転生とらぶる2   作:青竹(移住)

1309 / 2196
4005話

 MSの回収がもう少しで終わるという時に、動きがあった。

 

「アクセル、ジャンマルコだったかしら。その人から連絡があったようですよ」

 

 グランの格納庫にいる俺に、クーデリアがやって来てそう言う。

 その内容は驚きだったが、同時にそれならわざわざ伝言をしに来なくても、ブリッジから通信で知らせてよかったんじゃないかとも思う。

 もっとも、クーデリアの様子を見れば嬉しそうなのでそれを指摘するつもりはないか。

 クーデリアにしてみれば、俺は初めて出来た恋人だ。

 そうである以上、俺とイチャつくのを楽しみにしてもおかしくはない。

 ……そんなクーデリアの後ろで、普段冷静で表情を変える事がないフミタンが、どこか微笑ましそうな目で見ているのが気になったが。

 それにしても……

 

「ジャンマルコが?」

「はい。アクセルを呼んできて欲しいと」

「タイミングが良いのは間違いないけど……丁度MSの回収が終わる時にか」

 

 もしかしたら、さっきシノが見たというシャトルはアリアンロッド艦隊じゃなくてジャンマルコ……もしくはタントテンポの所属だったのかもしれないな。

 にしても、地球に降りる前に会った時には忙しくなるから暫く連絡が出来なくなるとか言っていたと思うんだが、その忙しいのはもう解決したのか?

 それについては、通信で直接聞いてみればいいか。

 

「とにかく、ブリッジに行くか。……おい、追加でMSを持ってくる奴がいたら、格納庫に置いておくように言ってくれ。もう大体終わったから、残りのMSの残骸が格納庫に入らないって事はないだろうし」

 

 近くにいたメカニックにそう指示を出すと、俺はクーデリアとフミタンと共にブリッジに向かう。

 途中で何人かのクルーと会うが、俺を見ると緊張した様子を見せていた。

 何だ? あそこまで緊張されるような事は……いや、アリアンロッド艦隊との戦いでか?

 そうも思ったが、改めて考えてみると今までにも同じように敵を蹂躙するといった事はしている。

 なら、別にそこまで緊張しなくても……と思うのだが。

 まぁ、その辺は気にしても仕方がないか。

 俺を恐れるという事は妙な考えを抱いたりはしないという事でもあるだろうし。

 ……恐れすぎて暴走するとか、そういう感じにならないといいんだが。

 そんな風に思っている間に、やがてブリッジに到着する。

 

『へぇ、ならアーブラウとの件は上手くいった訳だ。情報は入ってきていたが……ああ、アクセル。どうやら大暴れしたみたいだな』

 

 シーラと通信で話していたジャンマルコが、映像モニタ越しに俺を見つけてそう言ってくる。

 シーラの方を一瞬だけ見ると……予想外の事に、薄らと笑みを浮かべていた。

 ジャンマルコとシーラの相性は決して良くないと思っていたんだが、こうして見る限りではどうやらそういう訳でもないらしい。

 もっとも、実はシーラが笑みを浮かべていても目が笑っていないとかだったら……うん。どうやらそういう感じでもないらしいので、構わないが。

 

「大暴れって……じゃあ、シャトルを送ってきたのは、やっぱりお前か?」

 

 シノが見つけたというシャトル。

 アリアンロッド艦隊との戦いが終わってすぐだったので、てっきりアリアンロッド艦隊に所属するシャトルかと思っていたんだが、俺の戦いについて知っているとなると、あのシャトルはやっぱりジャンマルコの物だった可能性が高い。

 

『ああ、そうだ』

 

 そしてジャンマルコは特に隠したりする様子もなく、あっさりと俺の言葉に頷く。

 

「地球に降りる前には、忙しくなるからとか言ってなかったか?」

『そのつもりだったが、アクセルが暴れた影響がこっちにも来てな』

「……俺達の?」

 

 アーブラウの一件とタントテンポがどう関係する?

 そう思ったが、アーブラウではなくギャラルホルンの一件が関係しているのか?

 タントテンポの拠点はアリアンロッド艦隊の拠点の側らしいし。

 そしてアリアンロッド艦隊が俺達と戦って受けた被害は大きい。

 とはいえ、この場合の被害というのは今の戦いについてではない筈だ。

 それだとジャンマルコの動きが早すぎるし。

 だとすれば……

 

「アリアンロッド艦隊が俺達を狙うという情報を知っていて、様子を見ていたのか?」

 

 そう聞くと、ジャンマルコはそっと視線を逸らす。

 それを見れば、俺の言葉が正解だった事は考えるまでもない。

 

「情報を持っていたのなら、それをこっちに知らせるくらいはしてもよかったんじゃないか?」

『こっちにも色々とあるんだよ。特にアリアンロッド艦隊とはな』

 

 少しだけ困った様子を見せるジャンマルコ。

 この辺については、これ以上突っ込まない方がいいか。

 ジャンマルコが言ってるように、実際にアリアンロッド艦隊との関係があってそういう風にするのなら、それはそれで仕方がない。

 シャドウミラーはギャラルホルンに正面から喧嘩を売ってるものの、それはシャドウミラーだからだ。

 鉄華団もそうするしかないというのを知っているし、シャドウミラーと一緒ならという事でそういう対応をしている。

 タービンズは、自分達の行動が知られると不味いので、表に出ないようにしている。

 ……まぁ、今回のアリアンロッド艦隊の戦いでシャドウミラーや鉄華団と一緒にいたのを見られている以上、その辺はもう手遅れかもしれないが。

 ともあれ、そんな風な俺達とは違い、タントテンポは月を拠点にしている組織だ。

 勿論実際には本当の月という訳ではなく、月の近くにあるコロニーという意味だが。

 何しろこのオルフェンズ世界の月は、厄祭戦の影響で壊れているし。

 ちなみにこの月について、三日月とアトラがちょっと良い雰囲気になっていたらしいが……うん。まぁ、その辺については詮索しないでおいてやろう。

 ここで詮索をしたりしたら、それはそれで面倒な事になりそうだし。

 ともあれ、タントテンポはアリアンロッド艦隊とどうしても近い存在なのだ。

 それならいっそ、別の場所に本拠地を移せばいいと思うんだが、そう出来ない何らかの理由があるのだろう。

 その理由については、もし俺が聞いても恐らくジャンマルコは話さないだろうが。

 

「話は分かった。……それで、連絡をして来た理由は? 戦いを見ていたのなら分かると思うけど、もう戦いそのものは終わってるし、後片付けも大体終わってるぞ」

 

 撃破したMSの残骸とかも大部分は既に空間倉庫に収納している。

 残りはそれこそ格納庫に入るくらいのものでしかない。

 こうして俺がジャンマルコとの通信をしている間にも運ばれており、この通信が終わった後で格納庫に行けば、既にもうMSの残骸の収集は終わっているだろう。

 

『安心しろ。別に俺もそういうつもりで通信を送った訳じゃないからな。……MSを買わないか?』

「……は?」

 

 いきなりの言葉に、そんな声が漏れる。

 いやまぁ、言ってる事は分かる。分かるのだが……まさか、そのような事を言われるとは思ってもいなかったのだ。

 

「何だって急にそんな事を?」

『アーブラウ軍を作るのに、MSは必要だろう?』

「……まぁ、それを知っていても別に驚かないが」

 

 一応まだその件については極秘の筈なのだが、アリアンロッド艦隊と深い関係にあり、月という地球から近い場所に本拠地を持っているタントテンポにしてみれば、地球の極秘情報を入手する手段があってもおかしくはない。

 とはいえ、後で一応蒔苗にその辺についての話はしておいた方がいいだろうな。

 恐らく蒔苗の近くにタントテンポに情報を流した者がいるという事だろうし。

 もしくは、本人はタントテンポに情報を流したという意識がないのかもしれないが。

 酔っ払ったりした時に口にした言葉を聞いた者がタントテンポに情報を流したという可能性もあるし。

 

『で? どうだ?』

「そう言われてもな。そもそも、ジャンマルコは俺からMSを買っていただろう? なのに、俺にMSを売るのか?」

 

 俺の言葉に、ブリッジにいた面々が頷くのが見えた。

 俺とジャンマルコの付き合いは古い……訳ではないし、そこまで濃い訳でもないが、それでもそれなりのものがある。

 何しろグレイズを売ったりもしたしな。

 だが、ジャンマルコは俺の様子に指を振る。

 

『チッチッチ。俺がアクセルから買ったのは、エイハブ・リアクターとかグレイズとかだろう? そういうのはそう簡単に入手出来る物じゃないからな。買える時に買うのは当然だ』

「つまり、最新鋭じゃないMSなら取り扱っていると?」

『そうなるな。ゲイレールとかは数を揃えるのはちょっと難しいが、ロディ・フレームやヘキサ・フレームのMSなら結構な数を用意出来る。もっとも、それを用意するのは俺じゃないが』

 

 そう言うジャンマルコの言葉に、そういえば……と思い出す。

 確かジャンマルコはタントテンポの中でも流通を任されている幹部だった筈だ。

 商品を……それもMSを多数用意するとなると、それは別の幹部の仕事となるのだろう。

 

「話は分かった。だが、こっちにも色々とMSを仕入れる当てがあるから、すぐに返事は出来ないな」

 

 ノブリスを締め上げて、持っているMSやMWを出させる。

 足りなければ財産を出させて、それで買う予定となっていた。

 そのMSも、もし買うのならテイワズから買おうと思っていたし。

 大きな組織で安心感があるというのも大きい。

 また、テイワズはシャドウミラーと同格の組織となっている点も大きいだろう。

 普通なら、シャドウミラーのような出来たばかりの組織がテイワズのような大きな組織と同格という事はまずない。

 あっても精々、テイワズ傘下の組織と同格といったところか。

 マクマードが俺の危険性を見抜いたが故の英断。

 ……もっとも、JPTトラストやジャスレイのような不安要素もあるのだが。

 とはいえ……ここでタントテンポと繋がりを作っておくのも悪くないのは事実。

 これから軍事顧問としてアーブラウで活動すると考えると、地球で使えるコネは多い方がいいだろうし。

 もっとも、これについては鉄華団……オルガとしっかりと相談して決めた方がいい。

 もしここで勝手に決めても、オルガは怒ったりしないだろうが。

 何だかんだと、兄貴分として俺を慕っているし。

 だからこそ、何かがあった時の為にもしっかりとオルガと相談をする必要がある。

 

『そうか? それなりのMSをそれなりの値段で売るんだがな』

「軍事顧問の件は、シャドウミラーだけで受けた仕事じゃない。そうである以上、俺の独断で決められる訳でもないんだよ」

『分かったよ。けど、今回の件はアクセルにとっても悪くない事だと思うから、前向きに考えてくれると助かるな』

 

 うん? 何だ? 何かこう……出来るだけ早く俺にMSを売りたいと、そういうように見える。

 あるいは俺の気のせいかもしれないが。

 まぁ、俺達にしてみれば決して悪い話じゃないから、別に構わない。

 多分だが、以前に言っていた忙しくなるというのが影響してるんだろうけど。

 

「まぁ、期待しないで待っていてくれ」

『期待して待ってるよ』

 

 そう言い、通信が切れる。

 いや、期待しないでくれって言ったのに、期待しているっていうのはどうなんだ?

 ジャンマルコの性格を考えると、そういうものだと思うしかないのかもしれないが。

 

「さて、ジャンマルコとの通信も切れたし、俺は格納庫に戻ってくる。撃破したMSが運び込まれているだろうし」

「分かりました。こちらは出発の準備をしておきましょう。どのようなルートを通るか、相談しておく必要もあるでしょうし」

 

 シーラにしてみれば、グランの艦長としてその辺についてしっかりと考えておく必要もあるのだろう。

 

「そう言えば、アリアドネは使えるのか?」

 

 ギャラルホルンが管理をしている、一種の灯台に近い存在。

 俺達が火星から地球に来た時は、ギャラルホルンと敵対してたのでそれを使う事は出来なかった。

 しかし、今は違う。

 アリアンロッド艦隊と敵対したという点では大きなマイナスだったが、マクギリスとは半ば協力関係になったし。

 そうなると、アリアドネのある航路を使えてもおかしくはない。

 高密度デブリ帯はシャドウミラーにとって勝手知ったるという場所ではある。

 あるのだが、それを考えてもアリアドネのある航路を通った方がどうしても早く火星に到着するのも事実。

 何しろ、ギャラルホルンがアリアドネを設置していくのは、地球と火星を結ぶ最短で安全な航路なのだから。

 なら、早く火星に戻りたいのならアリアドネのある航路を通った方がいい。

 高密度デブリ帯だと、海賊が出る可能性もあるしな。

 もっとも海賊が出たら出たで、MSとか軍艦とかをゲット出来るという事でもあるのだが。

 アリアドネの航路を通れば、海賊は出ないものの、MSとかを入手出来なくなるという事を意味している。

 どちらにしろ、メリットデメリットがある訳で、どちらを選ぶのかはしっかりと話し合って決める必要がある訳だ。

 ……シーラにはその辺について他の面々と相談して貰う必要があった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。