転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3994話

「分かりました。俺達も兄貴の策に乗ります」

 

 俺の説明を聞いて考え込んだオルガだったが、最終的に出した答えはそれだった。

 

「そうか。納得してくれたようで何よりだ」

「いえ。兄貴の策に乗れば、鉄華団にも大きな利益があると思いますし。それに……俺達を運び屋にした奴だ。ただ殺すのだけじゃ勿体ない。そいつが大事にしている金を根こそぎ奪うのは気分が良いですしね」

 

 そう言い、オルガは人の悪そうな、ニヤリとでも表現すべき笑みを浮かべる。

 実際、ノブリスにとっては自分の金……というか、資産こそが大事なのだ。

 今回の話はかなりの大事である以上、アーブラウの国軍を作るだけのMSやMWを用意するとなると、それこそノブリスの財産の大半を使う必要がある。

 場合によっては、大半どころか全てを出しても足りなくなる可能性もあるかもしれないが、落とし前として殺されるよりはいいだろう。

 ……とはいえ、これはあくまでもノブリスがこちらの要望を受け入れればの話だ。

 もし財産をなくすくらいなら殺せとか言った場合は……そうだな、面倒ではあるが殺した後でその財産を使ってMSを用意し、アーブラウに売ればいい。

 もっとも、ノブリス程の資産家ともなれば、財産は基本的に分散してある筈だ。

 まさか一ヶ所に纏めてはいないだろう。

 だからこそ、そうなると財産を全て見つけ出すのは難しくなる。

 あるいは、いっそ鵬法璽でも……駄目だな。

 クランクに使った上で言うのも何だが、鵬法璽は可能な限り使わない方がいい。

 エヴァからもそう忠告されているし、鵬法璽を使い慣れると、何かあったら鵬法璽を使えばいいという風に思いかねない。

 クランクに使ったのは、能力的にも持っている情報的にも、是非とも欲しいと思ったからだ。

 言ってみれば、あの状況だったから。

 もしもっと違う状況……例えばギャラルホルンの情報とかを入手した後とかなら、恐らくクランクに鵬法璽を使うことはなかっただろう。

 まぁ、鵬法璽を使ってクランクを仲間に引き入れた事は後悔していないが。

 棚ぼたでアインも手に入ったし。

 ともあれ、ノブリスに鵬法璽を使うのは止めておく。

 

「じゃあ、鉄華団も今回の依頼を引き受けるという事でいいな?」

「はい。ただ、MSの調達については蒔苗の爺さんに納得して貰えるかどうか分かりませんけど」

「だろうな。ただ、MSを集めるのはギャラルホルンとかでないと難しい。そう考えれば、妥協するしかないと思う」

 

 アーブラウの国軍という事になれば、MSは基本的に同一機種で揃えたいと思うのは当然だろう。

 それは見映えの問題もあるが、他にも部品が共用出来るかというのもある。

 俺が乗っ取ったブルワーズでグシオン以外はマン・ロディだったのは、その辺の理由もあるのだろう。

 国軍として活動する以上、その辺りは非常に重要だろう。

 もっとも、異世界のシャドウミラーのようにキブツとかで部品を調達出来て、量産型Wやコバッタによって労働力も確保してあるのなら、多種多様な機体があっても問題はないが。

 しかしそれは、色々な意味で特殊なシャドウミラーだからこそ出来る事だ。

 アーブラウに同じような事が出来る筈もない。

 とはいえ、ノブリスでも全機を同一機種で集めるというのは無理だろうし。

 もしどうしても同一機種で集めたいというのなら、最初はノブリスが用意したMSで揃えて、その後でアーブラウに余裕が出来たら徐々に新しい機種に置き換えていくとか、そういう事をして貰った方がいいだろう。

 

「さて、じゃあ話も纏まったし、蒔苗に話に行くか」

 

 その言葉にオルガも頷き、俺達は狭い部屋の中を蒔苗のいる場所に向かって進む。

 うーん……やっぱり人が多かったか?

 とはいえ、折角地球に来たんだし島以外を見せたかったというのも間違いないし。

 蒔苗の話が終わった後で、街中を見て回るくらいはするか。

 ……シノが行きたがっていた店には行かないが。

 そんな風に思いつつ、俺とオルガは蒔苗の前まで戻る。

 そこでは俺がオルガと話す前と同様、クーデリアとシーラが蒔苗と話していた。

 話の内容は、それこそ火星についてだったり、地球についてだったりとか、そんな感じ。

 

「悪いな、ちょっといいか?」

「む? おお、どうじゃった? 儂の依頼は引き受けてくれるか?」

「さっきも言ったが、基本的には受けてもいいと思う。ただし、条件がある」

「条件とな? 具体的にはどのようなものかの?」

「アーブラウの国軍で使うMSはそれなりに安値で売ってもいい。ただし、MSの機種については、全てを同一機種で揃えるという事は出来ない。もしどうしても同一機種で揃えたいのなら、最初は俺達から購入したMSで運用して、金に余裕が出来たら置き換えて貰う」

「ふむ……安値というのは、具体的にはどのくらいじゃ?」

「そうだな。相場の半額くらいで構わない」

「アクセル!?」

 

 俺と蒔苗の会話……というか、交渉か? それを聞いていたクーデリアが、思わずといった様子で叫ぶ。

 

「クーデリア、黙って聞いてなさい」

「でも……」

 

 そんなクーデリアを諫めたのはシーラだったが、クーデリアは納得した様子ではない。

 クーデリアにしてみれば、俺が自分から損をしているようにしか見えないのだろう。

 普通に見れば、それは間違っていない。

 あくまでも普通に見ればの話だが。

 

「大丈夫だ。それでもこっちに利益はある」

「……後でしっかりと聞かせて下さいね」

 

 その言葉に頷き、蒔苗に視線を向ける。

 

「それでどうだ? これでもかなりアーブラウにとって利益になる取引だと思うんだが」

「ふむ、それは間違いない。特にMSを集めるのに、相場よりも安い……それも相場の半額というのは得じゃろう。じゃが、こちらにとって利益が多すぎる。今、お主にも利益があるという話をしたが、それは事実かの?」

「ああ、間違いなく利益になる」

 

 何しろこっちにしてみれば、仕入れ値が無料なのだ。

 幾らで売っても利益にはなる。

 MSの輸送についても、俺が空間倉庫を使えば殆ど掛からないし。

 

「とはいえ、これはあくまでも俺の考えが上手くいったらの話だと思っておいてくれ。場合によっては半額で売る事は出来なくなるかもしれない」

 

 ノブリスに対する落とし前として、限界まで搾り取るつもりであるのは間違いない。

 間違いないが、もしかしたらノブリスの全財産を使っても国の軍隊を1から作るだけのMSを用意するのは難しい可能性がある。

 その時は……あまり好ましい手段ではないものの、海賊達から鹵獲するしかない。

 それでも足りないようなら、テイワズから購入するか。

 勿論、テイワズから購入するのは百錬や百里といったテイワズが独自で作ったMSではなく、ロディ・フレームとかを使ったMSだが。

 その際には、ある程度値引きをして貰う代わりに、アーブラウ軍の件にテイワズを噛ませてもいいかもしれない。

 テイワズにしてみれば、軍を1から作るというのは色々と美味しい話だろうし。

 

「なるほど。……うむ、話は分かった。さすがにその件についてはここですぐに返事は出来んが、儂としては前向きに考えておる」

 

 それは蒔苗にしてみれば、現在出来る精一杯の返答といったところか。

 実際、蒔苗が現在頼れる中で一番有力なのは俺達である以上、手を切るといったことはまず出来ないのだろうが。

 もし俺達と手を切った場合、蒔苗にとって武力的な後ろ盾はなくなる。

 ……そうなると、軍事顧問の件を抜きにしても蒔苗は俺達に地球にある程度の戦力を置いておいて欲しい訳か。

 相手がただの犯罪者程度なら、護衛達で何とかなるだろう。

 だが、例えばギャラルホルンのような連中が敵になった場合、護衛程度ではどうしようもないし。

 そんな時、ギャラルホルンを相手に連戦連勝、しかも死人を1人も出していないのだから、蒔苗が俺達を頼りにするのは当然か。

 自分で言うのも何だが、死人が1人も出ていないというのは戦いの時に俺が真っ先に敵に突っ込んでいくからというのが大きいのだろうが。

 そうなれば自然と敵の攻撃は俺に集中し、それによって他に攻撃がいかないようになる。

 そして俺は俺で、敵の攻撃をとにかく回避したり弾いたり、防いだりして当たらない。

 結果として、敵の攻撃は俺に命中せず、それによって味方の被害はない。

 いや、別に被害がない訳ではないのだが。

 ビスケットが腕の骨を折るといった怪我をしたし、他にもそれなりに被害を受けたりした者もいる。

 それでも結局死人が1人も出ていないのは、誇るべき事であるし……蒔苗にしてみれば、頼るのに十分な相手だろう。

 

「そう言って貰えて何よりだよ。ちなみにだが、近いうちに一度俺達は全員火星に戻るつもりだが……その辺は大丈夫か? 軍事顧問の件があるとなると、何人かこっちに残った方がいいんじゃないか?」

「ふむ、無理にとは言わん。じゃが、そうしてくれると嬉しいとは思うの。何をどうするにしても、お互いに出来るだけ連絡が出来るようにしておいた方がいいのは間違いないじゃろうし」

「だろうな。分かった、こっちで何人か残る人材を用意しておく。……オルガ、鉄華団はどうする?」

「軍事顧問の件には俺達も関わってますし、ここで人を残さないって訳にはいかないでしょうが……問題なのは、誰を残すかですね」

「そうだな。それは俺も考え中だ」

 

 取りあえず主要メンバー……具体的には俺、マーベル、シーラ、後はクランクは火星に戻る。

 そしてクランクがいるとなると、アインもこっちに来るだろう。

 アインと友人になったサヴァランも当然のように火星に来るだろうし。

 昌弘は……昭弘が地球に残るのなら、兄弟同士ということでこっちに残してもいいような気はするけど、他の子ども組を率いて貰うのを考えると、やっぱり火星にいた方がいいのも事実。

 そうなると、他は……うーん、そうだな。一体誰を残すべきなのか。

 元ブルワーズの大人組が無難なところか?

 考えてみれば、これは決して悪いことではないような気がする。

 何しろアーブラウの軍を1から作る上での地盤固めと、蒔苗の護衛だ。

 後者はともかく、前者は鉄華団には荷が重い。

 いや、これは別に鉄華団を侮っている訳ではないのだが。

 実際、鉄華団の面々はMSやMWのパイロットとして考えれば、十分に腕が立つ。

 ……腕が立たないとCGS時代は使い捨てにされて生き残れなかったというのもあるのだろうが。

 ともあれ、そんな理由で操縦技術については問題がない。

 この場合問題なのは、操縦技術以外のところだ。

 相手が子供というだけで年上の自分を尊重しないと我慢出来ないといったような奴はどこにでも一定数いる。

 そのような者達と鉄華団の面々の相性は最悪なのだから。

 これでアーブラウ軍に所属する事になる者達が、相手が子供だからと侮ったりせず、純粋に実力だけを見るのなら、鉄華団とも上手くやれるだろうが。

 鉄華団で年上なのは……雪之丞とか?

 だが、雪之丞はメカニックの要である以上、火星に戻らないという選択肢はない。

 そもそも雪之丞はMSやMWのパイロットではなく、メカニックなのだから。

 ……もっとも、外見だけで判断するのなら結構な迫力があるのも事実。

 そういう意味では重要な人材なのだが、それでもオルガの中に雪之丞を地球に残すという選択肢はないだろう。

 それ以外の大人となると……メリビットか?

 ただ、メリビットはあくまでもテイワズから派遣されているという立場で、鉄華団のフォローをするのが目的だ。

 そういう意味では、メリビットを地球に残すのは難しいだろう。

 だとすれると、後は……鉄華団の主要メンバーとかか。

 ただし、そのような者達は10代半ばから後半といった年齢の者達だ。

 アーブラウの国軍に所属する者達にしてみれば、やはりそれでも子供だろう。

 だからこそ、元ブルワーズに所属していた大人達を地球に残すというのは重要な事だった。

 

「ともあれ、地球に残す者達については後で考えるとして。そういう連中の受け入れについては問題ないのか? 具体的には住居とか。あるいは兵器用の倉庫とか」

「その辺りはどうにかしよう。後は……そうだな。国軍を作るとなると、そっちの人材についても大きな意味を持つぞ。軍隊に所属するんだから、相応の能力は必要になる」

 

 能力が低い者……性格的に問題のある者がいれば、それだけで大きな問題となる。

 どうせ1から作るのだから、無能な人材は出来るだけ弾きたい。

 無能な味方というのは、有能な敵よりも厄介な存在だ。

 だからこそ、最初にそのような人物を弾いておくのは重要なのだ。

 

「後は、軍事顧問ということなら、無能な人物、有害な人物を排除出来るような制度を作っておいて欲しい」

「分かった。前向きに考えておこう。しかし、あまり外からの干渉が多くなると議員の中には拒否感を抱く者が出てくるのを覚悟しておいて欲しい」

 

 そういう蒔苗の言葉に、俺はだろうなと頷くのだった。

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