転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3946話

 アインとサヴァランの一件が終わったところで、ジャンマルコがグランに到着する。

 

「よう、アクセル。今回はいい取引だったな」

 

 格納庫には俺の指示によって既に譲渡予定のグレイズがあり、ガランとジャコバが高密度デブリ帯で確保したエイハブ・リアクターも置かれている。

 それを見たジャンマルコは、ご満悦といった様子で俺に向かってそう言ってきたのだ。

 実際、ジャンマルコにしてみれば今回の取引は決して悪くなかっただろう。

 何しろ、ジャンマルコ本人はアフリカユニオンと連絡をし、ドルトコロニーの状況を説明し……まぁ、後はクーデリアの演説を強制的に中止すると問題だと、そんな風に連絡をしたくらいなのだから。

 コネがあっての事であり、そのコネを築いたのはジャンマルコ、あるいはタントテンポだ。今あるその繋がりを使っただけである以上、今回の件は別にジャンマルコを責めるつもりはない。

 実際、ジャンマルコの行動がなければ、アフリカユニオンがクーデリアの演説をどのように判断したのかは分からなかったし。

 それこそ即座にTV回線が切断され、演説が途中で終わっていた可能性もある。

 また、俺達にとってもクーデリアの演説を続ける事が出来たのは、悪くない結果だった。

 その代償がグレイズとエイハブ・リアクターをそれぞれ1つずつなのだ。

 グレイズは俺がギャラルホルンの火星にある基地から盗んだ奴なので、ぶっちゃけ入手するのにコストは掛かっていない。

 エイハブ・リアクターの方は……ガランとジャコバの面々が頑張って入手してくれたものである以上、若干申し訳ないとは思う。

 とはいえ、そのエイハブ・リアクターも全て渡す訳ではなく、あくまでも1基だけだ。

 そのくらいなら、コストとして我慢して貰うしかない。

 

「そうだな。とはいえ……出来れば地球に行く際にも色々と手助けをして欲しかったけど」

 

 実際、それについてはジャンマルコにかなり期待していたのは事実だ。

 クランクも地球出身なのは間違いないものの、火星支部で働くようになってそれなりに長い。

 今でもある程度地球については詳しいだろうが、それでも最新の地球の情報というのはどうしても疎くなる。

 それと比べると、月の周辺にあるコロニーを拠点としているタントテンポは、地球の情報にも詳しい。

 ましてや、ジャンマルコはタントテンポの幹部の1人である以上、色々と顔が利く。

 だからこそ、出来ればジャンマルコには協力して欲しかったのだが……

 

「悪いな。繰り返すようだが、こっちにも色々とあるんだよ」

「分かっている。これ以上は無理にとは言わないよ。とはいえ……これからの事を考えると少し面倒かもしれないが」

「だろうな。お前達が接触するのはアーブラウなんだろう? 結構ゴタゴタが起こってるらしいぞ」

「具体的には?」

「アーブラウ代表の蒔苗東護ノ介が代表を追われている。何でも贈収賄疑惑によるものらしい」

「マジか」

 

 クーデリアから聞いた話によると、クーデリアが会う相手というのが、その蒔苗とかいう奴だった筈だ。

 その蒔苗がアーブラウの代表を追われているとなると……ぶっちゃけ、そいつに会っても意味はないんじゃないか?

 いやまぁ、元代表というだけでそれなりに影響力はあるのかもしれないが、現役の代表と比べると、影響力が下がるのは仕方がない。

 ……にしても、アーブラウというのは確かロシアとかカナダ、アラスカが中心になって出来た国の筈だが、その代表が蒔苗というのはちょっと疑問だな。

 いかにも日本人染みた名前だし。

 あるいは厄祭戦の影響で人種とかそういうのもかなり俺が知ってるのと違っているのかもしれないな。

 まぁ、その辺は後で時間が空いたらちょっと調べてみてもいいかもしれないが。

 自分で考えておいてなんだが、こういう風に思った事って大抵実現しないんだよな。

 

「マジだ。……どうするつもりだ?」

「その蒔苗という奴の代わりに代表になった奴は、どういう奴だ? 蒔苗が贈収賄の容疑で代表ではなくなったのなら、その派閥の誰かとか……」

「いや、違う」

 

 ジャンマルコは俺の言葉を即座に否定する。

 そんなジャンマルコの様子を見ると、新しいアーブラウの代表というのは蒔苗と友好な相手ではないらしい。

 これは残念というか……完全に予定が狂ってしまうな。

 クーデリアが会う予定だった蒔苗が代表ではなくなっていても、新しい代表が蒔苗と親しいのなら、まだ手はあったんだが。

 こうなると、もういっそ地球に行かないでこのまま火星に戻った方がいいような気すらしてくる。

 一度クーデリアと相談してみた方がいいな。

 その後で、オルガや名瀬とも相談が必要だろう。

 具体的にどうするのか、それを決める必要がある。

 ……とはいえ、これで火星に帰るとクーデリアが言うとは思えないんだよな。

 それにジャンマルコには悪いが、原作の流れもある。

 ペルソナ世界で原作知識を失った俺だったが、それでも原作があるという事を考えると、それはつまりこの世界にはそういう流れがあるという事を意味している。

 そんな原作の流れがある以上、地球まで来て火星に帰るといった事を原作でやるかと言われれば……恐らくは否だ。

 そうなると、蒔苗という奴と会って何とかするという流れになるんだろうとは思える。

 問題なのは、それが具体的になんなのか。

 ……まぁ、それは蒔苗に会ってみないと何とも言えないな。

 

「話は分かったけど、取りあえず今のところ頼りになるのはその蒔苗という相手だけだ。そうである以上、多分地球に降りると思う」

「そうか。……こっちの騒動が一段落して、まだアクセルが地球にいたら、その時はこっちから連絡をするよ」

「そうしてくれ」

 

 忙しくなるとかそんな風に言っていたが、明確に騒動と口にしたな。

 単純な言い間違えなのか、それとも意図して俺に情報を渡したのか。

 その辺は生憎と俺にも分からないが、タントテンポに何か騒動があるというのは間違いなかった。

 だからといって、それで俺がどうこうしようとは思わないが。

 単純に力で解決するのならともかく、ジャンマルコの様子を見る限りだと、そういう感じでもないしな。

 

「その為にも、このグレイズはしっかりと使いこなせるようにならないとな。……で、この話はこれでいいとして……あっちの青いMSはなんだ?」

 

 自分の話が一段落したところで、ジャンマルコの視線は格納庫の端の方にあるシュヴァルベ・グレイズに向けられる。

 アインが乗っていた機体は、クランクによって鹵獲された時にそれなりの被害を受けてはいる。

 今は端の方に置いてあるが、シャドウミラーで戦闘に出たMSの修理や補給、整備が終わったら、修理される筈だった。

 ここがシャドウミラーなら、コバッタや量産型Wによって夜通し修理される。

 だが、ここはオルフェンズ世界で、コバッタも量産型Wもいない。

 そうである以上、メカニック達に修理をして貰う必要がある。

 歳星にいる時に、メカニック達も色々と技術交流とかをしていたので、それなりに技量は上がっている。

 上がっているのだが、それでもやはりコバッタや量産型Wと比べるのは色々な意味で間違いだ。

 

「さっきの戦闘は見ていたんじゃないのか? その戦闘で確保したMSだよ」

「グレイズ系……だよな?」

「ああ。シュヴァルベ・グレイズ。その名前の通りグレイズ系のMSだ」

「シュヴァルベ・グレイズ……なぁ、アクセル。あのMSを売る気はないか?」

「ないな」

 

 即座に断言する。

 シュヴァルベ・グレイズは、簡単に言ってしまえばグレイズのエース級といった感じのMSだ。

 F型のザクに対してS型的な。

 それだけに数は少なく、クランクのお陰で入手出来たそのMSを売ろうとは思わない。

 俺はグシオンがあるから……マーベル辺りに使わせるか。

 ヴァルキュリア・フレームのMSが来たら、それをマーベルに使わせる気だが、それまでシュヴァルベ・グレイズはマーベルが使うという事でいいだろう。

 

「やっぱりか。あのMSは是非とも欲しかったんだが」

「それは仕方がない。あるいはどうしても欲しいのなら、ギャラルホルンから奪ったらどうだ?」

「アクセルじゃないんだから、無理を言うな」

 

 シュヴァルベ・グレイズを鹵獲したのは、俺ではなくクランクなのだが。

 まぁ、その辺については別に言う必要はないか。

 

「あるいは、アリアンロッド艦隊の中でも補給とかに関わっている奴を買収して、シュヴァルベ・グレイズを横流しするようにするとか」

「アリアンロッド艦隊だぜ? 無茶を言うな、無茶を」

「火星支部なら、そのくらいは普通に出来そうなんだけどな」

「火星支部はなぁ……ああ、でも監査が入ったし、そもそも火星支部のトップはアクセル達が殺したんだろう?」

「うん? そうだったか?」

「……本当に覚えてないのか、それとも単純に忘れてるのか。ともあれ、そいつは死んだ。監査の結果で不正の証拠が次々に出て来ているらしいから、次に火星支部のトップになるのはそういうのを受け付けないと思うぞ」

 

 そう言われるとそうか。

 普通に考えれば、不正で真っ黒な奴の後継者として火星支部を任される人物だ。

 そんな人物がすぐに不正をするか。

 あるいは時間があれば、少しずつ籠絡するといった事も可能かもしれないが。

 

「なら、諦めるんだな」

「……そうするよ。MSの模擬戦であれを賭けるという選択肢もあるかもしれないが、今のアクセルに勝てるとは思えないし。……それに、あの変形するMSは厄介だ」

 

 最後の方は俺に聞かせるつもりはなかったのだろう。

 とはいえ、混沌精霊の俺の耳にはしっかりと聞こえていたが。

 ただ、向こうが俺に聞かせるつもりはない以上、それに返したりはしない。

 サラマンダーが俺の機体だというのを半ば確信している様子だったが。

 

「じゃあ、取引はこれで終わりだな。今の状況なら大丈夫だと思うけど、ギャラルホルンに見つかったりするなよ」

 

 高密度デブリ帯で見つけたエイハブ・リアクターはともかく、グレイズがあるのを見られると、言い訳のしようがない。

 ……あるいは、さっきの戦いでサラマンダーなり、他のMSに撃破されたのを拾ったと言えば……それはそれで無理があるか。

 何しろジャンマルコに渡したグレイズは新品同様なのだから。

 撃破されたのなら、それこそコックピットが潰れていたりしてもおかしくはない。

 それ以前に、エイハブ・リアクターの周波数を調べるとそれではっきりする。

 換装用のエイハブ・リアクターは渡したが、実際にエイハブ・リアクターを入れ替えるのはグランでは出来ない。

 ただでさえ、今のグランではメカニック達が忙しく走り回っているのだから。

 それはガランの方も同じで、補給艦のジャコバからメカニックを回して貰っているくらいだ。

 それはイサリビでも同様だろうし……ああ、ハンマーヘッドなら別か?

 アミダ、ラフタ、アジー達は百錬や百里を使わず、俺達の中で余っていたMSを使って出撃した筈だ。

 そのMSの整備はこっちでやってるし、そうなるとハンマーヘッドのメカニックはそれなりに暇なのは間違いない。

 ……だからといって、ハンマーヘッドのメカニックをこっちに連れてくるのも……出来ない訳ではないが、ハンマーヘッドのメカニックも全員名瀬の妻なのは間違いない。

 そんな女達をこっちに連れてくると、面倒な事になりかねないのも事実。

 それこそ、場合によっては妙なちょっかいを出す可能性もある。

 一応歳星にいる時にその手の店にも何度か行かせているが。

 ただ、俺の場合は毎晩のようにシーラやマーベルと夜に楽しんでいる訳で。

 グランにいる者達の中には、それが面白くない……とはいかずとも、我慢出来なくなる奴もいるだろう。

 そんな諸々について考えると、やはり名瀬の妻であるハンマーヘッドのメカニックを連れてくる訳にはいかない。

 地球に到着したら、繁華街辺りに出掛けた方がいいのかもしれないな。

 勿論、俺は行かないが。

 もっとも、さすがに3隻の乗員全員でという訳にもいかない。

 宇宙ステーションに置いて、見張り以外の……難しいか?

 

「なぁ、ジャンマルコ」

「ん? どうした?」

 

 俺の言葉に、部下に指示を出してグレイズとエイハブ・リアクターを運び出す準備をしていたジャンマルコがこちらに視線を向けてくる。

 

「俺達が地球に降りるにはどうすればいいと思う?」

「地球にか? あー……そうだな。取りあえず普通の手段では無理だと思うぞ。ギャラルホルンと正面から敵対しているという時点でな」

「なら、どうすればいい?」

「幾つか手段はあるが……そもそも、お前達は元々どうやって地球に降りるつもりだったんだ?」

「その辺は名瀬に任せていたからな。元々地球に一番大きな伝手を持ってるというか、詳しいのは名瀬だったし」

 

 クランクも地球には詳しいが、もう何年も火星にいたしな。

 そういう意味でもやっぱり一番詳しいのが名瀬だったのは間違いなく、その辺も名瀬に任せていた。

 ……ニーズヘッグが使えるのなら、システムXNで転移という手段もあるんだが、それは無理だし。

 

「なら、そっちに聞けよ。俺の方も色々とあるから、さっきも言ったように手を貸すのは難しいしな」

 

 そう言うジャンマルコの言葉に、俺は仕方がないかと納得するのだった。

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