転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4000話

 シャトルが共同宇宙港に到着し、シャトルから下りると多くの者達の視線が俺達に向けられる。

 当然だろう。ただのシャトルにしか見えない――そして実際ただのシャトルだが――のに、何故かギャラルホルンの……しかもガンダム・フレームのMSであるキマリスやグレイズリッターといったMSが護衛についているのだから、注目を集めるなという方が無理だろう。

 一体誰が乗っているのかと疑問に思うのはおかしくはない。

 もっともシャトルから下りてきた俺達を見て意外そうな表情を浮かべている者が多かったが。

 下りてきた中には子供達が非常に多かった。

 そんな中で驚いたり納得した表情を浮かべているのは、俺達の顔を知っている者か。

 具体的には、俺とクーデリア、オルガ。

 俺達はアーブラウで英雄として大々的に公表されたので、それを見た者達だろう。

 あるいは、アーブラウ出身以外の者でも、情報収集をしっかりしている者達か。

 そのような者達の中には、顔繋ぎでもしようというのか、何とか接触しようとしている者もいる。

 もっとも、俺達はそれをスルーする。

 ある程度の余裕があれば、そうしてもいいのだが。

 アリアンロッド艦隊から派遣されてきた……本当にMS隊の独断なのか、それともラスタルからの命令だったのかは分からないが、とにかく一度は追い払ったものの、この共同宇宙港にいればいつまた来てもおかしくはない。

 そうなれば当然だがこっちも対応する必要がある。

 シャトルに乗っていた時とは違い、今度はこっちも普通にMSを使う事が出来る。

 その為に、俺達は出来るだけ早くグラン、ガラン、イサリビに戻る必要がある。

 ジャコバは補給船なので、そっちに戻る者はそう多くはない。

 そんな中……

 

「ボードウィン特務三佐……」

「アイン、無事なようで何よりだ」

 

 そこには、ガエリオとアインの姿があった。

 あの2人はかなり親しい関係らしい。

 実際、ドルトコロニーでクランクによってアインが捕らえた時、アインが以前ガエリオが乗っていたシュヴァルベ・グレイズに乗っていたし。

 そのシュヴァルベ・グレイズは、現在グランの格納庫にあり、聞いた話ではそれなりに修理も進んでいるらしい。

 

「アイン、ギャラルホルンに戻ってこないか?」

 

 不意に、ガエリオのそんな声が聞こえてくる。

 ……無理もないか。

 ガエリオにとって、アインは親しい相手……友人でもあるらしいし。

 また、マクギリスの派閥に所属する……というか、幹部として扱われているガエリオだけに、マクギリスの派閥の戦力を高める必要もある。

 ラスタルのアリアンロッド艦隊と比べると、マクギリスの地球外縁軌道統制統合艦隊はどうしても数段落ちる。

 俺が戦った感じだと、式典とかに出たり、アクロバット飛行をしたりという事で、基礎的な操縦技術という点ではアリアンロッド艦隊にも負けていないだろう。

 だが、実戦経験の少なさという点ではどうしても劣ってしまうのだ。

 ……ましてや、俺が言う事でもないかもしれないが、俺達との戦闘で結構な数のパイロットが死んでいるし。

 せめてもの救いは、アリアンロッド艦隊と違って戦艦に被害が出なかった事か。

 マクギリスの要望によって停戦がされなければ、どうなっていたかは分からないが。

 そういう意味では、地球外縁軌道統制統合艦隊は幸運だったのだろう。

 それでも元々の規模がアリアンロッド艦隊より小さいというのもあって、マクギリスとしては可能な限り戦力を整えたいと考え、ガエリオはそれを汲み取ってのアインの勧誘だと思われる。

 アインは火星のギャラルホルン時代にクランクからしっかりと鍛えられていたし、シャドウミラーに所属するようになってからも何度も実戦を経験している。

 ガエリオにしてみれば、是非とも欲しいと思うのは当然だろう。

 だが……そんなガエリオに対し、アインは首を横に振る。

 

「ボードウィン特務三佐のお誘いは嬉しいです。ですが、ギャラルホルンと違って今のシャドウミラーはまだ成長途中です。その……友人も出来ましたし、恩師もいます。アクセルは……まぁ、その、そんなに悪くない奴だと思いますし。……多分」

 

 おい。

 2人の会話が聞こえていたのだが、そこにそう突っ込みたくなる。

 とはいえ、俺がアインと関わる機会はそう多くはなかった。

 それを思えば、当初の印象から多少なりとも好感度が上がっているのは悪くない事だろう。

 ちなみに友人というのは、サヴァランの事だ。

 この2人、今では親友と言ってもいいくらいに親しくなっているんだよな。

 元々相性がいいとは思っていたが、島での生活でより仲良くなったらしい。

 また、アインのギャラルホルンでの扱いを聞く限りでは、友人らしい友人はいなかったらしいしな。

 火星出身という事で虐待を受けたりしていて、唯一心を許せる相手がクランクだったのだろう。

 そう考えると、アインがクランクにあそこまで入れ込んでいるのも理解出来る。

 また、アインがサヴァランを大事にしてるのも納得出来る。

 とはいえ、それを言うのならアインとガエリオの関係もあるのだが。

 

「そうか。……残念だが、本当に残念だが、アインがそう言うのなら仕方がない」

「申し訳ありません」

「気にするな。話を聞いてはいたが、お前が問題なくやっていられたようで何よりだよ」

 

 そう言い、笑みを浮かべるガエリオ。

 アインがどう思っているのかは分からないが、ガエリオがアインをかなり気に入ってるのは間違いないらしい。

 とはいえ、これはそこまで不思議という訳でもないのか?

 ガエリオはセブンスターズの1家であるボードウィン家の次期当主だ。

 そうである以上、ガエリオの周囲に人は集まってきただろうが、そのような者達はガエリオ本人を見ているのではなく、ガエリオの家を、あるいはセブンスターズという存在を見てのものなのだから。

 そんな中で、アインは違った。

 ……いや、その辺についての詳細を理解している訳ではないので詳細には分からないが、恐らく違ったのだろう。

 ガエリオの態度を見る限り、多分そう間違ってはいない筈だ。

 だからこそ、ガエリオはあそこまでアインを気に入ってるんだろうし。

 これからガエリオと何か交渉する時は、アインを連れていった方がいいかもしれないな。

 幸いな事に、会った当初と違って今はアインもそこまで俺に敵意を向けてないし。

 だからといって完全に心を許しているかと言えば、それは否だ。

 やはりクランクが俺に絶対的な忠誠を誓っているのが疑問らしい。

 アインの知っているクランクなら、そういう事はしなかったのだろう。

 実際、鵬法璽を使った結果が今の状況だから、そういう意味ではアインの考えは間違っていない訳なんだが。

 それを言う訳にはいかないが。

 もしそれをアインが知っても、鵬法璽程の強力な……封印級とすら言われるマジックアイテムを解除するのは不可能……という訳でもないだろうが、それでもそう簡単な事ではない。

 なら、わざわざ言う必要はないだろう。

 

「ガエリオ、そろそろ出発するがお前達はどうするんだ?」

 

 アインとの話が一段落したところで、そう声を掛ける。

 ガエリオは現在地球外縁軌道統制統合艦隊に所属していると言っていた。

 そうなると、今度ガエリオや他のMS隊がここから離れた場所に行くのは難しくなる。

 実際に一緒に移動するのはいいが、先程ガエリオがアリアンロッド艦隊のMS隊に言ったように、管轄外となってしまうのだ。

 そうなると、例えばアリアンロッド艦隊のMS隊に囲まれても管轄外となってしまうので、追い返す事は出来ない。

 それでも一緒にいれば襲いにくいだろうが……まさか火星まで一緒に行く訳にもいかないだろう。

 個人的にはそうしてくれた方がありがたいという一面があるのは間違いないが、ガエリオも仕事がある以上、俺達に付き合うといったことは出来ないだろうし。

 

「そうだね。アクセルには悪いけど、見送りはここまでだ。……けど、シャトルを使って軍艦に乗って戻るとなると、MSを使えるんだ。心配はいらないだろう?」

「そうだな。シャトルの時と違ってな」

 

 実際にはシャトルに乗っていた時も、自分のMSくらいは何とか出来たんだが……まぁ、その辺については触れないでおこう。

 あるいはガエリオも知っていてそういう風に言ってるのかもしれないし。

 

「他にも色々とやるべき事があるから、私はこれで失礼するよ。カルタに感謝するんだな」

「そういう風に言うって事は、今回の一件についての情報を入手したのはイシュー家の情報網か? もしくは地球外縁軌道統制統合艦隊の情報網なのかもしれないが」

「イシュー家だよ。何だかんだと、イシュー家はセブンスターズの席次1位なんだ。そうである以上、家の持つ能力も高い」

「そうか。なら、カルタには感謝しておくよ」

 

 一瞬、感謝の印としてマクギリスとのデートをセッティングしようかと思ったが、すぐに止める。

 以前カルタに初めて会った時のやり取りで、カルタがマクギリスを好きなのは俺も知っている。

 だが同時に、マクギリスがガエリオの妹と婚約を結んでいるのも知っていた。

 もっとも、その婚約が政略結婚的な意味を持たせる為にイズナリオが進めた話なら、イズナリオが失脚したんだし、婚約破棄になってもおかしくはない。

 ないのだが……以前の一件でのガエリオの様子を見る限り、マクギリスとガエリオの妹はそれなりに良好な関係を築いているのは間違いないだろう。

 そうなると、こっちが無理にカルタとマクギリスのデートをセッティングするのは、寧ろカルタにとって残酷だろう。

 となると……誰か別の男でも紹介するか?

 その辺は今度カルタと会う機会があったら聞いてみるとしよう。

 そんな風に思いながら、ガエリオとの話を終える。

 ガエリオは部下と共に宇宙港を出発し、俺もまたグランに向かう。

 

「断ったのは聞いていたが、本当によかったのか?」

「構わない。ボードウィン特務三佐にも恩はあるが、向こうには俺よりも有能な人達が揃っているだろうし」

 

 アインが俺の言葉にそう返すが……どうだろうな。

 言ってる内容は間違っていないのだろう。

 だが、マクギリスの派閥は決して大きくはない。

 ……セブンスターズのうち、3つの家がその派閥にいるのだから規模としては間違いなく大きいのだろうが。

 ただ、対抗馬であるラスタルが強すぎる。

 エリオン家の当主であり、アリアンロッド艦隊というギャラルホルンの最精鋭を自由に使えるというのは、非常に厄介だ。

 マクギリスもそれに対抗するべく、地球外縁軌道統制統合艦隊を手に入れたが……質も数もアリアンロッド艦隊に劣っているのは間違いない。

 そのような状況だけに、ガエリオがアインに戻ってきて欲しいと思うのは理解出来た。

 本人にそのつもりがないようだったので、これ以上はその件で突っ込んだりはしないが。

 

「そうか。なら、シャドウミラーで存分に働いてくれ」

「……アクセルにそう言われると、やる気がなくなるな」

「おい」

 

 アインの言葉に思わず突っ込む。

 とはいえ、それも無理はないのかもしれないが。

 アインにしてみれば、シャドウミラーにいるのはあくまでもクランクがいるからだ。

 それと、さっき言ってたようにサヴァランの存在か。

 もしその2人がいなければ、恐らくアインはガエリオの言葉に頷いていただろう。

 ……そもそもその2人がいなければ、アインがシャドウミラーに所属するという事そのものがなかったのだろうが。

 そんな風に考えつつグランに到着し、乗り込む。

 アインは何かあった時の為にパイロット控え室に向かい、俺はブリッジに向かう。

 

「遅かったわね」

 

 艦長席に座っているシーラと話していたマーベルが俺に気が付き、そう言ってくる。

 とはいえ、別に責めているといった様子ではない。

 単純に、遅いと思ったからそのように言った……そんな感じか。

 

「ガエリオとちょっと話をしていたしな。それで、出発の許可は出たのか?」

「ええ。後はアクセルが指示を出せば宇宙港から出発します」

 

 シーラの言葉に頷き、なら早速出発するように言おうとしたところで……

 

「アクセル、一応出発前に演説……という程に大袈裟ではないですが、他の艦にも声を掛けてみたらどうです?」

 

 何故かそう言ってくるシーラ。

 その手の演説は苦手なのだが……半ばシーラに押し切られるように、演説をする事になる。

 そんな訳で、俺はブリッジで通信機を手に、口を開く。

 

「シャドウミラーのアクセル・アルマーだ。この通信はシャドウミラーと鉄華団に繋げている」

 

 実際にはタービンズのハンマーヘッドにも繋げていたりするのだが、それは言わないでおく。

 

「俺達は大きな依頼を達成した。だが同時に、それによってギャラルホルンの一部を敵に回してもいる。その為、利益は大きいが危険も大きい。それは先程のシャトルの一件でも分かっているだろう。だからこそ、火星に戻るまで決して気を抜かないように」

 

 短いが、取りあえず演説はこれで終わりとし、出発するように指示を出すのだった。

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