転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3881話

「えっと……その、詳しい事を聞かせて貰ってもいいですか?」

 

 俺の言葉に最初に我に返ったのはオルガだった。

 そのオルガの質問で、他の者達も我に返る。

 

「そうだな。まずはその辺からしっかりと説明した方がいいか。……現在、表向きシャドウミラーには3機のMSがある。それは分かるな?」

「ええ。……表向きという表現はちょっと疑問に思いますけど」

 

 オルガの言葉に、デクスターとクーデリア、フミタンがそれぞれ頷く。

 

「まずはもう知ってると思うが、シャドウミラーは宇宙海賊のブルワーズを乗っ取って作った組織だ。その為、ブルワーズが使っていたMSはそのまま所有している。こっちは昌弘を始めとした面々が乗っていたから、阿頼耶識対応型のMSだが。後は俺とマーベルが乗っているMSもある。……ただ、これはブルワーズが宇宙海賊だった事もあって、宇宙用のMSだ。地上では使えない」

 

 実際にはガンダム・グシオンとマン・ロディはともかく、ガルム・ロディは地上用に調整すれば使えない事もないとは思うんだが。

 

「なので、宇宙用MSについては何も心配ない。そしてここからが本題となるが、昨夜の襲撃によって、シャドウミラーとCGSはギャラルホルンと敵対関係になった。これはいいな?」

 

 その言葉には異論がないので、話を聞いていた全員が頷く。

 

「ギャラルホルンが敵である以上、その戦力が低くなるのは俺達にとって利益しかない。……違うか?」

「え? いや、それはそうですけど……」

 

 ここまで言っても、オルガには俺が何を言いたいのか分からないらしい。

 というか、オルガの持つ常識が邪魔をしている感じか。

 

「何しろ敵対した以上、いつまたギャラルホルンが攻めてきてもおかしくはない。そうならないようにする為に、ギャラルホルンが地上に持つ基地に潜入して、MSやMWをかなり盗み出してきた」

「…………………………………………………………………………え?」

 

 たっぷりと数分沈黙した後で、オルガの口からそんな声が漏れる。

 オルガ以外の面々は、それこそ俺が何を言ったのか、全く理解出来ていない様子だった。

 それをいい事に、俺は話を続ける。

 

「そんな訳で、MWはともかくMSは出来るだけ早く使い物になるようにしたい。ただ、ギャラルホルンのMSである以上、当然ながらそのコックピットは通常仕様で阿頼耶識対応型じゃない。折角ギャラルホルンの最新鋭MSのグレイズがかなりあるのに、それを戦力として使えないのは痛いだろう? だから、どうにかしてMSのコックピットを阿頼耶識対応の物に換装したかったんだが……生憎と難しかった」

「それで……うちに?」

「ああ。実際にやった事があるのなら、2度目以降も出来るだろう?」

「いや、けど、それは……」

「勿論、この依頼を受けた場合、グレイズが使えるようになった分だけ、MWは使えなくなる」

 

 阿頼耶識対応のコックピットをMSに換装するという事は、当然ながらMWはコックピットがなくなる。

 グレイズのコックピットをMWに換装すればMWは使えるようになるだろうが、そうなれば当然ながらそのMWは阿頼耶識ではなく普通に操縦しなければならない。

 参番組だけが残っており、その全員は阿頼耶識の手術を受けた者達だ。

 そうである以上、普通の操縦は……まぁ、出来ない訳ではないんだろうが、当然ながら阿頼耶識で操縦するよりも動きは劣る。

 それも少しといった感じではなく、数段。

 つまり、戦力として数えるのが難しくなる訳だ。

 そして阿頼耶識に換装されたグレイズは、当然ながらシャドウミラーで運用する訳で……俺の提案は、純粋な戦力的という意味ではCGSにとってマイナスでしかない。

 ただし、クーデリアの地球までの護衛を受けるのなら、俺達と一緒に行動する事も出来る。

 それこそ、マン・ロディであったり、場合によってはグレイズをCGSに貸し出すといった形にしてもいい。

 その上で、相応の報酬を支払うのだから、総合的に見ればオルガ達にとって悪い依頼ではない。

 そう説明すると、オルガは悩み始める。

 

「すぐには決められないですね。これからの事もありますから」

「こういう時こそ、即断即決……と言いたいところだが、オルガ達のこれからが関係していると思えば、仕方がないか。なら、そうだな。まずは1機試しにやってみるのはどうだ? MWの1機程度なら、戦力的にもそこまで惜しくはないだろう?」

「それは……いえ、そうですね。アクセルさんの頼みとなれば、少しは無理を聞くべきでしょう。じゃあ、まずは1機試してみるという事で」

「ちょっ、オルガさん!? そんな簡単に……グレイズですよ? ギャラルホルンの最新鋭MSを……」

 

 デクスターが慌てた様子でそう言う。

 デクスターにしてみれば、ギャラルホルンから奪ってきたというグレイズを自分達が改修……いや、コックピットの換装が改修という表現が相応しいのかどうかは分からないが、とにかくそれは不味いと思ったのだろう。

 

「あんたの気持ちは分かる。だが……俺達はもう、ギャラルホルンを敵に回してるんだ。ならもう、今更後には退けねえだろ」

「確かにギャラルホルンとは敵対しています。ですが、向こうにしてみれば、またこちらは弱い相手……侮るべき相手と認識してる可能性が高いです。ですが、そこでギャラルホルンから盗んだMSに阿頼耶識のコックピットを換装するなんて事をしたら、今まで以上に目をつけられますよ」

「弱い? 俺達は、実際にギャラルホルンの襲撃部隊を撃退したんだぜ? ……まぁ、その功績の多くはアクセルさん達がいたからだけど。とにかく、襲撃部隊を撃退した俺達を、ギャラルホルンが侮るなんて事をすると思うか?」

「それは……」

 

 デクスターはオルガの言葉に反論出来ない。

 実際、そんなオルガの言葉はそこまで間違っている訳ではないのだから、当然だろう。

 あれだけの戦力を出してきたギャラルホルンだ。

 それを撃退した俺達を、侮るといった事はしないと思う。

 ただ、襲撃してきたギャラルホルンが精鋭だったのかと言われれば、俺は首を横に振るが。

 全員がそうだという訳ではないものの、腕の劣る者が多かったのも事実。

 多分、最初は実際に俺達を弱いと判断していたのだろう。

 何しろMWしか持ってない警備会社だ。

 あるいはシャドウミラーが敵になるかもしれないと思っていても、そのシャドウミラーはMSを3機所有しているものの、出来たばかりのPMCだ。

 そうなると、ギャラルホルン側に油断をするなという方が難しいだろう。

 ……それで実際にどうなったのかは、結果を見れば明らかだろうが。

 

「それに、今は少しでも金が必要なんだろう? アクセルさん達にこれ以上借りを作るのはどうかと思うが、今回の件は歴とした取引だ。このままだと会社はどうしようもない。それをどうにか出来る手段を、アクセルさんが用意してくれたんだ」

「……ああ、もう。仕方がないですね。ただ、取りあえず先程アクセルさんが言っていたように、まずは1機やってみましょう。それを実際にやってみて、それで問題がないようなら引き受けるという事でいいかと。……どうです?」

「あーっと……アクセルさん。見苦しいところを見せてしまいましたね。それで、どうでしょう? デクスターが言ったように、まずは1機という事で」

 

 そんなオルガの言葉に、クーデリアが期待の視線を向けてくる。

 クーデリアにしてみれば、ノブリスから融資を受けてでもCGSを存続させたかったのだ。

 それはCGSがどうとかではなく、単純にCGSにいる子供達を見捨てられなかったという事なのだろう。

 革命の乙女と呼ばれるようになっても、その辺はクーデリアらしい。

 

「俺はそれで構わない。グレイズもすぐに運び込むから、準備をしておいてくれ。そんな訳で、俺は一旦シャドウミラーに戻るけど、クーデリア達はどうする?」

「あの……そうですね。ではここに残って、もう少し子供達と話をしたいと思います」

 

 クーデリアがそう決めたのなら、フミタンもここに残るだろう。

 そんな訳で、俺は一旦シャドウミラーに戻る事になる。

 ……実際には、グレイズは俺の空間倉庫に収納されてるんだけどな。

 ただ、俺の魔法の件は知ってる者が少ない方がいい。

 とはいえ、昨日の襲撃の時に転移は直接見せている訳じゃないが、それでもギャラルホルンが襲撃した時はCGSにいたのに、いつの間にかシャドウミラーまで戻ってMSに乗って戻ってくるという、普通ならとても信じられないような現象を目にしているしな。

 それに、地球まで一緒に移動するとなると、いずれ魔法については教えた方がいいのかもしれないな。

 まぁ、その辺は後にしておくとして、今はまだ秘密にしておこう。

 

「分かった。じゃあ、待っていてくれ」

 

 そう言い、俺はシャドウミラーに戻るのだった。

 

 

 

 

 

 俺がグレイズの乗ったトレーラー……これもまた、ギャラルホルンの基地から盗んできた物の1つだが、それに乗って戻ってくるとCGSの格納庫には多くの者が集まっていた。

 結局わざわざシャドウミラーの格納庫でグレイズを取り出し、MS運搬用のトレーラーに乗ってCGSまで戻ってきたのだ。

 うーん……わざわざこんな風に時間を掛けるのはどうかと思う。

 魔法について話していれば、あの場で空間倉庫からグレイズを取り出して、それで終わりだったんだし。

 もっとも、空間倉庫は実際には魔法ではないのだが。

 ただ、それを知ってるのは俺だけで、オルガ達にしてみれば魔法だと言われればそういうものかと納得するしかないだろう。

 ともあれ、俺がMSを持ってくると言ってから2時間弱が経過している。

 この時間を無駄だと思ってしまうのは、わざわざ必要がない時間だからこそなのだろう。

 取りあえず今回は仕方がないと判断し、俺はトレーラーから降りる。

 既に周囲には参番組の多くが集まってきていた。

 とはいえ、いつもなら俺が来れば喜んだりするのだが、今日は……まぁ、喜んでいない訳ではないのだろうが、それでもいつものように喜んではいない。

 もっとも、昨日の今日だ。

 襲撃があった翌日……しかも、その襲撃によって参番組からも何人か死人が出ている以上、多少は暗くなっても仕方がない。

 ただ、俺とマーベルが来た事によってギャラルホルンの意識が俺達に向いたのは事実であり、そういう意味では参番組の被害はかなり減ったのは間違いない。

 

「おう、これがグレイズか。……まさか、ギャラルホルンの新型をこうして間近で見る事になるとはなぁ……」

 

 トレーラーから降りた俺に近付いて来た黒人の大男……雪之丞が、俺にそう声を掛けてくる。

 大人だが、以前から参番組に好意的な存在だった為に、オルガ達がCGSを乗っ取った後も他の連中のように首にはならず、デクスターと共にCGSに残ったのだろう。

 雪之丞は参番組の子供達からもおやっさんと呼ばれて慕われているしな。

 

「凄いだろう?」

「……凄いのは凄いが、寧ろ呆れるな。いやまぁ、三日月が撃破したグレイズも一応回収してあるから、別に初めて見るって訳じゃねえが……」

 

 そう言いつつ、雪之丞は腹巻きに入れていた手を出し、頭を掻く。

 

「こうして、損傷がない状態のグレイズを見るのは初めてか?」

「そりゃそうだろう。普通なら、遠くから見るならともかく、こうして間近で見るって事はまずねえ」

 

 そう言う雪之丞に、周囲にいる他の子供達も同意するように頷く。

 

「そういうものか? ちなみに、一応グレイズの武器とかも持ってきたけど……これもコックピットの換装に使うか?」

「ああ? どうだろうな。阿頼耶識のコックピットに換装した後で、実際に使ってみるのは悪くねえ話だと思うが」

「バルバトスの時はどうだったんだ?」

「そんな時間はなかったよ」

 

 言われてみればそうか。

 ギャラルホルンが攻撃をしている中でバルバトスのコックピットの換装やら、それ以外の設定とか、そういうのをしたのだ。

 そうである以上、コックピットを換装した後で武器を使って試すとか、そういうのは少し難しかっただろう。

 実際に忙しすぎて……慣れていないというのもあるのだろうが、推進剤を入れ忘れるという事にもなったのだから、武器を確認するような余裕がなかったのは間違いない。

 

「それなら、武器については……取りあえずコックピットを換装してから、試してみたい」

「おう、分かった。こっちもバルバトスの件でしかまだ経験がないし、それを考えてもこのグレイズで試せるのは大きい。……けど、本当にいいんだな?」

 

 雪之丞がこうして確認してくるのは、グレイズというギャラルホルンの最新鋭MSについてしっかりと理解しているからだろう。

 あるいは、このまま横流しすればかなりの金額になるというのを理解しているからか。

 ともあれ、俺はその言葉に頷こうとしたところで……

 不意にヴィー、ヴィーと格納庫内……いや、CGSの中に警報音が鳴り響くのだった。

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