転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3928話

 2つの方向にいた戦力を俺が潰し……そして戻ってくると、そこには何故かバルバトスがいた。

 いや、バルバトスだけではない。グシオンと思しきMSの姿もそこにはある。

 ……思しきとしたのは、俺の知っているダルマに近い外見のグシオンとは全く違っていたからだ。

 ただ、雰囲気や機体のパーツの幾つかにグシオンと思しき様子が残っている。

 それを見れば、グシオンなのだろうというのは予想出来た。

 ただ、その動きは決してよくはない。

 だからこそ、基本的にはイサリビの防衛に回っているのだろう。

 そんなグシオンに対して、バルバトスは一応イサリビを含めた俺達の母艦の護衛をしているのだが、それを知った上で宇宙空間を飛び回っては近付いてくる敵のMS……その多くがガルム・ロディだったが、そのコックピットを潰していく。

 まさに、獅子奮迅の大活躍といったところか。

 このバルバトスに誰が乗っているのかは、想像するのも難しくはない。

 バルバトスである以上、三日月がパイロットなのだろう。

 つまり、歳星で行われていた修理やら補給やら改修やら……その辺りの諸々が終わり。整備長が言っていたように高速艇であの2機を運んできたのだろう。

 となると、グシオンに乗っているのは昭弘か。

 それなら操縦がぎこちないのにも納得出来る。

 元々昭弘は阿頼耶識を使ってグレイズを操縦していた。今、シノが乗ってるグレイズだな。

 だが、グシオンは俺が操縦する以上、阿頼耶識ではなく普通に操縦するタイプだ。

 つまり今の昭弘は、阿頼耶識ではなく普通にグシオンを操縦している事になる。

 それがつまり、あの動きのぎこちなさの理由だろう。

 うーん……これは……やっぱり少し微妙だな。

 もっとも、シャドウミラーからもマーベルや昌弘達、それにタービンズからもアミダ達が出撃してるので、既に包囲していた海賊達の殆どが撃破されていた。

 そして残っている海賊達も……うん、撤退していったな。

 

『兄貴、どうする? 追撃するかい?』

 

 ハンマーヘッドの名瀬からの通信に、俺は首を横に振る。

 

「いや、止めておこう。個人的には追撃したいところだが、敵が夜明けの地平線団であった場合は、戦いの決着がつくまで相応に時間が掛かる。俺達の目標は地球だ。地球に到着する前に損耗するのは避けたい」

 

 クーデリアを送る仕事がなければ、このまま夜明けの地平線団を潰してもよかったんだが。

 もっとも、敵が夜明けの地平線団と決まった訳ではない。

 もしかしたら小規模な海賊達が徒党を組んで襲ってきたという可能性だって……うん。ない訳ではないのだから。

 勿論可能性としては恐ろしく低いものの、そうであった場合はそれぞれが四散して好きな方向に向かうだろう。

 そうなった時のことを思うと、それはかなり面倒だ。

 ……いやまぁ、海賊を減らすというのは決して悪い選択肢ではないとは思うんだが。

 しかし、それを考えた上でも今はまず地球に行くのを優先させたいというのが正直なところだった。

 高密度デブリ帯を通るのは、別に俺達だけではない。

 色々と後ろ暗いところのある連中も通るんだから、それなら別に俺達ではなくその連中が海賊を倒してしまえばいい。

 それに、俺はほぼ間違いないと思っているが、恐らく襲ってきた海賊は夜明けの地平線団だろう。

 そうなると、大規模な……それこそ最大級の海賊団であるだけに、戦いの決着がつくのが遅くなる。

 また、下手に恨みを買うと火星が襲われる可能性も……いや、その場合はギャラルホルンがどうにかするか?

 ともあれ、夜明けの地平線団と本格的に戦うのならクーデリアを地球に送り届けるという依頼を完了してからの話になるだろう。

 具体的にそれがいつになるのかは分からないが。

 

『分かった。なら、鉄華団の方にも連絡をしておくよ。それで、倒したMSとか海賊船とかはどうする? 集めればそれなりに金になると思うが』

「あー……その件か。どうするべきか迷うな」

 

 これは俺の正直な気持ちだ。

 一応最初に戦ったガルム・ロディは回収したが、それは戦いのついでだったからだ。

 あるいはこれで敵の数が少なければ、回収するという手段もあっただろう。

 だが……前後左右上下からこちらを包囲してくるといったことをする連中だ。

 それはつまり、それぞれに敵のMSや海賊船が散らばってるという事を意味していた。

 

「そうだな。回収する時間を区切ってという事でどうだ?」

『兄貴がそれでいいのなら、こっちは構わない。……30分くらいでいいか?』

「その程度でいいと思う」

 

 そういう事で、それぞれが急いでMSを確保していく。

 そんな様子を眺めていると、マーベルのグレイズが近付いてくる。

 

『アクセル、私達は集めなくてもいいの?』

「取りあえず2機は確保してあるし……ガルム・ロディだしな。いやまぁ、ガルム・ロディは一応こっちにあるから、予備部品として使い道がない訳じゃないけど」

 

 それに同じロディ・フレームという事で、マン・ロディと共有出来る部品もある。

 また、MSである以上はそれ以外のMSとの間でも共用出来る部品もそれなりにあるだろう。

 ただ……うん。MSは既に結構な数入手してるので、そこまでは必要ないというのが正直なところなんだよな。

 まぁ、修理して完品になったMSをノブリスを通して売りに出すという手段もない訳ではないが。

 けど……いや、別に絶対にノブリスを通す必要はないのか。

 勿論、ノブリスに対して感謝はしている。

 シャドウミラーというPMCを作る事が出来たのは、ノブリスのお陰なのは間違いないし。

 とはいえ、ノブリスが俺達を金儲けの道具としか思っていない事は理解している。

 もし俺達の存在がノブリスにとって負債になるようなら、恐らく……いや、確実にすぐに切り捨てるだろう。

 それは俺にも分かってはいるが、それでも色々と手助けをして貰ったのは事実。

 だからこそ、もし火星でMSを売るような事があったら、ノブリスを通すだろう。

 しかし、俺達が現在向かっているのは地球だ。

 そうなると、MSを売る相手としては、ギャラルホルン以外の組織になるだろう。

 タントテンポが最有力候補か?

 ともあれ、火星でMSを売る訳ではない以上、ノブリスを通す必要はない。

 

「そうだな。なら、修理の必要は少ないようなMSだけ確保しておくか。それで出来れば地球に到着する前に修理して動けるようにして欲しい。いつMSを売れる相手が来るか分からないし」

『了解よ。それにしてもMSを売るというのは理解出来るけど、グレイズは売らないの?』

「さすがにグレイズを売ろうとは思わないな」

 

 勿論、欲しがる者は……うーん、どうだろうな。

 いやまぁ、本心ではグレイズを欲しがる者はいると思うが、グレイズを購入するとエイハブ・リアクターの周波数でどこから入手した物なのかが分かってしまうんだよな。

 その危険を承知の上でグレイズという高性能機を欲するか……あるいはエイハブ・リアクターを入れ替えてグレイズを使うという方法がない訳でもないが。

 まぁ、その辺については今ここで考えても意味はない。

 なら、まずはここでMSを確保するのを最優先にするか。

 グレイズではなくガルム・ロディであれば、それを欲してもおかしくはないだろうし。

 

『まぁ、グレイズのような高性能機はうちだけが……いえ、鉄華団もだけど、とにかく味方だけが使えるようにしておいた方がいいでしょうしね』

「そうなるな。そんな訳で、まずはMSを集めてくれ。少し出遅れたから、あまり時間は残ってないぞ」

 

 俺の指示に従い、マーベルは部下達を率いてMSの回収に向かう。

 本来なら船も回収した方がいいんだろうが……船の回収ともなると、もの凄い時間が掛かるしな。

 その辺については仕方がないと思っておく事にする。

 もっともブリッジを破壊されている以上、修理するにも結構な金が掛かる。

 それこそ場合によっては修理するよりも廃棄した方がいいと思うくらいに。

 何しろ海賊船だしな。

 当然ながら正規の値段で購入出来るとは限らない。

 修理するにしても、危険手当とか裏社会手当とか、そういうのがついてもおかしくはない。

 だからこそ、俺としてはここで無理に海賊船は回収しなくてもいいと判断しておく。

 そして俺はシノと共に戦ったうちの2機……俺が倒したガルム・ロディ2機を確保して移動する。

 

『アクセル……』

 

 その場所には、当然のように自分が倒したガルム・ロディを持っていくべくシノのグレイズもいた。

 そのシノのグレイズからの通信が入ったのだが、映像モニタに表示されているシノはかなり不機嫌そうだ。

 何が理由でそのように不機嫌なのかは、考えるまでもなく明らかだ。

 海賊船を攻撃する時、俺がシノに待機するように命じたのが許せなかったのだろう。

 とはいえ、あの時のシノに任せておけば、海賊船の攻撃によってシノが撃破されていた可能性は十分にある。

 だからこそ、俺としてはあそこでそのままシノに任せるといった選択肢はなかったのだ。

 ……本人が納得していなくても。

 何しろシノにも言ったように、あの戦いでシノが死んでいればオルガに合わせる顔がなかったし。

 そういう意味ではシノが納得出来なくても、あの時の戦いはあれで仕方がなかった。

 とはいえ、本人がそれで納得するかどうかは別の話だが。

 

「悔しかったら、もっと腕を磨くんだな。いざという時に頼れるようになるまで」

『……分かってるよ』

 

 不満そうにしながらも、シノの口から反論の言葉は出ない。

 恐らくシノも分かってはいるのだろう。

 だが、それでも納得が出来ないといったところか。

 これで奮起してやる気になってくれればいいんだけどな。

 

「そうか。なら、頑張れよ」

 

 そう言い、俺は撃破したMSを持ってグランに戻る。

 ガランやジャコバの方でも結構動いている者が多く、それなりにMSの残骸は確保出来ているらしい。

 恐らくだが、鉄華団やタービンズよりも確保したMSの残骸は多いだろう。

 この辺は純粋に人手の違いか。

 そんな風に思いつつ、俺も時間いっぱいまでMSの残骸の回収を進めるのだった。

 

 

 

 

 

「やっぱりか」

『はい。こっちで確保したMSの中にまだ生きてる奴がいて、聞き出せました』

 

 映像モニタに映ったオルガがそう言い、分割した映像モニタに映されている名瀬は帽子で顔を隠す。

 オルガからの報告は、生き残っていたパイロットから聞き出した情報で、それによると予想通り……あるいは当たって欲しくなかった通りと言うべきか、襲ってきた海賊達は夜明けの地平線団の者達だったらしい。

 あれだけ多くのガルム・ロディを使っていた時点で、そうだろうなとは思っていたんだが。

 ただ、出来れば違っていて欲しいと思ったのも事実だ。

 ……それにしても、正直なところよくパイロットが生き残っていたなという思いがある。

 何しろバルバトスの戦いを見れば、基本的に重量物でコックピットを潰すというのが主だ。

 そんな攻撃をされて生き残っているというのは、驚き以外のなにものでもない。

 どうやって生き残ったのか、少し聞かせて欲しいとすら思ってしまう。

 もっとも、今はそんなことを聞いてる場合ではないが。

 

『どうする、兄貴? 夜明けの地平線団となれば、この辺りでも……いや、この世界全体で見てもトップクラスに巨大な海賊団だぜ?』

「クーデリアの件がなければ、このまま夜明けの地平線団の討伐をしてもいいんだけどな。ただ、今この状況でそんな余裕はない」

 

 夜明けの地平線団を壊滅させる事が出来れば、メリットは大きい。

 具体的には自分達がこれから夜明けの地平線団に襲われる可能性が少なくなるというのは、非常に大きなメリットだろう。

 他にも、夜明けの地平線団が所持していた大量のMSや海賊船を確保出来るのは大きいし、海賊達の中でヒューマンデブリとして使われている者は確保してこっちの戦力にし、大人の海賊達はそれこそヒューマンデブリとして売り払ってもいい。

 ……もっとも、ヒューマンデブリというのは特に何かで行動を束縛されている訳ではない。

 魔法とかがあれば、奴隷の首輪みたいなのを使ってどうにか出来るかもしれないが。

 ネギま世界とかにあるような。

 そういうのがないから、もしヒューマンデブリになっても海賊達……大人であれば、それこそ自分を買った者達を殺すなりなんなりして、あっさりと脱走しそうだが。

 それに海賊だけに、危険だと知ればさっさと逃げるだろう。

 そうなると、それはそれで散らばった海賊達を倒すのは面倒な訳で……

 やっぱりクーデリアの件が終わるまで、夜明けの地平線団の駆除は後回しだな。

 とはいえ、俺が最初に夜明けの地平線団と遭遇した時……ブルワーズから追放された者達からの情報で抜け駆けをした夜明けの地平線団の連中とは違い、今回はそれなりの数を逃がしてしまっている。

 そうなると、それはそれで面倒な事になりそうだなと息を吐くのだった。

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