転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3957話

 信号弾。

 それは通信が通じなかったり、もしくは1人だけではなく、より多くの相手に指示を出す為に使われるものだ。

 X世界のヴァルチャーサインが似ているか?

 ともあれ、グラン……あるいはイサリビ、場合によってはハンマーヘッドかもしれないが、とにかく今上がった信号弾は停戦を意味する物だ。

 同時に、地球外縁軌道統制統合艦隊の方からも同様に同じ色の……つまり、停戦を意味する信号弾が上がっている。

 それを見れば、停戦を意味する信号弾が何らかの間違いではないというのは明らかだった。

 双方同時に信号弾が上がったのだから。

 そして、その信号弾が上がると、俺と戦っていたMS隊の生き残りも武器を下ろす。

 正直なところ、これはちょっと予想外だった。

 何しろ、俺は地球外縁軌道統制統合艦隊のMSを結構な数撃破している。

 それはつまり、MSを操縦していたパイロットを殺したという事を意味していた。

 なのに停戦を嫌がることもなく、こうもしっかりと武器を下ろすとは。

 実戦経験のない者達だけに、それこそ仲間を殺されたからという理由で、停戦信号を見ても無視して……もしくは気が付かなかったという事にして、攻撃を続けるかと思ったのだが。

 向こうがこうしてしっかりと攻撃を止めたのなら、俺もまたこれ以上攻撃をしたりは出来ないか。

 まぁ、このグレイズ系列機は結構な数入手したので、それは問題ないのだが。

 残念な事は、結局降伏する奴はいなかったので、全てコックピットを破壊してしまったという事か。

 しかも撃破したMSはグランのある方に蹴り飛ばしたりしたが、それをグランやガラン、ジャコバの方で上手く回収してくれているといいんだが。

 そんな風に思っていると、俺と戦っていたMSが自分達の母艦に戻っていく。

 どうやら本気で停戦するつもりがあるらしい。

 とはいえ、それはそれで疑問ではあるのだが。

 一体何故急に地球外縁軌道統制統合艦隊が停戦を受け入れたのか。

 もっとも、それをここで疑問に思っていても意味はない。

 既に停戦は成立したのだ。

 そうである以上、ここで俺がそれを破って敵に攻撃を仕掛けるという事が出来る筈もなかった。

 ……とはいえ、シャドウミラーを率いる俺の意見を一切聞かずに停戦を結んだその理由については、後で聞く必要があるが。

 そんな風に思いながら、俺もグシオンをグランの方に向けて進めたのだが……

 

「あれは、ガンダム……か?」

 

 グランのいる方に向かっていると、停戦となったからだろう。

 向こうから戻ってくるMSの中に、明らかにグレイズ系とは違う青系? 紫系? 取りあえず青紫系とでもしておくか。とにかくそんなMSがある事に気が付く。

 頭部が妙に縦に長いのに少し違和感があるが、それでも俺がそのMSをガンダムと称したのは、やはり頭部の部分がガンダムっぽい形状になっているからだろう。

 ぶっちゃけ、グシオンの方はガンダム・フレームであっても、明らかにガンダム系とは思えない外見をしている。

 それはブルワーズで使われていたグシオンもそうだし、歳星で改修されたグシオンリベイクも同様だ。

 もっとも、このオルフェンズ世界においてガンダムというのは、あくまでもガンダム・フレームを使ったMSだ。

 そういう意味ではグシオンも普通にガンダムなんだが。

 その件についてはともあれ、あのガンダムは始めて見るガンダム。

 ……なるほど、地球外縁軌道統制統合艦隊にはああいう奥の手があったから、俺を本隊から引き離せばどうにでもなるとでも思ったのか?

 ただそうなると、停戦については分からないが。

 ともあれ、敵にガンダムが出て来たとなると、こっちも結構な被害が出た可能性がある。

 少し急いでグランに戻り、その辺について調査しよう。

 ちなみにグランに戻る途中に、俺が撃破して蹴飛ばしてグランのいる方に流したMSが数機浮かんでいたので、それを回収していく。

 とはいえ、空間倉庫に回収するのではなく、グシオンで引っ張っていく感じだが。

 ここが火星や地球……あるいは重力のある場所ではこういう事は出来ないが、無重力の宇宙だからこそ可能な事だった。

 そんな風に思いつつ、俺はグランに向かって近付いていく。

 やがて遠くのグラン、ガラン、ジャコバ、イサリビ、降下船の姿が見えてくる。

 本来なら出撃した降下船に戻るべきなのだろうが、現在の状況が複雑なのは間違いない。

 そうなると、やはり少しでも早く情報を入手する方がいい。

 そう判断し、降下船ではなくグランに戻る事にする。

 

「グラン、聞こえるな? 何があって停戦なんて事になったんだ?」

 

 そう通信を入れると、映像モニタにシーラの姿が映し出される。

 

『アクセル、停戦についてはモンターク商会からの要望です』

 

 端的な言葉だったが、それは俺を驚かせるのに十分だった。

 

「モンタークが? 一体何でまた?」

 

 言うまでもなく、モンタークというのはマクギリスの事だ。

 シーラもそれを知ってる筈だが、マクギリスではなくモンタークと呼ぶのは、何か考えがあっての事なのだろう。

 例えば、ギャラルホルンによって通信を盗聴されてないかといった。

 あるいは単純にその危険があるから念の為にそうしてるのかもしれないが。

 ともあれ、マクギリスが何故ここで停戦をするように言ってくる?

 そもそもマクギリスにしてみれば、地球外縁軌道統制統合艦隊の戦力が減るのはそう悪くない流れの筈だ。

 なのに、何故?

 それ以外にも、こちらから停戦の信号弾を撃っただけではなく、地球外縁軌道統制統合艦隊の方からも停戦の信号弾が上がった。

 だとすると、マクギリスが向こうと交渉して停戦に持ち込んだのか?

 だが、ここでマクギリスがそのような行動に出ると、ギャラルホルンで活動する上で色々と不味いのも事実。

 だとすればモンタークで接触した可能性が高いが……そうなるとそうなったで、向こうが大人しく停戦を受け入れた意味が分からない。

 地球外縁軌道統制統合艦隊にしてみれば、今回の戦いはアリアンロッド艦隊と同等に自分達も戦えるというのを周囲に見せるいい機会だった筈だ。

 ……実際にはMSが結構な数被害を受けたが、それでも戦いは戦い。

 そうなると、それこそ最後まで戦う必要があった筈だ。

 なのに、それを諦めてこうして素直に停戦を受け入れるのは……分からない。

 

『後で連絡をすると言っていたから、その時に聞けばいいでしょう』

 

 シーラの言葉に、それもそうかと納得する。

 見た感じでは、シーラも今回の件について詳しく知らされてはいないのだろう。

 そうなると、ここでシーラに詳しく話を聞こうとするのは、あまり意味がない。

 マクギリスが後で話すというのなら、素直にそれを待てばいい。

 幸い、地球外縁軌道統制統合艦隊の技量については分かった。

 基本的な操縦技術は高いが、実戦経験がないのが非常に大きなマイナスとなっている。

 もし再度戦いになっても、負ける事はないだろう。

 もっとも基本的な操縦技術が高いという事は、基礎が出来ているという事でもある。

 つまり、地球外縁軌道統制統合艦隊も戦いの経験を積めば、それだけで精鋭になる可能性があるという事でもあった。

 そうなると、一部のエース級以外では対処するのが難しくなるだろう。

 そういう意味では、叩ける今のうちに叩いておいた方がいいのも事実。

 マクギリスが何を考えて停戦をさせたのかは分からないが、もし交渉が決裂するなり、もしくは向こうが攻撃をしてきた場合、こちらはこちらで相応の対応をすればいい。

 その時、出来る限りのMSを撃破しておけばいいだろう。

 それはつまり、MSのパイロットを殺すという事を意味してるのだから。

 MSそのものは、作ろうと思えば量産出来る。

 特にギャラルホルンであれば、尚更だろう。

 だが、幾らギャラルホルンであっても、パイロットを育てるには相応の時間が必要となる。

 その辺については、停戦の内容次第だな。

 

「事情は分かった。取りあえず俺はグランに戻る」

 

 そう言い、通信を切る。

 さて、マクギリスが何を考えてこのような事をしたのか……それは少し気になるが、ともあれ今は格納庫に行くか。

 そう思ってグランの格納庫に入ったのだが……

 

『すいません、アクセルさん。今ちょっと格納庫が一杯で!』

 

 メカニックの1人が俺に向かってそう言ってくる。

 うん。まぁ、その気持ちは分からないでもない。

 グランに残っていたMS隊がいるのはともかく、地球外縁軌道統制統合艦隊が使っていたMSが結構な数格納庫にはあるのだから。

 俺が倒してこっちに流したMSもあれば、こっちに残った者達が倒したMSもある。

 その上で、何機かグシオンで持ってきた訳で……

 うん、MSを大量に確保しすぎて、格納庫に余裕がないのは当然の成り行きだろう。

 そんな訳で、俺は格納庫の空いてる場所にグシオンを移動させると、コックピットから出てすぐに空間倉庫に収納する。

 俺の空間倉庫については、メカニック達も当然のように知っているので、驚きはするものの、そこまで大きな驚きではない。

 

「地球外縁軌道統制統合艦隊のMSは次々と収納していくぞ!」

「あ……ありがとうございます!」

 

 俺の言葉にメカニックの1人が感謝の言葉を口にして頭を下げる。

 空間倉庫に入れれば、MSそのものがこの格納庫からなくなるのだ。

 今の格納庫の状態を考えれば、これ以上ない程に助かるのは理解出来る。

 そうしてグレイズ……正確にはグレイズ系のMSに触れると、俺は次々とその機体を収納していく。

 格納庫の中が次第に広くなっていくのに、メカニック達は喜びを露わにする。

 そうした声を聞きながら空間倉庫に収納していったのだが……とある1機に触れて収納しようとするが、何故か出来ない。

 何故だ?

 一瞬そんな疑問を抱くも、すぐに理解する。

 

「このMSのパイロットはまだ生きている! 至急医務室に運べ!」

 

 そう判断すると同時にコックピットのある場所まで跳躍し、そのままコックピットを腕力だけで引っぺがす。

 

「う……う……」

 

 瞬間、聞こえてくる呻き声。

 引っぺがした装甲の部分を見た感じだと、このMSと戦ったのは俺じゃない。

 ただ、そのお陰でこのパイロットは助かったのだろう。

 もし俺が倒した相手なら、コックピットを完全に潰すなり撃ち抜くなりして、殺している。

 そういう意味では、このパイロットは幸運だったのだろう。

 また、幸運なのは地球外縁軌道統制統合艦隊と停戦状態に入っているというのもある。

 停戦であるが故に、向こうのパイロットで生き残りがいた場合、そのパイロットを返す事によってこっちにもメリットが生まれる。

 地球外縁軌道統制統合艦隊のMS隊のパイロットが多数死んだのは間違いないが、その中でも生きている者がいたというのは、感情的に大きい。

 医務室に運ばれていくパイロットを見送ると、そのまま他のMSも収納する。

 残念な事に、生きているMSのパイロットは1人だけだったが。

 いや、この場合は寧ろ1人だけであってもよく生き残っていたと言うべきか。

 

「よし、これでいいな。……グシオンを出すから、整備と補給を頼む」

「分かりました!」

 

 近くにいたメカニックにそう声を掛けると、空間倉庫に収納したグシオンを出す。

 それをメカニック達に任せ、ブリッジに向かう。

 

「アクセル様、ご無事で何よりです」

 

 ブリッジに向かう途中、クランクが俺を見つけて……というか、多分待っていたんだろうが、そう声を掛けてくる。

 鵬法璽の力によって、俺に絶対的な忠誠を誓っているクランクだ。

 俺が負けるとは思っていなかっただろうが、それでも何かあった時の為にこうして待機していたのだろう。

 俺の無事は、それこそ通信で聞こえていたりしただろうし。

 ともあれ、丁度いいところにクランクがいたのも事実。

 

「クランク、地球外縁軌道統制統合艦隊が使っているMSはグレイズ系の機体だな?」

「はい。グレイズリッターという名前で、戦ったアクセル様も感じたでしょうが、グレイズの高機動型と呼ぶべき機体です。低軌道上での戦闘に対応しているのも特徴ですね」

「なるほど。……言われてみれば、確かに普通のグレイズよりも機動力は上だったな」

 

 ザクで言うと、普通のグレイズがF型だとすると、グレイズリッターはS型……じゃなくて、R型といった感じか?

 もっとも、宇宙用のR型と違ってグレイズリッターは地上でも普通に使えそうではあったが。

 

「なるほど。つまりグレイズの上位機種に近いのか?」

「その辺りはパイロットによるかと。使いこなせるのなら普通のグレイズよりも強いと思いますが、高機動型という事は使いこなすのも難しいという事になりますので……」

 

 クランクの言葉は、納得出来るものだった。

 だとすれば、やっぱり地球外縁軌道統制統合艦隊のMS隊は純粋な操縦技術という点では結構なものだったんだな。

 敵になるのなら、実戦経験を積んで強くなる前に倒しておいた方がいいような気がする。

 そんな風に思いながら、俺はクランクとの会話を終えてブリッジに向かうのだった。

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