転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3891話

「マクギリス・ファリドとガエリオですか。はい、知ってます。マクギリス・ファリドの方は、セブンスタースの1つ、ファリド家の次期当主かと。ガエリオという方は……名字が分からないので正確なところは分かりませんが、こちらもセブンスターズの1つにボードウィン家というのがあり、その次期当主がガエリオという名前だったような気がします」

 

 クランクがあっさりとそう言う。

 鉄華団での打ち合わせを終え、シャドウミラーに戻ってきた俺はクランクに気になっていたことを聞いたのだが、それがこうもあっさりと答えを貰えるとは思っていなかった

 ちなみに一緒にシャドウミラーに来たクーデリアとフミタンは、現在シーラと何やら話をしている。

 多分、いつもの授業だろう。

 

「セブンスターズ……それも2人揃って次期当主か。なんでそんな大物がわざわざ火星にやって来るんだ?」

 

 ギャラルホルンにとっては地球や月、あるいはその周辺が本拠地だ。

 実際、火星や木星は圏外圏と呼ばれ、言ってみればギャラルホルンにとっては僻地とでも呼ぶべき場所となる。

 それでも火星は地球にある国の植民地となっているので、ギャラルホルンが守る必要があるという事で火星支部がある。

 だが、木星にはそういう植民地もないので、ギャラルホルンの支部はない。

 代わりにテイワズが木星とその周辺を仕切っているのだが。

 

「その2人は、監査局に所属していると聞いています。恐らく私が噂で聞いた監査というのが……」

「その2人だった、か」

 

 まさに原作の流れと聞けば、納得出来る。

 そうなると、やっぱりマクギリスとガエリオは原作でも重要なキャラと思っておいた方がいい。

 

「その2人は、非常に優秀だと噂で聞いています」

「家の力とか、そういうのを使わないでか?」

「恐らくはそうかと」

 

 まぁ、原作の流れとかを考えると、そうなっているだろう。

 これでマクギリスとガエリオについては分かった。

 そうなると、残るのはもう1人……

 

「アグニカ・カイエルというのは?」

「ギャラルホルンを作った人物ですね」

「……何?」

 

 あっさりと答えたクランクの言葉に俺は驚く。

 ギャラルホルンを作った人物。

 それは分かったが、何故マクギリスは俺をそんな人物と間違ったんだ?

 

「そのアグニカ・カイエルというのは、俺と似てるのか?」

 

 そう尋ねるが、クランクは首を横に振る。

 

「いえ、残念ながらアグニカの写真や肖像画の類が残っていません。あるいはアグニカの側近だった者達の子孫であるセブンスターズなら、肖像画や写真が残っているかもしれませんが」

「その可能性はあるかもしれないな」

 

 そう言うも、恐らく駄目だろうとは思う。

 何しろ、今の話を聞く限りではアグニカというのはギャラルホルンの象徴とも呼ぶべき男だ。

 ……アグニカ・カイエルという名前は男の名前だし、実は女でしたという事はないよな?

 ともあれ、そのような象徴の人物の肖像画や写真があるのなら、ギャラルホルンとしての権威を高める為にも、それを大々的に公表しているだろう。

 それをしないというのは、恐らくは肖像画や写真の類はないと思うべきだ。

 MSを作れる技術力があったのを考えると、写真とかそういうのが残っていてもいいと思うんだが。

 あるいは映像データとか、そういうのでも。

 しかし、そういうのがないとなると……厄祭戦はそれだけ激しい戦いだったという事か、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、アグニカ本人がそういうのを後世に残したくなかったのか。

 その辺は分からないが、今のところ考えられる可能性としては……実はセブンスターズが持っているアグニカの肖像画や写真では俺と似ている。

 ……いや、けどそうなると、同じセブンスターズの1つであるガエリオの家にもそういうのがあってもおかしくはなく、そうなると俺を見たガエリオが特に反応しなかったのは疑問だ。

 やっぱり俺の顔がアグニカに似ているというのは違うな。

 だとすれば、やっぱり雰囲気か。

 

「俺を見てアグニカと口にしたマクギリスだが、成すべき事を成す為には色々と捨てる必要のある物を捨てるとか、そんな風に言っていたんだが、何か覚えはあるか?」

「いえ、生憎とそのような事は。セブンスターズに所属するファリド家の次期当主ともなれば、一体何をしたいのかは……」

 

 そう言い、首を横に振るクランク。

 そうなんだよな。一体何をしたいのか……それが俺には全く分からない。

 ああいう風に言った以上、恐らく何かあるのは間違いないと思うんだが。

 だとすれば、実はギャラルホルンとして戦うべき相手がいるのか?

 この世界の原作というのを考えると、俺達がまだ認識していない敵とかがいる可能性もあるな。

 そういう流れだとすれば、地球に行く時にそういう敵と遭遇する可能性も否定は出来なかったが。

 まぁ、その辺は今は考えても仕方がない。

 

「話は分かった。ともあれ、妙に俺に……いや、俺以外にも友好的だったのが気になるが、取りあえず今はそういうものだと覚えておけばいい」

 

 ガエリオが間違って轢きそうになった双子にも、チョコを渡していたし。

 マクギリスがセブンスターズの一員であると考えれば、それに相応しい対応をする必要もあるのかもしれないしな。

 多分、チョコの件とかはそれも影響してるんだろうとは思う。

 俺に友好的なのは……向こうにしてみれば、何か考えがあるのだろうが。

 

「それより、数日中に地球に出発するけど、クランクのグレイズはどうなった?」

 

 俺との決闘でそれなりに損傷を受けたグレイズだったが、一応修理してみるという事になっていた筈だ。

 

「結局すぐに直すのは不可能だという事で、アクセル様が手に入れたグレイズに乗る事になりました。現在は私の操縦データを新しいグレイズに移しています」

「やっぱりそうなったか。まぁ、グレイズが複数あるんだし、当然か」

 

 もしグレイズが1機しかないのなら、そのグレイズを何とか修理して使う必要があるので、どうにかして修理をしただろう。

 それこそ、他のMSの部品を持ってくるとか、あるいはMWの部品を使ったりとか、そのような事をする必要もあるだろう。

 だが、俺達の場合はグレイズが多数ある。

 それを使えば、わざわざ別の方法でグレイズを無理矢理使えるようにするといった事をする必要はない。

 

「はい。それに、私のグレイズのエイハブ・リアクターの周波数はギャラルホルンに登録されています。その機体を使えば、私がギャラルホルンを裏切ったという事が向こうに知られてしまいます」

「知られるのは不味いか?」

 

 もしかしたら、俺に従う事にしたのを後悔しているのか?

 そうも思ったが、鵬法璽によって俺に従う事になった以上、そんな後悔はない筈だった。

 そして案の定、クランクは俺の言葉に対して首を横に振る。

 

「私が戻ってこない事により、恐らくギャラルホルンにおいて私は死んだと認識されているでしょう。私がアクセル様に忠誠を誓った事は、いずれ知られるとは思います。ですが、それは遅ければ遅い程にいいかと」

「だろうな。俺もそれには同意だ」

 

 クランクはギャラルホルンにおいて、それなりに慕われていたのは間違いない。

 ……その実直さから、上からは睨まれていたようだが。

 そんなクランクがシャドウミラーに所属しているというのは、もしギャラルホルンに知られると、それはそれで不味いことになる。

 慕っていた者達からはギャラルホルンを裏切ったという事で目の敵にされ、上層部からは元々そういう奴だったという風に慕っていた者達を煽ったりするだろう。

 こうして考えると、もしかしたらクランクに鵬法璽を使ったのは失敗だったか?

 そうも思ったが、下士官的な性格を持つクランクはシャドウミラーの面々……子供組、大人組構わず、鍛えるのに丁度いい。

 やっぱりクランクが俺に忠誠を誓ったのは、可能な限り知られない方がいいな。

 そういう意味では、クランクが別のグレイズに乗るというのは悪い話ではない。

 もっとも、その新しいグレイズも俺が奪ってきた奴だけに、エイハブ・リアクターの周波数を調べられると、その辺がすぐに知られるのだが。

 この辺がオルフェンズ世界においてはかなり面倒なんだよな。

 まぁ、そういう世界だからと言われれば、それはそれで仕方がないのかもしれないが。

 そうして俺がクランクと話をしていると、部屋の扉がノックされる。

 扉の外にある気配は、マーベルのものか。

 

「入ってくれ」

「失礼するわね。アクセル、地球に行く時に持っていくMSは、グレイズだけでいいのね? ゲイレールとユーゴー2機は置いていくという事でいいわね?」

「そうしてくれ。俺はガンダム・グシオン……いや、グシオンでいいか。面倒だし」

 

 鉄華団でもガンダム・バルバトスをバルバトスと呼んでるし、なら俺のガンダムもガンダム・グシオンではなく、グシオンでいいだろう。

 そっちの方が短くて呼びやすいし。

 

「とにかくグシオンがあるし、マーベルのガルム・ロディは……グレイズに乗り換えるか?」

「そうね。別にそこまでガルム・ロディに執着がある訳でもないし、グレイズの方が性能がいいのなら、そうするわ」

 

 ガルム・ロディはロディ・フレームを使ったMSで、マン・ロディをそれなりに多く揃えているシャドウミラーにしてみれば、共用部品もそれなりに多い。

 だが、グレイズの性能を思えば、やっぱり高性能なMSを使った方がいいのも事実。

 特にマーベルは、MSの操縦能力が相応に高い。

 クランクと模擬戦をやっても、恐らく勝てるだろうと思えるくらいには腕利きだった。

 

「なら、グシオンとグレイズ、マン・ロディだな。……いっそ、全機グレイズにしてもいいような気もするけど」

「いえ、それは止めておいた方がいいかと。昌弘達が使っていたマン・ロディは、防御力重視の機体です。それに比べると、グレイズは機動性を重視した機体となります。今までマン・ロディだったのが、急にグレイズを使うとなると、ある程度の機種転換訓練が必要になるかと」

 

 クランクの言葉に、なるほどと頷く。

 俺は阿頼耶識を使ってないので何とも言えないが、クランクが言うという事は、恐らくそういうものなのだろう。

 同じような系統のT-LINKシステムは……あれは今のところ、ニーズヘッグにしか使われてないので、何とも言えない。

 一応T-LINKシステムの簡易版であるET-LINKシステムも開発しているという話があったが……そう言えば、どうなったんだろうな。

 技術班なら魔法球とかもあるし。もう完成していてもいいと思うんだが。

 まぁ、今は無理でもホワイトスターに戻ったらレモンやマリューに聞いてみてもいいかもしれないな。

 

「分かった。そうなると、基本的には昌弘達子供組はマン・ロディで。……ただ、グレイズの機種転換訓練も同時に進めてくれ。マン・ロディはあくまでも宇宙用のMSだ。クーデリアを連れて地球に降りたら、地上では使えない」

 

 実際には地上で動けるように改修すれば地上でも使えるのだろう。

 だが、そうするには結構な手間が掛かるし、何より単純により性能の高いグレイズがある以上、わざわざそれを使う必要がないのも大きい。

 

「分かりました。阿頼耶識対応のコックピットに換装したグレイズはもう数機届いてますので、そちらで訓練をしたいと思います」

 

 こういう時、シャドウミラーと鉄華団が近いのはいいよな。

 俺がトウモロコシ畑に行ってる時や、オルガと色々と話をしている間にもコックピットの換装は進んで、それが終わったグレイズはここに運び込まれているのだから。

 これがもしかなりの距離があったら、そういうのはちょっと難しいだろう。

 もっとも、もしそういう事があったらそもそも俺達が鉄華団と……いや、当時はCGSか。そのCGSと接触する事はなかっただろうが。

 もっとも、三日月がこの世界の原作の主人公でほぼ決まりな以上、そうなったらそうなったで、最悪俺はこの世界の原作に関わるような事がないまま、気が付けば原作が始まっていたとかになったのかもしれないが。

 そうなったらそうなったで、少し新鮮ではあるな。

 もっとも、だからといってそうなって欲しい訳では決してないのだが。

 何しろ、そうなったら俺が原作に介入する事も出来ない訳だし。

 

「取りあえず訓練は頼む。数日中に宇宙に出る以上、訓練期間は短い。短いけど、何もやらないよりはやった方がいいのも事実だしな」

「そうですね。いざという時の訓練は、それこそいざという時に大きな意味を持ちます。だからこそ、必要な訓練は最大限にやるべきです」

 

 クランクの性格が出ている言葉だよな。

 それにクランクは俺に忠誠を誓うとかそういうのよりも前に、純粋に面倒見がいいというのもある。

 だからこそ、子供組をしっかりと鍛えているし、大人組も可能な限り鍛えようとしているのだろう。

 そんな風に思いつつ、俺はクランクやマーベルと話を進めるのだった。

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