転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4031話

 火星から木星にある歳星まで向かう途中……俺は宇宙空間に出ていた。

 現在、俺の前にあるのはスキップジャック級。

 ここまで移動するのもかなり四苦八苦しての出来事だった。

 ……当然だろう。元々シャドウミラーの人員は全部集めてもハーフビーク級を1隻運用するのが精一杯なのだ。

 そんな中で、ハーフビーク級の他にスキップジャック級もここまで乗ってきたのだから。

 とはいえ、これは仕方がない事でもある。

 俺が魔法を使えるというのはそれなりに知ってる者がいるが、別に俺も積極的に知らせている訳ではない。

 魔法について、知らなければ相手に対して有利になる。

 だからこそ、魔法については出来るだけ知られないようにしていた。

 そんな訳で、宇宙港に停泊しているスキップジャック級をその場で空間倉庫に収納するといった事は出来ない訳だ。

 つまり、無理でも何でもスキップジャック級を一度共同宇宙港から離れた場所まで移動させ、センサーとかそういうので察知されないような場所まで移動したら、そこでようやく空間倉庫に収納出来る訳だ。

 そして、それが今だった。

 それにしても……うん、本当に危なかったな。

 元々スキップジャック級の運用についてはある程度勉強したものの、それでも実際に動かすのは違う。

 これが強襲装甲艦とかなら、グランやガランで慣れているのである程度はどうとでもなるのだが、スキップジャック級は宇宙戦艦だ。

 それもハーフビーク級よりも更にランクの高い宇宙戦艦。

 操縦する上で、色々と違う場所があるのも事実。

 だからこそ、操縦するのに四苦八苦するし、ただでさえハーフビーク級も一緒で人数が足りないので、その辺の影響もある。

 ……不幸中の幸いなのは、海賊と遭遇したりしなかった事か。

 もし海賊と遭遇したりしていれば、負ける事はなかっただろうが、ハーフビーク級やスキップジャック級に大きな被害が出てもおかしくはなかった。

 そんな風に思いつつ、スキップジャック級の装甲に手を触れ……次の瞬間、スキップジャック級は空間倉庫に収納され、消える。

 どうやら誰も残っていなかったようだな。

 もし残っていれば、空間倉庫に収納するのは難しかっただろうし。

 そう思いながら、ハーフビーク級に視線を向ける。

 シャドウミラーの面々……特に古株と言ってもいいのかどうかは分からないが、元ブルワーズ組は俺が魔法を使えるのを知っている。

 だが、MSを収納するのは地球に下りる時に見て知っているだろうが、スキップジャック級のような巨大な戦艦を収納出来るとは思っていなかった者もいる筈だ。

 それによって驚いている者が多いのは間違いない。

 ホワイトスターですら収納出来るのだから、スキップジャック級であろうとも収納出来るのはそうおかしな話ではなかった。

 もっとも、それを知ってるのはあくまでも俺だけだ。

 ……あ、いや。マーベルとシーラにもホワイトスターについての話をした事はあったか?

 とにかく空間倉庫の能力を多くの者が理解出来た事は間違いなかった。

 そんな事を考えながら、ハーフビーク級に戻る。

 格納庫に入ると、多くの者が俺を信じられないといった目で見ていた。

 

「その……アクセル様。本当にスキップジャック級はアクセル様が?」

「空間倉庫に収納したのかと言われれば、その通りと答えるけどな」

 

 メカニックの1人が俺に対して恐る恐るといった様子で聞いてくる。

 俺にしてみればスキップジャック級を収納するのはそんなにおかしな事ではない。

 だが、それはあくまでも俺だからだ。

 俺の能力について詳しく知らない者にしてみれば、とてもではないが信じられないといったように思ってもおかしくはなかった。

 

「……その、私も魔法を使えるようになったら、そういう事が出来るのですか?」

「人それぞれだな。もっとも、魔法を使えるようになるまでが大変だけど」

 

 このオルフェンズ世界でも、魔法を使えるようになる修行は出来るだろう。

 だが、魔法球の中であれば魔力が多いし濃いので魔力を感じやすいものの、そうでない場所ではそう簡単ではない。

 それでも……まぁ、ネギま世界の事を思えば、普通の環境で魔法の訓練をしている者もいるのだから、魔法球以外で魔法の訓練をしても問題はない筈だ。

 

「その、今度魔法を使えるように教えてくれませんか?」

「あー……どうだろうな。教えるのはいいんだが、そうなるとお前だけとはいかないだろう?」

 

 いや、本来ならそれはそれで構わない。

 構わないのだが、魔法の訓練を行うとなると、魔法発動体が必要となる。

 俺は混沌精霊になった影響で杖がなくても魔法を使えるが、それは色々な意味で特殊な例でしかない。

 だが、その魔法発動体……初心者用の魔法の杖は、数本くらいしか空間倉庫にないんだよな。

 何しろ、そもそも俺にとって必要はない物だし。

 それでも入っているのは、念の為でしかない。

 例えば1人や2人に対して教えるのなら、全く問題ない。

 だが、俺に話しかけてきたメカニックや、その他の面々の様子を見れば、魔法の訓練をしたいのは1人や2人ではなく、数十人……場合によってはもっと多くなるだろう。

 そうなれば、初心者用の魔法の杖は絶対的に足りないのだ。

 ……うん。ホワイトスターに戻る事が出来たら、初心者用の杖はもっと大量に空間倉庫に収納しておいた方がいいかもしれないな。

 ただ問題なのは、もし初心者用の杖があったとしても、俺が出来るのはそれを渡して魔力を感じられるようになれとしか言いようがない事だろう。

 一番簡単な『火よ灯れ』の魔法が使えれば第一段階突破だが……そこまで到達出来るのが何人いるのやら。

 

「それはそうですけど……難しいですか?」

「難しいというか、訓練をするのに必要な物が少ないんだよ。しかも、実際に魔法を使えるようになるまでには結構な時間が必要になるだろうし、それでもし魔法を使えるようになっても、使える系統がどういう系統なのかは人によるしな」

 

 実際には苦手な系統の魔法も使えない訳ではない。

 ないのだが、その辺について教えるのが難しいのも事実。

 何しろ俺の場合、ネギま世界の魔法はスライムで吸収して使えるようになったしな。

 つまり、教えようとしても教える事が出来ないのだ。

 ちょっと違うところがあるが、才能があるが故に教えるのが下手くそとか?

 ……いっそ、ホワイトスターにいるエルフ達を連れてくれば、門世界の魔法を……うん、やめておこう。

 エルフ達に拝まれるのも微妙なのに、シャドウミラーの面々に拝まれるのは遠慮したいし。

 

「魔法については、いずれだな。もう少し落ち着いたら考えてもいい」

「もう少し、ですか? 具体的にはいつくらいになるんでしょう?」

「ギャラルホルンの内乱が終わったらだ。そうなれば、もうそこまで緊急の出来事とかはないだろうし」

 

 そう言っておく。

 今の説明は真実でもあり、間違いでもあった。

 具体的には、ギャラルホルンの内乱が終わる頃には俺の呪いの解呪も終わっている……いたらいいなぁ、といったそんな感じで、ホワイトスターと行き来が出来るようになれば、エヴァ辺りに任せてしまえばいい。

 ……いや、エヴァならそんな面倒は断るか。

 となると、拝まれるのは嫌だが、やっぱりエルフか?

 もしくはいっそネギま世界の魔法世界に突っ込むか。

 魔法世界でなら、それこそ魔法を使えるようになるのはそう難しくはない。

 魔力で出来た世界だけに、魔法球の中で修行する程ではないにしろ、普通に修行するよりも大分魔法が使えるようになるのは早いだろうし。

 うん、そうだな。ゲートを設置してホワイトスターに行けるようになったら、ネギま世界の魔法世界に送り込もう。

 フェイトがいるから、魔法について教えて貰えるとは思うし。

 ……もっとも、フェイトの場合はかなりスパルタっぽいので、脱落する者が続出しそうだが。

 というか、フェイトがこちらの要望を受け入れてくれるかどうかが微妙なところだろう。

 フェイトにしてみれば、これはシャドウミラーの件と何の関係もないんだし。

 ああ、勿論この場合のシャドウミラーというのはあくまでもホワイトスターの方にあるシャドウミラーについてだ。

 というか、今更……本当に今更の話だが、オルフェンズ世界でシャドウミラーを作ったのは、ゲートが設置出来てホワイトスターに行き来出来るようになった時の事を考えると、ちょっと分かりにくいか?

 将来的に……ホワイトスターと繋がったら、シャドウミラーという名称を変えた方がいいかもしれないな。

 こっちのシャドウミラーとあっちのシャドウミラーでは同じシャドウミラーである以上、区別するのが難しかったりするし。

 とはいえ、もうこのオルフェンズ世界でもシャドウミラーという名前は有名になったんだよな。

 そうなると……ゲートが設置してホワイトスターと繋がったら、どうするか。

 1つめは、シャドウミラーはシャドウミラーでも、オルフェンズ世界支部といった名称にする。

 2つめは、鉄華団に吸収……というか、買い取って貰う。

 ぱっと思いつくのはこんなところか。

 個人的には鉄華団に吸収された方が便利そうだとは思うんだが、名前に愛着を持つ奴もそれなりにいるしな。

 その辺については、実際にゲートに繋がってから多数決で決めてもいいかもしれない。

 

「アクセル様?」

「ああ、悪い。魔法を教えるにはどうしたらいいのかを考えていただけだ」

 

 メカニックの言葉にそう誤魔化す。

 ……まぁ、フェイトに頼んで断られたら、魔法世界でそういう人材を捜してもいいだろう。

 魔法世界では魔法が普通にあるので、魔法使いの中には育成というか、家庭教師を専門にしている者もいるだろうし。

 そういう連中を雇えば、希望者達を魔法世界に放り込んでも何とでもなる。

 魔法の勉強をするもよし、冒険者となってダンジョンの攻略とかに挑むもよし、いっそ拳闘士として活動するもよし。

 とはいえ、実際にはそこまで大規模な活躍は出来ないだろうが。

 

「え? そうですか。じゃあ、早くギャラルホルンの内乱を終わらせないといけませんね」

「だろうな。俺もそう思う。もっとも、それがいつになるのか分からないのが痛いところだけど」

 

 既にアーブラウの一件が終わってから1年程が経っている。

 なのに、今のところはまだ特に動きはない。

 実際には火星にいる俺達には動きがないように見えるが、地球では裏で色々とやりあっているのだろうけど。

 そしてまだ大規模な内乱にならないのは……自惚れかもしれないが、俺達が原因だろう。

 ラスタルにしてみれば、俺達という強力な戦力を味方に引き込みたい。

 それが無理でも、最悪中立で敵対しないようにして欲しい。

 だからこそ、まだそれが達成されていない以上は本格的に内乱を起こしたくないのだろう。

 そしてマクギリス達にしてみれば、単純に地球外縁軌道統制統合艦隊の練度……いや、実戦経験か。

 純粋な練度という点では、地球外縁軌道統制統合艦隊は決してアリアンロッド艦隊に劣ってはいない。

 だが、それが実戦経験となるとアリアンロッド艦隊の方が勝ってしまう。

 だからこそ、マクギリスは地球外縁軌道統制統合艦隊に実戦経験を積ませて相応の強さになるまで、内乱を起こしたくはない。

 ん? そうなると、マクギリス側がまだ内乱を起こさないのは、俺達はそこまで関係ないな。

 とはいえ、マクギリスの中では内乱が起きた時にシャドウミラーを戦力として雇うのは計算ずくなんだろうが。

 ガエリオやカルタがその辺をどう思っているのかは、俺にも分からないが。

 ただ、マクギリスが決めた事なら、2人共反対しないような気がするな。

 

「内乱が終わって……そうすれば、火星でも安全に行動出来るようになるんでしょうかね?」

「どうだろうな。内乱が終わっても、海賊とかいるのは変わらないし。……夜明けの地平線団も出来るだけ何とかしたいところなんだけどな」

 

 夜明けの地平線団は、火星近辺で活動する海賊の中で最大勢力を持つ海賊団だ。

 ただ、以前ならまだしも、十分に戦力が整った今なら、特に問題なく対処出来るとは思う。

 とはいえ、現在グシオンは歳星にあるし。

 それに夜明けの地平線団と戦うとなると、鉄華団の力も借りたいところだ。

 そうなると、グシオンと同様にバルバトスも現在は歳星にある訳で、鉄華団も戦力的にちょっと厳しい訳だ。

 いや、ちょっとじゃないな。

 鉄華団の場合はエースである三日月の戦力比率がかなり大きい。

 シャドウミラーもそれは変わらないが、No.2の実力が大きく違う。

 鉄華団のNo.2は昭弘だが、シャドウミラーのNo.2はマーベルだ。

 この2人は合同訓練の時とかによく模擬戦をやってるのだが……その勝率は圧倒的にマーベルが上だ。

 というか、昭弘が勝った事があったか?

 もっともこれは昭弘が弱い訳じゃなくて、マーベルが色々な意味で強いのだが。

 ただし、当然ながら今のマーベルは魔力や気を使える訳ではないので、身体強化とかは使えない。

 あ、でもオーラ力は気の一種だった事を考えると、気は使ってるのか?

 そんな風に思いつつ、俺はハーフビーク級で歳星に向かうのだった。

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