転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3976話

 俺のいる海岸に向かって来た地上用のグレイズは全機撃破された。

 後は他の海岸にいる面々だが……さて、どうしたものか。

 普通に考えれば、ここに俺のような強敵がいる。

 それもナノラミネートアーマーを無効化する何らかの手段を持っている以上、追加の戦力を派遣するのも難しい。

 だとすれば、他に考えられるのは艦砲射撃くらいか。

 ギャラルホルンの軍艦なら、当然ながら相応の攻撃力は持っている筈。

 であれば、MSでの攻撃が通用しない以上はこっちに攻撃を……

 どん、と。

 丁度そのタイミングで、ギャラルホルンの軍艦からの攻撃が行われる。

 即座に反応し……ちっ、やっぱり反応が遅い。

 本来なら阿頼耶識対応のMSを通常のコックピットに変えて無理矢理乗っているのだから、それも当然かもしれないが。

 それでも何とか機体を操縦し、狙いを付けてライフルのトリガーを引く。

 MSを撃破した時とは違って精神コマンドの直撃を使う必要はないので、その辺はある程度楽になっているが……そのくらいは誤差でしかない。

 それでも俺のステータスは伊達ではない。

 放たれた弾丸は、こちらに向かってくる砲弾に命中する。

 本来なら、MS用のライフルで砲弾をどうこうすることは出来ない。

 出来るのは、せめて砲弾の軌道を変えるくらいか。

 だが……それはあくまでも普通の場合だ。

 ここでもまた、俺のステータスの中でも射撃の数値が、そしてガンファイトが効果を発揮し、砲弾を撃ち落とす。

 さすがに砲弾を貫くといったことは出来なかったが、それでも撃墜したのは間違いない。

 本来なら、MSの射撃で砲弾を撃ち落とすといった事は難しい。

 それこそニュータイプとかなら出来るかもしれないというレベルだ。

 それをごり押しでどうにか出来る辺り、俺のステータスは凄い。

 どん、どん、どん、と。

 今度は3発の砲弾が発射される。

 最初の砲撃がどうなったのか、恐らく軍艦からでは分からなかったので、もう一度……それも最初に撃った軍艦以外にも撃つという手段に出たのだろう。

 だが、一度行った事を、続けて出来ないと思うのか?

 呆れつつ、先程よりも余裕を持ってライフルを3連射。

 放たれた弾丸は、3発が全て砲弾に命中して撃ち落とす。

 どうせならミサイルとか撃ってくれば、俺が撃ち落とすことで爆発して、撃破したというのが分かりやすいのにな。

 ただ……こうして軍艦が砲撃をしてくるというのは、つまり俺がここから動けないということを意味してる。

 もし俺がここから移動したら、それこそ敵は島に砲弾を撃ち込んでくるだろう。

 つまり、俺がここにいるからこそ今の状況な訳で……そうなると、他の場所に応援に行けないのは痛い。

 あの軍艦も、砲弾の数は限られているので、いつまでもこのままという訳ではないのだろうが。

 それでも今ここで俺が動く訳にはいかない以上、他の海岸でどうなっているのかは気になる。

 不幸中の幸いなのは、軍艦からの砲撃音は俺の海岸だけで響いている事だろう。

 恐らく他の海岸ではMS同士の戦闘になっている筈だ。

 それも水中やホバー移動は難しいので、こっちとしては敵が上陸したところで叩くしかない。

 そうなれば、当然だがMS同士での乱戦となる。

 軍艦が艦砲射撃を行おうものなら、味方のMSに命中してしまう可能性もあるのだから。

 オルフェンズ世界における科学技術……兵器の技術はかなり高い。

 だがそれでも、艦砲射撃を行えば砲弾は風や温度、湿度の影響もあって狙いから逸れる。

 それでも大体の場所から大きく逸れるという事はないだろうが、MS同士の戦いをしている場所となると味方を撃つ……フレンドリーファイアとなる可能性は十分にあった。

 1発だけなら誤射かもしれないが、誤射された方にしてみれば洒落にならないだろう。

 

「まぁ、大丈夫だと思いたいけどな」

 

 海上にいる軍艦が、全ての砲弾を撃ち落とされたのが信じられなかったのか、驚きで艦砲射撃を中断する。

 その隙にライフルの弾倉を替える。

 向こうの砲弾が限りあるのは間違いない。

 間違いないが、同時にそれはこっちにも言える。

 とはいえ、グシオンが使っているライフルはグレイズが使っているのを歳星で改良した物だ。

 それはつまり、俺が火星でギャラルホルンの基地から盗み出した物資の中にライフルに使える弾倉も十分にある事を意味している。

 こっちにはグレイズを使っている者も多いので、空間倉庫に収納してあるグレイズ用の補給は既に結構使っているが、まだ余裕はある。

 ……余裕はあるのだが、だからといってこっちもいつまでもこのままという訳にはいかない。

 形ある物はいつか壊れるというのとはちょっと違うが、消耗品というのはいずれなくなる。

 その前にやっぱり地球にあるギャラルホルンの基地に忍び込んで、物資と……後は地上用のグレイズをフルセットで奪ってきてもいいかもしれないな。

 どん、どん、どん、と。

 再び3隻の軍艦からの艦砲射撃。

 先程の一件からの対策なのか、放たれた艦砲射撃はほぼ同時。

 それはあの3隻の練度が相応に高い事を意味しているのだが……

 

「甘い」

 

 ライフルを3連射し、3発の砲弾をほぼ同時に撃墜する。

 一度成功させれば、後は慣れでしかない。

 このくらいの事をするのは難しくない。

 ……ここから動けないのは残念だったが。

 そういう風に考えると、向こうにそのつもりはないのだろうが、俺をここから動かさないで釘付けにしているという意味では、何気にあの3隻の軍艦は大きな手柄を挙げている事になる。

 それを理解しているかどうかは分からないが。

 いや、もし理解していれば、わざわざ島に攻撃をしたりはしないだろうから、多分自分達でも理解してないんだろうな。

 その後もこっちの集中力が切れるのを待つかのように、不規則に艦砲射撃を行ってくる。

 1隻だったり、2隻だったり、3隻だったり……もしくは、連続したりといった具合に。

 それで次々に砲弾を撃ち落とし続けていると、やがて軍艦の方も意味がないと判断したのか沈黙した。

 そうして時間が経過する。

 この時間が酷く無駄に思えるのは、きっと俺の気のせいではないだろう。

 こうしている今も、この島では戦闘が行われている。

 それが間違いない以上、俺としては出来れば援軍に行きたい。

 行きたいのだが、そのような事をすればまた軍艦からの艦砲射撃があるだろう。

 ……そうしたジレンマにいっそ炎獣でも出して他の戦場に向かわせるか?

 そうも思ったが、そうなると炎獣の存在が……最悪の場合、俺が魔法使いである事がギャラルホルンに知られてしまう。

 それだけは絶対に避けたかった。

 何か他にいい手はないか。

 そう思っていると、やがて軍艦が島から離れていくのに気が付く。

 かなり遠くにあるから、混沌精霊としての視力があって初めて判別出来た事だが。

 

「終わりか?」

 

 千日手の状況に、向こうが諦めたのか。

 あるいは俺が思った通り、敵の目的がこっちの戦力の確認なら、他の海岸で行われていた戦闘も終わって、もうこれ以上ここにいる必要もないと判断したのか。

 

「マーベル、そっちはどうだ?」

『敵が撤退していったわ』

「クランク」

『同じく撤退していきました。……アインも無事です』

 

 クランクは俺の言葉にそう付け加えるが、アインが無事という言葉には2つの意があるのは明らかだった。

 つまり、敵に撃墜されなかったというものと、シャドウミラーを裏切らずギャラルホルンを相手に……元仲間を相手にきちんと戦ってみせたという事だ。

 自分でやると言い出したのだからそれも当然かもしれない。

 しかし、それでも今回の結果は悪いものではなかった。

 クランクがほっとしてるのも、そこに原因があるのだろう。

 クランクにしてみれば、俺に絶対服従を誓っているものの、ギャラルホルン時代の記憶をなくした訳ではない。

 俺に絶対の忠誠を誓っているので、その影響によって以前よりも元の仲間達に対する扱いが下になっただけだ。

 出来ればアインにもそこまでなって欲しいとは思う。

 もっともアインが俺に忠誠を誓うということはまずないので、そういう意味では俺ではなくクランクに忠誠を誓う……いや、忠誠というのとはちょっと違うか?

 ともあれ、クランクが理由であってもシャドウミラーに馴染み、ギャラルホルンを相手に普通に戦う事が出来ればそれでいい。

 

「そうか。それは何よりだ。マーベルもクランクも、シャドウミラー側に被害はないと思っていいのか?」

『死人が出ていないという意味では被害がないけど、MSの損傷という意味では小破が3機、中破が1機といったところね。大破が0なのは好ましいけど』

『こちらは小破が2機、中破が2機となります』

 

 MSのダメージは少し気になるな。

 向こうにしてみれば、そこまで本気の攻撃だったとは思えないし。

 いや、それはあくまでも俺の予想であって、実は普通に攻めてきたという可能性も否定は出来ないが。

 

『アクセルの方はどうだったの? 何だか軍艦が発砲しているような音が聞こえてきたけど』

「MSを狙撃して撃破したら、MSでの攻撃は無意味だと判断したんだろうな。遠くから軍艦が艦砲射撃をするようになった。ああ、安心しろ。艦砲射撃で飛んできた砲弾は全て撃ち落としておいたから」

『無茶苦茶ね』

 

 俺の言葉に呆れた様子で呟くマーベル。

 マーベルにしてみれば、それこそまさかといった展開……いや、そこまででもないな。

 俺の能力を知っているのだから。

 実際無茶苦茶と言いつつも、その言葉には驚きよりも呆れの方が強い。

 ……呆れの方が強いのは、それはそれでどうかと思わないでもなかったが。

 ただ、俺にしてみれば出来るからやっただけのことでしかないんだよな。

 

「まぁ、シャドウミラーの方はともかくとして、鉄華団の方はどうだ?」

『私が聞くよりも、アクセルが聞いた方が喜ぶんじゃない?』

 

 そうマーベルが言うので、オルガに連絡を取ってみる。

 

「オルガ、敵は撤退していったけど、鉄華団の被害は?」

『兄貴!? ああ、大丈夫です。MSにダメージのある奴はいるけど、死んだ奴はいません。ただ……俺とビスケットの乗っていたMWが流れ弾に当たって、ビスケットがちょっと』

「……大丈夫なんだな?」

 

 オルガが無事だった事を考えると、一緒にMWに乗っていたビスケットも無事だったのは間違いない。

 もしビスケットが死んでいれば、そう言ってくるだろう。

 とはいえ、怪我をしている可能性は十分にある。

 そして怪我がどれくらいのものかという事になるが……こちらもオルガの様子を見る限りでは問題ないらしい。

 

『ええ。打撲とかそういう感じです。動くのは少し難しいですが』

「そうか。なら、ゆっくり休ませないとな」

 

 幸いなことに、これから動くのは俺と蒔苗……後はクーデリアだ。

 シャドウミラーや鉄華団はこの島で防衛戦に専念する予定になっている。

 であれば、ビスケットの療養にも丁度いいだろう。

 ……もっとも、今回の戦闘でギャラルホルンがこれ以上積極的な動きを起こさなければ、だが。

 今回、ギャラルホルンが受けた被害は大きい。

 いやまぁ、アリアンロッド艦隊や地球外縁軌道統制統合艦隊のMS隊が受けた被害と比べれば、大分少ないかもしれないが。

 それでもギャラルホルンが受けた被害を見れば、莫大という表現が相応しいくらいになってはいる。

 その上で、更に攻撃をしてくるのかどうか。

 いっそマクギリスに連絡をしてみるか?

 そうも思うが、盗聴されるというのを考えると、俺とマクギリスの繋がりを見せるのはちょっとな。

 だとすれば、やっぱりこっちでやるしかないか。

 

「ラフタとアジーはどうだ?」

『そっちは問題ありません。うちに被害が出なかったのは、あの2人に面倒を見て貰ったからというのもありますから』

 

 ラフタとアジーの漏影は、鉄華団と行動を共にしていた。

 シャドウミラーはMS戦闘に慣れている者が多いが、鉄華団はそうではない。

 とはいえ、MWを使った戦闘なら十分に慣れているので、そう考えれば全くの素人よりは大分マシだ。

 大分マシだが……それでも、やはりMSとMWは違う。

 三日月のような才能の持ち主ならともかく、そうでない者は阿頼耶識を使っていても、やはり最初はMSとMWの違いが気になるらしい。

 その違いはそこまで大きなものではないが、それでも戦いの中では大きな意味を持つ。

 勿論長い間MSに乗り続けていればいずれは気にならなくなるのだろうが、今はまだ気になるのだろう。

 

「そうか。あの2人には感謝をしないとな」

『ええ、本当に』

 

 オルガがしみじみと呟くのを聞きながら、話を変える。

 

「さて、それで今回の襲撃は迎撃したが、次に向こうがどういう行動に出るのかは分からない。その時の為に、MSの補給と整備を急がせる。問題はあるか?」

『いえ、ありません』

 

 オルガも俺の意見に異論はないのかそう言い、こうしてまずは補給と整備を行う事になるのだった。 

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