転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4030話

 石動とヤマジンは、スキップジャック級とハーフビーク級を引き渡すと、すぐに帰っていった。

 その翌日、俺はタービンズの名瀬に連絡をする。

 

『どうした、兄貴。何かあったのか?』

「ああ、実はちょっとタービンズ……というか、テイワズに頼みたい事があってな」

 

 そう言い。俺は今回の一件について説明する。

 俺の説明を一通り聞いた名瀬が、若干の呆れと共に口を開く。

 

『分かったけど、本当にアクセルの兄貴は色々と大変だな』

「それは否定しない」

 

 アーブラウの一件については、シャドウミラーと鉄華団以外にもタービンズが協力をした。

 当然ギャラルホルンでもその件については理解しているだろうが、タービンズの後ろにテイワズがいるのを知っていれば、迂闊に手を出すような事は出来ないのだろう。

 そうなると残るはシャドウミラーと鉄華団。

 だが鉄華団は子供が大半の組織だ。

 ……まぁ、だからこそ取り込みやすいという考えもあるが、取り込んだところで子供が大半の組織では、どうしても戦力としては使いにくい。

 実際には大半が阿頼耶識の手術を受けているので、戦力としては十分なんだが……ガエリオの一件を見ても分かるように、ギャラルホルンにおいては阿頼耶識は忌み嫌われているしな。

 ギャラルホルンだけではなく世間一般でも嫌われているのだが、ギャラルホルンでは一際強く嫌われている。

 もっともそれを言うのなら、シャドウミラーにも昌弘を始めとした阿頼耶識の手術を受けた者達がいるのだが。

 ただシャドウミラーの場合は俺やマーベルを含めて大人の……阿頼耶識の手術を受けていないパイロットも多い。

 その辺がシャドウミラーに狙いを絞ってきた理由なのかもしれないな。

 

「そんな訳で、歳星でスキップジャック級とハーフビーク級の調査を徹底的にして欲しい。ギャラルホルンの戦艦の調査が出来るんだから、そっちにも悪くない話だと思うが?」

『いや、うーん……まぁ、スキップジャック級はそうかもしれないが、ハーフビーク級はそれなりに出回っているしな』

「そうなのか? 俺はあまり聞いた事がないけど」

 

 これまで結構な数の海賊と戦ったりしてきたが、ハーフビーク級に乗っている海賊と遭遇した事はない。

 

『結構出回ってるとはいえ、それは限られた者達だけだしな。例えばテイワズでは、ジャスレイがハーフビーク級に……正確にはハーフビーク級を改修した戦艦を持ってるな』

「……何だかハーフビーク級に乗るのが嫌になってきた」

 

 何が悲しくて、ジャスレイとお揃いの戦艦に乗らないといけないんだ。

 そう思うも、それを言うのならアリアンロッド艦隊だって同じだろう。

 それにジャスレイが乗っているのはハーフビーク級そのものではなく、改修した艦という事なのでまだマシか。

 

「ちなみにどんな風に改修してるんだ? やっぱり装甲を厚くとか、搭載しているエイハブ・リアクターを増やすとか、そんな感じか?」

『あー……いや。その純粋な性能という意味ではノーマルの状態とそう変わらない。装甲が強化されているから、防御力は高くなっているけどな。ただ、名前が黄金のジャスレイ号って奴で……』

「おい、その名前……まさか」

 

 何となく……本当に何となく嫌な予感を抱きつつ、尋ねる。

 するとそんな俺の嫌な予感に正解だといったように頷きながら、名瀬が口を開く。

 

『金メッキの艦だ。正確にはナノラミネートアーマーの色だから金メッキという表現は正しくないんだがな』

「それはまた、随分と安かったんだろうな」

 

 ナノラミネートアーマーというのは特殊な塗料を塗って、それとエイハブ・リアクターによって構成されている装甲の事を言う。

 この塗料の色については、それによって性能が変わるような事はない。

 だが、それでも……いや、だからこそなのか? 例えば黒や青といったような宇宙空間に紛れやすい色の塗料は高く、白や赤のような宇宙空間で見分けが付きやすい塗料は安い。

 そして金色というのは当然ながら判別のしやすい色なので、値段的には安い筈だ。

 ……もしかしたら、その塗料の中に金箔とかを入れていれば……いや、そうなるとナノラミネートアーマーが上手く動作しないか。

 勿論、これはあくまでも俺が知ってる限りの知識だ。

 実は何らかの裏技があって、金箔とかそういうのを使ってもきちんとナノラミネートアーマーが効果を発揮する方法とか、そういうのもあるのかもしれないが。

 

『どうだろうな。ジャスレイは見栄を張るから、その辺は相応に金を掛けてそうだと思うが』

「まぁ……うん。その件はいいとして。スキップジャック級とハーフビーク級の調査を頼みたい」

『調査?』

「ああ。一応タントテンポの方でも調査して貰っているが、それを運んできたのがアリアンロッド艦隊の面々だしな。その途中で何かが仕掛けられている可能性は十分にある」

 

 それが見つかったら相応の対応をするとは言ってあるだろうし、タントテンポに調べさせたという情報も知ってる以上、問題はないと思う。

 だが、それでも……何かを仕掛けるという可能性は否定出来ない。

 ともあれ、大丈夫の可能性はあるが、それでも安心は出来ない。

 その為、ハーフビーク級について調べて貰う必要があった。

 

『ハーフビーク級の方は分かったけど、スキップジャック級の方は?』

「マクギリスの事だから大丈夫だとは思うけど、その下にいる者が何か企まないとも限らないだろう? それに……テイワズにも利益は必要だろう?」

 

 ハーフビーク級については、ジャスレイの件もあるので情報を持っているだろうが、スキップジャック級はセブンスターズの当主とかが乗る船だ。

 いや、これは俺がそう予想しているだけなので、もしかしたら違うかもしれないな。

 ただ、ギャラルホルンの最精鋭たるアリアンロッド艦隊の旗艦だと考えれば、そこまで間違ってはいないだろう。

 テイワズが将来的にMSだけではなく軍艦も作ろうと考えた時、スキップジャック級の情報はあって困るものではないだろう。

 そういう意味で、テイワズにとっても今回の俺の要求は受けて損はない筈だった。

 

『そう、だな。確かにアクセルの兄貴が言うようにスキップジャック級のデータが取れるのなら、こっちにとってもありがたいのは間違いない』

「だろう? 後は……そうだな。ついでにもう1つ取っておきがあるぞ?」

『取っておき? アクセルの兄貴がそういう事を言うと、寧ろ嫌な予感しかしないんだが』

「その言葉を後悔させてやるよ。俺の手持ちのカードは、ギャラルホルンにおいてグレイズの次世代機となるMSのフレームだ。こっちならもっと興味があるんじゃないか?」

『……それは、マジで?』

「ああ、マジで」

 

 ヤマジンが持ってきた、ハーフビーク級以外の譲渡品。

 多分、マクギリスがスキップジャック級を譲渡するというのを聞いたラスタルが、今のままだと不味いと判断して追加したのだろう。

 あるいは、ヤマジンの独断という可能性もあるが。

 ヤマジンはメカニックを纏める立場だとか言っていたし、フレームを持ち出すくらいの権限はあるだろう。

 

『勿論、そのフレームは売ってはくれないんだよな?』

「そうだな。あくまでも調査だけだ」

 

 そう言うが、シャドウミラーのメカニックがフレームだけを入手しても、それをMSにするのは……出来ない訳ではないだろうが、どうしてもノウハウがない。

 それでもロディ・フレームとかの大量生産されたフレームならMSにしてきた経験があるので、その技術を流用すればどうにかなるかもしれない。

 しれないが、それではやはり新型のフレームの性能を最大限に活かすのは難しいのも事実。

 だとすれば、やはりこれは独自のフレームを作る事が出来て、その手のノウハウも豊富に持っているテイワズに任せてしまった方がいいのかもしれないな。

 

「ただ、調査だけだが……そのフレームをベースにしてMSを組み立ててみたいというのなら、やらせてもいい。もっとも、その場合のMSにする為の費用はテイワズ持ちだし、それで出来上がったMSの所有権は俺達にあるというのを承知すればだが」

 

 普通に考えれば、引き受けるまでもない取引だろう。

 何しろ、MSの素材となる部分……装甲とかエイハブ・リアクターとか武器とか、フレーム以外の全てをテイワズが用意するにも関わらず、その所有権は全てシャドウミラーにあるというのだから。

 だが、それはあくまでも普通に考えた場合の話だ。

 ギャラルホルンが開発した、新たなフレーム。

 グレイズの次世代機のフレームである以上、このデータはテイワズにとっても非常に大きい。

 それこそ、MS1機分の費用くらいであれば、安いとすら思える筈だ。

 ……もっとも、その安い分はスキップジャック級とハーフビーク級の調査をして貰う分で、帳消しになりそうだが。

 この取引は総合的に見て、ちょっと俺の方が得をするといった感じになると思う。

 フレームの価値によっては、テイワズ側の大儲けになるかもしれないが。

 

『分かった。それで親父にちょっと聞いてみる』

「そうしてくれ。ジャスレイの件については、くれぐれも気を付けるようにな」

 

 テイワズに頼む際、一番厄介なのはやはりジャスレイだ。

 これで幹部でもない、あるいは幹部でも末端程度の存在であれば、そこまで気にするような事はない。

 だが、ジャスレイはテイワズのNo.2という立場にある。

 それが厄介な理由なんだよな。

 マクマードからの命令であっても、ジャスレイがちょっと顔を出して少し見せて欲しいと言われれば、余程の者ではない限り断れないだろう。

 あるいはジャスレイが知り合いのメカニックを入れてくれと言っても、それを断れるかどうかは微妙なところだ。

 性格はともかく、金を稼ぐ能力という点では一流なのは間違いないので、そういうのを目当てに擦り寄る奴は多いだろうし。

 そしてそういう連中だからこそ、俺の妨害になるような事をしてもおかしくはない。

 

『分かってるよ。兄貴の件については親父もしっかりと対応する筈だ。ジャスレイが何かをしようとしても、先んじてその動きを止めるくらいの事はする筈だ』

「だといいんだけどな」

 

 名瀬はマクマードを信頼しているし、実際にマクマードはここまでテイワズを大きくしてきた実績がある。

 だが……それでも、ジャスレイをNo.2にしてるという点で不安を覚えるのも事実。

 普通No.2といったら、それこそ信頼出来る相手を取り立てるものだと思うが。

 それこそ、名瀬のような。

 あるいは、それだけジャスレイの商売に対する才能が高いという証かもしれないが。

 ともあれ、このままテイワズとの付き合いを続ける上でジャスレイが障害になるのは間違いない。

 そういう時の事を考えると、やはり俺としてはジャスレイを何とかして欲しいと思う訳だ。

 

「なら、この話はそういう感じで。……ああ、そうそう。これは聞いておかないとな。グシオンとバルバトスの様子はどうなっている?」

 

 現在、歳星で改修作業をされている2機について聞く。

 結構大規模な改修なので、それなりに時間が掛かるのは間違いない。

 また、歳星では当然ながらグシオンとバルバトスのデータも収集してるんだろうし。

 ……俺はグシオンでも射撃武器で敵MSを撃破してるので、その辺りの謎を解きたいと思う者も多いだろう。

 とはいえ、それについては精神コマンドのお陰である以上、どうしようもないが。

 名瀬やマクマード、あるいはラフタやアジー、アミダといった、俺と戦場を共にして、その上で俺が魔法を使えるというのを知っている者達なら、あるいはその辺を理解してるかもしれないが。

 ちなみに当然ながら、グシオンとバルバトスの改修作業をしている場所にもジャスレイやその一派の出入りは禁止されている。

 何しろ、バルバトスはともかくグシオンは俺が直接乗るMSだしな。

 爆弾を仕掛けられたりするのは面白くない。

 ……いやまぁ、実際には混沌精霊の俺には爆弾とか魔力や気が込められていない攻撃は全くの無意味なんだけどな。

 ただ、内部からの爆発となればグシオンも中破……あるいは大破までいくかもしれないし。

 コレクション的に、それは嬉しくない。

 あるいは、俺は平気だがバルバトスの方に爆弾を仕掛けられたりしたら、三日月が致命傷を負う可能性もあるので、そちらは絶対に避けたかった。

 他にも鉄華団からは雪之丞が、シャドウミラーからも何人かのメカニックが現在歳星でMSの勉強をしている。

 そちらもジャスレイによって何か妙なちょっかいを出されていないかと心配になる。

 ……うん。こんな諸々を考えると……

 

「やっぱり、ジャスレイは始末した方がいいんじゃないか?」

『兄貴の気持ちは分かるけど、今は抑えてくれ。あんな奴でも、テイワズにとって必要な人材なのは間違いないんだ。それに……親父も何か考えているようだし』

 

 そう言う名瀬の言葉に、なら取りあえずマクマードに任せるかとここは一度退くのだった。

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