アリアンロッド艦隊から上げられたのは、撤退を意味する発光信号。
その発光信号を確認したMS隊は、即座に戦闘を止めて母艦に向かって撤退していく。
向こうにしてみれば、当初予想した以上にMSに……そしてMSを操縦するパイロットが被害を受けた事で、これ以上の被害は避けるべきだと判断したのだろう。
それは分かる。分かるが……
「だからといって、見逃すとでも?」
グシオンの推進剤はまだそれなりに残っているので、そちらの心配はしなくてもいい。
推進剤を全開よりは少し抑えめにして、敵を追う。
「直撃」
精神コマンドの直撃を使い、ライフルを撃ち……MS隊の最後尾にいたグレイズがコックピットを貫かれる。
そのまま続けて精神コマンドの直撃を使い、3機を撃破する。
MS隊も、撤退する時は当然のように追撃を受けないように警戒はしていたのだろう。
しかし、それでもやはり自分達が撤退をするのだから、俺達が追撃をしてくるとは思っていなかったらしい。
ギャラルホルンの、それも最精鋭と呼ばれる部隊にしてみれば、随分と甘いとしか言いようがない。
あるいは、アリアンロッド艦隊は強者だけに海賊やテロリストを相手に撤退するという事は今までなかったのかもしれない。
……それでも撤退の訓練くらいはしていてもおかしくないと思うんだが。
そんな疑問を抱きつつ、グレイズとの間合いを詰める。
追撃をしてくるグシオンの姿に、そして撤退中に仲間が撃破され、動揺した様子を見せるMS隊。
俺を前にそんな動揺をするのは、どうしようもない失策だ。
それを教える為に、口を開く。
「加速」
精神コマンドの加速を使い、一気に距離を詰める。
そしてハルバードを振るい、動揺したグレイズのコックピットを次々に破壊していく。
1機、2機、3機、4機、5機。
6機目のグレイズを狙おうとしたところで、他のグレイズも動き出す。
……ただし、攻撃をするのではなく、一目散に逃げ出すという感じだ。
先程までは多少なりとも後方を……追撃を警戒するような様子を見せていたものの、その警戒を完全に捨てての逃走。
まさに脱兎という表現が相応しい。
「さて」
とはいえ、そんなウサギをわざわざ逃がすつもりもない。
……ただ、隊列を考えず好き勝手な方向に逃げ出したとなると、追う方としては面倒だ。
それに……
「っと」
MS隊が一斉に逃げた事でグシオンとの間合いが開き、それを見て取った軍艦がMS隊を援護する為に艦砲射撃をしてきたのだ。
勿論、そんな攻撃にわざわざ命中するつもりはないので、あっさりと回避するが。
だが、そうして回避したところで、MS隊との距離が開く。
さて、一体どうするか。
いっそ、戦艦を撃破するか。
もしくは拿捕して俺達が運用するというのも面白い。
そう思っていると……
『アクセル、何をやってるんだい!』
何故かアミダが怒りながら通信を送ってくる。
ここまでか。
まだもう少し頑張れるような気もするが、そこまで無理をする必要もないだろう。
何だかんだで、結構な数のMSを撃破した。
これだけのグレイズを入手出来たのだから、修理すれば結構な財産にはなるだろうし、マクギリス達に対する援護としても十分だろう。
「分かった、戻る。……推進剤にまだ余裕があったし、ライフルも敵のを使えばどうとでもなる。もう少しやれたんだけどな」
『あんたねぇ……まぁ、アクセルに常識を期待するのは無理だったね』
呆れた様子のアミダ。
それについては色々と言いたい事がない訳でもなかったが、実際にそれを言えば、それはそれで面倒な事になりそうなので止めておく。
「ともあれ、これで戦いは終わりと思っていいんだな? ……俺が追撃をするのを止めたら、戦艦からの艦砲射撃も終わったし」
『そりゃそうだろうね。追撃をしてこなくなったんだから、わざわざあんたみたいなおかしい奴を刺激するような事をしようとは思わないだろうね』
「おかしい奴って表現はどうなんだ?」
『あのね……アクセルは自分の行動を思い返してみた方がいいんじゃない?』
心の底から呆れたといった様子でアミダが言ってくる。
これについては他の者の意見も聞きたいところだが……今はいいか。
今の状況ではまずやるべき事がある。
「色々と言いたいが、まずは撃破したMSの回収だ。大量のグレイズが入手可能だから、それに不満はないだろう?」
アミダもその言葉には反対しない。
俺に向かって誤魔化したなといったような視線を向けてはきたが。
そんな様子はスルーして、グランのシーラに通信を送る。
「シーラ、撃破したグレイズを確保するから受け入れの準備を頼む。イサリビとハンマーヘッドにもその辺りの連絡を頼む」
『それは構いませんが、アクセルの空間倉庫を使わなければどうにもならないでしょう』
「だろうな。それに……死体の件もある」
コックピットを潰されて死んだ以上、基本的にそのパイロットの死体は結構な損害を受けている筈だ。
場合によっては、原型を留めていなかったりしてもおかしくはない。
しかし、それでも死体は死体だ。
それもただの死体ではなく、ギャラルホルンの中でも最精鋭と呼ばれるアリアンロッド艦隊のMSパイロットの死体。
実力重視であると同時に、相応の家格の者もいるだろう。
もしくは、精鋭という事はそれだけ訓練が厳しい訳で、そうなると厳しい訓練を経験した者同士という事で、仲間意識が高いかもしれない。
そういう者達にしてみれば、例え死体であっても粗雑に扱われたりすれば、こっちを恨むようになるだろう。
とはいえ、こっちからアリアンロッド艦隊に連絡をして死体を譲渡する訳にもいかない。
そんな時に頼れるのが、マクギリス達だ。
正確にはマクギリスの派閥だな。
マクギリス達にしてみても、アリアンロッド艦隊に死体を渡すという行為は……どうだろうな。喜ばれるか、死体を取引材料にしたと怒り狂うか。
ともあれ、マクギリスならその辺を上手くやれそうだろう。
アリアンロッド艦隊に対する……ラスタル・エリオンに対する貸しとして。
セブンスターズのエリオン家の当主であるラスタルにしてみれば、自分の部下の死体を取り返して貰ったのだから、その借りを返さないという事はないだろう。
もしそのような事をすれば、ラスタルのカリスマ性が落ちる。
後はマクギリスがその貸しをどうやって返して貰うかを考えるだろう。
そして俺は俺で、マクギリスに貸しを作る事が出来る。
まさに、Win-Winの関係と言っていい。
……まぁ、これだとラスタルが一方的に損をしてるが。
何しろアリアンロッド艦隊が受けた被害は大きい。
ドルトコロニーの一件に続き、今回の一件で多数のMSを失い、パイロットも失っている。
せめてもの救いは、今回は戦艦を失わなかった事か。
とはいえ、MSのパイロットというのは育てるのにかなりのコストが必要となる。
阿頼耶識が使えればそうでもないんだろうが、ギャラルホルンで阿頼耶識というのは嫌悪されているだけに、それは無理だろうし。
それはガエリオが火星で三日月達に見せた態度から明らかだろう。
もっとも、その辺は人によるのかもしれないが。
鵬法璽で俺に絶対服従を誓っているクランクはともかく、鵬法璽を使っている訳でもないアインも阿頼耶識を使う者達を見てもそこまで拒否反応を表さなかった。
あるいは内心では色々と思うところがあるのかもしれないが、それを表に出す事はなかった。
それが、火星出身だからと言われれば、そういうものかもしれないと思うが。
『死体はアクセルが?』
「ああ。空間倉庫に入れておけば腐ったりはしないしな」
『分かったわ。ただ、そうなると別々の艦にMSを運び込む必要はないわね。アクセルがいる場所に持っていけばいいわ。誰が倒したのかは、MSに軽く印でも付けておけばいいでしょう』
腐敗させない為の装置とかもあるのだろうが、生憎とシャドウミラーにはそういうのはない。
元々がCGSという零細企業だった鉄華団もそれは同様だろう。
他に考えられるとすれば、タービンズか?
MSを独自開発――エイハブ・リアクターは現存の物を使うしかないが――するだけの技術力を持つテイワズ系列の組織であるタービンズなら、あるいはそういう装置を持っているかもしれないが……それだって数は限られている筈だ。
俺が倒した分でも20機くらい。他の者達が倒したのを合わせると、全部でどれくらいの死体が今の戦いで生み出されたのか、分からない。
もし死体を腐敗させない装置があっても、全員分をとなるとまず無理だろう。
あるいは、MSパイロットの中でもセブンスターズに連なる血筋だとか、そういう繋がりのある者達の死体なら、そのような装置を使ってもいいのかもしれない。
問題は、コックピットを潰された死体が五体満足……とまではいかずとも、無事に人の身体を保っているかどうかだ。
考えるのはあまり気が進まないが、それこそ肉片とかになっている可能性も十分にあった。
それでもパイロットスーツであったり、持ち物からその肉片が誰なのかというのは分かるので、全く無意味という訳でもないのだが。
『分かりました。では、そのように』
そうして話が決まると、鉄華団とタービンズにもそれぞれ連絡をしてMSの回収に移る。
ちなみMSの中には手足が破壊されているのもあったが……そういうのも、予備部品用に使えるのは間違いないので、確保していく。
もっとも、俺はすぐにMSの回収ではなく、回収したMSを空間倉庫に入れるという仕事に回されたのだが。
これは仕方がない。
空間倉庫を使えるのは俺しかいないのだから。
仕事をしている面々にしてみれば、自分達が仕事をする為には俺にしっかりと働いて貰う必要がある。
そして思ったのは、シーラの言うようにMSを持ってくる場所を一ヶ所にしておいてよかったという事だ。
……もっとも、それはつまりシャドウミラー、鉄華団、タービンズの全てがMSの残骸を一ヶ所……具体的にはグランに運んで来るという事で、俺はかなり忙しかったのだが。
せめてもの救いは、空間倉庫に収納するには俺が手で触れればいいというだけだろう。
持ってきたMSの残骸に、次々と触れては空間倉庫に収納していく。
『アクセル、ちょっといいか?』
撃破したグレイズを空間倉庫に収納すると、そのグレイズを持ってきたシノがそう声を掛けてくる。
「どうした?」
『いや、実は……さっきのアリアンロッド艦隊だったか? その連中のシャトルっぽいのがいたんだけど、どうすればいい? 撃ち落とせばいいとか?』
「それは……どうだろうな」
もしシノが言うように本当にそのシャトルがアリアンロッド艦隊の所属だとすれば、何をしに来たのか。
真っ先に考えられるのは、戦闘が終わったのに俺達が何故まだこの宙域に留まっているのかを疑問に思ってとか?
もしくは、撃破されたMSを回収しようとしたのか。
実はアリアンロッド艦隊とは全く関係のないシャトルだという可能性もある。
「その辺についてはオルガを通じて名瀬に聞いてみてくれ」
それが一番手っ取り早い。
俺やシーラは元々このオルフェンズ世界以外の世界から来たのだ。
それなりにこのオルフェンズ世界にいるので、ある程度の常識とかは分かるようになったが、それでも分からないといった事があってもおかしくはない。
オルガも、CGSを乗っ取って鉄華団を作ったが、CGS時代は実働部隊の隊長でしかなかったし、そもそもCGSが零細……とまではいかないが、そこまで大きな会社ではなかったので、ギャラルホルンとかと関わるような事はなかったらしい。
そうなると、一番ギャラルホルンについて詳しいのは、テイワズ傘下であるタービンズの面々だ。
もし本当にアリアンロッド艦隊のシャトルが来ているのなら、それについて名瀬が色々と話を知っていてもおかしくはない。
『分かった。じゃあ、オルガに伝えておくよ』
シノはそう言うとすぐにイサリビに向かう。
早速オルガを通して名瀬に情報を知らせに行ったのだろう。
さて、そのシャトルがどういう存在なのかはちょっと気になるが、今はこっちだな。
シノと入れ替わるようにグレイズがグレイズを持ってくるのを見て、そっちに向かう。
……それにしても、俺が言うのも何だけどギャラルホルン以外でここまでグレイズを使っているのは、俺達だけだろうな。
グレイズだらけの中、だからこそバルバトスや百里は目立つ。
俺のグシオンもいれば目立っただろうが、今はもう格納庫で整備や補給を受けているし。
ちなみに要望としてもっと弾丸の多い銃火器が欲しい。
具体的には、UC世界のザク改が持っているマシンガンとか。
俺の場合は精神コマンドの直撃を使えばMSであっても一撃で撃破出来るので、弾丸の威力よりも数が重要なのだ。
後でメカニック達にちょっと頼んで、そういう射撃武器を用意して貰うか。
そんな風に思いながら、俺は作業を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:45
PP:625
格闘:313
射撃:333
技量:323
防御:323
回避:353
命中:373
SP:3003
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1983