転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3900話

「これが……俺の乗るMS」

 

 グランの格納庫で、昭弘がグレイズを見てそう呟く。

 今まではMWに乗っていたので、それがMSに乗るというのは色々と思うところがあるのだろう。

 

「兄貴、頑張れよ。何だったら俺が操縦方法を教えてやろうか?」

 

 そんな昭弘の緊張を解そうとしたのか、挑発するように昌弘が言う。

 昌弘はブルワーズにいた頃からMSに乗っていた。

 それこそマン・ロディの扱いという点ではかなりのものがある。

 それに対して、昭弘はCGSの参番組として活動していた頃から今まではずっとMWだった。

 つまりMSの操縦という点では昭弘よりも昌弘の方が先輩なのだ。

 ……まぁ、普通の操縦ならともかく、阿頼耶識の場合は最低限の動きは最初から出来るので、それ以上は本人の才能やセンスといったものが大事になってくるが。

 

「昌弘……ふんっ、MSの操縦くらい、簡単にやってやるよ」

 

 そう言い、昭弘はグレイズに乗り込もうとするが……不意にその足を止める。

 そうして不意にその視線が向けられたのは、グシオン。

 マン・ロディ以上に重装甲で高機動という……もの凄く燃費の悪いMSだ。

 ガンダム・フレームを使ったMSなので、純粋な性能は間違いなくいいんだが。

 とにかく、昭弘は不思議な程にじっとグシオンに視線を向けていた。

 

「おい、兄貴。どうしたんだよ?」

「いや、昌弘。あのMSは何だ?」

 

 その言葉に、昌弘はグシオンを見て……それから困ったような表情で俺の方を見てくる。

 その事に、少しだけ安堵する。

 本来なら、昌弘にとって……いや、昌弘に限らず、元ブルワーズのヒューマンデブリ達にとって、あのグシオンというのは自分達を露骨に使い捨ての道具としてしか見ていなかった、クダルの乗っていたMSだ。

 そういう意味では嫌悪……あるいはそこまでいかなくても、複雑な表情を浮かべていてもおかしくはないと思っていた。

 これでクダルが口だけの雑魚ならともかく、生身でも阿頼耶識を使った昌弘達よりもMSの操縦技術が高かったというのが、どうしようもない。

 まぁ、そんなクダルも色々とあった末に……そう言えば、今頃どうしてるんだろうな?

 そんな風に思いつつ、昌弘に視線を向けられた俺は兄弟のやり取りを眺めるのを止めて、近付いていく。

 

「それはグシオン。バルバドスと同じくガンダム・フレームのMS……ガンダムだ」

「ガンダム……三日月が乗っているのと随分と違いますが」

「グシオンがちょっと特殊なのは間違いないな」

 

 装甲を大量につけているのを見れば、普通ならとてもではないがガンダムには見えない。

 寧ろ、ガンダム・フレームのMSをよくここまでやったなとすら感心してしまう。

 

「そうですか。……ガンダム」

 

 そう言いつつ、グシオンを見つめる昭弘。

 何なんだろうな。グシオンを見て、何か感じたのか?

 あるいは昭弘の審美眼? そういうのにグシオンがヒットしたのかもしれないが。

 

「ともあれ、いつまでもこうして話していられるような状況じゃない。さっきも言ったように、昭弘はクランクの言葉に従って行動しろ」

「……はい」

 

 完全には納得していない様子だったが、それでも俺の言葉に素直に頷く。

 昌弘の件で俺に感謝をしてないと、こういう風にはならなかっただろう。

 

「アクセル、私も出るの?」

 

 マーベルのその言葉に頷く。

 

「マーベルや昌弘達は、グランとイサリビの防御に回ってくれ」

 

 シャドウミラーと鉄華団の中で、自分以外に一番信頼出来るパイロットはマーベルだ。

 それだけに、マーベルにはいざという時の為にグランとイサリビという俺達や鉄華団の母艦を守って貰う必要があった。

 俺が自分の技量に自信があるのは間違いないが、それでも戦いの中で何が起きるのか分からないのだから。

 

「そう。……分かったわ。アクセルなら大丈夫だと思うけど、気を付けてね」

「任せろ。で、クランク。お前は分かっているな?」

「はい、そこの少年……と言っていいのかどうか分かりませんが、とにかくそこの昭弘という人物のフォローにすればいいのですね?」

 

 その言葉に頷き、改めて昭弘を見る。

 昭弘はこちらも不承不承ながら頷く。

 こうして頷いた以上、きちんと自分のやるべき事をやるだろう。

 個人的には、昭弘には是非しっかりとMSのパイロットになって欲しいと思う。

 鉄華団には三日月がいるが、三日月は性格的に色々と問題がある。

 それは鉄華団のMSパイロットとして働く上ではそこまで問題ではないかもしれないが、他のMSパイロットに操縦のコツとかそういうのを教えるのに向いているのかと言われれば……微妙なところだろう。

 鉄華団がこの世界の主人公……正確には主人公でほぼ確定だろう三日月の所属している組織である以上、その鉄華団はこれから多くのMSを入手していく筈だった。

 そういう意味では、俺が大量に持っているグレイズはかなりのメリットだろう。

 そんな訳で、昭弘にはMSの操縦方法やそのコツを上手い具合に他の面々に教えて貰う必要があった。

 クランクを補助に付けるのも、そっち方面を期待しての事だ。

 

「そうしてくれ。タービンズがどれくらいのMSを有しているのか分からないが、俺と三日月がいればある程度はどうにでもなるだろうし」

 

 そう言ってると、格納庫全体に通信が入る。

 

『敵艦からMSが発進しました。数は2機。こちらに向かって来ます』

 

 どうやらこれ以上は話している余裕はないみたいだな。

 ちなみにこうして俺達が話している間にもグランはイサリビと共にタービンズの艦と自分達にとって有利な位置を取ろうとして動いていた。

 それもあってこうして話をしている時間もあったんだが……どうやらそれも終わりらしい。

 にしても、2機? 予想していたよりも随分と少ないな。

 10機とまではいかないが、それでも5機くらいは出してくると思ったんだが。

 

「さて、話の通りだ。全員自分の機体に乗って出撃しろ。幸い、敵の数は少ない。そして技量もこっちが上だ。勝てるぞ」

『おおおおおおお!』

 

 俺の言葉に、格納庫にいた面々がそれぞれ大きな声で返事をする。

 一種の雄叫びと呼んでも間違いではないだろう。

 そんな雄叫びを聞きながら、俺はグシオンのコックピットに乗り込む。

 

「武器はグシオンアックスを使う」

 

 外部スピーカーでそう告げる。

 グシオンハンマーは攻撃力は高いものの、やっぱりその大きさから微妙に使いにくいんだよな。

 いやまぁ、使おうと思えば使えるけど、外見が好みじゃないのが大きい。

 それならグシオンアックスの方がまだ使いやすい。

 鉈的な武器のグシオンチョッパーもあるが、あれは間合いが狭いんだよな。

 長柄の武器の方が、グシオンを操縦する上では使いやすい。

 俺の指示に従い、メカニック達がグシオンアックスを準備する。

 それを装備し、カタパルトに移動し……

 

「アクセル・アルマー、グシオン、出る!」

 

 その言葉と共に、射出されるグシオン。

 他のMSも、俺に続いて出撃してくる。

 

「さっきも言ったように、マーベルは昌弘達を率いてグランとイサリビの守備を。昭弘はクランクと共に敵の対処。俺と三日月も同様に敵の対処だ。……とはいえ、出撃してきた敵が2機となると、昭弘は三日月の援護だな」

 

 そう言っている間にも、3隻はそれぞれ艦隊戦……と言うのは大袈裟かもしれないが、それぞれがミサイルを撃って攻撃をする。

 数の上では2対1でこちらが有利なのだが、やはりまだ鉄華団側の操縦が慣れていない為だろう。

 どこか慣れていない様子を見せる。

 その為、本来の数にすれば2対1なのだが、純粋な戦力的には1.3対1といったところか。

 鉄華団の面々はイサリビの操縦に慣れるような時間がなかったのだから、これは仕方がないのかもしれないが。

 とはいえ、今の状況ではこちらもどうすることも出来ないのは事実。

 シーラの指揮するグランに任せるしかないだろう。

 何より、マーベルや昌弘達のMSがタービンズの艦から発射されたミサイルを上手い具合に迎撃している。

 ……ミサイル、ミサイルか。

 今までの……オルフェンズ世界以外の戦闘の経験からすると、こうしてミサイルでやり取りをするというのはちょっと違和感があるな。

 まぁ、ビームはナノラミネートアーマーには通用しない以上、仕方がないのだろうが。

 

『アクセル、出て来たんだね。……けど、凄いねそれ』

 

 俺のとなりに並ぶのは、バルバトス。

 重装甲という言葉がこれ以上ないくらいに相応しいグシオンを見てそう言う。

 あの三日月に半ば呆れたような声を出させるMS……うん、その辺については特に気にしない方向でいいか。

 俺にとっても、この重装甲には色々と思うところがあるのも事実だし。

 操縦出来ない訳ではないが、個人的にはやっぱりバルバトスのように機動性や運動性の高いMSの方が使いやすいんだよな。

 地球に近付いたら、タントテンポと接触出来れば改修したりは……うーん、それはそれで難しいだろうな。

 何しろ月はギャラルホルンの最精鋭であるアリアンロッド艦隊の本拠地だしな。

 

「俺が手に入れた時からこういう機体だったからな。これについては、正直なところどうしようもない。……それより、そろそろ接触だ。全機……うん?」

 

 グシオン、バルバトス、そしてグレイズが2機。

 それらが十分に近付いたところで、不意にタービンズの艦から信号弾が上がる。

 信号弾? それはつまり何らかの合図な訳で……ちょっと不味いか?

 この状況で信号弾を上げるという事は、恐らく……いや、ほぼ間違いなく何らかの奥の手があるのだろう。

 それが具体的にどのようなものなのかは、俺にも分からない。

 分からないが……予想は出来る。

 

「三日月、イサリビに戻れ! 恐らく敵の狙いはイサリビを何らかの手段で直接攻撃する事だ!」

『分かった』

 

 俺の指示に、三日月は即座にイサリビに戻る。

 詳細について聞いたりしないのは助かる。

 信号弾が上がった以上、そんな余裕がないのは間違いない。

 あるいは三日月もそれを知ったからこそ、即座にイサリビに戻ったのかもしれないが。

 そして……マーベルや昌弘達が、上方向に向かって攻撃しているのが確認出来る。

 同時に、上方向で幾つかの爆発。

 予想通りの行動だったな。

 もしタービンズが狙うとしたら、グランとイサリビのどちらか。

 普通に考えれば、弱い方から狙うだろう。

 そうなると、まだ操縦に完全に慣れている訳でもないイサリビを狙うのはおかしな話ではなかった。

 取りあえず三日月が行ったし、マーベル達もいるので向こうは安心だろう。

 とうなると……

 

「昭弘、クランク、来るぞ!」

 

 その言葉と同時に、飛んでくる弾丸。

 スラスターを使って回避する。

 グシオンの装甲を考えれば、別に当たっても構わないんだが……いや、寧ろ推進剤の消費を考えると、当たった方がいいのか。

 この辺も重装甲の機体と高機動型の機体の違いだよな。

 

『うおおおおっ!』

 

 青いMS……見た事もないMSに向かい、昭弘のグレイズが120mmライフルを撃っているが、向こうは容易に回避している。……が、そうして回避したところに、クランクのグレイズが撃った120mmライフルの弾丸が命中する。

 バランスを崩す、青いMS。

 そんな様子を眺めていると、ピンクのMSがこちらに向かって射撃武器を撃ってくる。

 なるほど、恐らくだがこっちのピンクの方が腕が上だな。

 あの青いMSも決して悪い動きという訳ではないが、それでもこのピンクのMSの動きには劣る。

 

「けど……残念だったな」

 

 それはあくまでも、このオルフェンズ世界での話だ。

 こちらに狙いを付けさせないよう、細かに動き回りながら射撃をしている。

 俺が何らかの手段でナノラミネートアーマーを貫く手段を持っていると知っての行動だろう。

 ……ああ、だからこそ青いMSではなく、より技量の高いこのピンクのMSが俺の相手を引き受けたのかもしれないな。

 しかし、根本的に俺との技量差が大きすぎる。

 何しろ俺は数え切れないくらいの戦いを経験している。

 また、何よりPPを使ってステータスを上昇させてもいる。

 それと……高機動型ではなく重装甲型のグシオンではあまり意味がないが、混沌精霊である以上、対G能力とかそういうのも関係はない。

 つまり……

 

「直撃」

 

 精神コマンドの直撃を使い、90mmサブマシンガンのトリガーを引く。

 放たれた無数の弾丸は、次々とピンクのMSに命中し、その装甲を破壊していく。

 敵の特殊な防御を無効化する精神コマンドの直撃は、こういう時に非常に使い勝手がいい。

 疑問なのは、直撃の効果がサブマシンガンの弾丸全てにある事だろう。

 ライフルの類だと、銃弾1発だけにしか直撃の効果はないのだが。

 サブマシンガンの類だと、多分ある程度の弾数に直撃の効果があるのだろう。

 それだけではなく、俺の持つ射撃の数値にガンファイトの効果も合わさり、サブマシンガンであってもその一撃は非常に強力極まりない。

 それを示すように、桃色のMSは手足が破壊され、頭部も破壊され……あっという間に胴体だけになる。

 そんな胴体だけになったピンクのMSに、俺はグシオンアックスを構えて距離を詰めるのだった。

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