「さて……と」
俺がいるのは、ドルトコロニーの建物の陰。
今の俺を見つけるのは、それこそそう簡単な事ではないだろう。
だが、それでも今は必要な事だった。
俺がこれからやるのは、あくまでもデモ隊を守る事。
具体的には、マクギリスが口にしていたようにデモ隊に対してギャラルホルンが攻撃もやむなしといった判断をするのを防ぐ感じだ。
ギャラルホルンにとって今の状況で俺という、完全に予想外のイレギュラーが動くのは、好ましい事ではない。
しかし、それを考えた上でもTV放映をされている状況で俺という存在……具体的にはサラマンダーの存在を見せつければ、どうしてもそちらへの対処をするしかない。
向こうにとっては、まさに最悪の出来事だろう。
それはつまり、こっちにとっては最高の出来事であるという証だ。
後は……三日月が出来る限り早くオルガと連絡を取って、俺の作戦に鉄華団が参戦してくれるのを祈るだけか。
アジーを始めとしたタービンズのパイロットがシャドウミラーで余っているMSを使って出撃するのにも時間が掛かるだろう。
シャドウミラーの方は……オルガ達と一緒にマーベルが行動しているので、シャドウミラーで俺に続く技量の持ち主の出撃が遅れるのは残念だが。
そんな風に思っている間にもデモ隊は進み……目的の場所に到着するのを建物の陰から屋上に移動して確認する。
ドルトコロニーのお偉いさんが集まってる建物はかなり豪華だ。
これを見れば、労働者達が自分達は搾取されていると思ってもおかしくはないと思うくらいに。
そして建物の前にはギャラルホルンのMWが立ち塞がっている。
MSは、エイハブ・リアクターの……あれ? これ、ちょっと不味くないか?
MSが市街地で使われないのは、エイハブ・リアクターの影響によって電子機器に悪影響を与える為だ。
それによって市街地には壊滅的な被害を与える事になる。
それこそ病院や銀行といった場所では、洒落にならない被害となるだろう。
ハーフメタルを使えば対処可能なのだが、そのハーフメタルの量も限られている以上、市民が普通に使うというのは難しい。
それもあって、MSを市街地で運用するのは……大袈裟に言えば、禁忌に近い。
しかし、俺の作戦通りに事態が動けば、サラマンダーを使って敵を攻撃する必要が出てくる。
いっそサラマンダーではなく、ギャラルホルンから奪ったMWを使うか?
そうも思ったが、今回の目的の一つはサラマンダーという未知の存在によってギャラルホルンが蹂躙されるという光景を見せつける事だ。
そう考えると、俺にとっては……うん?
屋上から地上の様子を見ていたが、怪しげな動きをしている黒服の男達を発見する。
俺がいるビルの斜め向かいのビル。
黒服の男というのは、俺にとってそんなに珍しいものではない。
色々と便利な服装なのは間違いないしな。
だが、問題なのはその黒服の男達が銃を……それも拳銃の類ではなく、狙撃銃にしか見えない銃を手にしていた事だ。
まだ狙いを付けていないが、この状況を考えると……普通に考えれば、ギャラルホルンの手の者だろう。
さすがにデモ隊の方でこうした人材を用意出来るとは思えなかったし。
ギャラルホルンにしてみれば、発砲はデモ隊にさせたい筈だ。
その為の要員なのか、あるいはデモ隊の中でもリーダー格の人材を狙うのか。
その辺は今のところちょっと分からないが。
ともあれ、明らかに怪しい存在である以上、そのままにしておくという訳にもいかない。
気配遮断を使い、空を飛んで黒服の男達のいる場所の近くにいく。
狙撃をする為だろう。窓が開いているので、外側に浮かんでいても中の声はしっかりと聞こえてくる。
……もっとも、気配遮断を使っているとはいえ、カメラとかそういうのを通すと俺の姿は普通に確認出来る。
そうである以上、MWの中からこっちを見たりする奴がいたら……俺はビルの壁にくっついているように見えるだろう。
今のこの状況でわざわざこのビルに、それも壁を見るような者はいないと思うが。
とはいえ、それも絶対ではない。
現在のデモ隊はギャラルホルンに……正確にはギャラルホルンが守っている建物に意識を集中している筈だ。
そしてギャラルホルンもまた、いつデモ隊が攻撃してくるのか分からず、警戒している。
マクギリスの話が本当なら、ギャラルホルン側から自作自演をして自分達が攻撃されたように見せ掛け、それで反撃をするという事になってる筈だ。
だが、デモ隊の様子を見ると、かなり興奮している。
ギャラルホルンが自作自演をしなくても、普通に興奮したデモ隊側から攻撃をするという可能性が否定出来ない程に。
前線に出ているギャラルホルンが全員自作自演の事を知ってるのかどうかは分からないが。
ともあれ、ビルの壁にへばりついているように見える俺に意識が向けられる可能性が少ないのは、俺にとってもラッキーだった。
「おい、まだあのメイドは見つからないのか! 俺達がここで待機していても、肝心のクーデリアがいないと意味がないぞ!」
あ、うん。これだけで状況を理解してしまった。
苛立ちながら怒鳴っているが、それによってこの連中の正体は理解出来た。
ここでメイド……フミタンの事が出てきた以上、この連中は恐らく……いや、間違いなくノブリスの手の者だろう。
そして話の内容からして、俺が予想していたようにここでクーデリアを殺す事によって騒動の規模を大きくし、自分の商売……武器の売買に繋げようと考えたのだろう。
部屋の中にいる連中の正体が分かった以上、もうこうしている理由はない。
ビルの壁の側で飛んでいても、今の状況なら見つかる可能性は少ない。
しかし、それは少ないであって絶対ではないのだ。
なら、いつまでもここにいる必要はないだろう。
とはいえ、色々と聞き出す事を考えると、部屋の中にいる連中を殺すのもどうかと思う。
気絶だな。
そう決断すると、俺は気配遮断を使ったまま部屋の中に入る。
幸いにも、カメラとか双眼鏡とか、そういうのを使っている者はいなかったので、気配遮断を使っている俺が見つかる事はない。
もっとも、この気配遮断は攻撃をすればその時点で解除される訳で……1人を気絶させたら、他の面々も素早く気絶させる必要がある。
部屋の中にいるのは、4人。
狙撃銃を持っている1人と、その補佐の3人といったところか。
ちなみに1人は双眼鏡を持ってはいるが、あくまでも持っているだけだ。
それを使って窓の外を確認していれば、俺の存在に気が付いたかもしれないが。
運が悪かったな。
そう判断し、まずは狙撃銃を持っている男の首筋を手刀で叩いて意識を奪う。
これ、実はかなり高度な技術なんだよな。
ともあれ、攻撃をした事で気配遮断の効果が切れ、俺の姿は他の3人にも認識される。
もっとも、認識されるよりも前に動いて2人、3人と気絶させ……
「なっ!? アクセル!?」
最後の1人はようやく俺の姿を把握し、名前を口にする。
次の瞬間には俺によって気絶させられたが。
それにしても俺の名前を知っていたが。
狙撃銃とその予備弾倉を空間倉庫に収納しながら、そんな風に思う。
とはいえ、この連中がノブリスの手の者なら、俺を知っていてもおかしくはない。
だが……こうして俺達をいいように使おうとしたというのが判明した以上、ノブリスには相応の対応をする必要があるな。
そんな風に思いながら、空間倉庫から取り出したロープで黒服の男達の手足を縛り、猿轡をして、布で目隠しもする。
これでこの連中が気が付いても、何も出来ないだろう。
後は、諸々が片付いた後で回収すればいい。
もしくは、俺が暴れている隙に回収して貰うか。
……これからここで起きる事態、ドルト本社を巡る戦いでこの部屋に被害がなければ、の話だが。
いっそ影のゲートでどこか適当な場所に放り出す……それも駄目か。
何も知らない連中がこいつらを見つけたら、縛っているローブを解いたりしかねない。
やっぱりこの連中にはここにいて貰おう。
そう思いつつ、俺は部屋から出て最初にいたビルの屋上に向かったのだが……
どん、と。
そんな音と共に、ギャラルホルンが守っているドルト本社の建物の一部が爆発し、周辺に黒煙と炎が広がる。
やったか?
このやったかというのが、どっちに向けての言葉なのかと言えば……どっちもだろう。
ギャラルホルンの自作自演が行われたのか、興奮したデモ隊が攻撃したのか。
それは分からなかったが、それが契機になったのは間違いのない事実。
実際、それを理由としてギャラルホルンのMW隊が反撃の準備を始め……
「俺の出番だな」
屋上から飛び降り、建物の陰に移動すると空間倉庫からサラマンダーを取り出す。
本来なら屋上でサラマンダーを出してもよかったのだが、サラマンダーの重量は10tオーバーだ。
下手をしたら、ビルの屋上がその重量によって壊れる可能性も否定は出来なかった。
その為、こうして俺は地上に降りてからサラマンダーを出したのだ。
コックピットに乗り込み、機体を起動させる。
この速度についても、実はベース機となったデュランダルよりも、シャドウミラーの技術班が手を入れたお陰で早くなってはいるんだよな。
とはいえ、それでもニーズヘッグのT-LINKシステムには劣るものであり……
どん、という先程と同じようで違った音がコックピットにいても聞こえてきた。
事態の流れを考えると、恐らく今の爆発が起きたのはドルト本社やギャラルホルンではなく、デモ隊側だろう。
それはつまり、デモ隊側に被害が出た可能性が高いという事を意味している。
出来ればデモ隊側に死傷者は出したくなかったのだが、まだ何でもない状態の時にサラマンダーを出すのは、色々と不味い。
そうである以上、これは仕方がないと思うしかない。
サヴァランにとっては納得出来ない事かもしれないが、デモ隊側だってギャラルホルンを敵に回そうと考える以上、自分達に何らかの被害が出るというのは覚悟していてもおかしくはない。
そんな訳で、仕方がないだろうと自分に言い聞かせ……そして、サラマンダーの起動が完了する。
それを確認した瞬間、俺はサラマンダーを使って一気に跳躍する。
背中のエナジーウィングによる飛行速度は、それこそ俺がサラマンダーを出した場所がそもそもドルト本社からそう遠くないという事もあってか、即座に敵の姿を確認する。
最初に屋上で見た時と、敵の陣形は変わりがない。
ただ、1機のMWの銃口から煙が上がっている。
いわゆる、発射煙という奴だろう。
そして予想通りデモ隊側のMWが1機撃破されていた。
パイロットが生きているかどうかまでは分からないが、それでも無傷という事はないだろう。
「悪いな、お前達に恨みは……ない訳じゃないが、それでも敵である以上、そして何よりもこれからの茶番劇の始まりである以上、見逃す訳にはいかない」
そう言い、サラマンダーの頭部ビームバルカンを撃つ。
放たれたビームバルカンは、次々にMWを撃破していく。
3機、4機、5機、6機。
同時にMWの周辺にいた歩兵も結構な数が死んだり、怪我をしているのが分かる。
MSを相手にした場合、ビーム兵器は全く効果がない。
だが、それはMSがナノラミネートアーマーを使っている為だ。
そしてナノラミネートアーマーというのは、エイハブ・リアクターとセットで使ってこそ効果がある。
それはつまり、エイハブ・リアクターを使っていないMWはビーム兵器を防げないという事でもある。
そもそも、俺が軽く調べてみたところだとこのオルフェンズ世界において現在ビーム兵器の類は使われていない。
その為に、MSに乗っていてもそもそもビーム兵器という存在すら知らない者がいたくらいだ。
……まぁ、相応の教育をしっかりとしているギャラルホルンなら、その辺りについて十分に理解しているかもしれないが。
ともあれ、MWがビーム兵器に弱いのは事実。
それを示すように、サラマンダーの映像モニタには半ば壊滅状態になったギャラルホルンの状態を示していた。
ちなみにステータスを確認すると、撃墜数が14増えている。
MWはともかく、どうやら歩兵は俺が思った以上に生き残りが多いらしい。
もっとも、撃墜数については今はもうそこまで気にしていないが。
いやまぁ、解呪にSPを使う以上、多ければ多い程にいいのでそういう意味では撃墜数が増えるのは悪くないけど。
そんな風に思っていると、デモ隊のMWの生き残りが、そして武装した者達が歩みを進めたのに気が付く。
デモ隊を率いていた人物が必死になってそれを止めようとしているものの、デモ隊はそれを聞かない。
……無理もないか。
自作自演によってギャラルホルンによって攻撃をされたのだから。
デモ隊にしてみれば、ギャラルホルンの戦力が少なくなった今こそ自分達の力を見せつけようと思ってもおかしくはない。
おかしくはないのだが……それをさせる訳にもいかない。
俺はサラマンダーの頭部を動かし、近付いてくるデモ隊の移動先に向けてビームバルカンを放つ。
いきなりの俺の行動に、動きを止めるデモ隊。
そんなデモ隊に向け、外部スピーカーのスイッチを入れて口を開く。
「止まれ」
アクセル・アルマー
LV:45
PP:165
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:3003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1891