも使えるとは言わなかったんだよな。

 今のクーデリアには、魔法の練習をしているような余裕はない。

 魔法球でもあれば、話は別だったのだろうが。

 もしホワイトスターと繋がっていれば、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、クーデリアやフミタンが魔法を使えるようになっていた可能性も十分にあるのだろう。

 

「悪いな。将来的にはまだしも、今は難しい」

「……将来的に、ですか? 魔法というのは、使えるようになるのに何か条件でも?」

「その辺は企業秘密だ。クーデリアを信頼していない訳じゃないが、それでも魔法については出来る限り秘密にしたい。そういう力があると知らなければ、それこそ相手の意表を突くのにこれ以上の手段はないだろう?」

「それは……そうかもしれませんが。残念ですね。魔法というのですから、もっとこう……夢のあるようなのを想像していたのですが」

 

 そう言いつつ、クーデリアは炎獣を見る。

 クーデリアの言う、夢のあるようなのというのがどういうのかは、俺にはちょっと想像出来ない。

 ただ、炎獣をそういう夢のある存在と認識してるのは間違いないらしい。

 これで、この炎獣が実は容易に人を殺せるだけの力を持ってると知ったら、どうなるんだろうな。

 まぁ、その辺については今は話さなくてもいいか。

 それに……魔法について教えた以上、炎獣をクーデリアの護衛として使えるようになったのも、この場合は大きいだろう。

 呪いが解呪されていて、ホワイトスターと自由に行き来出来るようになっていれば、それこそ俺達が異世界の存在だと話してもよかったのだが。

 しかし、今の状況でそれは話せない。

 もし話しても、それはクーデリア達を混乱させるだけだろう。

 信じさせるという意味では、あるいはサラマンダーやミロンガ改を見せればいいのかもしれないが。

 もっとも、VFのサラマンダーはともかく、ミロンガ改はその大きさもMSとそう違わないので、メカニックのように専門の知識でもなければ区別は出来ないかもしれないが。

 そういう意味では、戦闘機のファイターや半分変形したガウォークになれるVFは一目で違うと分かるので便利だよな。

 ともあれ……取りあえず今のところは、異世界の存在については黙っておいた方がいいのは間違いない。

 もし俺達が異世界の存在だと知らせるとすれば、解呪をしてゲートを起動出来るようにした後での話になるだろう。

 

「ともあれ、魔法についてはこの辺で終わるとして……CGSというか、ギャラルホルンが襲撃してきた件だ」

「その……大丈夫だったのでしょうか?」

「被害そのものは出た。多分、死んだ奴もいるだろうな。ただ……それでも、俺とマーベルが援軍に行った事によって、本来死ぬ筈だった者達の多くが助かった筈だ」

 

 原作において、この襲撃でどのくらいの人数が死んだのかは分からない。

 あるいは、この襲撃は俺達が原作に介入した結果起きたのかもしれない。

 ……いや、後者はないか。

 今回の襲撃があったからこそ、CGSの地下にあったガンダムが戦闘に出てきたんだし。

 もしギャラルホルンの襲撃がなければ、あのガンダムが表に出てくるようなことはなかった……と思う。

 何だかんだと、別の理由によってガンダムが出て来た可能性も決して否定は出来ないが。

 

「そう、ですか。……アクセル達が持ってきたMSを見る限り、ギャラルホルンが出してきた戦力はかなりのものだったようですね」

「そうだな。正直なところ、あそこまでMSを出してくるのは俺にとっても予想外だった」

 

 もし俺達がいなければ、どうなっていたか。

 三日月がガンダムを出しても、恐らく最終的にはCGSが負けていただろう。

 スラスターの不調とかもあったようだし。

 そうなるまでに、ギャラルホルン側にもかなりの被害が出たのは間違いないだろうが。

 もっとも、ギャラルホルンがここまで多くMSを出したのは、俺達が関係している可能性も高いんだよな。

 何しろMWの大会で優勝してしまったし。

 CGSのように、見栄からその会社の最大戦力を出さなかった可能性もあるが、表向きでは火星の中ではシャドウミラーがMWの操縦練度では最強という事になっている。

 ……1世代前とはいえ、ギャラルホルンの高性能なMWを使っているのだから、その点で俺達が有利だったのは間違いないが。

 阿頼耶識を使って操縦している子供組もいたし。

 そんな訳で、ギャラルホルンにしてみれば俺達を強敵と判断してMSを多数用意した可能性も否定は出来ない。

 もっとも、結局襲撃したのは……正確には標的のクーデリアがいたのは、シャドウミラーではなくCGSだったのだが。

 

「大丈夫なのでしょうか?」

 

 クーデリアの心配は、このまま地球に行く事が出来るかどうかだろう。

 こうして露骨にギャラルホルンが敵対するとは、クーデリアも思っていなかったらしいし。

 

「そうだな。取りあえず、多少ではあるがこっちでも手を打つ」

「手を打つって……具体的には、どのような?」

「静止軌道衛星上にある、アーレスにはちょっと手が出せないけど、地上にある基地にはちょっかいを出せるしな」

 

 その言葉は、クーデリアにとってかなり予想外だったらしい。

 一瞬その動きが止まり、じっと俺を見てくる。

 今の言葉が冗談なのか本気なのか、それを確認したいらしい。

 

「えっと、アクセル。今のはその……何かの冗談ですよね? もしくはちょっと大袈裟に言ってるだけとか?」

 

 あ、これは駄目だな。

 もし本気だと言えば、クーデリアは間違いなく止めてくる。

 俺にとっては決して難しい話ではないのだが、一般的に考えれば、やはり無茶をやろうとしているように思えてしまうのだろう。

 

「ああ、勿論冗談だ。緊張しているクーデリアを落ち着かせる為に言ったんだよ」

 

 そんな俺の言葉に、安堵した様子を見せるクーデリア。

 ただし、マーベルとシーラは俺にジト目を向けている。

 今のが実は冗談ではなく、実際に行動に移そうとしているのを理解しているらしい。

 この2人なら当然かもしれないが。

 

「とにかく、明日にはもう1度CGSに行ってこれからの件を相談する必要がある。クーデリアとフミタンも、今日はゆっくりと休んでくれ」

 

 そう言うと、2人も疲れを実感したのか頷くのだった。

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