転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3950話

 部屋の中にいる者達は、全員が今の俺の言葉の意味を理解出来ないといった様子だ。

 特にお前達が中心になれと俺に言われたオルガは、いつもと違ってぽかんとした表情を浮かべている。

 とはいえ、それも無理はないか。

 普通に考えれば、俺が一体何を言ってるのか理解出来ない、あるいは納得出来ないと思ってもおかしくはない。

 シャドウミラー、タービンズ、鉄華団。

 この3つの組織は、率いる俺と名瀬、オルガが兄弟分の杯を交わしているという事もあり、組織そのものの距離もかなり近い。

 だが……それでも、組織の規模や成熟度とも呼ぶべきものは違う。

 純粋に組織の安定性という意味では、タービンズ、シャドウミラー、鉄華団の順になるだろう。

 純粋な戦闘力なら、シャドウミラーがトップで、タービンズと鉄華団が同じくらいか?

 ともあれ、鉄華団はそういう意味では総合的な組織力で一番下なのは間違いない。

 原作の主人公が所属する組織である以上、鉄華団の爆発力という点ではかなりのものがあるのは間違いないのだが。

 ただ、それでも組織的な力関係では一番下なのは事実。

 なのに、何で鉄華団が中心に……と、そんな風に思っているのだろう。

 もし俺がオルガの立場でも、恐らく同じように思うだろうし。

 とはいえ、この世界に原作があると知ってる以上、こちらとしても絶対にこの件で引く事は出来ないのも事実。

 俺達が思い切り介入した時点で原作の流れというのは既にないに等しい。

 それは分かっているが、それでも主人公の属する勢力である以上、しっかりと鍛える必要があるのは間違いない。

 とはいえ、どういう理由を付けてこっちの要望を受け入れさせるかが問題なんだよな。

 

「えっと、アクセルの兄貴。俺の聞き間違いかもしれませんが……」

 

 今の俺の言葉に真っ先に反応したのは、オルガだった。

 これは別に不思議な事ではない。

 何しろ鉄華団の一大事なのだから。

 自分の率いる組織の事だけに、そのまま聞き流すといった事は出来なかったのだろう。

 

「何だ? 地球に向かうのは鉄華団メインのメンバーってのは、決して間違ってはいないぞ」

「……いや、何でそんな事になるんです?」

「そうだな。幾つか理由があるが、最大の理由としては鉄華団を育てる為ってのが大きいな」

 

 結局理由のうち、俺の本音について口にする。

 ここで適当に話を誤魔化したりも出来たのだが、それをやったら後々面倒な事になりそうな気がしたんだよな。

 義理を重視しているオルガだけに、後で嘘だと分かったら信用を失ってもおかしくはない。

 そんな訳で、俺は素直に言う。

 

「言っておくが、それ以外にも理由はある。そうした方が効率がいいというのもあるからな」

「……効率、ですか? 一体どういう意味で?」

 

 育てるという言葉に不満を漏らしそうになったオルガだったが、俺が効率についても口にしたのが気になったのか、その動きを止めた。

 

「さっきも言ったが、宇宙に残る者達を守る為に戦力を用意する必要がある。その時に上手く連携するという事を考えると、3つの組織があるよりも、2つの組織の方がいい。……それももう1つの組織では残るMS戦力が1人となると、余計にな」

 

 厳しいか?

 そう思うも、出来ればこれで納得して欲しいと思う。

 今の説明は、半ば強引なところがあるのは間違いない。

 とはいえ、だからといって完全に嘘な訳でもないのだが。

 ギャラルホルンが攻めてきた時に中途半端な連携しか出来ないと、それは死を意味する。

 だからこそ、そうならないようにするのは重要な事だった。

 

「……分かりました。兄貴がそう言うのなら、それに従います。アクセルの兄貴がここまで言う以上、そこには何かそうしなければならない理由があるという事でしょうし」

 

 俺の言葉に完全に納得したという訳ではないらしいが、それでも俺が言うのなら……と、こっちの要望を受け入れるらしい。

 

「悪いな。ただ、さっきも言ったようにこっちからも戦力は十分に出す。最悪サラマンダーを出すから、もしギャラルホルンの襲撃があっても、相応に対処は出来るから安心しろ」

 

 俺とマーベル、昌弘、ラフタ、アジー……それにプラスして、三日月、昭弘、シノ。

 もっとも、シノの場合は重要な任務を任せるのは非常に心配だが。

 シノを含めても戦力としては十分にある。

 また、鉄華団はMS以外にもMWを結構な数集めているし。

 

「ああ、そうだ。MWはギャラルホルンの奴が余ってるから、それをやるよ。今のMWから阿頼耶識対応のコックピットを換装して使えば十分な戦力になるだろ」

 

 火星支部の基地から盗んだMWだが、今まで殆ど使い道がないので空間倉庫の中に収納され続けていた。

 それなら、これから地球で行動する鉄華団に使わせた方がいいだろう。

 ギャラルホルンのMWは、当然ながら鉄華団で現在使われているMWよりも性能が高い。

 ……まぁ、それでもMWである以上、MSを倒すのは不可能……とまではいかないが、かなり難しいだろう。

 何しろナノラミネートアーマーを貫けない以上、関節を狙うとかするしかないし。

 それでもギャラルホルンがMSではなくMWを使ってきた場合、対処するのに使えるだろう。

 MSは街中では使えないという欠点があるが、エイハブ・リアクターを使っていないMWなら普通に街中で使えるのだから。

 

「それは……いいんですか? MWだって、安い物じゃないでしょうに」

「グレイズと同じく、ギャラルホルンから奪った奴だしな。そういう意味では、俺に損はない」

 

 まぁ、ギャラルホルンのMWだ。

 売ろうと思えば、色々な組織が高値で買い取ってくれるだろう。

 そういう意味では、損をしてるのかもしれないが。

 ただ、ぶっちゃけ金儲けをしたいだけなら、俺は幾らでも出来るんだよな。

 それこそギャラルホルンの拠点に忍び込んでMSやMWを奪うというのを繰り返してもいいし、それ以前に直接金塊や宝石を奪ってきてもいいのだから。

 

「……ありがとうございます、兄貴。感謝します」

「気にするな。在庫処分のようなものだし」

「それでも、あいつらを少しでも無事に助ける事が出来るのなら……」

「それはいいとして、降下船については鉄華団がメインでって事でいいな?」

「ここまで言われて、嫌だとは言えませんよ。それに、兄貴も来てくれるんでしょう? なら、敵がギャラルホルンでもどうにでも出来ますから」

「あー……まぁ、アリアンロッド艦隊の件を見ていれば、そう思えるよな」

 

 オルガの言葉に名瀬が同意する。

 そして改めて名瀬がこっちを見てくる。

 

「それで、兄貴。結局あの変形するMSは一体何なんだ?」

「企業秘密だよ」

「……それって、もしかして魔法と関係あったりするのか?」

「どうだろうな」

 

 広義的な意味では、サラマンダーと魔法は関係がある。

 もっとも、それはサラマンダーを操縦するのに魔法を使うとか、そういう意味ではない。

 シャドウミラーという、魔力や気を使いこなす者達が作った――正確には改修だが――のがサラマンダーという意味で、魔法とは関係があるという事になる。

 もっとも、これについては話しても素直に信じるとは思えないので、話すつもりはないが。

 

「ともあれ、降下船については決まったな。……クーデリア、何かあるか?」

「私の交渉相手の人が、現在は代表ではないとあの人に聞きました。そうなると、地球に下りてから一体どのような流れになるのかは分かりません。皆さんも危険な目に遭うかもしれませんので、気を付けて下さい」

 

 クーデリアのその言葉は、俺を含めて聞いている者達にとっても予想外だった。

 まさかクーデリアの口から今のような言葉が出るとは、思ってもいなかったからだ。

 いや、けどシーラによって鍛えられた今のクーデリアの性格を思えば、そこまで間違ってもいないのか?

 

「分かっている。お前を必ず蒔苗のいる場所まで連れて行き、交渉を終えて火星に戻る。そのつもりでいるから、心配するな」

「ありがとうございます、アクセル」

 

 そう言い、笑みを浮かべるクーデリア。

 そんなクーデリアの様子に、こちらも満足そうな笑みを浮かべるシーラとフミタン。

 とはいえ、この2人の浮かべる笑みの意味はそれぞれ違うが。

 シーラにしてみれば、教え子の成長を見て取る事が出来たのが嬉しいのだろう。

 そしてフミタンにしてみれば、自分が仕えるクーデリアの様子が誇らしいといったところか。

 クーデリアが成長してるのは、俺にとっても悪い話ではない。

 

「ともあれ、これで話は決まったな。……まだ何かあるか?」

「兄貴、アリアンロッド艦隊の心配は取りあえずしなくてもいいと思う。ドルトコロニーの件で受けた損害が大きかったからな。もっとも、兄貴のMSを奪う為により大きな戦力を出してくるという可能性も否定は出来ないが……」

 

 名瀬の言葉は、俺にとっても十分に納得出来るものだった。

 ドルトコロニーの一件でアリアンロッド艦隊が受けた被害はかなりのものだ。

 あの一件で出してきた戦力が、アリアンロッド艦隊の中のどのくらいのものなのかは、生憎と俺にも分からない。

 しかし、あれだけの戦力だった事を考えると結構な数だったのは間違いない訳で。

 だとすれば、本来なら戦力の立て直しでアリアンロッド艦隊も精一杯だろう。

 だが……それは、あくまでも本来なら、普通ならの場合だ。

 ここで問題となるのが、サラマンダー。

 戦闘機に可変が可能で、ナノラミネートアーマーを容易に破壊出来る攻撃手段を幾つか持ち、更には街中でも普通に使えるサラマンダーは、アリアンロッド艦隊にとって……いや、ギャラルホルンにとって、非常に興味深い存在だろう。

 実際、ドルトコロニーの一件でも、当初の予定ではアリアンロッド艦隊がデモ隊を蹂躙する光景を世間に流し、一種の見せしめとする予定だった筈が、気が付けばサラマンダーの鹵獲に舵を切っていたし。

 そこまでしてサラマンダーを逃がした以上、アリアンロッド艦隊がどう出るか。

 もうこれ以上の被害を受けるのは馬鹿らしいと諦める?

 その可能性も否定は出来ないものの、それとは逆にあそこまでの被害を出した以上は、絶対にサラマンダーを確保するべきと考えてもおかしくはない。

 一応サラマンダーのパイロットが俺とは知られていないのだが、状況的にシャドウミラーや鉄華団と関係があるとは把握されていてもおかしくはない。

 タービンズはどうだろうな。

 アリアンロッド艦隊……いや、ギャラルホルン全体で考えれば、その情報収集能力は非常に高い。

 それこそテイワズとシャドウミラーが同格の関係にあるとお互いに認めていたり、俺が名瀬と兄弟分の杯を交わしていたりといった情報を持っていても、おかしくはない。

 だからこそ、タービンズが俺達と一緒にいるという情報をアリアンロッド艦隊が持っていても不思議ではないのだ。

 タービンズの件についての情報があれば、尚更アリアンロッド艦隊が新たに戦力を出してくる可能性は低いと思う。

 

「アリアンロッド艦隊の心配はいらないんじゃないか?」

「兄貴の言いたい事も分かるけど、連中のプライドの高さを甘く見ない方がいい。自分達こそが世界の支配者であると、そう思っているんだからな」

 

 名瀬のその言葉には、実際に今までそういうのを見てきた者特有の説得力があった。

 

「なら……いっそ、アリアンロッド艦隊そのものを壊滅させるか?」

「……兄貴なら本当に出来そうで怖いんだが、そうなると治安の問題も起きるんだよな。月や地球の周辺の治安に問題がないのは、何だかんだとアリアンロッド艦隊のお陰でもあるんだから。ドルトコロニーの件も……正直好ましくはないが、この辺りの治安を守る為の見せしめだったんだろうし」

「それで犠牲にされる方にしてみれば、溜まったもんじゃないですよ」

 

 名瀬の言葉にオルガが苛立ち混じりに言う。

 スラム街出身だけに、犠牲にされる側となる事が多かったのだろう。

 

「そうかもしれないな。とはいえ、別に俺がアリアンロッド艦隊の行動に賛成している訳じゃないぜ? まぁ、力の差がありすぎて、どうしようも出来ないというのは間違いないが」

 

 もしタービンズがアリアンロッド艦隊……もしくはギャラルホルンを相手にする場合、それこそ自分達だけではどうしようもないので、マクマードに頼るしかないだろう。

 そうなるとタービンズだけではなくテイワズ全体で挑む事になるだろうが……このオルフェンズ世界において、ギャラルホルンに次ぐ組織であるテイワズであっても、ギャラルホルンとの力の差は大きい。

 1位と2位の差は限りなく大きいのだ。

 それでいて、2位と3位の差はそこまででもないらしいのだが。

 もっとも、その3位というのがどこなのかは俺にも分からない。

 ……あるいは、テイワズ的にはシャドウミラーが自分達と同格という事になっているので、3位はシャドウミラーか?

 それならギャラルホルンと戦っても何とかなりそうな気がするな。

 

「アリアンロッド艦隊については取りあえず置いとくとして……この場合の問題は地球外縁軌道統制統合艦隊ですよ」

 

 その言葉に、俺は思わず眉を顰めるのだった。

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