転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3879話

「あら、戻ったのね。……どうだった?」

 

 ギャラルホルンの基地から戻ってくると、部屋にはマーベルの姿だけがあった。

 

「それなりだな。シーラは?」

「書類仕事よ」

「……そうか」

 

 シーラ以外にも書類仕事を出来る者はいるが、それでも能力的にシーラには及ばない。

 もう少ししたらクリュセで事務員を募集しようかと思っていたんだが……原作が始まって、ギャラルホルンと露骨に敵対してしまった以上、それはちょっと難しいな。

 

「シーラには後で奪ってきた物資について話しておいた方がいいな」

 

 事務員を纏めているだけに、その辺についての情報は共有しておく必要がある。

 でないと、何故この物資がここに? とかそんな風になってもおかしくはないし。

 

「そんなに多くを奪ってきたの?」

「ああ。格納庫3つ分だ」

 

 結局俺はギャラルホルンの基地にあった格納庫のうち、3つからMSやMW、各種物資を奪う事に成功した。

 ギャラルホルン側にとっては、まさに大損害だろう。

 それを公表するのは……まず難しい筈だ。

 普通に考えれば、ギャラルホルンが自分達のMSやMWを纏めて奪われたといったことを公表すれば、それはギャラルホルンの恥となる。

 あるいは……本当にあるいはの話だが、それが理由でギャラルホルンは大した相手ではないと判断され、クーデリアの演説に影響されて行われている独立運動がもっと活発になるという事にもなりかねない。

 だからこそ、ギャラルホルンは今回の一件を公表しないだろう。

 もっとも、公表しないからといって隠し通せるとは限らないが。

 何しろギャラルホルンに所属している者はかなりの人数になる。

 また、ギャラルホルンの基地に食料や物資、あるいはそれ以外にも色々と運び込む業者もいるだろう。

 そんな者達がいれば、そこから情報が流れる可能性は十分にあった。

 ギャラルホルンに限らず『ここだけの話』というのは、ついやってしまうものだ。

 勿論、中にはそういうことをしない者もいるだろう。

 だが……人数が多くなれば、口を滑らせる者も当然ながら多くなる。

 ギャラルホルンにしてみれば、俺……というか、CGSやシャドウミラーを怪しむだろう。

 何しろ、露骨に敵対した相手なのだから。

 もっとも、タイミングが露骨すぎて、怪しまないという可能性も否定は出来ないのだが。

 ただ、最初は露骨すぎて怪しまれないという可能性もあるが、グレイズを使えばエイハブ・リアクターの周波数によって地上の基地から奪われた物だとすぐに分かってしまうのだが。

 

「また、随分と持ってきたわね。そうなると、私もユーゴーからグレイズに乗り換えた方がいいのかしら」

「どうだろうな。その辺については好きにしてもいいと思うぞ。ユーゴーの方が使いやすかったらユーゴーのままでいいし、試しにグレイズに乗ってみて、それで問題ないようならグレイズに乗り換えてもいい」

 

 勿論、純粋な性能ならユーゴーよりも新型のグレイズの方が上だろう。

 ガンダム・フレームを使ったMS……ガンダムのような特殊なMSでもない限り、基本的には新しいMSの方が性能は高いのだから。

 ただ、MSの操縦で重要なのは、MSの性能だけではない。

 MSとの相性とかも大きく影響してくる。

 そういう意味では、マーベルにとってユーゴーの方が乗りやすい、相性がいいとなれば、別に無理にグレイズに乗り換える必要はない。

 俺のMSについては……俺もまた実際にグレイズに乗ってみないと何とも言えないのだが。

 その辺は明日……いや、明日は明日でCGSに顔を出して、クーデリアの依頼について話す必要があるな。

 そうなると、それはそれで迷うところがある。

 ともあれ……

 

「今日は寝るか。シーラもそろそろ仕事を終わらせてこっちに戻ってきた方がいいと思うんだが」

 

 既に時間は、午前4時くらい。

 まぁ、夜中にCGSの襲撃があって、それでシャドウミラーに転移してきてからMSを使って反撃し、その戦いが終わったらすぐにギャラルホルンの基地に向かうといった感じで、かなりの忙しさだったのだ。

 明日もまた忙しい事になるのは分かっているだろうし、そろそろしっかりと眠っておいた方がいいと思うんだが。

 

「そうね。もうそろそろ……」

 

 マーベルが言葉を最後まで口にするでもなく、扉の外に気配を感じる。

 それが誰の気配なのかは、考えるまでもなく明らかだった。

 そして扉が開き、シーラが姿を現す。

 

「アクセル……もう戻っていたのですか。成果の方はどうでしたか?」

「問題ない。しっかりとMSやMWを確保してきた。……ただ、問題なのはギャラルホルンの機体だから阿頼耶識対応型じゃないんだよな。俺やマーベルはともかく、子供組が使うのは……」

「そうですか。……そうなると、ノブリスを通じて業者に連絡をする必要がありますね」

「どうだろうな。今回の件はノブリスにとっても下手をすれば自殺行為だ。そう簡単に引き受けるとは思えないが」

 

 何しろギャラルホルンの基地から盗み出したMSやMWのコックピットを阿頼耶識対応型に変えるのだ。

 それがギャラルホルンに知られたら、間違いなく逮捕されるだろう。

 ……いや、逮捕される程度なら、まだマシか?

 最悪の場合、殺されてもおかしくはない。

 例えば、ギャラルホルンのMSやMWを報酬として渡すと言っても……それで受けるかどうかは微妙なところだろう。

 裏の世界というか、非合法の連中なら受けるか?

 テイワズは……いや、駄目だな。

 俺が取引をした男の事を思い出すと、とてもではないが再び取引をしたいとは思わない。

 追加でエイハブ・リアクターを売るのも、止めておきたいと思える程に。

 となると……他に当てになるのはタントテンポか?

 とはいえ、タントテンポが非合法な組織であろうとも、拠点が月である以上はギャラルホルンの中でも最精鋭のアリアンロッド艦隊がいる訳で、そんな場所でグレイズを……それも数機ではなく10機単位でコックピットを通常型から阿頼耶識型に換装するというのは、色々と問題がある。

 そうなるとやはり火星でどうにかするしかないのか。

 もしくは……シャドウミラーのメカニック達にその辺をやれるようにして貰うか?

 ただし、そうなるとそれはそれで問題があるのも事実。

 具体的には、阿頼耶識のコックピットをどこから入手するかだ。

 この辺については、明日――時間的にはもう今日だが――にでも考えればいいか。

 そう判断し、俺はマーベルやシーラと話しながら眠るのだった。

 

 

 

 

 

「……は? えっと、それはマジか?」

 

 ギャラルホルンと戦った翌日……とはいえ、眠ったのが朝方なので、昼近くまで寝ており、今は既に午後だが。

 とにかくそんな午後にやって来たのだが、そんな俺を出迎えたのはマルバであったり、ハエダであったりではなく……オルガだった。

 そしてオルガが口にしたのは、自分達がこのCGSを乗っ取ったという事。

 正直なところ、驚くと同時に納得をする自分もどこかにいた。

 元々、CGSは参番組の戦力を使って警備会社として活動出来ていたのだ。

 壱番組や弐番組は、ぶっちゃけいたところで特に意味はない程度の戦力でしかない。

 勿論、阿頼耶識があってこそなのだろうが。

 とにかくそんな訳で、参番組にしてみれば壱番組や弐番組は邪魔者でしかなかった。

 それを切り捨てたというのは、オルガ達にとって悪くない選択肢ではあるのだろう。

 

「その……はい。アクセルさん達から見て、問題があると思いますか?」

 

 そう聞くオルガは、片目を瞑ったままだ。

 この癖が出るという事は、多分オルガの中で答えは既に決まってるのだろう。

 それでも俺に聞いてきたという事は、俺がどう反応するのかを知りたいといったところか。

 

「問題は……あるだろうな。俺達はともかく、他にCGSと取引のあった者達にしてみれば、いきなりマルバを追放したというのは、素直に納得出来るかどうかは微妙なところだ」

「そうですよね。でも……」

「分かっている。参番組がどんな扱いをされているのか、何度か見てきたしな。それに……組織を乗っ取るって事なら、俺だって別にオルガをどうこう言えないし。昭弘経由で聞いてるだろう? シャドウミラーは元はブルワーズという宇宙海賊だったんだ。それを俺が乗っ取って、今の組織にしたんだ。そういう意味では、俺とお前は似たようなものなんだよ」

「……アクセルさん……」

 

 多分、自分達の行動が受け入れられるとは思っていなかったのか、驚きの視線をこちらに向けてくるオルガ。

 

「言っておくが、感情論だけでお前らの行動に賛成した訳じゃない。俺達にしてみれば、マルバ達がいなくなったのは仕事をする上で利益しかないからな」

 

 CGSと仕事をする上で、マルバ達はこっちの足を引っ張るばかりだった。

 ましてや、いざギャラルホルンとの戦闘になれば、参番組を囮にして逃げ出す始末だ。

 そんな連中と一緒に仕事をするとなると、こっちをいいように使おうとするとか、危なくなればその危険をこっちに押し付けて逃げるとか、普通にやるだろう。

 そういう連中と一緒に仕事をするよりも、オルガ達の方が信用出来るのは事実。

 後ろを気にしなくていいのは、悪くない。

 とはいえ……

 

「ただ、仕事……クーデリアを地球まで護衛する仕事についてはどうする? 参番組だけになった今の状況で、出来るのか?」

「どう、でしょうね。その辺についてはまだちょっと不明です。ただ、一度受けた仕事である以上、どうにかしたいとは思ってるんですけどね」

 

 困った様子のオルガ。

 オルガにしてみれば、今の状況は色々と不本意な件もあるのだろう。

 とはいえ、それでもマルバ達と一緒にいては使い捨てられるだけだと考え、こうして行動に出た訳だ。

 そして困った様子は見せているが、同時に清々した様子を見せているのも事実。

 後悔はしていないといったところか。

 

「そうか。ともあれ、シャドウミラーの成立過程からすると、俺が文句を言ったりするつもりはない」

 

 CGSを乗っ取ったのはいいが、マルバやハエダ達はどうしたのか。

 それを少し聞きたかったが、もしそれを聞いたら多分殺したとか。そういう風に言われてもおかしくはない。

 何しろ、マルバやハエダは参番組を消耗品として扱っていたのだから。

 そんな扱いを受けた者達がCGSを乗っ取ったら、どうなるか。

 まぁ……普通に考えて、生きているという事はないと思う。

 CGSの中で、参番組を消耗品として扱っていなかった者がいれば、そういう連中は生きているかもしれないが。

 そこまで考え、ふと疑問を抱く。

 

「これからお前達でCGSを運営していくんだよな?」

「はい、そのつもりです」

「……俺が言うのも何だが、事務員はどうするんだ? 組織を運営する上で、事務員というのは必須だぞ?」

 

 シャドウミラーを運営する上で、政治班がいるようなものだ。

 ただ、シャドウミラーの政治班は少数精鋭で皆が有能なのと、何よりも魔法球があるのが大きい。後は時の指輪だったり、その受信機を持っているお陰で不老になっているのも大きいだろう。

 だが、魔法球があるのはあくまでもホワイトスターだ。

 だからこそ、オルフェンズ世界のシャドウミラーもシーラを筆頭に何とか事務員を確保……というか、元ブルワーズ組でそっち方面に適性のある者を事務員として使って、何とかしている。

 シャドウミラーはまだ出来たばかりのPMCで仕事も……クーデリアが行ったノアキスの7月会議であったり、MWの大会に出た事もあって知名度は広まったが、それでもまだそこまで仕事は多くはない。

 そんなシャドウミラーでも、シーラや事務員数人を使ってようやく回している状態なのだ。

 そうなると、CGSの事務員はどうなるのか。

 規模としては、CGSの方がシャドウミラーよりも大きいし、曲がりなりにもこれまで警備会社として働いてきた実績がある。

 つまり、シャドウミラーよりも仕事は多い筈。

 もっとも、オルガ達がCGSを乗っ取るといった事をした場合、そこに仕事を依頼するかという問題もあるが。

 

「あー……その件ですが、取りあえずCGSの事務員が1人残ってくれる事になったので、取りあえず何とかなるかと思います。取りあえず」

 

 取りあえずって、何度使うんだろうな。

 つまりそれだけ危ない……本当に事務員1人でどうにか出来るかは分からないって事なんだろう。

 その気持ちは俺にも理解出来ないでもないが……まぁ、壱番組や弐番組が減ったお陰で、そちらに裂いていた書類とかそういうのは減るんだろうし、そう考えれば無理はない……のか?

 

「それで、その。少し相談が」

「俺にか? いや、事務員とかそういうのだと、シーラの方がいいと思うんだが。何なら呼んで来るか?」

「いえ、それもそうですが……」

 

 そこで言葉を切ったオルガは、俺の隣にいるクーデリアとフミタンに視線を向ける。

 ああ、なるほど。クーデリアを護衛しながら地球に行く件か。

 

「分かった。なら……どうする? 色々と話すなら、ゆっくりとした場所で話した方がいいと思うが」

「そうですね。中に入って下さい」

 

 オルガがそう言い、俺達はCGSの中に入るのだった。

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