転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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3998話

 エドモントンでの自由時間も終わり、そのまま島に戻り……そして半月程。

 事後処理とか、他にも色々とやるべき事があり、それを終えてようやく火星に戻るという事になったのだが……現在、俺達の姿はアーブラウの空港にあった。

 より正確には、衛星軌道上にある共同宇宙港に向かう船に乗る為の空港だ。

 ちなみに、いるのは当然ながら俺達……島にいた人員だけとなる。

 そしてあくまでもここにいるのは人だけ。

 つまり降下船の中に入っていたMSとかそういうのは、どこにもない。

 いやまぁ、それがどこにあるのかは考えるまでもないだろうが。

 そう、現在MSを始めとする諸々は、全て空間倉庫の中に入っていた。

 当初はMSとかを積み込むシャトルを用意するという話があったのだが……

 

「オルガ、怪しい連中はいるか?」

「いないですね。……普通に考えて、俺達を見つけられる筈もないですし」

 

 オルガが片目を瞑り、ニヤリとした笑みを浮かべる。

 俺達がこうしているのは、渡航費用の節約の為……という訳ではない。

 アーブラウの件があってから数日で、事態は大きく動いた。

 まず一番大きいのは、イズナリオが隠居してマクギリスがファリド家の正式な当主に就任した事だろう。

 後はイズナリオが引退した事により、カルタの後ろ盾の件はなくなった。

 今まではその後ろ盾というのを利用し、カルタに指示をしていたらしいからな。

 それが完全になくなった形だ。

 ともあれ、これマクギリスの派閥はセブンスターズのうち、当主2人が所属する事になった。

 残るもう1人のガエリオは、まだ次期当主のままだ。

 現在当主のガエリオの父親は、まだ若い……という訳ではないが、まだ気力も十分でガエリオに後を譲る気はないらしい。

 この先の事を考えると、まだ元気なうちに当主の座を譲った方がいいと思うんだが……まぁ、これについては俺がどうこう考えるよりも、その家のしきたりとかそういうのが関係してくるだろうから、その辺につついては突っ込まない事にする。

 これでガエリオの父親がマクギリス達に敵対的なら話は別だが、マクギリスの派閥に積極的に協力しているらしいし。

 蒔苗から聞いた話によると、ガエリオの父親は不正とかそういうのを好まないらしいしな。

 そんな訳で、派閥は上手くいっているらしい。

 もっとも、これも蒔苗経由の情報である以上、どこまで信じていいのか分からないが。

 これは別に蒔苗の情報を信じられないと言ってる訳ではなく、蒔苗に伝わったこの情報そのものが、もしかしたら途中で少し内容が変わっているとか、そう思っての事だ。

 まぁ、取りあえず今は信じるしかないのだが。

 ちなみに、こちらもまた蒔苗からの情報だったが、イズナリオの不正行為については結局ギャラルホルンで公表はされなかったらしい。

 どうやら詳しく追及しない代わりに、大人しく当主の座をマクギリスに譲ったという感じだ。

 アーブラウの中でも今回の一件についての情報を持っている者達にしてみれば、それは面白くない事だろう。

 もっとも、ギャラルホルンのその対応は、今まで何度も行われてきた事らしいが。

 ギャラルホルンはアーブラウの上位組織なのだから、そうなっても仕方がないだろう。

 ともあれそんな感じでギャラルホルンの方でも現在はその後始末で色々と騒がしい。

 ……そんな中で、俺達に入ってきた情報があった。

 それが、イズナリオの派閥の一部の強硬派が、イズナリオ失脚の原因を作った俺達を狙っているというものだ。

 強硬派にしてみれば、自分達の派閥に致命的なダメージを与えた俺達が許せないのだろう。

 ましてや、俺達は地球の植民地である火星出身だ。

 それだけに、俺達の手によってそういう結果になったのが我慢出来ない者達がいてもおかしくはない。

 だからこそ、こうして影のゲートを使って島からここまで転移し、MSは空間倉庫に収納している訳だ。

 俺が魔法を使うというのは……どうだろうな。もう既にそこまで隠している訳でもないし、蒔苗の件で色々と使っているから、情報に鋭い者なら知ってるのかもしれない。

 しれないが、それでもまさか空間倉庫とかについては分からないだろうと思う。

 中には魔法という事で何でも出来るだろうからと、そういう風に思う者もいるかもしれないが、常識的に考えれば空間倉庫の存在について思い当たるという事はないと思う。

 そして更に普通に考えれば、ガンダム・フレームという、このオルフェンズ世界においても希少なフレームを使ったMSを2機有している俺達が、そのMSを置いて火星に戻るといったようには思わない筈で、そうなるとMSと一緒に移動していると考えられる筈だ。

 だからこそ、こうしてMSも何もない集団で移動していれば、イズナリオの残党……そう、残党と呼ぶべき相手であっても、見つけるのは難しいだろう。

 結構な人数で移動しているので、そういう意味では目立つが。

 とはいえ、このくらいの人数で移動するのはそこまで珍しいものではない。

 

「安心だとは思うが、家に着くまでが遠足というのはそれなりに言われている言葉だ。だからこそ、今の状況でもイズナリオの残党が俺達を狙ってこないか、警戒する必要がある。それに……アリアンロッド艦隊もまだ、俺達を完全に諦めたとは限らないしな」

 

 結局俺達が地球に降下する時も、そして地球に降下してからも、アリアンロッド艦隊がこっちにちょっかいを出してくる事はなかった。

 普通に考えれば、そこまでして手を出してこなかった以上、アリアンロッド艦隊が俺達に手を出すような事はないだろう。

 ……普通に考えれば、の話だが。

 島での戦闘において、俺はミロンガ改を使った。

 アリアンロッド艦隊が探しているサラマンダーではないにしろ、ナノラミネートアーマーを無効化する手段を持った機体という事で、サラマンダーとの共通性から目を付けてもおかしくはない。

 アリアンロッド艦隊の情報網が地球にまで広がっているかは……アリアンロッド艦隊を率いるラスタル・エリオンがセブンスターズのエリオン家の当主である事を思えば、そうおかしな話ではないだろう。

 その辺りが少し心配だったが、何かあったら俺が出ればいいだろう。

 アリアンロッド艦隊は確かにギャラルホルンの中でも最精鋭かもしれない。

 だが、サラマンダーとの戦いにおいての戦力差を見れば、俺が出ればどうとでもなる。

 ……もっとも、グシオンで出ると継戦能力的に色々と問題なので、出るとすればミロンガ改でになるだろうが。

 サラマンダーもありだが、そちらはさすがに色々な意味で危険なので、止めておく。

 

「一応、何があってもいいように準備はしてますし、うちのイサリビや兄貴のところの船も宇宙港まで来るという事になってますが……名瀬の兄貴達にも来て貰えればよかったんですけどね」

「それはちょっと難しいだろうな」

 

 タービンズが今回の一件に関わっているというのは、仲間内での秘密だ。

 ギャラルホルンの情報網があれば、あるいはその辺についての情報を入手している可能性もあるが。

 とにかく一般的には秘密になっている以上、堂々と表に出てくるようなことは出来ない。

 

「そうですね。でも、アクセルの兄貴がいるから、安心は出来るんですけど」

「嬉しい事を言ってくれるな。その調子で、メリビットとの関係も進めたらどうだ?」

「……はぁ、兄貴がお嬢さんと良い仲になったのは分かります。けど、俺にも同じようにしろとか、そういうのは無茶って言うんですよ」

 

 そんなに言う程無茶か?

 俺が見た感じ、メリビットもオルガに好意を抱いている。

 ……問題なのは、その好意が男女間の好意ではなく、弟に対する姉といったような好意だという事なんだが。

 その辺については、オルガの頑張り次第だろう。

 オルガとメリビットのやり取りを見ていると、恐らく原作でもこの2人はくっついたのではないかと思えるような一面がある。

 まぁ、原作は原作。

 この世界では俺が歴史に介入した事で、既に全く違う流れになっているのだから。

 

「アクセル、そろそろシャトルが出発するらしいわよ」

 

 俺とオルガの会話に割り込むように、クーデリアがそう声を掛けてくる。

 クーデリアにとって俺は初めての恋人だ。

 それだけに、少しでも一緒にいたいのだろう。

 そんなクーデリアに、俺も悪い気はしないが。

 

「分かった。……じゃあ、行くか」

「ええ。後は火星に帰るだけ。……もっとも、火星に帰ったら帰ったで忙しいでしょうけど」

 

 オルガの言う通り、火星に戻ってもゆっくりするような時間はない。

 アーブラウの軍事顧問という依頼があるので、それに向けて動く必要もある。

 その為、ノブリスに対する落とし前を付ける必要もあった。

 少しだけ心配なのは、テイワズの方で既に何か動いてないかという事だが。

 とはいえ、もしそのような事になっても俺達のやるべき事は変わらない。

 それでもグランに戻ったら、一応名瀬を通してテイワズに連絡をした方がいいのかもしれないな。

 テイワズとしても……いや、正確にはテイワズを率いるマクマードも、俺と敵対はしたくない筈だ。

 ノブリスの件は俺達にも被害が出ている以上、抜け駆けをするという事はないと思う。

 あるいは前準備としてノブリスが逃げないように見張っているとか、そういう事はあるかもしれないが。

 ともあれ、まずは宇宙に行ってからの話だな。

 そう考え、俺は他の面々と共にシャトルに向かうのだった。

 

 

 

 

 

「ねぇ、アクセル。……ちょっと不味くない?」

 

 宇宙にある共同宇宙港に向かうシャトルで、俺の隣に座るマーベルがそう言ってくる。

 その視線の先には、シャトルの窓……正確には窓風の映像モニタなのだが、それがある。

 そして窓には現在グレイズが多数映し出されていた。

 当然ながら、そのグレイズは俺達の味方ではない。

 俺達が使っているグレイズのうち、地球に降下した物は現在全て空間倉庫に入っているのだから。

 それはつまり、シャトルの外にいるグレイズはギャラルホルンの所属という事になる。

 ……もしかしたら、俺達以外にも何らかの手段――横流しとか――でグレイズを入手した海賊という可能性もあるかもしれないが、その可能性は限りなく低いだろう。

 

「すいません、少しよろしいでしょうか?」

 

 そんな風に声を掛けてきたのは、このシャトルの従業員と思しき男。

 俺に向かい申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

 

「何だ?」

「私はこのシャトルのクルーの1人なのですが、実はシャトルの周囲にいるギャラルホルンから通信がありまして」

「だろうな」

 

 こうしてわざわざシャトルの側にグレイズが待機し……他の窓を見ると、反対側にもグレイズの姿が見える。

 この様子だと、恐らくシャトルの前後、あるいは上下にもグレイズは展開しており、このシャトルを完全に包囲している筈だ。

 そこまでしていながら、攻撃をしてくる様子はない。

 それはつまり、向こうに何らかの要求があってのものだというのは間違いなかった。

 問題なのは、向こうが何を求めているかだな。

 普通に考えれば、俺達の身柄か。

 ……シャトルに乗る前にオルガと話していた、イズナリオの残党か何かか?

 いや、もしそうならわざわざ通信を送ってきたりはせず、即座に撃沈するだろう。

 となると、イズナリオの残党という可能性は低い。

 他に考えられるとすれば……

 

「アリアンロッド艦隊か?」

「……はい」

 

 予想した通りだったらしい。

 もっとも、イズナリオの残党以外で俺達と敵対している相手となると、考えられる可能性としてはアリアンロッド艦隊が一番可能性が高い。

 勿論、アリアンロッド艦隊が一番可能性が高いのであって、他に敵対する組織がいない訳ではない。

 例えば、海賊。

 例えば、テイワズの中でも俺達に恨みを抱いているJPTトラストを率いているジャスレイ。

 例えば、タントテンポ内部でジャンマルコと対立している幹部。

 例えば、アーブラウが軍を持つという情報を入手した他の国々の手の者。

 ざっと思い浮かぶ程度でこれだけだ。

 俺が知らない勢力であっても、シャドウミラーや鉄華団を憎んでいる、恨んでいる、羨んでいる……そんな者達がいないとも限らない。

 

「で、向こうの要求は?」

「臨検です」

「……そう来たか」

 

 てっきり俺の身柄を寄越すように命令してくるのかと思ったんだが、そういう訳でもないらしい、

 いや、違うな。

 もしアリアンロッド艦隊が出て来たのなら、その目的は俺ではなくサラマンダーだろう。

 ドルトコロニーの一件でアリアンロッド艦隊がサラマンダーによって受けた被害はかなりのものだ。

 また、重力波砲を使った攻撃によって多くのMSや戦艦が撃破された。

 ナノラミネートアーマーを無効化する方法を何とかして自分達で確保したいと思うのは、そうおかしなことではない。

 ただし、問題なのはこのシャトルには当然ながらサラマンダーが搭載されていない事だろう。

 サラマンダーは、現在俺の空間倉庫に収納されているのだから。

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