転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4014話

「結局MSはスピナ・ロディとユーゴーがメインになったか」

「……これだけの数を揃えるのは大変だったんだがな」

 

 巨大な……それこそどこまでも広がっているような倉庫に中に並んでいるスピナ・ロディとユーゴーを見ながら、ノブリスと会話をする。

 ちなみにどちらも30機ずつで、合計60機。

 うん……まぁ、ブルワーズが所持していたMSの数を考えると、確かにこれだけのMSを用意出来たのは素直に凄いと思う。

 実際、このMSや他にもMWや各種武装や予備パーツを集めた事によって、ノブリスの資産は大幅に目減りした筈だ。

 寧ろ俺達が火星に戻ってきてから4ヶ月でこれだけのMSを用意出来たのは素直に凄い。

 とはいえ、これが俺達を騙して利用しようとした落とし前である以上、MSとかを揃えられなかったら、どんな目に遭っていたのかは分かりやすいだろう。

 もっとも、正直なところこれだけのMSを集められるというのは予想外だったが。

 武器商人としてのノブリスの底力を思い知らされた形だ。

 多分、今回の件で以前よりも武器商人として大きくなるんだろうな。

 それは別に構わない。

 俺達としても、武器の調達ルートは多い方がいいし。

 それに俺達を下手に利用しようとした場合、どうなるのかは身を以て思い知った筈だ。

 1度目はこの程度で許したが、2度目となれば今度こそ命はない。

 それを教える為に、今日はこうしてノブリスをこの倉庫に呼んだんだし。

 

「それで、アクセル。これだけのMSを運ぶには輸送船がそれなりに必要な筈だが、どうするのだ?」

「俺が持っていく」

「……どういう意味だ?」

 

 理解出来ないといった様子で俺を見るノブリス。

 まぁ、普通に考えればそういう風になってもおかしくはないが。

 

「そうだな。それを教える前に……ノブリスも俺達に襲撃されてから、それなりに時間が経っている。そうなると、俺に対する恐怖の類が薄れてきているかもしれないな」

「……は? いきなり何を言う? そもそも、あの扉を素手でどうにかしたのを見て、その恐怖を忘れるとでも思っているのか?」

 

 そう言いながらも、こちらに向けてくる視線に恐怖の色はないように思える。

 うーん、これはどうなんだろうな。

 本気でこのように言ってるのか、もしくは表向きそうしているだけなのか。

 もっとも、今この状況でやる事は変わらないんだが。

 

「そうだと嬉しいんだが……まぁ、それでも念の為だな。ノブリスの場合は放っておけば俺達を何か利用しようとしたりしかねないし」

「……」

 

 俺の言葉に無言で返すノブリス。

 その沈黙は、絶対にそういう事をしないと考えているのか、あるいは図星だったからか。

 ともあれ、やるべき事は変わらない。

 

「例えばだ。……今お前が口にしたみたいに、重機関銃の弾丸であっても傷を付ける事も出来ないような金属の扉を、素手で破壊するような者が普通の存在だと思うか?」

「義手」

 

 短く言うノブリスだったが……ああ、なるほど。そういう方面で考えたか。

 いやまぁ、実際にそれも悪い選択ではない。

 このオルフェンズ世界の技術力は高いしな。

 例えば、ギャラルホルンなら生身の腕そのままという外見の義手を作るようなことが出来てもおかしくはない。

 ……とはいえ、ギャラルホルンにしてみれば身体に人工的な物をつけている時点で気持ち悪いという扱いなので、生身に見えるとはいえ、義手を使うような事はないような気がする。

 いや、あるいはそういう風に世論を形成したからこそ、義手に見えないように生身にしか見えない義手を作っているという可能性もあるのか。

 ともあれ……

 

「外れだ。俺の腕は普通に生身だよ。そして、金属の扉を毟ったりするだけじゃなくて……こういう事も出来たりする」

 

 そう言い、近くにあったスピナ・ロディに触れると……空間倉庫に収納する。

 

「……は?」

 

 ノブリスがたっぷり1分は沈黙した後で、そんな声を漏らす。

 一体何が起きたのか、理解出来なかったんだろう。

 あるいはこれで、ここにMSを運び込んだのが俺であれば、何らかの手品の種を用意していたとか、そういう風に思ったかもしれない。

 だが、この巨大な倉庫はノブリスの持ち物だし、この倉庫にMSやMW、各種武器や予備パーツを用意したのも同様にノブリスだ。

 どうしても疑いたいのなら、幾らノブリスであってもこの巨大倉庫のような建物を幾つも持ってる筈もない――それでも複数持ってる辺り、さすがだが――ので、ここにMSを集めると予想して何らかの手品の種を仕込んでおいたとか、そういう感じに予想する事も出来ない訳ではないが。

 だが、そこまでの事をして自分を騙してどうするのか。

 それこそ、何の為にそのような事をするのかと言われれば、ノブリスもそれに答える事が出来ない。

 

「ノブリスくらいに長く生きてるのなら、こう言えば分かるか? 俺は魔法を使える」

「……は?」

 

 数秒前と全く同じ言葉を発するノブリス。

 しかし、それも当然だろう。

 ノブリスの常識からすれば、魔法というのはあくまでも空想上のものでしかないのだから。

 

「つまり、お前の屋敷にあった地下シェルターの扉をどうにかしたのも魔法だ」

 

 実際には違うのだが、そうしておいた方がノブリスにとっては分かりやすいだろう。

 それに……重機関銃の弾丸でもどうしようもない扉を、俺は素手でどうにかした。

 そして混沌精霊の俺の身体は魔力で出来ている。

 つまり、あの扉を開けたのも魔力だと考えれば……あれもまた魔法だと言っても、決して間違っている訳ではない。

 かなり無理矢理というか、屁理屈というか、トンチというか……そんな感じの理屈だが。

 

「……は?」

 

 三度同じ言葉を口にするノブリス。

 そろそろ正気に戻って欲しいところだ。

 ともあれ、ノブリスが正気に戻るまでの間、俺は格納庫にあるMSやMW、各種予備部品、武器、弾薬といった諸々を空間倉庫に収納していく。

 さすがやり手の武器商人と言うべきか、弾薬とかはコンテナや木箱に詰め込まれ、収納するのも楽だった。

 これが1箱ずつとか、それこそ個別に置かれていたら、空間倉庫に収納するのに全て触らなければならなかったのだが、そういう手間が省けたのは楽だった。

 そうして1時間前……いや、30分前には大量のMSとかがあった倉庫は、綺麗さっぱりと何もなくなる。

 収納が終わってノブリスの近くまで戻ってくると、ノブリスは理解出来ない何かを見ているような視線を俺に向けていた。

 

「どうした? 魔法があるのは今のやり取りで理解出来ただろう?」

「何故……魔法? いや、だが……本当にそのようなものが……しかし、目の前で見せられてしまっては……」

 

 先程よりはマシだったが、ノブリスは自分を納得させるように口の中で呟いていた。

 それだけノブリスにとって魔法というのは埒外の存在だったのだろう。

 これはちょっと予想外だったな。

 ノブリスの事なので、魔法とかもあっさりと受け入れるとばかり思っていたんだが。

 意外に頭が固いんだな。

 

「ほら、いい加減に正気に戻れ。いつまでもこのまま呟いてるつもりか?」

 

 パン、と。

 軽くだがノブリスの頬を叩く。

 拳ではなく掌……いわゆるビンタだったのは、感謝して欲しいところだ。

 その一撃でノブリスも我に返り……

 

「アクセル……魔法などというものが存在するのか?」

「自分の目で見ただろう。この倉庫の中を見てみろ」

「……むぅ」

 

 空っぽになった倉庫を見て、ノブリスが喉の奥で唸る。

 ノブリスにしてみれば、一体何がどうなっているのか全く理解出来ないといったところか。

 それでもそういうものだと理解して貰うしかないが。

 

「自分の目で見た光景を信じられないなんて事はないだろう?」

「魔法というのは、どういうものだ?」

「魔力を使って超常現象を起こす行為だな」

「一体どこで習得出来る?」

「さて、どこだろうな」

 

 ホワイトスターでエヴァに鍛えて貰えば恐らくは魔法を習得出来ると思う。

 ただし、エヴァの訓練に耐えられればだが。

 

「なるほど、それを教える気はないと。……これだけの能力を持っているのだから、それは当たり前か」

 

 いや、違うが。

 もっとも、ノブリスに対してそこまで大きな情報公開をするつもりはない。

 場合によっては、その情報をギャラルホルン……しかもマクギリスとかじゃなくて、ラスタル・エリオンの方に流したりしかねないし。

 そうなったら……いやまぁ、魔法についてはこのオルフェンズ世界においては何だかんだと結構な者達に教えているので、そうである以上はいつかその情報が漏れるのは当然だろうが。

 特に一番怪しいのは、やっぱり地球にいた時にアーブラウの全体会議にどうやって蒔苗が出席したかについてだろう。

 イズナリオの指示によって、蒔苗のいた島はギャラルホルンの軍艦によって完全に封鎖されていた。

 そんな中、どうやって島を抜け出してカナダにあるエドモントンまで行ったのか。

 それを疑問に思う者は多いだろうが、俺が魔法を使えると知れば、それと蒔苗の一件を繋げる者が出て来てもおかしくない。

 ……いや、その前に火星でギャラルホルンの基地からグレイズとかMW、それ以外にも武器弾薬に予備パーツを盗み出した一件があったな。

 あの一件がどうなっているのかは、今はちょっと分からない。

 あるいはあの一件についても、魔法について疑われる可能性はあるな。

 だからといって、具体的にどうなるという訳でもないのだが。

 

「ノブリスがどういう風に思うのかは、ノブリスが決めればいい。……ただ、俺に魔法という、普通では考えられない力があって、そして俺はノブリスがどういう行動をしてるのかを探っている。そう思えばな」

 

 敢えて魔法については全て話さず、そういう力があるとだけ言っておけばいい。

 そうなれば、ノブリスが何か後ろ暗い事を考えても、それを実行するのは躊躇するだろうし。

 ……これで、ノブリスが無能ならとっとと処分してしまった方がいいんだが、ノブリスはなまじ有能なだけに、処分するのも惜しいんだよな。

 中途半端に有能なだけに、対応に困る。

 実際、財産の多くを使ったとはいえ、アーブラウ軍の基礎となるだけの戦力を揃える事が出来たのはノブリスの力があってこそなのだから。

 そういう意味では、殺すに殺せないんだよな。

 なので、こうして魔法というノブリスにとって理解出来ない……それこそ、いつでも俺がお前を見張ってて、何か怪しい動きをしたら殺せるのだと、そう示す必要がある。

 

「……承知しておこう」

 

 そう言い、ノブリスは表情を厳しく引き締めるのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル、地球に行く準備は出来たの?」

 

 クーデリアがそう聞いてくるのに対し、俺は頷く。

 ノブリスのMSを始めとした各種物資を空間倉庫に収納してから半月程。

 アーブラウ側で受け入れ準備も出来たという話だったので、俺達も出発することになった。

 勿論、俺達だけではなく鉄華団の面々も一緒だ。

 軍事顧問としての仕事で、地球に行く者もそれなりに多い。

 ……とはいえ、持っていくMSの中にグシオンとバルバトスはない。

 こちらは名瀬から……より正確にはマクマードからの提案通り、現在歳星で改修作業……いや、まだ運んでいる最中か?

 ともあれ、現在グシオンとバルバトスが火星にないのは間違いない。

 もっとも俺が乗る機体としては、グシオン以外にもミロンガ改がある。

 サラマンダーは色々と問題があるので表に出せないが、ミロンガ改であれば島での戦闘でも使ったので、表に出しても問題はない。

 もっとも、ミロンガ改もMSに詳しい者であれば、現存するフレームではないとか、そういう風に思ってもおかしくはない。

 武器については……まぁ、S-11ミサイル以外は普通の武器なのだが。

 サラマンダーの中でも秘密にするべき要素の1つ、グラビトンガンポッド……いわゆる、重力波砲の類は決して知られる訳にはいかない。

 ……もっとも、ミロンガ改は重力波砲は装備していないものの、ブラックホールエンジンであったり、エナジーウィングであったりと、知られてはいけない技術もあるのだが。

 特にエナジーウィングはサラマンダーとの共通性もあるしな。

 うん、やっぱりミロンガ改もどうしようもない時以外は使わない方がいいか。

 それこそ何かあった時は、グレイズでも使えばいいし。

 

「クーデリアはどうするんだ?」

「……一緒に行きたいところだけど、今は会社の方が忙しいから」

 

 父親から離れて起業したクーデリア。

 その中でも大きな事業はハーフメタルの採掘だがそれ以外にも複数の事業を立ち上げている。

 分かりやすいところでは、さくら農園との共同事業とか。

 そんな諸々があって、今のクーデリアは忙しく、一緒に地球には行けないらしい。

 蒔苗に懐いているから、会いたいとは思ってるんだろうが。

 あるいは、実の父親があんな感じなので、蒔苗に父親っぽい感じを求めているのかもしれないな。

 年齢的な事を考えれば、祖父、あるいは曾祖父とか、そんな感じかもしれないが。

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