転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4017話

 契約書のサインが終わると、早速俺達はMSやMWの用意された倉庫に向かう。

 ……ぶっちゃけ、影のゲートで転移してもよかったのだが、そうなると時間的に矛盾が起きたりする可能性があるし、魔法を知らない者達に魔法を教える事になるというのもあって、結局大人しく車での移動となった。

 そうして倉庫にやって来たのだが……

 

「ほう、これは凄い。……よくもまぁ、これだけの数のMSを集められたものじゃな」

 

 倉庫の中に保管されていた60機のMSや、それ以上のMWを見て、蒔苗は感心したようにそう言ってくる。

 蒔苗にしてみれば、本当にこれだけのMSを俺が用意してくるとは思っていなかったのだろう。

 あるいは用意されたMSが、実はもっと傷だらけだったりとか思っていたのかもしれないな。

 だが、このMSやMW、それ以外の各種物資を用意したノブリスにしてみれば、ここで上手くやればアーブラウ軍と繋がる事が出来るのだ。

 それだけに、ここで自分の用意したMS等の質をしっかりとするのは当然の話だった。

 ノブリスとの間には色々とあったが、こうして落とし前としてしっかりとMSとかを用意した以上、今は取りあえず問題はないと思う。

 ……もっとも、ノブリスが妙な行動をしようとしたら、その時は相応の対応をすればいいだけだが。

 それにノブリスは俺が魔法を使えるというのを知っている。

 それでいながら、俺が具体的にどのような魔法を使えるのかが分からないのも事実。

 だからこそ、俺の魔法に恐怖して妙な行動をしたりはしないだろうが。

 

「このMSは……確か、スピナ・ロディとユーゴーでしたな」

 

 ラスカーがMSを見てそう言う。

 アーブラウの国軍を作るという事もあってか、MSとかについても相応に勉強したらしい。

 だが……MSについて勉強をしたからこそ、あまり納得出来ない様子を見せている。

 

「そうなるな。不満がありそうだが?」

「いえ、不満という程ではないのですが……ただ、このMSはそこまで性能が高くないと聞いていますので」

「それは否定しない。どっちもかなり量産されたMSだしな。ただ……このMSよりも高性能なMSとなると、そう簡単に入手できないのも事実だ」

 

 これは嘘ではない。

 これらよりも高性能なMSとなると、ゲイレールとかになる。

 だが、このゲイレールはグレイズの1世代前のギャラルホルンのMSだ。

 1機や2機程度ならまだしも、軍隊で使えるだけの数を揃えるのは……かなり難しいだろう。

 俺がギャラルホルンの施設に忍び込んで盗み出すという方法もあるが、まさかそういうので入手したMSを国軍で使える訳もない。

 これが他の世界ならその手もありだし、ギャラルホルンが文句を言ってきても偶然だとか何とか話を誤魔化したり出来るんだが……オルフェンズ世界では、エイハブ・リアクターの周波数がギャラルホルン側に記録されてるしな。

 そうである以上、偶然だと言ってもギャラルホルン側から周波数も一致していると言われると、反論出来ない。

 偶然周波数が一致したとか……うん、それは無理があるな。

 そんな訳で、ゲイレールを使うのは無理だ。

 

「ロディ・フレームとヘキサ・フレームではあるから、後はアーブラウ軍の方でカスタマイズして、独自の特色を出していくとか、そういう風にするのが最善だと思う」

 

 オルフェンズ世界のMSの利点は、フレームが既にあり、そのフレームに装甲やスラスター、武器といったものを装着していく事が出来るというものだろう。

 つまり、今ここにあるのはスピナ・ロディとユーゴーだが、アーブラウ軍で使いやすいように改良していけば、全く別のMSになる事を意味している。

 あるいは、MSについてもっと詳しければ、いっその事スピナ・ロディとユーゴーではなく、ロディ・フレームとヘキサ・フレームそのものを渡すという手段もあったのだが。

 だが、これから軍を作るというアーブラウだ。

 MSについてそこまで詳しい者がいるかどうかは微妙だろう、

 もっとも、世の中には色々なマニアがいる。

 アーブラウの国民の中にもMSについて詳しい者……俗に言うオタクとかがいる可能性は十分にある。

 例えば、ネギま世界やペルソナ世界でも、戦闘機や戦車、銃器……それ以外にも、色々なオタクはいたのだから。

 もしくは、マクロス世界でもVFオタクとかはかなりいるって話だし。

 そういえば、今のマクロス世界でVFってどうなってるんだろうな。

 俺は直接関わっていないが、ウインダミア王国の独立戦争だったか? その時にVF-31とかが使われていたって話だったが。

 空間倉庫に入っているサラマンダーはYF-29デュランダルをベースとした改修機だから、VF-31となると2つ後の機体になるのか。

 まぁ、こういう番号は時々何らかの理由で飛ばされたりするので、絶対にそうだとは限らないが。

 

「アクセルさん?」

「ああ、悪い。ちょっとスピナ・ロディとユーゴーについて考えていた」

 

 嘘ではない。

 最初は実際にスピナ・ロディとユーゴーについて考えていたのだから。

 

「それで思いついたんだが、アーブラウの国民の中にはMSに詳しい者……いわゆる、オタクとかそういう連中がいる筈だ。そういう連中に意見を聞いて、アーブラウで運用する上でどういう特色を出していくのかとか、そういう意見を出して貰ってもいいと思うぞ」

「……なるほど。蒔苗先生はどう思います?」

「悪くない意見じゃろう。……ただ、その、アクセルが言うMSオタクという存在が本当にいればの話じゃがな」

「その辺は俺にも何とも言えないな。ただ、いる可能性は高いと思う」

「ふむ」

 

 俺の言葉を聞いた蒔苗は、見覚えのある秘書……蒔苗と一緒に島に亡命していた秘書だ。クーデリアに一目惚れした。

 その秘書に視線を向ける。

 すると秘書はすぐに頷き、俺達の側から離れていく。

 MSオタクがいるかどうか、調べに行ったのだろう。

 

「一応注意しておくけど、オタクの中には面倒な奴もいるから気を付けろ。後は細かいところまで気にしすぎる奴とか」

 

 例えば、MSで例えるのならスラスターの形が少し違うだけで別の機種だとし、それを認めないのはおかしい。自分の知識や判断の方が正しいと、そんな風に思う奴とか。

 その辺についての判断は、それこそアーブラウ側でやって貰うしかないが。

 

「……気を付けておこう」

 

 蒔苗が頷くのを確認すると、俺は再びスピナ・ロディとユーゴーの説明に戻る。

 

「この2種類は量産機として結構な数が量産されている。それはつまり、損傷とかをして補充部品が必要になった時とかには部品を揃えやすいという事でもある。これは軍としてMSを運用する上で、重要な事だ」

 

 一応ノブリスが用意した結構な数の予備部品はあるが、MSというのは消耗品だ。

 俺がグシオンを使う時も、基本的に敵の攻撃は全て回避するか、あるいは防いでいる。

 だが、それでも内部部品が消耗や摩耗し、それなりの頻度で交換をしている。

 つまり、MSを使えば使った分だけ部品を消耗するのだ。

 そういう意味でも、こういう量産型というのはかなり便利な機体なのは間違いなかった。

 もっとも、アーブラウも相応の国力を持つのは間違いない。

 MSのフレームやエイハブ・リアクターを作るのは無理でも、装甲とか内部部品とかなら作る事も出来るだろう。

 ……その辺の特許とか、一体どうなってるんだろうな。

 ふとそんな疑問を抱くが、もし特許とかそういうのがあっても、既に切れているか。

 何しろロディ・フレームやヘキサ・フレームが作られたのは、厄祭戦の頃……300年前だ。

 その頃には特許とかそういうのを考える余裕はなかっただろうし、今となっては300年もの時間が経っている。

 特許とかそういうのは今更の話だろう。

 

「なるほど、話は分かった」

「分かって貰えたようで何よりだ」

 

 ここまで準備しておきながら、気に入らないからもっと別のMSを用意しろと言われたら、ちょっと洒落にならないしな。

 ノブリスが用意したこれらは落とし前としてノブリスから無料で貰った物を、格安でアーブラウに売るという品だ。

 もしこれが気に食わないとなったら……その場合は新しいMSを用意するものの、その場合は格安で売るという事は出来なかっただろう。

 そうなった場合、アーブラウ軍の規模は今回俺が予定していたよりも大分小さくなっていただろう。

 それだけ、今回の一件は大きな出来事だったのだ。

 蒔苗もその辺については十分に理解した上で、俺とのやり取りをしていたのだろうが。

 

「それで、こうしてMSは用意出来た訳だが……具体的にはいつから訓練に入る? 言うまでもないと思うが、MSのパイロットはMSの操縦訓練だけをやっていればいいって訳じゃない。それこそ基礎体力を鍛える事が必要になる」

 

 阿頼耶識があってもMSパイロットは身体を鍛える必要があるが、普通の操縦ともなれば、より基礎体力が必要となる。

 幸いな事に、シャドウミラーの地球支部を任せる者達はクランクによって鍛えられた者達だ。

 それこそ走って、走って、走って、走って、走ってといった具合に。

 勿論走るだけではなく、腕立て、腹筋、スクワット、背筋、それ以外にも様々な筋トレを経験している。

 兵士として戦う上で、高い身体能力は必須なのだ。

 だからこそ、アーブラウ軍に所属する者……軍人となる事を希望した者は、まずそのような訓練から行う必要がある。

 そのような訓練をした上で、改めてMSのシミュレータであったり、あるいは実機訓練であったりをするのだ。

 俺にしてみればMSのパイロットというのは標準的なものという認識だったが、このオルフェンズ世界に限らずMSパイロットというのは一種のエリートとして扱われる事が多い。

 実際、MSというのはこの世界においては戦いの花形とも呼ぶべき存在だ。

 エイハブ・リアクターの存在から街中で戦うといったことは出来ないものの、それはつまり街中以外では主役という事を意味している。

 街中ではMWが主役なので、そちらに乗る者達もしっかりと鍛える必要はあるが。

 ともあれ、これからアーブラウ軍の軍人になりたいという者達には厳しい訓練が待っているのは明らかだった。

 

「ふむ、今のところは自主訓練という扱いになっており、軍人として採用された者達はそれなりに訓練はしておる筈じゃよ」

「やる気はあるのか」

 

 自分達から軍人になりたい願う者達だ。

 そうである以上、やる気に満ちているのはそうおかしな話ではない。

 ……寧ろ、自分から軍人になりに来たのに、やる気がないような奴の方が問題だろう。

 もっとも、その手の者達は絶対にいるのだろうが。

 それこそ先程俺が提案した、MSオタクのような者達が実際にMSに乗りたいからと軍人になりに来ても、その前段階の訓練が厳しく、脱落する可能性もある。

 もしくは、軍人に対して何か夢を持っているものの、訓練の厳しさで夢はあくまでも夢であったと認識するか。

 あるいはギャラルホルンのような特権階級が羨ましく、自分もそうなりたいと思うか。

 それとは逆にギャラルホルンが気に食わず、だからこそアーブラウ軍として力を示し、ギャラルホルンを見返したい者。

 他にも軍に志願する者には色々と考えがあるのは間違いないだろう。

 それが具体的にどのような考えなのかは、俺にもちょっと分からないが。

 

「うむ。もしアクセルがよければ、訓練を見に行くか?」

「そうだな。軍に志願した連中も、自分がどういう相手に鍛えられるのかが分からないと不安だろうし」

 

 もっとも、この場合の鍛えるというのは俺ではなく、シャドウミラーや鉄華団の面々……具体的には地球支部に所属する者達の仕事となる。

 そういう意味では、俺がわざわざ見に行くのはどうかと思うんだが……まぁ、軍に志願した連中も、シャドウミラーや鉄華団について知りたいと思う者も多いだろうけど。

 それに……自分で言うのもなんだが、代表指名選挙の一件でシャドウミラーや鉄華団は有名になっている。

 その片方のトップが来ているのだから、実際に自分の目で見ておきたいと思ってもおかしくはない。

 

「では、そのように」

 

 こうして次の予定が決まると、再びMSやMWの説明に戻っていく。

 その中でも特に蒔苗が気にしたのは、MSが使う武器だった。

 

「この武器じゃが、スピナ・ロディとユーゴー双方で使えると思ってもいいのかな?」

「ああ、問題ない筈だ」

 

 FCSとかそういうのは、このオルフェンズ世界においてはあまり重視されていない。

 いやまぁ、基本的に銃器の類は牽制程度にしか使えないしな。

 そして基本的な武器は鈍器の類。

 FCS? 何それ美味しいの? といったような感じの奴だ。

 何しろ鈍器だけに、持てばそのまま使えるのだから。

 あ、でも以前のグシオンが使っていたグシオンハンマーのようにスラスター付きの武器であれば、FCSの効果もあったりするか?

 そう思いながら、俺は蒔苗に説明を続けるのだった。

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