転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3910話

 マクマードとの交渉は無事に終わる。

 それが終わると、すぐにマクマードはどこかに通信を繋げた。

 ……いや、それがどこなのかというのは、容易に想像出来るが。

 わざわざ俺達のいる前で通信を入れるという時点で、マクマードがこっちを重要視しているということの証だろう。

 もしくは、それを俺達に見せたいからこそ、目の前で通信を入れたのか。

 

「おう、俺だ」

 

 通信の相手が出たのだろう。マクマードがそう言う声が聞こえてくる。

 だが、不思議なことに通信相手の声は聞こえてこない。

 そういう設定にしてるのだろう。

 何故わざわざ通信が聞こえないようにしているのか、それは俺にも分からない。

 分からないが、取りあえず今は黙って見ておく。

 

「お前の事だ。もう情報は手に入れてるんだろうが、名瀬がシャドウミラーという組織を連れてきた。……覚えているか? 以前お前に取引を任せた組織だ」

 

 そう言うマクマードの言葉に、少し苛立ちがあるように思えるのは俺の気のせいか?

 いや、気のせいではないだろう。

 何しろ、あの時の取引が穏便に終わっていれば、俺がテイワズやその系列組織に不満を抱くという事にはならず、そうなれば今のような状況にならなかった可能性もあるのだから。

 もっとも、名瀬とマルバの繋がりを考えると、あそこで戦いにならないという事は不可能だったと思うが。

 ただ、その場合でも百錬をあそこまでボロボロにはしなかっただろう。

 

「そうだ。あの未知のフレームの件だ。だが……俺は言ったよな? ノブリス・ゴルドンからの紹介でもあるから、くれぐれも失礼のないようにと。それが……何だ? 聞いてみれば、かなり高圧的で、しかも取引相手が連れていた女を1晩貸せとか言ったんだってな?」

 

 マクマードの言葉に、映像モニタの向こう側にいる男が慌てているのが分かる。

 俺の場所からはマクマードと話している人物の顔を見ることは出来ないが、それを見ているマクマードの様子を見れば、何となく理解出来るのだ。

 

「そのお陰で、次からエイハブ・リアクターはこっちに売られないという可能性も出て来た。それがどういう意味か、お前も分かるだろう? テイワズは確かにMSのフレームを作れる技術力はある。だが、エイハブ・リアクターはまだ作れないんだ。そうである以上、エイハブ・リアクターはどこかから買う必要がある。そんな中で、有望な取引相手を怒らせた。それによって、相手はテイワズを半ば敵対視している」

 

 そう言うマクマードだったが、映像モニタの向こう側で何と言ってるのかは何となく理解出来た。

 つまり、テイワズのような巨大な組織を本当に敵に回す馬鹿はいないとでも言ってるのだろう。

 だが……馬鹿はいる。

 いや、自分で自分を馬鹿と評するのもどうかと思うが……実際、俺はその気になればテイワズと敵対しても勝てると思っているし。

 

「そのケジメとして、以前JPTトラストに渡した、シングルナンバーの百錬をアクセルに渡す事にした。……別にいいだろう?」

 

 そんなマクマードの言葉に、映像モニタの向こう側の人物は必死になって何かを言ってるらしい。

 それを理解しながらも、俺はマクマードの様子を眺める。

 

「何でだ? 俺の知っている話だと、JPTトラストにはシングルナンバーの百錬を使いこなせるパイロットはいないって話だが? それに、まさか傭兵に使わせるって訳にもいかねえだろう」

 

 いや、怒ってるのは多分面子の問題だと思うんだが。

 仮にも、JPTトラストを率いる人物は、テイワズのNo.2だ。

 その人物が、マクマードの言うように使えるパイロットはいないからといって、与えられたシングルナンバーを取り上げられようとしているのだ。

 それを不満に思っても、おかしくはない。

 

「にしても、ちょっと意外だったな。テイワズのNo.2の組織なんだから、アミダくらい……とまではいかなくても、シングルナンバーを使いこなせるだけの実力者はいてもいいと思うんだが」

「あのな、アクセルは勘違いしているようだから言っておくぞ。アミダは恐らくこの世界では上澄み中の上澄み。トップクラスのMSの操縦技術を持っていると思うぞ」

 

 呆れた様子で言う名瀬。

 

「そうなのか?」

「……そうなんだよ」

 

 俺の言葉にそう返す名瀬だったが、以前戦ったマクギリスの技量はアミダと同等……あるいは少し上だったようにすら思う。

 そういう意味では、アミダも腕利きのパイロットなのは間違いないと思うが、それでも名瀬が言うように上澄み中の上澄みであるというのは、少し意外だった。

 

「そうだな。なら、JPTトラストがMSを用意しろ。……30機くらいでどうだ? それを使って、アクセル……シングルナンバーを渡す奴と模擬戦を行う。それでお前が勝てば、百錬はお前達に返す。負けたら、百錬を諦める」

 

 俺が名瀬と話している間にも、マクマードの会話は進んでいたらしい。

 にしても、30機か。

 MSが30機となれば、それは結構な戦力となる。

 それこそ、CGSの拠点をギャラルホルンが襲ってきた時も、用意されたMSは10機前後だったと思えば、30機というのがどれだけの戦力なのかが分かりやすいだろう。

 マクマードがそんな提案をしたのは、普通に考えれば30機用意したJPTトラスト側が負けることはないだろうと通信している相手が判断したからだろう。

 実際、マクマードの表情を見る限りでは、相手は乗り気らしい。

 マクマードと通信している相手にしてみれば、マクマードは自分達の味方をしており、今回の提案は不満を露わにした取引相手……つまり俺だが、そんな俺の顔を立てる形で用意した場で、そこでJPTトラストの実力を見せつけてやれと、そんな風に言ってるように思えたのかもしれない。

 

「おう、それでいい。じゃあ、日付については……分かった、2日後の朝10時だな?」

 

 マクマードが通信相手と話しつつ、俺に視線を向けてくる。

 その時間で問題がないかという、確認の為だろう。

 2日後か。

 クーデリアを地球まで送るというのを考えると、出来るだけ早い方がいいのも事実。

 だが、MS30機となればすぐに集められる戦力ではない。

 クーデリアに視線を向けると、真剣な表情で頷いてくる。

 どうやらクーデリアもそれで問題ないという考えらしい。

 少し……いや、大分心配そうなのは、MS30機という、普通ならとてもではないが勝ち目のない数を相手にするからか。

 

「それで問題ない」

 

 その言葉に、マクマードは笑みを浮かべて映像モニタの向こうにいる人物に口を開く。

 

「それで構わないそうだ。ただ、百錬のシングルナンバーはパイロットが慣れる必要があるから、今日中に引き渡せ。いいな? 言っておくが、妙な小細工をしたりはするなよ? しっかりと調べてから引き渡すからな」

 

 マクマードの様子を見る限りだと、そういう事をするタイプなのか?

 名瀬に視線を向けると、俺が何を聞きたいのか分かったのだろう。無言で頷く。

 どうやらそういうタイプらしい。

 とはいえ、それでもテイワズのNo.2になる男だ。

 ただ小細工が得意なだけの男という訳ではないだろう。

 だとすれば、そういう小細工を込みでもどうにか出来るだけの何かがあると……そういう事なのだろう。

 取りあえず小細工の件は、マクマードの様子を見ると心配しなくてもよさそうだが。

 とはいえ、それはあくまでもMSに対する小細工だ。

 つまり、MS以外の場所で何かを仕掛けてくる可能性がある。

 そうなったらそうなったで、こっちも相応の対処をすればいいだけだろうけど。

 

「分かった。じゃあ、すぐに人を向かわせる。百錬の引き渡しはすぐに出来るようにしておけ」

 

 その言葉を最後に、マクマードが通信を切る。

 それを確認してから、声を掛ける。

 

「話は決まったようだな」

「ああ。すぐにMSを受け取った後で、何も問題がないかを確認してからお前の艦……グランだったか? そっちに向かわせる。あー……それとジャスレイの奴は自分の気に入った物を金色に塗る癖があるんだが……」

 

「ちょっと待て、ここでそういう事を言うとなると……」

「そうだ。百錬も金色に塗られている」

「……アミダのピンクといい、そのジャスレイって奴の金といい、まともな奴はいないのか?」

「あのなぁ、言っておくがシングルナンバーの百錬は全部ピンクだぞ?」

「なん……だと……」

 

 名瀬の言葉に、俺はそう言う事しか出来なかった。

 だが、それも当然だろう。

 てっきりアミダのパーソナルカラーだと思っていたピンクが、実はシングルナンバーの標準色だったのだから。

 

「何でまた、ピンクなんだ?」

「それを俺に言われても。俺達のところに来た時は、もうピンクだったんだから仕方がないだろう」

 

 アミダにピンクのパーソナルカラーというのは、正直なところちょっと合わないとは思っていた。

 ピンクとなると、可愛らしい色という認識や風俗店的な印象がある。

 そしてアミダは、可愛らしいのではなく美人、あるいは妖艶と評するのが正しい。

 風俗店は……うん。まぁ、名瀬の妻という事を考えれば、ちょっと不味いだろうが。

 

「で? ジャスレイって奴は金色? お気に入りを金色にするんだろ? なら、シングルナンバーの百錬はそのジャスレイって奴のお気に入りなのか?」

 

 そんな俺の疑問に答えたのは、マクマード。

 

「お気に入りって訳じゃねえかもしれねえが、シングルナンバーってのはその名の通り9機しかねえんだ。ジャスレイにしてみれば、実際に使う訳じゃなくてトロフィー的な感じなんだろうな。……まぁ、そんな訳で色を変えてもいい。どうする?」

「そう言われても……いや、普通の百錬が青だったな。じゃあ、赤で頼む」

 

 俺のパーソナルカラーだしというのは、言わないでおく。

 何しろ、現在俺が乗っているグシオンは別に赤でも何でもないしな。

 そう考えると、ここで赤をパーソナルカラーだと言うと、俺がずっと百錬に乗るように思えてしまう。

 

「分かった。赤だな。……ああ、それと。お前さんとそっちの坊主を呼んだ条件にあった、ガンダム・フレームの整備や補給とかの件もやっておくぞ」

「頼む。三日月はどうする?」

 

 これについては助かるが、正直なところ俺達の為というのもあるが、それ以上にガンダム・フレームのデータを取りたいというのがあるんだろうな。

 何しろガンダム・フレームというのは、このオルフェンズ世界においても希少だ。

 そしてテイワズは最近テイワズ・フレームというフレームを作り、百錬や百里といった新型のMSを作れるようになった。

 だからこそ、ガンダム・フレームの情報を少しでも欲しているのだろう。

 まぁ、それを考えた上でも整備や補給……もしくは改修をやってくれるというのなら、こっちとしては文句はないが。

 なので、俺はそれでいいとして、三日月はまた別だ。

 あくまでもシャドウミラーと鉄華団は違う組織である以上、俺が決める訳にもいかない。

 まぁ、三日月がここに来た時点で答えは決まってると思うが。

 

「うん、お願い」

 

 短くそれだけを言う。

 オルガの方はそんな三日月の様子を見て慌てたようにマクマードに頭を下げていたが。

 

「じゃあ、ガンダム・フレームをそれぞれ運び出すが、構わねえな?」

「ああ、頼む。後は……ああ、そうだ。結局未知のフレームについてはどうなってるんだ?」

「あー……そうだな。結構なお宝なのは間違いねえ。ちなみにだが、あれについての調査報告が遅れたのは、別に嫌がらせとかそんなんじゃねえ。純粋に、調べるのに時間が掛かったってのが大きい」

「そういう風に言うって事は、もしかしたらガンダム・フレーム並に貴重だったりするのか?」

 

 冗談っぽく言う。

 俺としては、マクマードがそんな訳あるかと笑って否定するのだとばかり思っていたが……

 

「よく分かったな」

「……え?」

 

 マクマードの口から、まさかこのような言葉が返ってくるとは、思いもしていなかった。

 

「何だ、自分で聞いておいてその反応って事は、本気じゃなかったのか?」

 

 当然だろう。

 そう言いたくなったが、それを我慢する。

 何しろ、このオルフェンズ世界はガンダムの世界だ。

 そうである以上、当然ながらこの世界ではガンダムが一番貴重なMSだと判断してもおかしくはない。

 いやまぁ、実際には俺がこの世界に転移してきていきなりグシオンを入手したりしたが。

 ……多分、本当に多分だけど、グシオンは原作だと鉄華団がブルワーズを倒して、それで入手していたんだろうな。

 そんな風に思いつつ、俺はマクマードに何と答えればいいのか迷い……

 

「そうだったらいいなとは思ったが、本気でそう思っていなかったのは間違いないな」

 

 結局当たり障りのない言葉を言う。

 もしかしたら、ガンダムの世界でガンダムよりも高性能なMSが入手出来るのか?

 そう思ったものの、俺が入手したフレームはエイハブ・リアクターは1基しか持ってなかった事を考えると……性能的にはどうなんだろうな。

 そう思いつつ、俺は何とか話を誤魔化しながら未知のフレームのある場所について聞き出すのだった。

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