転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3902話

「お疲れ様でした。どうやらアクセルの相手をするには、タービンズといえども荷が重かったようですね」

 

 グランのブリッジに入ると、艦長のシーラがそう言ってくる。

 他の者達も俺とマーベルを見て、笑みを浮かべていた。

 ちなみに昌弘や他の子供組は現在格納庫で休んでいる。

 マーベルから聞いた話だと、戦闘そのものはそこまで激しくなかった……いや、正確にはテイワズの高機動型MSの相手が厄介だったが、そっちの相手は戻ってきたバルバトスが引き受けてくれたらしい。

 

「それなりに技量の高い奴はいたけどな」

「アクセルに遭遇しなければ、その実力を発揮出来たでしょうに」

「そうなったらそうなったで、マーベルを出したと思うけど。……それはともかくとして、状況は理解してるよな?」

「ええ、話は聞いています。アクセルの事ですから、テイワズのMSを要求するのでしょう?」

 

 そうだ。

 そう言おうとしたのだが、ちょうどそのタイミングでブリッジの扉が開き、クーデリアとフミタンが姿を現す。

 

「アクセル、無事だったのですね。よかった……」

 

 クーデリアが俺を見てそう言ってくる。

 どうやら俺の心配をしていたらしい。

 マーベルやシーラの場合は、俺の実力を知っているし、何よりも俺が混沌精霊である……つまり、物理的な攻撃ではダメージを受けないと知っている。

 もし何らかの理由でグシオンが撃破されるような事があっても、俺が無傷なのを理解している。

 そんなマーベルやシーラと違い、クーデリアは俺が魔法を使えるというのは知っているが、混沌精霊であるというのは知らない。

 それがこの違いの理由だろう。

 

「ああ。心配はいらない。こう見えてもMSの操縦には自信があるしな。それにもし何かあっても、魔法である程度はどうにかなるし」

「そうなのですか? 魔法というのは、宇宙でも使えるようなものなのでしょうか?」

 

 俺の言葉に反応したのは、クーデリア……ではなく、フミタン。

 そう言えば、以前魔法について話した時もかなりの食いつきだったと思うが……もしかして、そういうのに興味があるのかもしれないな。

 いやまぁ、架空のものだとばかり思っていた魔法が、実は存在していたというのだ。

 それに興味を抱かない方が嘘だろう。

 もっとも、フミタンのような大人の女がそうなのはちょっと驚きだったが。

 

「その辺は人によって違うな。宇宙で使える者もいれば、地上でしか使えない奴もいる」

 

 これは事実という訳でもないが、嘘でもない。

 基本的に魔法……ネギま世界の魔法は、自然が豊かだと使いやすい。

 とはいえ、それでも宇宙で魔法を使える奴もいる。

 例えば俺とか。

 エヴァとかも普通に宇宙で魔法は使えそうだよな。

 

「どのような理由で、そのような違いが?」

「そうだな。色々とあるが……端的に言えば、才能の差だな」

 

 結局のところ、これが一番大きい。

 勿論、俺みたいに特殊な例であれば話は別だが……俺と同じような能力を持ってる奴なんて、そんなにいないだろうし。

 

「魔法というのは、一定のラインまでは才能の有無に関係なく到達出来る。だが、それ以上となると、どうしても才能の有無が関係してくる」

 

 取りあえずそう説明しておく。

 実際、この説明は決して間違っている訳ではない。

 ネギま世界の魔法を使う上で必須の出来事だ。

 ……もっとも、中には高畑のような特殊な例もいるが。

 

「そうなのですか」

「フミタン、魔法に興味があるのですか?」

 

 クーデリアは、まさか自分のメイドがここまで魔法に興味を持つとは思っていなかったのか、少し驚いた様子で尋ねる。

 フミタンはそんなクーデリアの言葉に何故か一瞬意表を突かれた様子を見せる。

 うん? 魔法に興味があるから聞いたんじゃないのか?

 そんな風に思っていると、それを遮るようにシーラが口を開く。

 

「アクセル、そろそろイサリビからオルガ達が来る頃です。魔法については、また後で話をしてもいいのではないですか?」

「うん? オルガが来るのか?」

「ええ。タービンズとの交渉……と言っていいのかどうかは分かりませんが、とにかく話をする以上は鉄華団の意見も必要でしょう? そしてタービンズと遭遇する前はアクセル達がイサリビに行っていたので、今回はこちらで話をする事にしたのです。それに、2時間後……いえ、もう1時間30分後なのでしょう? 移動する時間も考えると、実質的に相談出来るのは1時間程でしょう」

 

 シーラの言葉にそれもそうかと頷く。

 わざと遅刻して相手を苛立たせる……宮本武蔵のやり方もあるが、ちょっと話した限りだと、名瀬の性格ではそういうのは効果がないように思えたし。

 寧ろ遅刻してきたのを気にしてないといった態度で、こっちに恩に着せるくらいの事はやりかねない。

 戦いでは負けたが、それと交渉はまた別なのだから。

 ……いや、寧ろ戦いで負けた分、交渉で何とかその負け分を取り戻したいと思ってもおかしくはない。

 

「分かった。じゃあ、オルガと相談してある程度どこまで手に入れるのかを聞いておくか」

「それがいいでしょう。……ああ、それとクーデリアも2人の相談やタービンズとの交渉には参加するように。地球に行った時の事を考えると、少しでもこの手の経験を積んでおいた方がいいでしょう」

「え? ……あ、はい。分かりました」

 

 クーデリアはシーラの言葉に素直に頷く。

 自分のこれからの交渉によって、火星が将来的にどうなるのか分からない以上、ここで少しでも経験を積んでおきたいと思うのはおかしな話ではない。

 そうして話していると……

 

「すいません、遅くなってしまいましたか」

 

 やがてオルガがブリッジに入ってくる。

 

「いや、気にするな。それよりもオルガが来たようだし、移動するぞ。クーデリアもいいな?」

「はい」

「お嬢様、私は……」

「フミタンはここに残って下さい。地球に行ってからの事を考えると、私もここでしっかりと経験を積んでおく必要があるので」

「……分かりました。お嬢様がそう仰るのであれば」

 

 フミタンは渋々といった様子だったが、クーデリアの言葉に頷く。

 フミタンとしては、恐らくクーデリアと一緒にいたかったのだろう。

 とはいえ、フミタンが一緒にいるとなると、それはそれで問題だったりする。

 具体的には、クーデリアにとってフミタンは信頼出来る相手なのは間違いないのだが、それだけにフミタンと一緒にいれば、どうしても頼ってしまうのだ。

 勿論、フミタンが政治的な問題についてクーデリアよりも詳しい訳ではない。

 それでも心情的に頼れる相手がいるというのは、クーデリアの成長を考えた場合、決して好ましい事ではなかった。

 完全に邪魔という訳ではなく、場合によってはそのような相手がいるのはクーデリアにとってプラスなのだが、今の状況では好ましくないといったところか。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

 そう言い、俺はオルガとクーデリアの2人とブリッジを後にするのだった。

 

 

 

 

 

「さて、早速だがタービンズに要求する事だ。正直なところ、戦いでこっちが勝った。それも圧勝だ。何を要求しても、向こうが断る事は出来ないんだが」

「アクセルさんは何が欲しいんですか? さっきの戦いで一番活躍したのは、間違いなくアクセルさんだ。そうである以上、まずはアクセルさんが欲しい物を聞いておきたいんですが」

「そうですね。私もその意見には賛成です。アクセルは何を欲しいのですか?」

 

 オルガとクーデリアが、揃ってそう聞いてくる。

 俺か。

 正直なところ、タービンズの組織ごと寄越せと言っても構わないんだが……そうなると、さすがに向こうも受け入れないだろう。

 それこそ死に物狂いで抵抗してくる可能性が高い。

 なら、そこまではいかないそこそこの……そうだな。

 

「まず最優先なのは、タービンズが使っていたMS2機。それと、今後テイワズが新型のMSを開発したら、それを3機……いや、5機ずつこちらに渡してくる。後は、そうだな。以前テイワズ……正確にはそのNo.2の組織と取引をしたんだが、その時に預けた未知のフレームについての調査報告を急がせるとか、そんなところか」

 

 普通に考えれば、未知のフレームの件はともかく新型のMSを開発したら5機ずつ寄越せというのはかなり厳しい条件だろう。

 だが、それでもタービンズの組織を渡せと言うよりは、大分マシな筈だ。

 ぶっちゃけ、現在のタービンズの生殺与奪の権利は俺が持ってるんだし。

 一応、まだ高機動型のMSは向こうに残ってるが……そこまで気にするような相手でもないしな。

 もし戦いを挑んで来たら、それは正々堂々と引き受けてもいいし。

 

「なるほど。……まぁ、あの名瀬って奴の態度を思えば、それでいいんじゃないでしょうか?」

 

 少し驚いた事に、オルガは俺の言葉にそう同意する。

 てっきり少しやりすぎだとか、そんな風に言われるのかと思ったんだが。

 それだけ、タービンズとの戦いは一方的だったとオルガも思っているのだろう。

 クーデリアは複雑な……俺の言葉に頷けばいいのか、反対すればいいのか、分からない様子だったが。

 なるほど、シーラがこの話し合いにクーデリア参加させたのは、その辺りの理由もあっての事か。

 これが例えば、火星の政治に関する件だったりすれば、クーデリアも色々と意見を口には出来るのだろう。

 だが、クーデリアはそちらはともかく、こういう件についてはあまり慣れていない。

 だからこそ、こうして必死に聞いているのだろう。

 

「俺達の方はそれでいいとして、鉄華団はどうする?」

 

 シャドウミラーの取り分については、既に決めてあったし、それを聞いたオルガやクーデリアも反対しなかったので、特にその辺は問題ないのだろう。

 そうなると、次に問題となるのは鉄華団だ。

 

「うーん……正直なところ、さっきも言いましたが今回の戦いはあくまでもシャドウミラーがメインで行っただけに、あまりこっちには取り分を主張する権利とかそういうのはないと思うんですよね」

「謙遜もいいけど、三日月のバルバトスがラフタとかいう奴の操縦するMSを食い止めたのは事実だ。あの高機動型に好き勝手に動かれたりしたら、それはそれで面倒な事になっていたと思うぞ?」

「それは……まぁ」

 

 マーベルや昌弘達がいたので、本当の意味で危なくなるとは限らない。

 限らないが、それでも相応のダメージを受けていたのは間違いないだろう。

 

「それに、今のお前はただのオルガ・イツカじゃなくて、鉄華団を率いる立場にあるオルガ・イツカだ。なら、自分の組織の利益になるような事は貪欲に取り込むくらいは考えてもいいと思うが?」

「そう……ですね。なら、今の鉄華団に一番必要なのは……」

 

 オルガの視線がクーデリアに向けられる。

 クーデリアは、何故自分にそのような視線が向けられたのかが分からず、戸惑った様子を見せる。

 

「えっと、何でしょう?」

「……決めました。俺が欲するのは、タービンズには今回の地球に向かう一件で戦力を出して貰います」

「なるほど、そう来たか」

 

 オルガの提案は少し意外だったが、それは決して悪いものではない。

 元々、ビスケットはタービンズに地球までの案内役を頼もうとしていた。

 しかし、高密度デブリ帯は半ば自分の庭……というのは少し大袈裟かもしれないが、それでもブルワーズとして活動していた時の事を考えれば、元ブルワーズの面々はかなり高密度デブリ帯に詳しい。

 そして地球においては、元ギャラルホルンのクランクがいる。

 それでも、ビスケットとしては、万が一何かあった時の事を考えて、タービンズの力を借りたかった。

 それには少し思うところがあるが、とにかくそこから1歩進んで案内役だけではなく、戦力も出させようというのがオルガの意見なのだろう。

 

「シャドウミラーと鉄華団がいるので、多分大丈夫だとは思います。けど、相手がギャラルホルン……それも火星支部ではなくて本拠地のある地球という事を考えると、戦力は多い方がいいでしょう。それにアクセルさんに従っているクランクが地球を案内するって話でしたが、1人だけでは少し不安だというビスケットの意見にも一理あるかと」

「そうか? まぁ、オルガがそう言うのなら、それはそれで構わないけど。もし何かあった時に対処する手段は多ければ多い方がいいのは事実だし」

「ありがとうございます」

 

 そうして俺とオルガの話は纏まり……

 

「クーデリア、何かあるか?」

「え? その、私ですか?」

「ああ。シーラに言われてこの話し合いに参加したんだ。どうせなら何か意見を言った方がいいんじゃないか? それに……地球までの旅の主役はクーデリアだ。そのクーデリアがタービンズに襲われた……というのは少し違うが、とにかく勝者の側にいるんだから、何か注文してもいいと思うが、どうだ?」

「そうですね。……タービンズというのは、テイワズ直轄の組織でしたよね? だとすれば、ここで私が望むのはテイワズによる火星への投資でしょうか」

 

 そう言うクーデリアに、なるほどと俺は頷くのだった。

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