転生とらぶる2   作:青竹(移住)

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4046話

 レモンとの通信が終わると同時にゲートが起動し、量産型Wとコバッタが転移してくる。

 

「アクセル代表。指示をお願いします」

 

 量産型Wの問いに、俺はゲートを見て口を開く。

 

「ゲートの防衛だ。もしゲートに危害を加えるような者がいた場合、それが誰であっても対処して構わない」

「了解しました」

 

 そう言い、敬礼する量産型W。

 そんな量産型Wを一瞥すると、俺は後ろ……シャドウミラーオルフェンズ支部の面々に向かって声を掛ける。

 

「この量産型Wというのは、シャドウミラーで使われている人造人間だ。言ってみれば人型の機械のようなものだな。融通は……それなりに利くが、それでもゲートに危害を加えるような者がいた場合、問答無用で処分をするから、ゲートに危害を加えようとかは考えないように。……以上、解散。マーベル、シーラ、クーデリア以外は仕事に戻っても構わない」

「あの……アクセルさん、兄貴が来たらどう説明すれば?」

 

 昌弘のその質問に、どうするべきかを考え、口を開く。

 

「数日中にオルガにその辺については説明する。それまでは適当に誤魔化しておいてくれ」

「でも、その……ゲート? とかいうのはともかく、それを護衛してるのはちょっと怪しすぎると思うんですが」

 

 だろうな。

 昌弘の疑問もそれなりに納得出来るものではある。

 あるのだが、だからといって昭弘だけに先に事情を説明するという訳にもいかないだろう。

 

「その辺は適当に誤魔化すか、あるいは数日中に俺がオルガに説明するから、それまで待って欲しいと言ってくれ。昭弘ならそれで納得する筈だ」

 

 昭弘は昌弘を助けたということで、俺に強い感謝の気持ちを持っている。

 そうである以上、もしゲートを見つけて疑問に思っても、そして量産型Wやコバッタを見て怪しんでも、俺がもう少し待って欲しいと言えば、それを受け入れるだろう。

 オルガに似て、義理堅いんだよな。

 俺にとっては悪くないし、寧ろ好意的に受け止めているのだが。

 

「分かりました。兄貴に限らず、鉄華団から来た人達にはそう言っておきます」

 

 そう言い、昌宏はその場を立ち去る。

 その時には、他の者達も全員いなくなっていた。

 勿論、多くの者がゲートであったり、異世界であったりには強い興味を抱いているのは間違いないだろう。

 しかし、それでもここで無理に残って色々と事情を聞こうとすれば、最悪処分される……もしくは首になるといったような事になってもおかしくはない。

 オルフェンズ世界においては、労働者の権利とかそういうのはない……訳ではないが、過度なまでに重視したりはしないしな。

 ましてや、地球でドルトコロニーの例を見れば分かるように、多少はその辺についての意識もあるのだろうが、それでも暴動……というか、戦争になったのを見れば分かりやすいだろう。

 ましてや、ここは地球から遠く離れた火星だ。

 しかも真っ当な商売ではなく、PMCという存在。

 そんな場所で雇い主に逆らうというのは、いつ首になってもおかしくはない。

 ましてや、シャドウミラーは高額の給料を支払っている。

 シャドウミラーを首になってしまえば、同じ条件の仕事は見つからない……とは限らないが、かなり難しいだろう。

 ましてや、場合によっては解雇という意味の首ではなく、物理的な意味で首になる可能性もあるのだから。

 

「さて。そんな訳で、これからここにいる面々でホワイトスターに向かう。クーデリアも今日1日は休日になったって事でいいんだよな?」

「はい。それは問題ありません。ですが、もしかしたら何らかの連絡があるかもしれませんから、連絡が出来るようにはしておきたいのですが」

「今日は難しいが後で通信機を渡すよ」

 

 フォールド通信とゲートを使った通信は、それこそゲートのある世界であれば、異世界とでも通信が出来る代物だ。

 しかも空中に映像スクリーンを生み出して、それを使ってリアルタイムで通信が出来るという特徴もある。

 ……もっとも、当然ながら今までゲートがなかったオルフェンズ世界では使えなかったし、だからこそフミタンもそれは持っていない。

 ゲートを設置した今だからこそ使えるのだが……

 

「仕方がないか。フミタンから連絡があったら、量産型Wやコバッタに伝えるようにしておくか。そうなれば、こっちに連絡を入れる事も出来るし」

「ありがとう。……けど、もう誰も残っていませんよ? アクセルが仕事に戻るように言いましたし」

「……ちょっと待ってろ」

 

 そう言い、俺は一度建物の中に入ると、事務員の集まっている場所に顔を出し、クーデリアに連絡があったら量産型Wに伝えるように言ってから再び戻ってくる。

 俺が異世界の存在だというのはまだ完全に受け入れていなかったらしく、俺が顔を出したら驚かれたが。

 

「話はしてきたからフミタンの件は問題ない。……何か俺達に用事があるという者が来たら、連絡をするように」

 

 前半はクーデリアに、そして後半はゲートを守っている量産型Wに言う。

 

「では……行きましょう。私もアクセルの故郷は気になっていましたので」

 

 シーラの言葉に頷き、マーベルとクーデリアも覚悟を決めたように俺の後を追ってゲートの中に入る。

 一応マーベルやクーデリアも俺の影のゲートで転移は経験したことがあるのだが。

 あ、でもそうだな。魔法の転移と科学技術の転移ではどうしても違ってくる。

 そういう意味では、この状況はそんなにおかしなことではないのか。

 もっとも、それはあくまでもゲートで転移をしたことのない者達に限っての話だ。

 俺は今まで何度も……それこそ、数えるのも馬鹿らしくなるくらいには、ゲートを使ってきた。

 そういう意味では、俺はゲートを使うのに緊張は……緊張は……あ、呪い。

 そう思った瞬間、俺はゲートの範囲内から出る。

 

「アクセル? どうしたの?」

 

 俺がゲートの効果範囲の外に出たのに気が付いたマーベルが聞いてくる。

 シーラとクーデリアも、一体何があったのかといった様子で俺に視線を向けていた。

 

「いや、呪いの件があるだろう? クーデリアのお陰で解呪に成功したのは間違いないが、それでも万が一がある。俺に呪いを掛けた奴は文字通りの命懸けで呪ってきたしな。だから、解呪が成功したと思わせておいて、実はもう一つの呪いが……という可能性もある。……まぁ、その可能性は少ないけど」

 

 そう言いながら、俺は身体に魔力を流す。

 オルフェンズ世界にやって来てから、数え切れない程にやってきた解呪の行程。

 だが、自分の身体に魔力を流しても、特に何も感じない。

 呪われていた時は、激痛……それこそ声を出すのも難しいくらいの激痛が身体中に走っていたのだが。

 しかし、今は何も感じない。

 そうである以上、俺の身体に呪いはもうないと思ってもいい。

 いいのだが、それでも万が一の事を考えると、念には念を押す必要がある。

 もし俺がマーベル達と一緒に転移しようとしたところで呪いが影響したら、どうなるか。

 俺だけなら、それこそどこに転移されてもどうとでも対処は出来る。

 だが、マーベル達はそうもいかない。

 例えば宇宙空間に放り出されれば、あるいは深海に放り出されれば。

 俺なら混沌精霊としての能力のお陰で、そういう場所であっても全く問題なく行動出来る。

 その為、一応念の為に俺は別に転移した方がいい。

 

「……大丈夫なのですね?」

 

 シーラが確認の意味も込めて尋ねてくる。

 マーベルとクーデリアも、言葉には出さないが心配そうに俺を見ている。

 

「ああ、問題ない。これはあくまでも念の為だ。恐らくは問題がないが、それでも万が一を考えてだよ」

 

 実際、これは本当にそう思っての言葉だ。

 9分9厘大丈夫だとは思っている。

 思ってはいるが、それでも万が一の事を考えると、俺だけで転移した方がいい。

 何も別に毎回俺だけで転移をするといったつもりはない。

 あくまでも今回だけだ。

 ……もし何度か転移した後で改めて呪いが発動するとか、そういう意地の悪い呪いだったら対処するのは難しいが、さすがにそういうのはないと信じたい。

 呪いを掛けた相手を信じるというのは、正直どうかと思うが。

 

「では、先に行きましょう。……転移をした場所で待っていればいいのですね?」

「そうだ。もっとも、シーラ達が転移したら俺もすぐに転移するから、待たせるような事はないだろうけど」

「分かりました」

 

 そうしてシーラが頷くと、マーベルとクーデリアもそれ以上は何も不満を口にせず、大人しく転移の準備をする。

 

「やってくれ」

 

 俺の言葉に量産型Wはゲートの操作を行い、次の瞬間には転移が完了する。

 量産型Wにしてみれば……いや、シャドウミラーにしてみれば、ゲートというのは既に日常生活で普通に使われているものだ。

 TVや冷蔵庫、エアコン、洗濯機……そういうのに近い感覚ですらあった。

 もしくは、世界と世界の間を移動するとなると、車とかか?

 そんな風に考えつつ、誰もいなくなったゲートに俺が入る。

 

「やってくれ」

 

 先程と全く同じ言葉。

 量産型Wも先程と同じように行動し……俺は何が起きてもいいように構えていたのだが、特に何がある訳でもなく、気が付けば俺は見覚えのある場所、ホワイトスターの転移区画にいた。

 

「ふぅ、どうやら問題はなかったようだな」

 

 呪いについては完全に解呪されたと思ってもいいだろう。

 その事に安堵しつつ、周囲を見ると……

 

「をう」

 

 思わずそんな声が口から出た。

 視線の先にいるのは、マーベル、クーデリア、シーラ。

 それはいい。

 俺より先に転移させたのだから、ここで待っているのは当然の事ではあったのだから。

 だが、その3人の側には、何故かシーマとモニクの2人がいる。

 シーラとシーマ……1文字違いだが、相性はどうなんだろうな。

 そう思って改めて観察してみるが、幸いな事に……本当に幸いな事に、2人の間には険悪な雰囲気が流れている訳ではない。

 というか、一体何故シーマとモニクがここにいるんだ?

 いやまぁ、俺と連絡がついたから、それを確認しに来たんだろうが。

 それでもホワイトスターまでやって来るのは、随分と早い気が……

 そんな風に思っていると、シーマの側にいたモニクが俺の姿に気が付く。

 そして、早足で俺の方に近付いてくる。

 

「アクセル、貴方……一体どれだけ心配を掛ければ気が済むのよ!」

 

 パン、と。

 その言葉と共にモニクのビンタが俺の頬に当たる。

 回避しようと思えば出来た。

 だが、モニクの様子を見ればそんな事は出来ない。

 

「もう……あまり心配させないでちょうだい!」

 

 そして再びビンタが来る……かと思いきや、次に来たのは唇。

 ビンタがされると思っていた俺の唇に、モニクの唇が重なる。

 かと思えば唇を割るように舌が侵入し、俺の舌と絡まる。

 そのまま1分程のキスが行われ……そしてモニクが唇を離す。

 

「……心配したんだから」

「悪かったよ」

 

 モニクのキスは、当然ながら転移区画にいる多くの者の視線を集める。

 当然だろう。元々集まっていた全員が全員、美女と呼ぶに相応しい者達だったのだ。

 そんな中の1人がいきなり俺にキスを……それも唇を重ねる程度のキスではなく、しっかりとした、濃厚なキスをしたのだ。

 そんな光景を前にして、それで注目を集めるなという方が無理だった。

 そして当然のように、俺に強い嫉妬の視線を向けている者もいる。

 そういう奴は俺の事を知らないらしいが、側にいる他の誰かが俺の存在に気が付き、慌てて連れていく。

 無理もないか。

 ホワイトスターに来る者はそれなりに限られているが、そのような者達がホワイトスターで問題を起こした場合、そのペナルティは個人ではなく世界に与えられる。

 勿論、ちょっとしたミス程度で厳しい処罰をしたりはしないが、それでも最悪……本当に最悪の場合、その世界とホワイトスターの接続が切断されるという事もあるかもしれない。

 そこまでいかなくても、人数を制限されたりとかそういう事になる可能性は高いので、多くの者達はホワイトスターでは大人しくしている。

 

「……抜け駆けっていうのは、こういう事を言うんだろうね」

「あ……」

 

 シーマの言葉に、モニクがそんな声を漏らす。

 もっとも、シーマは言葉程にモニクを責めている様子はない。

 

「久しぶりだな、シーマ」

「そうだね。それでアクセルはやっぱり新しい恋人を連れて来た訳かい」

「それは否定しない」

 

 そう言うと、シーマは呆れた様子で俺を見る。

 ただ、それでもその中にあるのは呆れの感情だけで、苛立ちといった感情がないのは、俺にとって悪くない話だ。

 

「アクセルが無事だったのは聞いていたから、この展開も予想は出来ていたけどね」

「そう言えばクスコとクリスは?」

「遅れてやってくると思うよ。私とモニクは政庁にいたから、アクセルの件について連絡を貰ってからすぐに来られたけど、クスコとクリスはそういう訳にもいかないだろうし」

 

 クスコはルナ・ジオン軍のニュータイプ部隊、クリスは兵器開発メーカーのディアナでテストパイロットをやっている以上、シーマの言葉に俺は納得し……その後、モニクに続いてシーマともしっかりとキスをするのだった。

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