転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3949話

 マクギリスが言ったように、弾薬であったり、MSの補充部品であったりがグランとガラン、イサリビに大量に運び込まれた。

 この補給物資だけでも結構な量と値段になるのは間違いない。

 そこまでして、俺達に一体何を期待してるのやら。

 まぁ、取りあえず今その問題はいい。

 現在重要なのは、一体どれくらいの人数を降下船で地球に下ろすかだが……

 

「クーデリアを始めとした面々は問題ないとして……やっぱり問題なのは、MSの数か」

 

 そんな俺の言葉に、多くの者達がそれぞれ同意したり、頷いたりする。

 何しろここにはシャドウミラー、鉄華団、タービンズという戦力が揃っている。

 ましてや、シャドウミラーは補給艦のジャコバはともかく、グランとガランという2隻の強襲装甲艦を持つ。

 ぶっちゃけ、純粋なMSの戦力としてはかなりのものだ。

 とはいえ……だからといって誰を降下船に乗せるかとなると、また問題が出てくるのも事実。

 まず俺の前提として、原作の流れから考えると鉄華団を中心にしたいと思う。

 この世界の原作の知識はないが、それでも普通に考えれば鉄華団が地球に降下し、地球でギャラルホルンとの戦いになるという感じだろう。

 ただ、これをどうやって他の者達に納得させるのかが問題だ。

 そうなると、シャドウミラーの方が鉄華団よりも戦力が充実しているのは間違いない。

 なら、戦力的にはシャドウミラーを使った方がいいと考えるのは当然だろう。

 それ以外にも、クーデリアから地球までの依頼をされているのは俺達だ。

 勿論鉄華団もそれは一緒だったが、どちらの方が優先されるかと言われれば、やはり俺達だろう。

 だとすれば、戦力についてはどうにかして相応の数を連れていくという事にして何人も連れていくという事にした方がいいか?

 とはいえ、そうなるとそうなったで降下船に搭載出来るMSの数が……いや、これは空間倉庫を使うか?

 マクギリスについては誤魔化すしかないし、テイワズにも知られたくないという意味で名瀬にも出来れば教えたくはない。

 ないのだが、鉄華団メインで連れていくという事を考えると、やはりここは切り札を切るべき時なのだろう。

 それに瞬動とかは以前アミダに見せているし。

 何より鉄華団の主要な面々も俺の魔法について知っている以上、うっかりメリビットに話してしまうという可能性もある。

 あるいはメリビットに直接話すのではなく、仲間同士で俺の魔法について話をしているのを聞いたりとか。

 気が進まない……本当に気が進まないのだが、原作通りに鉄華団の面々をメインに地球に行くという方法を考えると、今すぐに思いつく方法はこれしかない。

 あるいはもう少し時間があれば、もっと別の方法を考えついたかもしれないが。

 

「MS云々の前に話は変わる……いや、正確には同じ話なんだが、この機会に話しておきたい事がある」

 

 そう言い、俺は名瀬とアミダに視線を向ける。

 2人は、この状況で一体何の話なのかと不思議そうな表情を浮かべていたものの、論より証拠という事でパチンと指を鳴らす。

 瞬間、俺の右手が白炎となり、猫の炎獣が生み出された。

 

「……は?」

「……何だい、これ……?」

 

 名瀬とアミダがそれぞれそんな驚きの声を出す。

 猫の炎獣は、白炎で出来た身体で周囲を動き回る。

 

「って、何でお前達まで驚いてるんだ?」

 

 俺が魔法を使えると知っているオルガ達ですら驚いているのに疑問を抱く。

 だが、オルガ達は声も出せない程に驚いているのか、俺の声に反応しない。

 あれ? 炎獣、見せた事なかったか?

 あるいは、俺がこうもあっさりと魔法について名瀬やアミダに見せたのに驚いているのか。

 

「魔法だ。名瀬は俺がマクマードに会った時の一件で、アミダはジャスレイの手の者に公園で襲われた時、その片鱗を見ていると思うが」

 

 実際にはマクマードに使ったのは魔法ではなく殺気だったし、公園で使ったのは魔力は使っているものの、魔法ではなく瞬動なのだが。

 それでも普通の……この世界の人間に出来る事でないのは間違いない。

 当然ながら、名瀬もアミダもその辺については理解していただろうし、お互いの間で情報交換もしていただろう。

 そんな中でも俺にその話をしなかったのは、俺を敵に回すのを避ける為だった筈だ。

 しかし、そんな中で俺はこうして魔法の存在を暴露した。

 名瀬やアミダがそれに驚くのは無理もない。

 

「繰り返すが、魔法だ。空想とか物語の中の話という意味での魔法ではなく、実際にここに存在している魔法」

「そんな……魔法だって……?」

 

 そう呟く名瀬。

 この世界の常識を理解しているからこそ、名瀬は魔法というのをこうして実際に見ても信じることが出来ないのだろう。

 とはいえ、俺にしてみればこういう名瀬の反応はそこまで珍しくもなかったりする。

 今までにも何度か、魔法の存在しない世界の者達に俺が魔法を使えるという話をしたことがある。

 その時の多くは、やはり名瀬と同じような反応をしていた。

 とはいえ、このまま名瀬とアミダが我に返るまでずっと待っている訳にもいかない訳で……

 パン、と。

 手を叩いて、名瀬とアミダを正気に戻す。

 ……いや、この表現は少し不適切か? 我に返したという表現の方がいいかもしれないな。

 

「呆けているところ悪いが、話を続けるぞ」

 

 手を叩いた音でオルガを始めとする鉄華団の面々も我に返ったのは、幸運だったな。

 ……三日月は炎獣を見ても特に驚いた様子はなかったが。

 

「あ、ああ。すまない兄貴。だが……いきなりすぎるぜ」

「悪いな。正直なところお前には……いや、タービンズの連中には魔法については話したくなかった」

「……だろうな」

 

 理由については俺が何を言わなくても、名瀬には分かったらしい。

 それはつまり、名瀬がマクマードに魔法について報告するのは確実なのだろう。

 

「一応だが、魔法についてマクマードに報告するのは構わない。だが、マクマード以外には知らせないでくれると、俺としては助かるな」

 

 もしそうなった場合……それこそジャスレイが魔法について知ったら、一体どう反応するのやら。

 現在のテイワズにおいて、ジャスレイの影響力は間違いなく以前よりも落ちている。

 だがそれでも、まだ相応の影響力があるのも事実。

 テイワズのNo.2というのは、そこまでの影響力を持つものなのだ。

 ……もっとも、そのNo.2という地位もいつ名瀬に取って代わられるかは分からないが。

 ともあれ、俺を嫌っている……いや、憎悪していると言ってもいいジャスレイだ。

 そうである以上、俺を相手に攻撃するのに魔法という要素は格好の攻撃対象だろう。

 あるいはテイワズでは俺に対して特に何も出来ないと判断して、ギャラルホルンに情報を流すかもしれない。

 もっとも、魔法について知ったからといって何をしてくるのかは微妙なところだが。

 普通に考えれば、それこそ魔女狩り……いや、俺は男だし魔法使い狩りか?

 そうなったらそうなったでこっちも相応の対処をする必要があるが、それが面倒なのも事実。

 なら、やっぱりそういうのが起きない方がいいだろう。

 そんな訳で、俺の魔法についての情報を流すにしても、マクマードだけに留めておいてくれるのなら……まぁ、こっちとしても許容範囲だと思っておく事にする。

 

「分かった。とはいえ、兄貴には悪いが親父がその情報をどう使うのかというのは、俺がどうこう言えたりはしねえ。もしかしたら……という事も考えておいて欲しい」

「そうなったら、杯の件もご破算だな。テイワズ対俺というのが本当に起こる可能性が高い」

 

 その言葉に、アリアンロッド艦隊との戦いを思い出したのだろう。

 名瀬の顔が引き締まる。

 サラマンダーを使ったとはいえ、アリアンロッド艦隊との戦いはこっちの一方的な蹂躙だった。

 それを思えば、俺がテイワズと敵対した時にどれだけの被害を受けるのか、それを十分理解出来たのだろう。

 もっとも、単純に俺の実力を見るというだけなら、歳星で行われた模擬戦の結果からも明らかだったが。

 

「そうならないように、努力はさせて貰うよ。俺も兄貴と本気で戦いたいとは思わないし。……なぁ?」

 

 名瀬が自分の隣にいるアミダに視線を向ける。

 アミダは実際にタービンズと俺達が戦った時、シングルナンバーの百錬を大破状態にされた経験を持つ。

 それだけに、アミダは名瀬の言葉に素直に頷く。

 

「そうだね。アクセルと戦ったら被害が大きすぎる。私が乗っていた百錬も、修理には結構な費用が掛かったし」

 

 そう言い、微妙にこちらに責めるような視線を向けるアミダ。

 もっとも、すぐにその視線は猫の炎獣に向けられるが。

 ……もしかして、意外と可愛いもの好きだったりするのか?

 ともあれ、俺とは戦いたくないと言ったアミダの気持ちは本物だろう。

 だが、それは絶対に戦いたくないという訳ではない。

 具体的に、もし名瀬が何らかの理由によって俺と戦わないといけなくなった場合、アミダは俺と戦う事に躊躇しないだろう。

 それだけは間違いないと俺にも確信出来た。

 

「そうなってくれると、俺としても助かる。……まぁ、それはいいとして」

 

 パチンと指を鳴らすと、猫の炎獣は姿を消す。

 ……クーデリアとフミタンが残念そうな声を上げたのが聞こえてきたが、それについては取りあえずスルーしておこう。

 フミタンまでもがそういう声を発するというのは、俺にとっても予想外だったが。

 

「で、話を戻すと、俺の魔法の中には空間倉庫というのもある」

 

 実際には魔法ではないのだが、分かりやすいようにそう言っておく。

 ここで魔法以外にそういう特殊技能を持ってるとか説明したら、間違いなく面倒な事になるだろうし。

 そうならないようにするには、空間倉庫も魔法という事にしておいた方がいい。

 

「空間倉庫?」

「ああ、例えば……いや、実際に見せた方が早いか。全員、テーブルに触れないようにしてくれ」

 

 その言葉に、多くの者が不思議そうにしながらも指示通りにテーブルから手を離す。

 それを確認すると、俺はテーブルに触れ……次の瞬間、テーブルは空間倉庫に収納され、消える。

 

『……』

 

 名瀬とアミダは、言葉も出ない様子で目の前の……テーブルのあった場所に視線を向けている。

 やがて名瀬はそっと手を伸ばし、テーブルのあった空間に触れる。

 

「トリック……じゃないんだよな、兄貴?」

「もしトリック……例えば単純に見えないようにしているとかそういう事なら、お前の手が透明になっているテーブルに触れている筈だが、そういう感触はあるのか?」

 

 そもそも、どうやってテーブルを見えなくしたのかという問題がある。

 何らかの種があるにせよ、いきなりこうして姿を消すというのは、その種が分からなければどうしようもない。

 

「ない……な。一体、これは何がどうなって?」

「魔法だ。さっきも言った空間倉庫だ。そしてこの空間倉庫にはMSも普通に入れる事が出来る。つまり、降下船には事実上MSを何機でも持っていくことが出来る訳だ」

 

 その言葉で俺が何を言いたいのか理解したのだろう。

 名瀬とアミダの表情が驚きを露わにする。

 ……いつもなら、名瀬もアミダもその辺りにはすぐに思い当たっただろう。

 だが、目の前に間違いなく存在していたテーブルが消えたのを見た事によって、そちらに意識が集中していたのだろう。

 

「で、どうだ? MSは俺が運べばいい。MSのパイロットは……まぁ、宇宙で待機している船を守る戦力も必要だから、MSのパイロットを全員連れていく訳にもいかないだろうけど」

「あー……ああ、そうだな。確かに兄貴の言う通り、護衛の戦力は必要だ。ギャラルホルンが地上に向かった者達だけを狙うんじゃなくて、宇宙にいる者達を狙う可能性もあるし」

 

 ギャラルホルンと一口に言っても、色々な部署がある。

 問題なのは、戦闘担当の部署以外でも普通にMSを所有しており、相応の戦闘力を有している事だろう。

 1つの部署が俺達に攻撃をするのは被害が大きく割に合わないと判断しても、他の部署がそれを無視して攻撃してくるといった可能性は十分にあった。

 だからこそ、地上にいる俺達だけではなく、宇宙に残った戦力が狙われる可能性も十分にある訳だ。

 

「そうなると、シャドウミラーからは……俺、マーベル、昌弘、クランクくらいか? MSパイロットじゃないが、クーデリアが蒔苗と交渉するのなら、シーラもいた方がいいけど、今はMSパイロットの話だしな」

「うちからは……アミダがいれば護衛は問題ないから、ラフタとアジーを出すよ。ただ、百錬をそのまま使うのは問題だから、現在ハンマーヘッドで別のMSに見えるように偽装をしている。それが終わるまでもう少し時間が掛かる。それと百里について詳しいメカニック達を何人か出すから、他のMSの修理や補給、整備でも使って欲しい」

「分かった。そうなると、残るのは鉄華団だが……」

「こっちからは……そうですね。俺とビスケット、三日月と昭弘、シノ……それと親っさん達メカニックでしょうか?」

「いや、出来れば降下船のメンバーは鉄華団がメインでやって欲しい」

 

 そう言う俺の言葉に、オルガは珍しく間の抜けた表情を浮かべるのだった。

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