俺がオルガに恋人を作るように薦めてから、5日。
島の周囲をギャラルホルンの軍艦が囲み……封鎖状態になったまま時間は経過していた。
もう少ししたらアーブラウの代表指名選挙が行われるので、そろそろ動く必要がある。
そんな訳で、俺達もそろそろ動く必要がある訳だが……
「ギャラルホルンの軍艦からMSが出撃してきました!」
いつものように、食料調達兼海水浴を楽しんでいると、不意にそんな声が聞こえてくる。
声のした方に視線を向けると、そこにはクランクの姿。
そしてクランクの後ろには、アインとサヴァラン、ビスケットの姿があった。
これが一体どういう集まりなのかは、考えなくても分かる。
アインがクランクと一緒にいて、そのアインと友人のサヴァランがいて、そのサヴァランの弟のビスケットが一緒にいた。
そんな感じでの出来事だろう。
「MSが? 間違いないか?」
「はい、間違いありません」
何を考えている?
それがクランクからの報告を聞いた俺の正直な気持ちだ。
イズナリオにとって最善なのは、俺達……より正確には蒔苗をこの島に閉じ込めておく事だ。
そうすれば、アーブラウの代表指名選挙に蒔苗は参加出来ず、イズナリオが後ろ盾となっている……もっと言えば操っているアンリが代表になる。
だが、こうして島を攻めるといった事をすれば、こちらも相応の対応をするし、普通に考えればこのまま島にいると危険だという事で逃げ出す可能性がある。
そして逃げ出した俺達がどこに行くのか……それこそ可能性が大きいのは、やはりアーブラウの代表指名選挙だろう。
そこに行って代表に返り咲けば、一発逆転なのだから。
イズナリオとしては、それは避けたい筈。
となると……いや、本当に何でだ?
そうしなければならない何かがあったのか?
考えられる可能性としては……マクギリスが何か動いた?
いや、それはないか。
マクギリスも今の状態ではまだ動けないって言ってたし。
だとすれば、もっと何か別の理由がある筈なんだが、一番考えられるとすれば……
「前線指揮官の暴走か?」
「本気で言ってるのか?」
真っ先に反応したのは、アイン。
アインにしてみれば、ギャラルホルンの兵士がそんな暴走をする筈がないとでも思っている、あるいは思いたいのだろう。
この状況でそんな風に言っても、実際に十分にその可能性があるのは間違いないのだが。
「いい加減、ギャラルホルンに夢を見るのは止めた方がいいぞ? ギャラルホルンの中にもどうしようもないのがいるのは、アインも分かっているだろう?」
火星でアインがどんな扱いを受けていたのか。
それは実際に差別を受けていたアインが一番よく理解している筈だ。
アインは俺の言葉に何も反論出来ない。
実際に自分が経験してきたからこそだろう。
「地球にいるギャラルホルンの兵士達は、海賊のいる火星と違ってそう簡単に手柄を挙げられない。そんな中で、ギャラルホルンに正面から逆らっている俺達がいる。自分達の戦力はこの島を軍艦で封鎖しているだけに、MSもかなりいる。……そうなれば、功名心に逸る者がいればどうなるか、想像するのは難しくないだろう?」
地球にいるギャラルホルンの部隊は、命の危険がないのは間違いない。
間違いないのだが、その代わりに手柄を挙げる機会もない。
いやまぁ、全くないのかと言われれば、多分そんな事はないのだろうが。
強盗とかそういうのを相手にしたり、あるいは大規模な犯罪組織とかを倒す機会はある……かもしれない。
ただし、当然ながらアリアンロッド艦隊のように頻繁に海賊と戦っている者達と比べると、どうしても活躍の機会は少ない。
安全と手柄はトレードオフって感じなのだろう。
そんな中で、目の前に手柄になるのが確実な相手がいれば……うん。
「ともあれ、俺達は出撃だ。向こうのMS隊が島に来るよりも早く、出撃する必要がある。敵がどういう風に動くつもりかはわからないが、それでもここを襲ってくるのは間違いない。その為に、今は迎撃戦力を整える。アインはサヴァランと一緒に……」
「待ってくれ! 俺も出撃させてくれ!」
俺の言葉を遮るようにアインが叫ぶ。
「は?」
最初、俺はアインが何を言ってるのか分からなかった。
いやまぁ、改めて考えれば何を言いたいのかは分かる。
こちらの戦力が少ないと考えたのだろうが……
「そう言われても、敵はギャラルホルンだぞ?」
クランクは鵬法璽の力によって俺に絶対服従を誓っており、ギャラルホルンを相手にしても普通に攻撃出来る。
だが、アインはどうか。
現在シャドウミラーにいるとはいえ、今のアインはそれでもまだギャラルホルンの所属という思いがある。
こちらの戦力としてギャラルホルンに攻撃するかと言われれば……正直なところ、難しいだろう。
それでもクランクがいる限り、ここから逃げ出すといった事はないだろうが。
クランク程ではないにしろ、サヴァランとはそれなりに友好的な関係を築いているし。
それでもギャラルホルンのMSを撃破しようという時、邪魔をするといったようなことがあった場合、それはこっちにとって洒落にならない。
ならないのだが……いつまでもこのままという訳にはいかないのも事実。
それならこちらに多くの戦力がいる今、その辺を試してみてもいいかもしれないな。
今の状況で試さなければ、それこそもっと切迫した状況で試す可能性もある。
その時に何か致命的な失敗をするのを考えると、まだどうとでもなるここで試しておいた方がいい、か。
「分かった」
「ちょっ……アクセルさん、本気ですか!?」
そう言ったのは、一体誰だったのか。
そのような言葉が出て来るのは、それだけアインがまだ他の者達から信頼されていないという証だろう。
何しろ最近でこそサヴァランと一緒にそれなりに行動するようになったものの、以前はクランクとずっと一緒にいたしな。
「本当だ。ただし……クランク、お前がアインと一緒に行動しろ。もしアインが裏切ったりするようなら……撃て」
クランクに向かってそう告げる。
俺に絶対服従のクランクなら、もしアインがMSに乗ってギャラルホルンに逃げ込もうとしても、それを止めるだろう。
あるいはギャラルホルンのMSを撃破しようとして撃てなくても、敵が反撃しようとしてきたらその相手を撃破するだろう。
クランクの指揮能力はそれなりに高いので、アインと一緒に行動させるというのは勿体ない。
勿体ないのだが、それでもアインが戦力として使えるのかどうかを確認するのはやっておく必要がある。
もしここでアインがギャラルホルンを相手にしても普通に攻撃出来るのなら、こちらとしてはそれなりに利益になるのは間違いない。
ギャラルホルンの中では下っ端……しかもクランクと違って下士官的な立場でもなかったが、それでも正規の軍人教育を受けている人物なのは間違いないのだから。
クランクの助手とかそういう立場として、後はMSのパイロットとして……また、事務要員としてもアインは使える。
それだけに、アインを本格的に取り込んでおきたいとは思っているのだが。
そういう意味では、今回の一件は決して悪くはない。
「分かりました。……アイン、頼むぞ」
クランクの言葉に、アインは複雑な表情を浮かべつつも頷くのだった。
「やっぱりグレイズか」
海上を飛んでくるグレイズの姿がグシオンの映像モニタに映し出される。
グレイズはギャラルホルンの最新鋭量産型MSである以上、おかしな話ではない。
ただ……
「やっぱりそんな感じか」
各所からの報告を聞く限り、この島を封鎖していたギャラルホルンの艦隊から出撃してきたMSは、全機一斉にという訳ではなかった。
最初に現在俺がいる方面から出撃し、それに呼応するように他の艦からもMSが出撃している。
これはつまり、俺のいる方面……最初に出撃してきたMS部隊の艦の艦長辺りの暴走の可能性が高い。
でなければ、出撃の順番をずらすというのはちょっと考えにくい。
ギャラルホルンで教育を受けたのなら、戦力の逐次投入は各個撃破となるだけというのを知らない筈がないのだから。
もっとも、こちらの戦力を確認するという意味でMSを順次出撃させるという可能性は……いや、これが目的か?
敵が一斉に出撃してきたのなら、こちらも最初から敵の動きが分かっている以上、出撃させるMSの順番や数を予想出来る。
だが、向こうが意図的に戦力の逐次投入などという事をしようものなら、こちらも相手がどのくらいの戦力を投入してくるのかが分からない以上、それに対応するように戦力を出す必要がある。
であれば、向こうがそれを狙ったという可能性は否定出来ない。
馬鹿が暴走したのかと思ったが、もしかしたら計画的なものかもしれないな。
……もっとも、イズナリオの状況からすれば、ここで俺達を迂闊に刺激するというのは愚策でしかない。
イズナリオにしてみれば、現状俺達は大人しくしているのだから、迂闊にちょっかいを出して動きを見せるような事は避けたいだろう。
最悪の場合、全体会議をしている場所に突っ込む……なんて可能性も否定は出来ないのだから。
そうである以上、やはりこれはイズナリオの命令ではなく、島を封鎖している艦隊の独断という可能性が高い。
こちらの戦力を把握し、あわよくば撃破してそれを手柄にしたいのか。
何を考えているのかは分からないが、ギャラルホルンの戦力を減らすという意味で、こっちの行動は悪くない。
これで向こうの戦力が減れば、イズナリオはどう動くのか。
それが少し疑問だったが、運命の時とも言うべき代表指名選挙はもうすぐそこだ。
この戦いで戦力が減っても、イズナリオがそれならそれで構わないと判断するのなら、俺はそれで構わない。
「さて、そんな訳で……行くか」
そう言い、俺はグレイズが来るのを待ち受ける。
……グシオンは改修型のリベイクになっても空を飛んだりは出来ない。
グレイズはホバーユニットがあるので空を飛べる……というか、地面……今は海面か。その海面付近を飛んでくる事は出来るのだが。
そんな訳で、俺が出来るのはグシオンに乗って海岸付近で待ち受けるだけだ。
今更だが、ちょっとしくじったな。
歳星でグシオンを改修する時、これから地球に行くと分かっていたのだから、空を飛べるとまではいかずとも、グレイズと同じようにホバー移動出来るようにして貰えばよかった。
今更そのような事を言っても意味はないか。
それにグシオンは別に近接戦闘しか出来ない訳ではない。
遠距離での攻撃も、ライフルがあれば可能だ。
……もっともこのオルフェンズ世界において、遠距離攻撃は牽制程度にしかならない。
ナノラミネートアーマーの性能がそのような事をしているのだが……
「直撃」
精神コマンドの直撃を使い、ライフルのトリガーを引く。
真っ直ぐに飛んだ弾丸は、こちらに向かってくる複数のグレイズのうち、1機のコックピットを貫く。
爆発音と共に海面に沈むグレイズ。
……あ、しまったな。
今更だが、撃墜して海に落としてしまえば回収出来ない……訳ではないが、面倒だ。
まぁ、グレイズだし、わざわざ回収しなくてもいいか?
一応グレイズはグレイズでも地上用のグレイズである以上、宇宙用の……俺達が使っているグレイズとは違う。
一応俺が入手したグレイズもメカニック達が調整して地上で使えるようになってはいる。
なってはいるが、ギャラルホルンの地上用グレイズはホバー移動でこっちに向かって来ているように、追加のパーツがある。
あれはちょっと欲しいんだが……ギャラルホルンの基地にでも侵入して奪ってくるか。
そんな風に思っていると、島に向かってきていたグレイズが動揺したように動きを乱す。
阿頼耶識程ではないが、それでもパイロットの動揺というのはMSの動きに出やすい。
仲間がいきなり撃墜された事で動揺したのだろう。
したのだろうが……それはそれで疑問がある。
俺がナノラミネートアーマーを無効化出来るという情報は、火星支部から伝わっていてもおかしくはない。
あるいは地球外縁軌道統制統合艦隊との戦闘の件でもそうだろう。
そうなると、多分だがその報告を信じていなかったのかもしれないな。
理由はどうあれ、俺を相手にそうして動揺し、しかも一塊になっているのは甘い。
「直撃」
再度精神コマンドを使い、トリガーを引く。
動揺していたグレイズが、また1機撃破される。
続けて2機、3機、4機……連続してグレイズが撃破されていく。
そこまでして、ようやく危険だと、自分達ではどうしようもないと判断したのだろう。
まだ残っていた数機が海上で半円を描くようにしながら後方の軍艦に戻ろうとするが……
「甘い。直撃」
再度精神コマンドの直撃を使い、ライフルのトリガーを引く。
後方からコックピットを貫かれ、1機、2機、3機と撃破され……気が付けば、俺のいる海岸に向かっていたグレイズは、その全てが撃破されたのだった。
アクセル・アルマー
LV:45
PP:435
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:3003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1945