転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3970話

 予想通り、俺が持ってきた魚介類を受け付けない者は多かった。

 とはいえ、その大半は鉄華団の面々だったが。

 シャドウミラーからも、昌弘が受け付けない側だった。

 ただし、シャドウミラーの大人組であったり、ラフタやアジー、クーデリアやフミタン、それに鉄華団からもメリビットは問題なく受け入れている。

 ちなみにクランクやアイン、サヴァランといった面々も魚介類は普通に受け入れていたのは少し驚きだったな。

 それどころか、美味そうとすら言っていた。

 やっぱりこの辺は生まれや育ちが大きく関係してくるんだろうな。

 そんな訳で、魚介類は取りあえずアトラに渡した後、主要なメンバーを集めて現在の状況を説明する。

 

「ふーん。……魔法ってそういう事も出来るのね。それと空間倉庫だっけ? あれを使えるのなら、運送業とかもの凄く楽そうだけど」

 

 そうラフタが言うのは、タービンズがまさにその手の仕事をしているからだろう。

 実際、俺の空間倉庫があれば大量に……いや、恐らくは無限に荷物を収納出来る。

 何しろホワイトスターとかも普通に収納出来ていたしな。

 そして転移を使えば、文字通りの意味で一瞬にして目的地に行けるのだ。

 ……もっとも、ラフタが勘違いをしている事として、俺の使える影のゲートはあくまでも影が繋がっている場所でなければ転移出来ないという条件がある。

 具体的には、この島から地球上のどこにでも転移は出来るものの、宇宙空間にあるコロニーとかには転移出来ないといった具合に。

 ニーズヘッグが使えるのなら、システムXNでこの島から火星まで普通に転移出来るのだが、呪いのせいで今はそれも出来ないし。

 

「何でも出来るって訳じゃないけど、便利なのは間違いない。そんな訳で、明日か明後日か……恐らく明日だが、蒔苗を連れてアラスカのアンカレッジという場所に転移して、実際に俺の使う転移魔法の効果を確認してから新たに色々と動き出すような事になると思う」

 

 そう言い、俺は事情を説明する。

 もっとも、話そのものは決して複雑なものではない。

 俺が蒔苗を全体会議をやる場所に転移で連れて行っている間、残りの戦力はこの島で防衛戦を行うという、それだけの話なのだから。

 また、その防衛戦もイズナリオが冷静であればこの島を封鎖して誰も出さないようにするだけで、実際に攻めてきたりはしない筈だった。

 

「何だ、じゃあ特にやる事ないんだ。この島の海は綺麗だし、バカンスでもしてればいいの?」

 

 ラフタのその言葉に、アジーが呆れの視線を向ける。

 

「ラフタ、冗談を言ってる場合じゃない。イズナリオとかいう男がいつまでもこの島を封鎖するだけで許すと思うかい? 特に蒔苗とかいう爺さんを向こうに連れて行った後でも」

「まぁ、そりゃそうよね。多分、自分達が嵌められたのが面白くなくて、一気にこっちを攻めてくると思うわ」

「……そういう事だ」

 

 そんな2人の会話は、ラフタが本気でそのように思っているという訳ではなく、話を聞いている者達に事情をしっかりと理解させようというものなのだろう。

 だからこそ、こうしてわざとらしい会話をしているといったところか。

 実はこれで、素だったらそれはそれで思うところがない訳でもないが。

 

「そんな訳で、実際に蒔苗を全体会議の行われる予定の場所にいつ連れていく事になるのかは分からないが、基本的には暫くは暇だと思ってくれ。……まぁ、ギャラルホルンの中に少しでも手柄を立てたいと暴走するような奴がいる可能性もあるから、この島にいれば絶対に安全という訳でもない。何かがあった時はすぐに対処出来るように準備しておく必要はあるだろうが」

 

 その言葉に、話を聞いていた者達は揃って真面目な表情で頷く。

 少し視線を逸らすと、クーデリアがフミタンの手を握っているのが分かる。

 いよいよこれからが本番というのを、クーデリアも理解しているのだろう。

 

「アインさんはこれからどうするんですか?」

「どうって言われてもな。クランクさんがいる以上、ここから離れるつもりはないよ。サヴァランは?」

「私もここから離れるつもりはありませんよ。ドルトコロニーの一件でアクセルさんには恩を感じてますし、それに……シーラさんから聞いた労働条件は、給料を含めてドルトカンパニーよりも上ですし。それに、弟もいますしね」

 

 アインとサヴァランが話している声も聞こえてくる。

 この2人、見張りと見張られている方という事で付き合いがあった為か、意外にも相性はいいんだよな。

 ちなみにアインがクランクを階級ではなくさん付けで呼んでいるのは、既にクランクはギャラルホルンの所属ではないからという事で、階級で呼ばないように言ったらしい。

 今のクランクにしてみれば、ギャラルホルンについてはどうでもよくて、俺に対して絶対の忠誠を誓っているしな。

 ともあれ、アインとサヴァランが友人になっているのは、俺にとっても悪い話じゃない。

 このままアインもなし崩し的にシャドウミラーに引き込みたいところだし。

 他にも多くの者達がそれぞれに話をしているのを、黙って聞いていたが……

 言っておく必要がある事を思い出す。

 パンパンと手を叩き、雑談をしていた者達の意識をこちらに向ける。

 

「これから、暫くの間はこの島で生活をする事になる。そうなると重要になってくるのは食料の問題だ」

 

 俺がいる以上、空間倉庫の中には大量に食料が入っているものの、それを使わなくても食料を獲得出来るのなら、そちらを使った方がいい。

 訓練、あるいはレクリエーション的な意味でも。

 後は単純に、魚介類を好きになって欲しいという思いもある。

 この先、俺達がどのようになるのかは分からない。

 それでもこれから先、何らかの理由で魚介類を食べるような事になる可能性は十分にあった。

 だからこそ、この機会にしっかりと魚介類を食べられるように、嫌悪感を抱かないようにして欲しいと思う。

 

「えー……」

 

 そう不満そうに口にしたのは、三日月。

 実際、三日月は俺が持ってきた魚介類を見た時、一際強い嫌悪感を示していた。

 三日月は食という一点においては保守的なんだよな。

 火星ヤシとかいうのは食べ続けているけど。

 

「ミカ」

「……分かった」

 

 オルガが言うと、三日月も不承不承といった様子ではあったが頷く。

 

「あんなに新鮮で美味しいのに、何でそんなに嫌なのかしら」

 

 ラフタが不思議そうに言う。

 この辺については生まれや育ちも大きく影響してくるのだから、仕方がないが。

 ラフタが魚介類を美味いと思えるのは幸運なのかもしれないな。

 

「ラフタ、人には好みがある。……もっとも、いわゆる食わず嫌いというのもあるから、実際に食べてみて、それで好みではないとなったら、また話は別かもしれないがな」

 

 ラフタを窘めつつ、三日月にアドバイス……忠告? をするアジー。

 実際、食わず嫌いで魚介類を食べないというのは勿体ないと思うし。

 だからといって、本人がそれを望まないのに無理に食べさせるというのもどうかと思うんだけどな。

 

「鉄華団の件については、オルガに任せる。ただし、鉄華団のこれからを考えてどうするか決めた方がいい」

「……分かりました」

 

 俺の言葉に、オルガは真剣に頷く。

 実際、今回の依頼を無事に終わらせれば、革命の乙女と呼ばれているクーデリアの名前は広く知られるようになる。

 そうなると、当然だがそのクーデリアを護衛していたシャドウミラーや鉄華団の名前も知られるだろう。

 タービンズはこの件で表に出ようとはしていないので、特に名前が知られるようなことはないと思うが。

 そんな訳でタービンズはともかく、シャドウミラーや鉄華団と接触しようとする者は多いだろう。

 中には善意ではなく悪意から接触しようとする者もいる筈だ。

 そう考えると、そのような者達が大人が大量にいるシャドウミラーと、代表をしているのがオルガという……子供ではないが大人でもないといった年齢で、構成員の多くに子供が入っている鉄華団。

 そのどちらに接触してくるのかは、考えるまでもなく明らかだ。

 鉄華団の実力を知っていれば、力でどうこうする奴は……まぁ、そこまで自分達の実力に自信がある者ならそういう風にするかもしれないが、普通に考えれば友好的な態度で接してくるだろう。

 こう言ってはなんだが、オルガは間違いなく有用な人材ではあっても、それはあくまで荒事についてだけだ。

 平時においては……勿論無能とは言わないが、そういう搦め手を使ってくる相手は決して得意ではない。

 上手い話で丸め込むといった事をしてくるような相手に対処するには、経験が足りなさすぎる。

 あるいはそういう相手の対応が苦手であっても、単純な暴力でどうにか出来るのならそれもいいのかもしれないが……生憎と、オルガはそこまで突出した強さを持っている訳ではない。

 いやまぁ、CGSにおいて修羅場を潜ってきたので、一般人に比べれば十分に強いし、荒事にも慣れている。

 しかし、それはあくまでも一般人の枠でだ。

 例えば、オルガ達がネギま世界……それも魔法界で覇を唱えるとまではいかないが、十分に活躍出来るだけの実力を持っているか?

 それは否だ。

 勿論、MSとかMWとかそういうのを込みで考えれば相応の実力はあるのだろうが、こういう時に必要なのはMSとかではなく生身での戦闘力となる。

 MSやMWが役に立たない訳ではないが、怪しんだ相手を即座に殺すといったような事をする場合はやっぱり生身での戦闘力が必要だ。……って、違う。

 ともあれ、そんな訳で蒔苗の件が無事に終わったら、鉄華団に接触してくる者もいて、そうなると一緒に食事をするという事になったりもする。

 そんな食事の時にシーフード料理が出てくるというのは、それなりにあるだろう。

 その時にシーフードが食べられないとか、あるいはシーフードを見て心底嫌そうな表情を浮かべたりとかしたら、どうなるか。

 友好的に接しようとした相手であっても、そんな様子を見れば不愉快になってもおかしくはない。

 ただ、それで仕事がご破算になるような事はないかもしれないが。

 それでも相手に不愉快な思いを抱かせるのは事実で、それは仕事をする上で決して好ましくない。

 当初は友好的に接しようとする相手であっても、それこそ一緒に仕事は出来ない。かといって腕利きだ。今後の邪魔にならないように仕事が終わったら始末しよう。

 そのように思ってもおかしくはないのだから。

 勿論これは極端な場合の話であって、実際には不愉快に思っても我慢する可能性も十分にある。

 だが、それでもやはりシーフードに……魚介類に慣れておいた方がいいのは間違いなかった。

 その辺りの事情について説明すると、オルガは微妙な表情を浮かべる。

 ウニを食べた事もあってか、ある程度はシーフードに対する忌避感がなくなったオルガだったが、それでも鉄華団全てに対してとなると、難しいと思ったのだろう。

 実際、俺もそう思う。

 だからこそ今回の一件だけで完全にシーフードに対する苦手意識を抜けとは思わない。

 今よりは多少マシ……それこそ食事でシーフードが出た時、嫌そうに顔を顰めたりとか最低限そういう風にしないようにするだけでもいい。

 ……そう言いつつも、海の中には気持ち悪い生物とか結構いるしな。

 ウミウシとかナマコとか、そういうのを見た時、鉄華団の面々がどう反応するのかちょっと見てみたい気はする。

 後は水母とかもそうだな。

 

「まぁ、何はともあれ、アーブラウの全体会議が始まるまではそれなりに時間的な余裕がある。その為、こういう島での生活を楽しむという事を経験してもいいかもしれないな」

 

 そう言うと、オルガは微妙な表情を浮かべる。

 まぁ、オルガにとってはそういう風に思うのも無理はないか。

 最後の最後でやるのが、島での待機なんだから。

 最終的には俺が蒔苗をアーブラウの全体会議に連れていくだけなのだから。

 オルガの性格として、引き受けた仕事である以上は自分も最後までこの一件に関わりたいと、そのように思ってもおかしくなかった。

 ただ、オルガにとっては……

 

「アクセル、少しいいでしょうか?」

「クーデリア? どうしたんだ?」

 

 話をそろそろ締めようかと思っているところで、不意にクーデリアが声を掛けてくる。

 一体何で急に?

 そう思うと同時に、微妙に嫌な予感がするのは気のせい……ではないだろう。

 俺を見るクーデリアの顔には、どこか決意がある。

 その表情には見覚えがあった。

 ドルトコロニーにおいて、演説を行った時の表情によく似ていたのだ。

 今の状況でそのような表情を浮かべるのは、一体どんな意味があっての事なのか。

 

「あまり聞きたいような内容じゃないとは思うけど……一応聞かせてくれ。何だ?」

「アクセルが蒔苗氏と共に全体会議に行く時、私も一緒に連れていって欲しいのです」

 

 そう言うクーデリアの様子に、やっぱりという思いと、何でまたという思いを抱くのだった。

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